(爆発音)
(佐久間誠)15年前と同じ爆薬が使われたって言うのか?
(日野和正)連続金融機関脅迫事件って…。
(榊マリコ)15年前…。
(土門薫)焼け跡から5人の遺体が見つかり6歳になる娘が発見された。
(女の子の声)「国道173号線を…」
(吉崎泰乃)この声に聞き覚えがあるんです。
(大西武政)事件は解決している。
犯人のアジトと思われる場所がわかったわ。
全班突入!
(泰乃)あなた誰?泰乃さんが一緒のはずじゃ…。
彼女も襲われた。
泰乃さん!スタンガンか何かで気絶させられたようです。
頭部に裂傷が見られ緊急搬送します。
お願いします。
はい。
逃げたのはこの女性ですか?
(救急隊員)いいえ違います。
茅野瑞子さんじゃない…。
清水山から国道1号線へ向けて緊急配備。
被疑者は若い女性。
氏名不詳。
(相馬涼)マリコさんこれ…。
突入した隊員の話では逃げた女性は縛られていたわ。
でも…。
縛られて気絶したふりをしていたのね。
爆薬の原料…。
しかもこんなに…。
風丘先生泰乃さんの容体は?
(風丘早月)救急車の中で襲われた時頭をぶつけて3針縫ったけど脳波にも異常はなし。
そう。
大した事なくてよかったわね。
早速で悪いが逃げた女の事を聞かせてもらえないか?
(泰乃)はい…。
歳は若かったです。
多分瑞子ちゃんと同じぐらい。
20代前半だと思います。
15年前の犯人のアジトに行きたい?今回の事件の裏側には15年前の連続金融機関脅迫事件がある。
茅野瑞子と父親の茅野社長はなんらかの形であの事件に関わってたはずだ。
それを確かめるためにも調べる必要があるわ。
15年前所有していた崎本が死んでから誰も買い手がなくこのままだそうだ。
あれが爆発炎上した家。
焼け跡からは主犯の崎本善彦と妻の清江そして共犯者の若い男3人の遺体が見つかった。
崎本夫妻には6歳の子供がいたのよね?崎本菜津美はあの納屋のすぐ近くで見つかったそうだ。
彼女はその後どうなったの?両親が死亡したため施設に引き取られたらしい。
見て。
人形もイスも二人分あるでしょ。
恐らくここには2人の女の子がいたはずよ。
ままごとならば1人で出来るだろ。
ううん。
人形用のブラシが2つあるわ。
崎本菜津美には一緒に遊ぶ同じぐらいの女の子の友達がいたの。
死亡した共犯者に家族はいなかったし崎本菜津美の他に子供がいたなんて記録はどこにも残ってないぞ。
でも15年前の事件に使われた声は茅野瑞子さんの声だったでしょ。
つまり当時茅野親子もここにいたっていう事か。
そういえば茅野瑞子のふりをしてアジトから逃げた女は確か…。
多分瑞子ちゃんと同じぐらい…。
15年前の事件で生き残った崎本菜津美なら事件の事を詳しく知っていても不思議じゃないでしょ。
このあたりのものを持ち帰って調べてみるわ。
何かわかるかもしれない。
(携帯電話)どうした?
(権藤克利)崎本菜津美は静岡の児童養護施設に引き取られて16歳でそこを出たあと京都の工場に就職していました。
今でもその工場にいるのか?3か月前に辞めて社員寮も引き払ったそうです。
写真はあるか?救急車から逃走したのはこの女性だったと襲われた救急隊員たちから確認を取りました。
崎本菜津美。
この名前に心当たりはありますか?
