韓国国内でも風邪薬、漢方薬、ダイエットサプリ、あるいは発毛剤の使用でアスリートがドーピングに引っ掛かったことがよくニュースになっている。韓国における検査のレベルは他国に比べて非常に高く、海外の他の国なら分からなかったかもしれないケースもあるという。ある医師は「たまに選手にとっては厳しすぎると感じることもあるが、ドーピングがもたらす悪影響はそれだけ深刻なため、検査も厳しくやらざるを得ない」と語る。
薬物使用を突き止める技術が非常に発達したことで、ドーピングは逆にあまりにもリスクが大きくなった。そのため国が介入して大規模なドーピングを行うのはある意味理解し難いことだ。ロシアはプーチン大統領が先頭に立ってオリンピックやワールドカップの誘致に力を入れてきた。海外の優秀な選手やコーチの国籍取得にも金を惜しまなかった。スポーツを通じて「ロシアの強さ」を証明したいという欲に駆られたのだ。まさに時代錯誤ともいえる今回のロシアのドーピングに関するニュースを聞いた時、記者は冷戦時代のあしき慣習を思い出した。ロンドン・オリンピックに出場した米国のある陸上選手は「(ロンドン・オリンピックでの)ロシア選手たちはロボットのようだった」と当時を振り返る。実際の競技を見詰めた世界の数十億人の人たちも、古くさいスポーツ国家主義が生み出した「薬物ロボット」の虚像に一喜一憂していたのだ。