【ソウル=加藤宏一】韓国の旅客船セウォル号の沈没事故で、韓国の大法院(最高裁)は12日、乗客を救助せずに脱出したとして殺人罪などに問われた船長、イ・ジュンソク被告(70)を無期懲役とした二審判決を支持し、被告、検察双方の上告を棄却する判決を言い渡した。乗客らが死んでも構わないという「未必の故意」による殺人罪を被告に適用した判決が確定した。
大法院は、イ被告が包括的な権限を持った船長であり、退船命令を出せば相当数の被害者が生存できた可能性があると指摘。自身の退船後にも救助措置をとらず、乗客らの安全確保を意識的・全面的に放棄したとして、殺人罪を認めた二審判決を支持した。
韓国メディアによると、大法院が未必の故意による殺人罪を認めるのは初めて。イ被告は殺人罪のほか、殺人未遂や業務上過失船舶埋没、水難救護法違反などの罪でも有罪と認定された。このほか、1等航海士や機関士ら乗務員14人の上告も棄却し、それぞれ懲役1年6月~12年が確定した。
事故は2014年4月16日、韓国南西部の珍島沖で発生。修学旅行の高校生ら304人が死亡、行方不明となった。検察はイ被告に死刑を求刑。一審では殺人罪が認められず懲役36年の判決が出ていた。
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