【コラム】「シンドラーのリスト」のような慰安婦映画を作れない韓国の怠惰

なぜ韓国は「まともな慰安婦映画」を作れないのか
ユダヤ人迫害が人類の正史になったのはスピルバーグ監督『シンドラーのリスト』などで得た国際的共感あったから
韓国文化担う主流は「慰安婦」にそっぽ
最新作は上映館見つからず 慰安婦映画がヒットする日は来るのか

 ドキュメンタリー映画や独立系映画を除けば、『鬼郷』は慰安婦問題を取り上げた2本目の劇映画だ。この24年間でたった2本しか映画が作られていないこと自体、信じられない話だ。慰安婦問題をテーマにした初の商業映画『音叉(おんさ)』(英語タイトル:Tuning Fork)は昨年公開されたが、わずか数日でスクリーンから撤退した。チャン・イーモウ監督の南京虐殺映画には3600万人が集まったが、韓国の慰安婦映画は上映館を見つけることすら難しかった。

 『鬼郷』も興行的な要素はあまりない。制作費がわずかな上、見どころを期待するのは無理かもしれない。意外なのは、出演者に在日韓国人や日本人が9人もいることだ。主演のカン・ハナ(16)は大阪で学校に通う在日韓国人4世だ。彼女は日本の嫌韓派に攻撃されることを覚悟して出演を承諾したという。ほかの在日韓国人や日本人出演者も同じだ。韓国の映画関係者が嫌がる仕事を、なぜ彼らは私費を使ってまで快く引き受けたのだろうか。

 この映画は面白さや楽しさではなく、「意味」で見るべき映画だ。悲しくて心苦しく、画面を見つめ続けるのは苦痛だ。それは性奴隷として踏みにじられた慰安婦の歴史自体がそうだからだ。しかし、苦痛だからといって見ないで顔を背ければ、日本の無責任さを追及する資格はない。

 「日本は反省しない」と怒りをぶちまけるだけでは駄目だ。『シンドラーのリスト』のように国際的な共感を得られる慰安婦映画を1本作れば、日本は耐えがたい思いをするだろう。韓国の巨匠イム・グォンテク監督や海外で知名度が高いポン・ジュノ監督、キム・ジウン監督がメガホンを取り、国民の寄付で制作費を集めるのはどうだろうか。あれほど日本の不道徳さを非難しながらも、まともな映画1本作れない韓国の怠惰さは口惜しいばかりだ。

朴正薫(パク・ジョンフン)論説委員
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