「きょうの健康」今週は「うつ病を知ろう」と題してお伝えします。
今日と明日おつきあい頂くのはパパイヤ鈴木さんでいらっしゃいます。
ようこそお越し下さいました。
どうもよろしくお願い致します。
うつ病のイメージというとどういうイメージでいらっしゃいますか?ちょっと元気がないぐらいのイメージだったんですけどもここから先がうつ病ですというのは境がちょっと分からないじゃないですか。
だから全然よく分からないものというイメージですよね。
そういう事も含めてご一緒に学んで頂けたらと思います。
よろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
今日1日目は「まずは正しい診断」という事です。
お話は…精神科医の…どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
うつ病というのはよく心の病気というんですけれども心というのは脳の働きですよね。
病気というのは基本的に体がなるものですからそういう意味では…それではこちらをご覧下さい。
さまざまな病気がランキングされていますね。
これはWHOが世界各国のある事を調べまして日本においてはこういう順番だというふうに作ったランキングなんですけれどもパパイヤさんこれは何の順位だと思いますか?何でしょうかかる可能性の高い順?正解はこれは日本人の健康な寿命を奪う病気の中でどの病気がどれだけ大きな影響を与えているかという事です。
全体を100%で表した中で5%がうつ病で失われているという事ですね。
それではどうしてうつ病になるのかとそういうところからご説明します。
まず私たちの心というのはこの脳の働きによって生まれている訳ですけれども脳の中にはこういった神経細胞がたくさんありまして神経細胞同士が情報のやり取りをする中でその心という働きが生まれてきます。
この途切れた部分は神経伝達物質というものがこの情報のやり取りをしています。
情報のやり取りをしているというような場所をシナプスと呼んでいます。
それではパパイヤさんこの神経細胞がどのようにうつ病では変わってしまってるというふうに思われますか?やっぱりその伝達能力が低下しているというか何か伝達しなくなるというかそんなイメージですけどね。
実は以前からうつ病というのはセロトニンとかそういった神経伝達物質の量が減ってしまってるんじゃないかと。
そういうふうに考えられてきたんですね。
ところが最近の研究によりますとこの神経細胞の形そのものが変わってしまってるんじゃないかというような事がいわれるようになってきたんですね。
実は動物実験などでこのストレスを与えますとこの神経細胞の突起が縮んでしまう。
場所によっては逆に増えたりすると。
そのように脳の神経細胞の形が変化してしまう事によって感情とか認知とかそういった心の働きというのが変化してしまっていると。
それがうつ病だというふうに考えられるようになってきました。
でもストレスですとね私たち誰にもありますよね。
そうですね。
そうするとその…うつ病になりやすいタイプとかねそういうの…どう思いますか?何かある人はこの事がストレスに感じないけどもまた別の人は同じ事でもすごくストレスに感じてしまうという事もあると思うんですよね。
だから何か人それぞれの気持ちの受け止め方によっても違ってくるのかなと。
それは何の違いなんですかね。
本当におっしゃるとおりだと思います。
やはりそのストレスというのはその性格と環境要因との相互作用でなるものでして昔から多いタイプといわれるのはきちょうめんで人に気を遣うようなタイプの方が昇進とかですねいいはずの事喜ぶべき事なのにその真面目な人にとっては昇進したんだから今まで以上にしっかりやらなきゃいけないという事でそれがストレスになってしまって発症するというのがよくあるうつ病のパターンといわれてきました。
しかしほかのタイプの性格の方にはそのそれぞれにストレスになりやすい事がありますのでどんな性格の方でもうつ病にはなるという事ですね。
うつ病と診断するには何が今度ポイントになってくるんでしょうか。
ほかの病気は血液検査とか写真を撮ったりして検査をする訳ですけれども現在先ほど言いましたような神経細胞のシナプスがどうなってるかという事を調べる検査法がない訳ですよね。
そういう段階ですので面談する事によってお話をしてその事によってその患者さんの脳の中がどうなっているかという事を推定しながら診察して診断するという事になってきます。