(茅野孝英)さあ…。
何がおっしゃりたいんですか?16年前経営していた会社が倒産。
夜逃げ同然であなたと一人娘の瑞子さんは奈良から姿を消し2年後京都に現れこの会社を起業された。
例の連続金融機関脅迫事件を挟む前後1年あなたが所在不明だったのは偶然ではありませんね?15年前の犯人グループのアジトで見つけました。
人形用のブラシから幼い子供の毛髪がそれも2種類。
DNAを鑑定させて頂ければどちらかがお嬢さんの瑞子さんのものかどうかすぐに判明します。
そろそろ本当の事を話してもらえませんか?角宮興産事件というのを覚えてますか?確かありもしない宝石の原石や着工すらしていない高級リゾートの会員権を使ったペーパー商法だったと…。
言葉巧みに日本中の出資者から集めた金を社長の角宮が散財した揚げ句経営が破綻。
被害総額数千億円ともいわれた事件です。
ひょっとして奈良の倒産した会社も…。
会社の金のほとんどを角宮興産につぎ込んでしまったんです。
いやもちろん他の被害者と一緒に角宮の会社に金を返してもらうよう押しかけました。
返しなさいよ!金を返せ!
(茅野の声)でも会社には一銭も残っていませんでした。
(抗議の声)どういう事だ!うわっ!
(茅野の声)その時です。
崎本善彦と知り合ったのは…。
(茅野の声)脱サラをして農場を始めていた崎本も経営資金を増やそうとして角宮興産に出資してたんです。
(崎本善彦)私たちは決して泣き寝入りするつもりはありません!
(茅野の声)いつの間にか崎本が関西地区の被害者の会の旗振り役になってました。
まさかその被害者の会が連続金融機関脅迫事件を?正確には崎本の農場に集まった被害者たちです。
つまり夜逃げした先が崎本の農場だったという事ですね。
はい。
じゃあやっぱり瑞子さんは崎本菜津美さんとあの農場で一緒に過ごしていたんですね。
あそこにいたのは1年ほどです。
半年ぐらいしたらまったく進まない賠償請求に若い連中の中から非合法に奪われた金なんだから非合法に奪い返せばいいじゃないかって…。
そういう意見が出て…。
それで金融機関の恐喝を?私が気がついた時には崎本がリーダーとなって計画が着々と練られていました。
農場には爆薬の材料もたくさんありましたし化学製品工場に勤めていた崎本にはそれを作る技術もありました。
銀行を脅迫した時お金の受け渡しの指示にまだ6歳だった瑞子さんの声を使ったのはどうして?角宮興産の被害者たちは何度もテレビのインタビューに答えてましたから…。
刑事さん!どうか瑞子を無事に…無事に助け出してください!お願いします!刑事さん!お願いします…!瑞子を助けてください…。
茅野孝英今回の爆弾事件の被害者でありなおかつ15年前の連続金融機関脅迫事件の生き残りでもあります。
(大西)あのな事件は犯人グループ全員死亡でカタがついてる。
そうでない事はご自身が一番よくご存じなのでは?
(大西)俺が!?捜査資料の中に農場の爆発のあとに保護された崎本菜津美という女の子の声紋鑑定の記録がありませんでした。
そんなもんあるか!たとえ6歳の女児でも重要な証拠であれば捜査本部は必ず科捜研で分析してるはずです!分析すれば犯人グループが脅迫に使った声と彼女の声は違うという結果が出たはずです!15年前の捜査本部の誰かが証拠を改ざんした…。
言い変えればつかまらずに逃げた犯人が他にいると知りながら事件に強引に幕を引いた人物がいる!お前たちの狙いは一体なんなんだ?崎本菜津美は今回の爆破事件の犯人グループの一人です!まさか…!これ以上被害を出さないためにも隠してる事がおありなら全て話して頂けませんか?貴様!!誰に向かって口を利いてる!
(ドアの開閉音)
(携帯電話の振動音)土門だ。
何?すぐ向かう。
茅野に誘拐犯から脅迫電話がかかってきた。
えっ?どうだ?かけてきたのは携帯電話でしたが契約者の所在は不明です。
恐らく飛ばし携帯です。
内容は?
