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スーパーコンピューター「説明足りず」11月12日 18時42分
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国の予算にむだがないかを公開で検証する政府の行政改革推進会議の会合で1000億円以上をかけて開発された現在、世界4位のスーパーコンピューター「京」が取り上げられ、有識者から「費用にみあった成果が現れているのかどうか国民に十分説明されていない」という指摘が相次ぎました。
3年前に神戸市で本格稼働したスーパーコンピューター「京」は、国家プロジェクトとして理化学研究所などが開発したもので、総開発費は1100億円余りに上ります。
864台のコンピューターをつなげて、その名のとおり、1秒間に1兆の1万倍に当たる「1京回」の計算能力があり、運用には年間110億円かかっています。
このスーパーコンピューター「京」が、国の予算にむだがないかを公開で検証する政府の行政改革推進会議の12日の会合で取り上げられました。
はじめに、河野行政改革担当大臣が、スパコンを所管する文部科学省に対し、「数ある事業の中で、最もきちんと説明されてこなかった分野で、まともに答えたことが一度もないと思う。そらした答えではなくきちんとした答えを説明してほしい」と述べました。
会合の中で文部科学省は、「京」の必要性について、「医療などの分野で『京』でしかできない結果が出てきていて、予算に見合った成果が現れている」と説明しました。
これに対し、有識者からは、「本当に見合った成果なのか十分な説明がなされていない」として産業などへの実用的な成果や科学的な成果を国民に分かりやすく説明できなければ国民の理解は得られないという指摘が相次ぎました。
12日の会合では、5年後の稼働を目指して開発が進められている「京」の100倍の性能を持つ次世代のスパコンについても取り上げられ、総開発費がおよそ1300億円とされていることについて議論が行われました。
有識者からは、次世代のスパコンについてもその必要性や効果を具体的に説明できなければ国民の理解は得られず、費用を削減する努力も必要だという指摘が相次ぎました。
864台のコンピューターをつなげて、その名のとおり、1秒間に1兆の1万倍に当たる「1京回」の計算能力があり、運用には年間110億円かかっています。
このスーパーコンピューター「京」が、国の予算にむだがないかを公開で検証する政府の行政改革推進会議の12日の会合で取り上げられました。
はじめに、河野行政改革担当大臣が、スパコンを所管する文部科学省に対し、「数ある事業の中で、最もきちんと説明されてこなかった分野で、まともに答えたことが一度もないと思う。そらした答えではなくきちんとした答えを説明してほしい」と述べました。
会合の中で文部科学省は、「京」の必要性について、「医療などの分野で『京』でしかできない結果が出てきていて、予算に見合った成果が現れている」と説明しました。
これに対し、有識者からは、「本当に見合った成果なのか十分な説明がなされていない」として産業などへの実用的な成果や科学的な成果を国民に分かりやすく説明できなければ国民の理解は得られないという指摘が相次ぎました。
12日の会合では、5年後の稼働を目指して開発が進められている「京」の100倍の性能を持つ次世代のスパコンについても取り上げられ、総開発費がおよそ1300億円とされていることについて議論が行われました。
有識者からは、次世代のスパコンについてもその必要性や効果を具体的に説明できなければ国民の理解は得られず、費用を削減する努力も必要だという指摘が相次ぎました。
「京」 全国結ぶ高速通信網も
スーパーコンピューター「京」は、全国の10以上の国立大学や研究機関のスパコンと高速通信回線で結び、膨大なデータを共有しながら研究ができるようにしています。
このネットワークは、「HPCI」と名付けられ、年間およそ20億円の運用費がかかっています。
このネットワークは、「HPCI」と名付けられ、年間およそ20億円の運用費がかかっています。
「京」 特に医療分野で成果
スーパーコンピューター「京」は、体の臓器の動きを再現したりウイルスの詳しい構造を明らかにしたりする極めて複雑な計算ができるようになり、特に医療の分野で成果が出ています。
このうち、重い心臓病の研究では、患者の心臓の複雑な動きをコンピューター上に再現することに東京大学のグループが世界で初めて成功し、病気の詳しいメカニズムを明らかにしました。
今後、治療法の研究につながるのではないかと期待されています。