具体的にはその診断基準のようなものがありますのでそれを基に診断していくという事になります。
実際にどうやってうつ病を診断するかという事についてパパイヤさんにも伺いながらちょっと見ていきたいと思います。
まずこのうつ病の診断の大前提となるのが2つのチェックがあるんですけれどもこれが当てはまるかどうかを教えて下さい。
まず1つ目ですけれどもこの2週間毎日一日中この気分の落ち込みというのが続いていると。
そういう事はありませんか?ないですね。
2週間って相当な長さですけど。
そうですね。
一日二日はあるかもしれないですけどね。
でもその落ち込み具合というのも度合いがちょっと分からないですね。
嫌な事があってちょっと嫌だなと思ってしかし家に帰って好きなテレビを見ていて楽しく笑えると。
そういうような状態というのは抑うつ気分とまではいわないんですね。
本当に重症になってくるとあらゆる感情がなくなって心が凍りついたようだと。
絶対的にマイナスな気分と。
そういうような状態になります。
それが毎日毎日一日中2週間となると非常につらい状態という事になりますね。
次に伺う事はこれです。
2週間毎日一日中…これはどうですか?ふだんの生活がたまに毎日毎日同じ事が続いているような気がしてつまんないな〜という時はありますけど。
でも何か本当に楽しい事が巡ってきたらその時はまた気分が変わりますよね?すっかり忘れちゃって。
ええ。
そういう状態はこれに該当しない訳ですね。
興味・喜びの喪失抑うつ気分この2つというのがうつ病の最も中核症状といわれているものでありましてこの2つのどちらかに当てはまった場合にうつ病であるかどうかという事を更に検討していく必要があるんですがこの2つともないという事であればその時点でうつ病については心配する必要なしという事になります。
ほっとしましたね。
そうしますとパパイヤ鈴木さんの場合には…。
大丈夫だと思います。
はい。
どちらか一つでも当てはまる場合は更にチェックが必要です。
このうつ病の方の場合にはその疲れがどんどんたまっていって一晩寝ても治らないし土日休んでも回復しないと。
そういうふうに疲れがたまっていくという場合が多いです。
更にチェック。
他人に迷惑をかけているなど自分を責め続けていませんか?最後に動作や考えがゆっくりになっていないかどうかを様子を見て確認します。
重症のうつ病の方ですと診察室に入ってきた時からもうゆっくりゆっくり入ってこられて椅子に座る時もゆっくりという感じで「今日はどうされましたか?」と伺っても「実は…」という感じで本当にゆっくりにしかお話できないと。
そのぐらい重くなってしまう場合があるんですね。
本当たくさんチェック項目ありましたけれどもこれらはどう診断していくんでしょうか?この中で最初にチェックしたこの2つこれがうつ病の必須症状ですね。
このどちらか一つがなければうつ病とはいわないという事です。
そのほかに全体で9個の症状がありましたけどもこの中の5つ以上が一日中毎日2週間以上続くと。
そういう時にうつ病の疑いがあるというふうに考える訳ですね。
あの2つプラス3つという事ですね。
これが1つだったらあと4つとかですね。
ああそういう事ですか。
そういう事になります。
もう一つ大切な事があるんですがこれが5つ以上あってそれに加えて仕事に差し支えているとかご本人が非常に苦しいとそういう事があって初めてうつ病を疑う必要がありましてこの5つあるけれども毎日なんとか問題なくやってるという事であればそれほど心配はいらないという事になります。
5つでなくても例えば4つが該当した場合はうつとはいわないんですか?一応この5つ以上で2週間以上というのをうつ病というふうにいわれているんですけれども…なかなか精神的な事ですから数字で表せられないところがあると思うので判断が難しいですね。
うつ病の診断をつける場合にはこれらの中から5つあっただけではまだうつ病とはいえないんです。
うつ状態が起きる原因というのはほかにもいろいろありますからそれらを除外しなければならないんですね。
うつ病に似たうつ状態を起こすものとしてはこういったものがあります。
まず脳梗塞などの脳の病気ですね。
そのほかではパーキンソン病とかそういったさまざまな脳の病気でうつ状態が出る事があります。
それからホルモンの病気ですね。
甲状腺というのは首の所にあるホルモンを出す器官ですけれどもそういったホルモンを出す器官の病気によってホルモンのバランスが崩れそれに伴って脳の状態が変化すると。
そういう事によってやはりうつ状態を引き起こすんですね。