(茅野瑞子の声)「娘を吹き飛ばされたくなければ明日の正午までに現金で1億円用意しろ」瑞子の声です。
15年前の犯人も脅迫に瑞子さんの声を使っていた。
犯人は15年前の事件を誰よりもよく知ってるという事か。
ただいま。
(相馬)おかえりなさい。
音声分析の結果は?
(相馬)声を加工した痕跡もつないだ跡もありません。
その代わり言葉の切れ目にかなり荒い息づかいが入ってます。
やはり脅されて読まされた可能性が高いわね。
はい。
(宇佐見裕也)アジトにあった爆薬の原料の袋を調べました。
あれだけの量を使ったとすれば1件目や2件目と同じ規模の爆弾がまだ10個は作れます。
(ドアの開く音)
(日野)アジトのゲソ痕の仕分けようやく終わったよ。
どうでした?まあやはり少なく見積もっても15人以上の人間が出入りしていた可能性が高いはずなんだけども…。
けども?なんか妙なんだよな。
このゲソ痕。
(宇佐見)泰乃さん!
(日野)傷は?もういいのか?ええ。
みんなが頑張ってるのに休んでるわけにはいきません。
それに瑞子ちゃんは私の幼なじみですから。
なんとしても瑞子さんを助け出しましょう。
GPSの発信機を入れておきます。
(電話)
(捜査員)入電!
(電話)
(権藤)どうぞ。
(電話)もしもし…茅野だ…。
娘は無事か?
(瑞子の声)「金を持ってただちに自分の車に乗り堀川通を北上しろ」「警察はついてこさせるな」「行き先はそこに届けた携帯電話に追って連絡する」
(電話が切れる音)もしもし?もしもし!
(電話の不通音)
(茅野)もしもし!
(捜査員)四条河原町の交差点近くです。
あっ…電源が切られました。
繁華街じゃ犯人を見つけるのは困難です。
郵便物にこんなものが。
(捜査員)携帯とヘッドセットです。
これはGPS機能つきですね。
犯人も使ってるって事か。
通話を傍受出来るようにしてくれ。
お気をつけて。
車載カメラの映像を送る。
映像来ました。
(日野)これが茅野社長の車だね。
(泰乃)これが茅野社長の車。
こっちが警察車両です。
(電話)入電。
(携帯電話)はいもしもし。
(瑞子の声)「押小路通を左折して西へ進め」嵐山方面ですね。
(電話)
(捜査員)入電。
(茅野の声)「もしもし?」
(瑞子の声)「次の信号を左折」
(佐久間)今度は南下か…。
どこへ連れて行く気ですかね?警察車両が尾行してないか探ってるのかも…。
(電話)
(捜査員)入電。
(瑞子の声)「路肩に車を止めろ」止まりました!くっそ…。
何やってんだ?焦るな。
焦ると相手の思うつぼだ。
(電話)入電。
(瑞子の声)「身代金につけた発信機を窓から外へ捨てろ」何?携帯のGPSに切り替えて。
はい。
犯人は近くから確認してるはずだ。
(瑞子の声)「バッテリーを外して携帯電話も捨てろ」携帯を捨てろ?このあとどうやって指示を出すつもりだ?消えちゃった。
追え。
しまった!この先に交通監視カメラは?はい!
(泰乃)五条通の交差点にあります。
出ました。
この車です。
拡大して!はい!
(泰乃)500メートル先にカメラがあります。
(相馬)出ました。
(宇佐見)おかしい…来ないですね。
(宇佐見)という事は…。
ここ。
京都総合運動競技場。
映像出ました!車がありました。
(佐久間)各移動車は京都総合運動競技場。
いたぞ!裏から回れ。
はい。
(泰乃)いました!
(佐久間)野球場のゲートを全て固めろ。
ただし人質の安否が確認出来るまでは犯人には絶対に手を出すな!この部分を拡大して。
はい。
土門さん。
「照明塔の左下の手すりを見て」スタンドから飛び降りて逃げる気か?権藤下に先回りしろ。
はい。
(ため息)
(携帯電話)金は持ってきた。
瑞子は…瑞子はどこだ?
