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最終更新:2015年11月13日(金) 1時58分

国費ムダ遣いチェック、1100億円スパコン 費用対効果は?

 かつて、民主党の事業仕分けで、「2位じゃダメなのか」と言われ話題となったスーパーコンピューター。国費のムダ遣いをチェックする行政事業レビューの2日目は、1100億円以上がつぎ込まれてきたスパコンの費用対効果が問われました。

 「この投資額が見合ったものかどうか。要するに相場感が我々国民には分からない」(事業レビュー評価者)

 「我々としても契約内容が妥当なのか、毎年度、額の確定調査をしている」(文科省 担当者)

 1秒間に1京回の計算ができるスーパーコンピューター「京」。これまでに1100億円以上がつぎ込まれ、来年度も維持費だけで115億円が要求されていることに厳しい指摘が相次ぎました。

 「昨今、非常に電気代が上がってきている。我々のコスト削減努力効果が相殺される」(文科省 担当者)

 「(電気代が)上がっているというニュアンスは誰しもが感じるのだが、それは他の企業も含めてコスト削減努力が相当されているからこそ、単価がいくらになっているとか、そういうところが出てきて初めて努力となる」(事業レビュー評価者)

 「経営感覚をもって、果たして、この保守管理、電気代、どこまで切り詰められるのか考えないと、補助金を出している側は文科省なので、国民に対して説明ができないということになる」(事業レビュー評価者)

 コスト意識が問われた京の運用。成果は出ているのでしょうか。これは、京を使ってつくられた精密な心臓シミュレーター。二千数百万個もの細胞の情報に加え細胞の中の分子の情報も入っています。

 「分子の動きまで計算しながら、心臓を動かすというのが膨大な量の計算になるので、スーパーコンピューターしかできない」(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 杉浦清了 特任教授)

 レビューでは、文科省の提出した成果の資料をめぐって、こんなやりとりも・・・

 「ここであげている数字は確証なく書いてあるわけね?」(河野太郎 行革相)

 「将来、社会への活用で、こういうことになるのではないかと」(文科省 担当者)

 「それならそういうふうに書いてよ。どれが“捕れてるタヌキ”で、“捕れていないタヌキ”なのか、皮算用が分からない」(河野太郎 行革相)

 今後の成果は、皮算用に終わるのでしょうか。東大でスパコンを研究してきた専門家は・・・

 「例えば『京』の10分の1の性能のものが10台あって、それでできるような計算を 『京』でやるのは意味がない」(東京大学 金田康正 名誉教授)

Q.京じゃなければ駄目だというものは?
 「本当は僕も知りたい。1つでもあれば納得できるが、それがあるとはとても思えない」(東京大学 金田康正 名誉教授)

 世界最高の計算スピードの追求に注目が集まるスパコン。金田氏は、使いこなす人材やソフト開発こそが大切だと強調した上で、こう指摘しました。

 「(京を)使いこなして何をやるかが問われる。作るのが目的ではない。国民に夢を与えるという漠然とした一番を狙うということがあったがために、京で何をするのかが薄れてしまっている。それが一番の問題」(東京大学 金田康正 名誉教授)

 一方、こちらは、11日のレビューで取り上げられた核燃料運搬船「開栄丸」です。「NEWS23」が新たに入手した資料によって、維持費の大まかな内訳が明らかになりました。

 船が全く使われていないときでも、人件費だけで年間3億7000万円が支払われています。動かない船で、一体誰の人件費なのでしょうか。船の管理を委託している会社、「原燃輸送」との契約内容が問題となりました。

 「契約書をきちんと公開してもらわないと、それに基づいてお金を払っているわけだから」(河野太郎 行革相)

 「機密保持に関する条項がある場合、契約者である行政機関は順守する義務が・・・」(原子力機構側 担当者)

 契約の概要を示した文科省の資料にも機密保持条項、開示禁止の文字があります。契約相手である原燃輸送の同意がなければ、税金の使い道が分からないという仕組みです。

 「契約の中に機密条項があったので、先方(『原燃輸送』)の同意を取ろうとしたが、同意が取れなかったので、(契約詳細は)公開できないということ」(原子力機構側 担当者)

 「特定秘密や防衛機密に当たるなら、やむをえないが、そうではない。向こう(『原燃輸送』)が公開は困ると言ったら、契約内容を公開しないと、納税者に対して『使っているもの』が見せられないなら税金は使えない」(河野太郎 行革相)

 「開栄丸」には、港につながれたままでも最低13人の船員が泊まり込んでおり、原子力機構は1人当たりの平均月給として123万円を見積もっていたことが、これまでの「NEWS23」の取材で明らかになっています。しかし、新たな資料によれば、船員人件費1億6000万円とは別に、原燃輸送の人件費と運航管理会社の人件費などとして2億1000万円を支出。使えない核燃料運搬船に投入される税金の闇は深そうです。(12日23:45)

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