韓国・北朝鮮
[日韓首脳会談]珍しく1ポイント奪った安倍外交! 朴槿恵が妥協を余儀なくされた背景
「不動」の勝利
どこぞの市長がいい例だが、難癖はつけた者勝ちというところがある。現に、世界中で「反日」を叫んできた韓国の朴槿恵大統領に、日本はどれほど煮え湯を飲まされてきたことか。しかし、今回は事情が違った。彼女が放った「慰安婦弾」は空砲だったのである。
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1時間45分に亘って行われた11月2日の日韓首脳会談でも、朴氏は相も変わらず慰安婦カードを持ち出してきた。そして、会談に同席した萩生田(はぎうだ)光一官房副長官が報道陣に行ったブリーフィングでは、
「慰安婦問題については、両国の局長級会議などで粘り強く協議を行ってきたが、今後も協議を継続し、本年が日韓国交正常化50周年であることを踏まえ、協議を加速化するよう、両首脳は指示することになった」
と、明かされた。「協議の加速化」というと、一見、「進展」のイメージがあり、慰安婦問題の解決を切望する韓国側にとって実りがある会談だったかのようにも思えてくる。
■反日強気外交のツケ
しかし、実態は真逆で、
「日本は、韓国に一切譲歩しなかったと言えます」
と、元時事通信ソウル特派員で、『悪韓論』(新潮新書)の著者である室谷克実氏は説明する。
「日本政府は、1965年の日韓国交正常化の時点で戦後補償問題は『完全かつ最終的に解決済み』としていて、今回の会談に臨むにあたってもその姿勢を変えることはなかった。したがって、協議の加速化といっても、日本からすればこれまで通り話し合いを続けるということにしかならない。一方、韓国にとってみれば、協議が『加速化』するのだから前進であり、それを日本に飲ませたと、国内世論にアピールできる。このように、協議の加速化は両国にとって同床異夢なのですが、今までの朴氏の強硬姿勢を考えれば、実を得たのが何も譲らなかった日本であることは間違いない」
事実、先に触れたブリーフィングで萩生田氏は、
「最終的な(慰安婦問題の)妥結点を決めて話し合いをしているわけではない」
こう認めているし、帰国後にテレビ出演した安倍総理も、
「どのような形で妥結するかは、今後、着地点を見つけていくことになる」
と、会談では何も具体的な約束はしなかった旨を明言している。朴氏はこれまで、慰安婦問題の解決が最優先事項と主張しており、
「首脳会談でその解決策を引き出せなかった以上、彼女の戦略は挫折したことを意味します」(大手メディアのソウル特派員)
それにしても、反日では強気一辺倒だった朴氏が、なぜ対日交渉で「妥協」を余儀なくされたのか。その背景には、韓国の苦境が横たわっている。
「韓国の輸出の25%を対中輸出が占めているのですが……」
と、元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏は、現状をこう分析する。
「今年上半期の対中輸出額を見てみると、半導体以外、全ての分野で前年を下回っています。特に石油製品は前年同期比31%減、自動車にいたっては44%減と落ち込みが激しく、中国経済の失速の影響をもろに受けている格好です」
また、ある韓国ウォッチャー曰く、
「日韓関係の冷え込みが影響し、昨年の日本の対韓国直接投資も、前年から7・5%減となっていて、今年9月までに韓国を訪れた日本人も、前年同期比で23・4%減少しています」
中国に阿諛追従(あゆついしょう)し、日本を足蹴(あしげ)にしてきた朴氏の外交政策が、ここに来て経済面で完全に裏目に出ているのである。
「特集 【珍しく1ポイント奪った『安倍外交』】反日『朴槿恵』大統領敗北は『慰安婦』の空砲」