(瑞子の声)「周りのイスの下をよく見ろ」
(瑞子の声)「バイバイパパ」まさか爆弾!?おい何があった!報告しろ!画面を切り替えて。
はい。
「犯人は清掃員の格好をしている!」
(茅野)うっ…うっ…。
(権藤)「人質を発見!」人質を発見!女性を無事救出!
(権藤)「生命に異常なし!」
(諸角博人)金をよこせ!
(銃声)
(茅野)ああっ…。
娘を返せ!止まれ!
(銃声)あーっ!
(衝突音)あの…娘は?衰弱していますが命に別条はありません。
そうですか…。
よろしくお願いします。
はい。
(救急車のサイレン)さあ署の方へ。
(茅野)はい。
慌てて器具をつけ損なったのね。
身元は?諸角博人37歳。
去年の春まで茅野社長のもとで働いていた。
会社が出来た頃からの古参メンバーだから茅野社長の過去について知っていた可能性が高いな。
座席に仕掛けられていたのは発煙筒でした。
爆弾と見せかけてパニックを誘発する手口も15年前と同じね。
外せと指示のあった携帯電話のバッテリーの間にこのメモが挟んであったそうだ。
警察の尾行をふりきって15分以内にスタンドのあの座席まで金を持ってこいと指示が書いてある。
唯一の連絡手段の携帯を捨てさせるふりをして私たちにはわからない別の指示を出してたのね。
随分と狡猾な連中だな。
諸角のバイクに積んでありました。
違法改造した無線機か…。
奴ら警察無線まで盗聴してたんだな。
はいとりあえずの解剖結果。
検案調書はあとで送るから。
ありがとうございます。
先生これは?ああ…死因とは直接関係ないと思うけど…。
どうかした?左足の裏に切創…。
なんか妙なんだよなこのゲソ痕。
ひょっとして…。
諸角が所持していた拳銃は中国製のトカレフ。
線条痕も一致。
僕の予想ドンピシャでした。
「僕の予想ドンピシャ」いらないから。
次。
発煙筒は市販品でした。
タイマーで作動する仕組みで15年前に梅田信用金庫に仕掛けられたものと同じです。
そう。
泰乃さんの方は?茅野社長が発信機と携帯電話を捨てた周辺の防犯カメラを調べたらこれが…。
オートバイの形式が一致しました。
男の方の身長は170から175センチ。
死亡した諸角と一致します。
その男が茅野社長の車の監視役だったんだ。
残りの犯人もどっかに映ってなかった?茅野社長の車が走ったルートをしらみつぶしに調べたんですけど他には怪しい人物も車も…。
その事なんだけど一つ気になる事があるの。
なんです?犯人の諸角が転落する前権藤刑事は野球場の裏に先回りしていたでしょ?そこで瑞子ちゃんを見つけたんですよね?どうして犯人の仲間がいなかったのかしら?そうか…万が一諸角が身代金を奪い損ねたとしても残りの犯人が人質を連れ去る事が出来るように待機しているはずですよね。
でもあそこにはオートバイしかなかった。
例えば私たちは最初から犯人グループがかなりの人数だって思い込まされていたとしたら…。
そうか!ああそれなら説明がつく。
アジトのゲソ痕は靴底の種類だけを見れば確かに十数人分はあったけどもそのほとんどに共通点があったんだ。
靴のサイズが同じだとか?いやサイズはまちまちだけどね2人分を除いてその歩幅が全て等間隔でなおかつ右足の方が左足よりも強い力で踏まれてたんだ。
諸角博人の左足足の裏に切創がありました。
歩くのに支障はないけど痛みは感じていたはずです。
傷を気にして左足を強く踏めなかった…?まさか諸角が違う靴を履いてわざとたくさんのゲソ痕を残したって言うんですか?アジトにあった使い捨てのカップやカップホルダーこれらの数から大勢のメンバーが出入りしていると推測されたけど…検出された唾液は3種類だけだった。
撃たれて死んだ堀江と転落した諸角そしてもう一人は崎本菜津美。
犯人は最初から3人だけだった?あなたが見たのはこの3人だけだったんですね?
