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【ドーピング】
プーチン氏「責任は個人が負うべき」独自調査に腰を上げたが、組織的不正は断固否定
【モスクワ=黒川信雄】ロシア陸上競技界を巻き込む組織的なドーピング疑惑で、ロシアのプーチン大統領は11日、問題の真相についてロシア独自の調査を実施するようムトコ・スポーツ相に指示した。国営ロシア通信が伝えた。今回の疑惑にプーチン大統領が言及したのは初めて。
プーチン氏は「問題の排除に向けてロシアはすべてのことを行わなくてはならない」と強調。独自調査を実施する一方、国際機関とも緊密に連携するようムトコ氏に命じた。ムトコ氏は違反者処罰のため、刑事訴追や行政罰の導入を検討していると明らかにした。
露政府はこれまで、組織ぐるみの不正との指摘に対し、「証拠がなく、批判を受け入れることはできない」(ペスコフ大統領報道官)などと反発する一方だったが、国際的な批判の高まりを受け、調査への協力姿勢も示す必要があると判断したとみられる。
同問題をめぐっては、13日(日本時間14日未明)に国際陸連が臨時理事会を開き、ロシアの処分を協議する。結果次第では、来年開催されるリオデジャネイロ五輪にロシア陸連が出場できなくなる可能性があり、プーチン氏の発言が国際陸連の判断にどのような影響を与えるかが注目される。
プーチン氏は一方、「責任は違反した個人が追うべきだ」と強調し、国を挙げた組織的な不正との見方を否定した。