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印南敦史印南敦史  - ,,,  06:30 AM

99%の医者は自分が「がん」になっても抗がん剤は使わない?

99%の医者は自分が「がん」になっても抗がん剤は使わない?

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私の知人が国内外の医者271人に「あなたやあなたの家族ががんになった場合、抗がん剤を使用しますか?」と尋ねたところ、なんと270人が「絶対に拒否する」と答えたそうです。(中略)「99%」というのは、驚異的な数字です。(「まえがき」より)

『医者は自分や家族ががんになったとき、どんな治療をするのか』(川嶋朗著、アスコム)の冒頭では、このようにショッキングなトピックが紹介されています。気になるのは「なぜ、そのような結果が出たのか」ということですが、その大きな理由のひとつとして著者は、「医者たちが西洋医学の限界やリスクを知っている」ことを挙げています。

がんの場合、外科手術、化学療法、放射線治療が「三大療法」「標準治療」とされているものの、いずれも見つけたがんを切除したり叩いたりするだけ。適切なタイミングで行われた場合は効果を発揮することがあるとはいえ、それは原因を根本から治療するものではありません。つまり、それだけでは「根治」させることはできないということ。また、副作用や後遺症などのリスクの問題もあります。

著者は長年、西洋医学と相補・代替治療とを組み合わせた「総合医療」に携わってきた人物。相補・代替治療とは、漢方医学や鍼灸、アロマセラピー、睡眠療法、音楽療法に至るまでの「通常医療(西洋医学)以外の医療」のこと。西洋医学と併用したとき、がんをはじめとした病気の治療に目覚しい効果を示すのだそうです。本書は、その考え方を軸に「自分に合った治療」「自分に合った生き方」を選択できるようになってほしいという思いから書かれたものだということ。医者自身ががんになったときに考えるであろう「24の選択」のなかから、いくつかをピックアップしてみたいと思います。


西洋医療にこだわらず、自分にあった医療法を探す


ほとんどの医者は、患者さんのがんを治したいと真剣に考え、治療計画を立てているもの。ただし医者として患者さんに向き合っている間は、西洋医学、それもガイドラインに記された方針に沿った治療しかできないのだそうです。また、「がんを治す」ことを優先しすぎ、患者さん一人ひとりの価値観や思いを汲み取れないのだとか。しかも医者たちには、忙しすぎるという問題もあります。

一方、著者は患者さんの側の問題をも指摘しています。それは、あまりにも医者に「丸投げ」してしまう患者さんが多いということ。「病院に行けばなんとかしてくれる」と医者のもとを訪ね、医者にいわれたことを鵜呑みにしてしまう。しかし、なにか問題が起こると、医者や病院のせいにして責めたてる。こうしたことの積み重ねが、医療のマニュアル化を招いてしまっている部分もあるのだとか。

でも本来、病気の治療における主役は患者さん自身。特にがんは生命や人生にかかわる病気なので、医者に丸投げしていいはずがないわけです。そこで著者は、もし自分ががんであることが判明したら、まずは勉強することを勧めています。がんとはどういう病気なのか、どんな治療法があり、それぞれどんなメリット、デメリットがあるのかを知るということ。

そして、ある程度の知識を得たら、とにかく主治医に質問をすべき。たとえば「こういう治療法があります」と提示されたら、「その治療を行った場合、奏効率と5年生存率は何パーセントで、延命の可能性はどのくらいありますか?」と尋ねる。抗がん剤の投与を提案されたら、副作用についてはもちろん、「臨床試験でどういった有意差が出たか」といったところまで突っ込んで聞く。そうすれば医者は正確に答えざるを得ず、「この患者はあなどれない」「きちんと情報を提示しなければ」と考えるはずだといいます。そして、そうやって得た情報をもとに、「自分はどう生きたいのか」などを考えあわせ、患者さん自身が治療内容を選択する。それが望ましいあり方だと、著者は考えているそうです。

ここで気になるのは、「しつこく質問したら、医者に嫌われてしまうのではないか」ということかもしれません。そのため質問をためらう人もいるでしょうが、「そのくらいで怒ってしまうような医者と信頼関係を結ぶことができるでしょうか?」と著者。がんは自分の生命や人生にかかわる病気であるだけに、医者の顔色など気にしている場合ではないということ。

だからこそ、最初に治療を受けた医者や主治医の治療内容に納得できないときは、セカンドオピニオンを聞きに行くべきだといいます。それでも納得できなければ、サードオピニオン、フォースオピニオンと、納得できるまで聞いてみる。さまざまな医者の意見を聞くことで、知識も増え、あまり知られていない医療技術や、より自分の価値観に合った治療内容を提案してくれる医者と出会えるかもしれないといいます。(112ページより)