それから依存性の物質例えばアルコールのようなものというのも飲み過ぎるとうつ状態を引き起こす場合があります。
それからうつ状態を引き起こす薬というのは実は何十個もありましてその代表がこのインターフェロン。
このインターフェロンという薬などは30%とかかなりの方がうつ状態になってしまいますのでそういった薬をのんでる場合はこういった薬によるうつ病という事を考えなければいけません。
ですからお薬をのんでいる方がうつ状態になった場合にはこの治療薬によるうつ状態でないのかという事はしっかり確認した方がいいですね。
なるほど。
もう一つ確認しなきゃいけないのがこれです双極性障害ですね。
このそう状態とうつ状態を繰り返すのが双極性障害なんですがパパイヤさんこのそう状態というのは聞いた事ございますか?よくそううつなんていいますよね。
そのそう状態ですよね。
聞いた事あります。
昔はそううつ病と呼ばれていた病気が今双極性障害と呼ばれるようになってきてるんですがこのそう状態というのはうつ状態とは逆で気分が高揚して何でもできるような自分が偉くなったような気がしてしまうと。
金づかいは荒くなるし注意は散漫になるし声がかれるほどに話し続けて相手が乗り気でないという事に気付かないでず〜っとず〜っとしゃべり続けてしまうと。
突然人が変わったようにこういう状態が1週間ぐらい続くと。
そういう状態がそう状態ですね。
この双極性障害というのは実は多くの方はうつ状態から始まるんですよね。
またこの実は一度そう状態になった事があってうつ状態で病院に来られた方の場合でもなかなかこのそうとうつの間が何年も空いていたりすると一つの病気だという事を認識する事がとても難しくてそのためにうつ状態で病院にいらっしゃった時に以前にそういう状態がそう状態がありましたというような事をお話しされない事も少なくないのでうつ病としての治療をしてしまってそれによって逆に不安定になってしまうと。
そんなような場合もありますので双極性障害を除外しないとうつ病の治療は始められないと。
それが非常に重要な事ですね。
本当もしかしたらそうかなどうかなと思った場合にはどこに受診したらいいんですか?どこへ。
こういったうつ状態の症状が出ていて社会的にも職業的にも非常にうまくいかなくなっていてあるいはご本人が非常に苦しんでらっしゃると。
そういうような時には専門医を受診して頂ければと思います。
さあ今日はうつ病の診断ですねどういうものか知ろうという事でお伝えしたんですけれどもいかがでいらっしゃいましたか?うつ病だと診断されるためには随分とたくさんのハードルがあるんだなと…。
各項目は本当そうですね。
慎重に慎重にでしたね。
逆に言うと少し安心したのはうつ病じゃないですよというところがたくさんあるような気がしてすごく何かほっとしたというか思いましたね。
どこからがうつ病かというのを診断するのは実は医師でもなかなか簡単ではないところがあります。
診断一つとっても患者さんと医師の共同作業という事になってきます。
ですからうつ病の診断治療というのは医師と患者さんの共同作業として進めていくような事なんだろうなというふうに思います。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
2015/11/09(月) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 うつ病を知ろう「まずは正しい診断」[解][字]
うつ病は、心の病気ではなく脳の病気。正しい診断のためにはうつ病の症状で多い9つの項目をチェック。ほかの病気や原因の可能性を除外するなど、細かな聞き取りが必要だ。
詳細情報
番組内容
うつ病は心の病気ではなく脳の病気。一般に、まじめできちょうめんな人がなりやすいと考えられているが、ストレスの感じ方は人によって異なるため、だれにでも起こる可能性がある。発症すると、時に治療には時間がかかり、WHOの調査では健康寿命を脅かす病気の中で上位に位置している。診断は専門医でも難しく、正しい診断のためにはうつ病で起こる特徴的な症状のチェックだけでなく、他の病気・原因を除外することも必要だ。
出演者
【ゲスト】パパイヤ鈴木,【講師】理化学研究所脳科学総合研究センター副センター長…加藤忠史,【キャスター】桜井洋子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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