(瑞子)やっぱり菜津美ちゃんだったんだ…。
あなたが彼らのアジトから連れ去られた時の事を思い出せる?確かあの時…。
「全車両に告ぐ」「犯人グループは爆弾を所持してる可能性が高くなおかつ女性を人質としてるケースも考えられる」「車両はサイレンを切り現場には近づかないように」
(諸角)おい早く逃げないともう時間がないぞ!
(崎本菜津美)まだやる事があるの。
瑞子を連れて先に行って。
わかった。
やはりギリギリまで犯人グループは自分たちが大人数でかなりの数の爆弾を作れると偽装していたんだな。
危険を冒してまでどうしてそんな真似を?一つは警察の捜査をかく乱するためもう一つは茅野社長に強い恐怖を与えて身代金を払わせやすくするためだろう。
15年前の事を話してもらえますか?宅配便の配達人によると崎本菜津美は茅野瑞子のふりをして何日かこの部屋にいたそうだ。
もしかしたら彼女は茅野瑞子になりたかったのかも。
うん。
幼い頃同じ農場で仲良く過ごした同い年の2人なのに…片方は社長令嬢として裕福な暮らし。
もう片方は両親を爆発で失ったばかりか凶悪犯の娘としてたった一人で生きるしかなかった。
だから茅野瑞子を誘拐したと言うのか?わからない。
もしかしたら崎本菜津美は私たちには想像もつかない深い心の闇を持っているのかもしれない。
そろそろ記者会見が始まるな。
記者会見?うん。
(大西)「報道各社におかれましては報道協定を遵守頂き人質の無事救出にご協力を賜りました事を深く感謝申し上げます」
(カメラのシャッター音)「さて本件のご説明を申し上げます」質疑応答はのちほど…。
(大西)おい君なんだ?動けばスイッチを押す。
この男を殺したくなかったら下がれ!
(菜津美)動くな!席に戻れ。
来るな!これがあなたの本当の狙いだったのね…?これがあなたの本当の狙いだったのね…?15年前の連続金融機関脅迫事件全ての計画を立てたのは茅野孝英だった。
茅野の計画では最初に狙われた梅田信用金庫も次に金を要求されたなんば銀行もただのダミーにしか過ぎず本当の狙いは3件目角宮興産に最も巨額の融資をしていた京阪銀行だった。
(菜津美)脅迫が公になれば前の2件のように世間に叩かれ預金者も減る。
それが嫌ならば警察には知らせずに金を払えそう要求した。
他の金融機関が被害に遭う様をつぶさに見ていた銀行側はその脅迫に素直に従うしかなかった。
茅野は奪った金を独り占めするために私の父と母そして3人の仲間を殺してあの農場から姿を消しその金を元手に今の地位を築いたのよ。
今さら…こんな真似をしてどうなる?大西本部長彼女も気づいてるんですよ。
当時の捜査責任者だったあなたが逃げた茅野の存在を知りながらそれを隠ぺいし事件に幕を引いた事を…。
その事実を本部長の口から公にする事。
それがあなたの本当の目的だった。
そのためには凶悪な連続爆発と誘拐事件を起こして本部長をこの場に立たせる事がどうしても必要だった。
誤解をするな!この期に及んでまだ白を切るつもり?白なぞ切っておらん。
いいか?警察組織全体の威信を損なう恐れがあったからだ。
だとしたら一人の人間として答えを出して頂けませんか?彼女を救うためにどうすればいいのか。
よし言おう。
アジトが爆破される直前奪った1億円を持ち去った仲間がいたという情報は我々もすでに掴んでいた。
こんなものが送られてきました。
(大西の声)1億円の事を表に出さなければ残りの爆弾は全て廃棄するという犯人からの終息宣言だった。
それを受けた捜査本部は容疑者全員死亡として事件を終わらせるしかなかったわけですか。
真相を公表すれば同様の犯罪が続発する。
警察官僚としてこの国の治安市民の生命を守るための苦渋の決断だった。
そしてあの農場に茅野孝英と6歳の娘がいた事実を隠すために崎本菜津美さんとの声紋鑑定の記録も抹消した。
さあもういいだろう。
お前も終わりにしなさい。
そうね終わりにする…。
菜津美さん…。
ここで死ぬ事になんの意味がある!?意味…?それを言うなら私には生きてる意味なんかなかった!偶然生き残ったせいで…!