また、小児まひ、=ポリオの研究では、ウイルスの詳しい構造やウイルスの中で起きているごく僅かな変化を計算によって明らかにすることに名古屋大学のグループが成功しています。
今後、ウイルスが増殖したり感染したりする仕組みを解明していくことで、ワクチンの開発につながるのではないかと期待されています。
さらに、がんの研究では、抗がん剤の新たな候補になっている物質が実際に、がん細胞の動きを抑えることができるかどうか、コンピューター上で計算できる仕組みを東京大学のグループがつくりました。
この仕組みで計算し、がん細胞を抑えることができるとされた2つの物質について、現在、臨床試験に向けた研究が行われているということです。
このうち、重い心臓病の研究では、患者の心臓の複雑な動きをコンピューター上に再現することに東京大学のグループが世界で初めて成功し、病気の詳しいメカニズムを明らかにしました。
今後、治療法の研究につながるのではないかと期待されています。
また、小児まひ、=ポリオの研究では、ウイルスの詳しい構造やウイルスの中で起きているごく僅かな変化を計算によって明らかにすることに名古屋大学のグループが成功しています。
今後、ウイルスが増殖したり感染したりする仕組みを解明していくことで、ワクチンの開発につながるのではないかと期待されています。
さらに、がんの研究では、抗がん剤の新たな候補になっている物質が実際に、がん細胞の動きを抑えることができるかどうか、コンピューター上で計算できる仕組みを東京大学のグループがつくりました。
この仕組みで計算し、がん細胞を抑えることができるとされた2つの物質について、現在、臨床試験に向けた研究が行われているということです。
競争で飛躍的に性能が向上
スーパーコンピューターは、2000年以降、日本とアメリカ、中国が激しく競争しながら、性能が年々、飛躍的に高まっています。
2002年には、日本の海洋研究開発機構の「地球シミュレータ」がスーパーコンピューターの世界ランキングで1位となり、このときの計算回数は、1秒間におよそ35兆回でした。
その2年後には、アメリカの「ブルージーン」が1位となり、1秒間の計算回数は、「地球シミュレータ」の2倍の70兆回に達しました。
2010年には中国の「天河1号A」が1位となって、1秒間の計算回数は、2500兆回を超えました。
2011年に、日本の理化学研究所の「京」が1秒間の計算回数で8000兆回を超え、1位の座を奪い返します。
さらに「京」は、この年、1兆回の1万倍となる「1京回」の性能も達成しています。
しかし、翌年の2012年にはアメリカが、2013年以降は中国が1位となり、1秒間の計算回数は3京回を超えました。
2002年の「地球シミュレータ」と比較すると、世界のスーパーコンピューターの性能はこの10年余りで1000倍近くに飛躍的に向上しています。
2002年には、日本の海洋研究開発機構の「地球シミュレータ」がスーパーコンピューターの世界ランキングで1位となり、このときの計算回数は、1秒間におよそ35兆回でした。
その2年後には、アメリカの「ブルージーン」が1位となり、1秒間の計算回数は、「地球シミュレータ」の2倍の70兆回に達しました。
2010年には中国の「天河1号A」が1位となって、1秒間の計算回数は、2500兆回を超えました。
2011年に、日本の理化学研究所の「京」が1秒間の計算回数で8000兆回を超え、1位の座を奪い返します。
さらに「京」は、この年、1兆回の1万倍となる「1京回」の性能も達成しています。
しかし、翌年の2012年にはアメリカが、2013年以降は中国が1位となり、1秒間の計算回数は3京回を超えました。
2002年の「地球シミュレータ」と比較すると、世界のスーパーコンピューターの性能はこの10年余りで1000倍近くに飛躍的に向上しています。
世界の開発競争はさらに続く
スーパーコンピューターの開発競争は、今後もさらに続き、アメリカは、再来年の稼働を目指して、現在のおよそ10倍の性能を持つスパコンの開発を進めています。
日本も、5年後の2020年の稼働を目指し、今の100倍の性能を目標にスパコンの開発を進めていて、目標どおりに開発できた場合は、世界で1位になる可能性が高いとみられています。
文部科学省は、次世代のスパコンによって、例えば、新しい治療薬の開発や、新型の自動車の設計などがより短い時間でできるようになるとしています。
日本も、5年後の2020年の稼働を目指し、今の100倍の性能を目標にスパコンの開発を進めていて、目標どおりに開発できた場合は、世界で1位になる可能性が高いとみられています。
文部科学省は、次世代のスパコンによって、例えば、新しい治療薬の開発や、新型の自動車の設計などがより短い時間でできるようになるとしています。