生活習慣の改善とストレスの緩和


がんは外部からの的によってもたらされるものではなく、基本的には「自分自身がつくり出す」病気。私たちの体は約60兆個の細胞からできており、細部は日々、分裂を繰り返して生まれ変わっています。そして、この細胞分裂をつかさどっているのが遺伝子(DNA)。各細胞には核があり、その内部には遺伝子が入っている状態。

ふつう細胞が分裂する際には、遺伝子が持つ情報に従って正確にコピーされるそうです。ところが、なんらかの原因によって遺伝子が傷つくと、遺伝情報のコピーミスが生じることに。これが、がん発生のきっかけとなるわけです。また、胃や腸など、臓器の表面部分(上皮)に傷がつき、その傷が修復される際になにかしらの問題が発生して、がんが生まれることもあるのだとか。

ただ、遺伝子が傷つけられるような攻撃(アタック)は、常に起こっているのだといいます。ひとつの遺伝子に対し、毎日100万回もの攻撃があり、がん細胞は3000~5000個ほど生まれているというのですから驚き。しかし人間の体には遺伝子を修復する酵素があるので、たとえ遺伝子が傷ついてもすぐに修復されるわけです。また遺伝子が修復不可能な傷を受けた場合、体はその細胞を死なせ、がん細胞の発生を防ぐのだとか。これをアポトーシスというそうです。

そればかりか、修復機能やアポトーシス機能も働かずがんが発生した場合は、免疫細胞であるリンパ球が、ひとつ残らずすみやかに除去するというのです。つまり、何重もの防御システムによってがんから守られているのが人間の体。しかし修復機能やアポトーシス機能、免疫機能が衰えると、生き残るがん細胞が出てくることになります。これががん発生のメカニズムなのだといいます。

がんの原因として挙げられるのは、食生活の乱れや喫煙、運動不足、ストレスなど。また、過剰な紫外線を浴びたり、ウィルスに感染したり、ダイオキシンなどの化学物質が体内に入ることが原因の場合も。これらは遺伝子を攻撃して傷つけ、遺伝子情報のコピーミスを招くことに。さらには免疫力をも低下させるため、がん細胞が除去されにくくなるというわけです。

ところで、先に触れたとおり西洋医学の治療は、がん細胞を切り離したり叩いたりする対症療法です。これに対し、がんができてしまった原因自体に目を向けているのが代替医療。生活習慣を改めたり、ストレスを緩和したりすることで、遺伝子への攻撃を減らし免疫力を高め、結果的にがん細胞の増殖を抑えたり、がん細胞を除去したりできる体をつくるわけです。

代替医療は漢方医学、鍼灸、カイロプラクティック、アーユルヴェーダ、温熱療法、アロマセラピー、ホメオパシー、レイキをはじめとした各種ヒーリングなど多種多様。食事療法もそのひとつで、なかでももっとも有名なのが、ドイツの医学者、マックス・ゲルソンによって提唱された「ゲルソン療法」。これは、がんの原因となる、もしくはがん細胞の増殖を促すような食品の摂取を控え、かつ栄養素をバランスよく摂取して自己治癒力を高めるというもの。

制限される食品は、塩分、油脂類、動物性タンパク質、アルコールやカフェイン、精製された砂糖、人工的食品添加物などさまざま。一方で芋類、未精白の穀類などの炭水化物、豆類、新鮮な野菜・果物などを中心とした食事、さらには大量かつ多種類の野菜ジュースの摂取が求められるのだといいます。実行するには、それなりに覚悟と根気が必要だということですが、がんになった医者のなかにも、食事療法を取り入れて病気を克服した人は多いのだそうです。

ただし重要なのは、「食事療法だけやっていれば、がんが治るわけではない」「食事療法で、すべてのがんが治るわけではない」ということ。前述したとおりがんの原因はさまざまですが、食事療法がめざましい効果を示すのは、基本的には食生活の乱れががんの原因となっていた場合のみ。つまり「食事療法だけで治すことができる」とは考えない方がよいということです。

また食事療法は、一度はじめたら、なかなかやめることができないもの。効果があればなおさら、やめるのが怖くなってしまうわけです。しかし、厳格な食事制限を続けるのはつらいもの。もし食事療法を行うなら、いつまで続けるのか、ある程度目標を定めて取り組んだ方がいいといいます。(128ページより)




これだけを見ても、著者の考えるがん治療が、西洋医学だけに頼ったものとは大きく異なっていることがわかるのではないでしょうか? そして読んでみれば、そこにこそ本書の意義があると実感できるはずです。


(印南敦史)

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