(瑞子)菜津美ちゃん!瑞子…。
近づくな!15年前あなたは爆発した家にはいなかったの。
気を失って救出されたのは少し離れた納屋の近くだった。
えっ…?あの夜親子で農場から逃げ出す事を聞いた瑞子さんはお別れを言うために寝ていたあなたをあの家からこっそりと納屋に連れ出したの。
このぬいぐるみさん菜津美ちゃんにあげる。
ありがとう。
やっぱりやだ!瑞子ちゃんと離れたくない。
「涙の数だけ強くなろうよ」他に友達もいないあの農場であなたと瑞子さんはたった二人寂しい時や不安な時いつだってお互いを励まし合っていた。
瑞子さんを送り出したあと家に戻ろうとしたあなたは…。
(爆発音)目の前で爆発が起きショックで気を失った。
でもこれだけは確かなの。
あの夜あなたは偶然じゃなく瑞子さんが連れ出してくれたから爆発に巻き込まれずに済んだ。
だったら何…?私がここにいるのは瑞子のおかげだって言うの!?私の命がたまたま誰かのせいで生かされたとしたって私の父や母は死んで…。
私だってどれだけ苦しんだか…!いっそ死んでた方がまし。
(瑞子)そんな事ない!あの農場で一緒に歌った事私ずっと忘れずにいたよ。
今こうして会えたのだって菜津美ちゃんも私も生きてるからでしょ?死ねなかったとか生かされてるとかそんなの関係なくただ生きてるからまた会えたんじゃない!あなたは生きている。
だからこそ次はあなた自身が犯した罪を生きて償わなくてはいけない。
あなたのご両親もきっとそう思ってるはずよ。
(音楽)
(2人)「風に揺れている花のように」「自分をそのまま信じていてね」「明日は来るよどんな時も」「明日は来るよ君のために」菜津美さん素直に供述してるんだって?ああ。
施設にいた時茅野孝英が京都で会社を起こした事を知り茅野を監視するために京都の工場を選んで就職したそうだ。
そこで諸角博人と出会った。
諸角は奈良にいた頃から茅野の部下で農場を逃げ出す時に手を貸した恩で茅野の会社に雇われていたが使い込みがバレてクビになったところを崎本菜津美に声を掛けられ腹いせに茅野の過去の事を洗いざらい崎本菜津美に話して聞かせた。
事件の計画は全て崎本菜津美が立てたそうだ。
諸角には1億円の身代金を報酬として渡すつもりだったらしい。
だから身代金の受け渡し現場に彼女はいなかったのね。
うん。
堀江を射殺したのもやはり諸角だった。
2件目の爆発の直前に怖気づいてコードを切った事にカッとした諸角が撃ったらしい。
そう。
堀江誠一には申し訳ない事をした…。
崎本菜津美は取り調べで何度もそれを繰り返していた。
やっぱり彼女は誰も傷つけるつもりはなかったのね。
だってその気になれば両親を殺した茅野社長を爆弾を使って殺害する事だって出来たのに…。
きっと彼女にとっては復讐よりも真実を明らかにする事…それがたった一つの望みだった。
(瑞子)私大学を辞めて東京の親類の家に行く事にしました。
そう…。
何かあったらいつでも連絡してきて。
頼りないかもしれないけど話し相手にはなれるから。
瑞子ちゃんなら何があっても大丈夫!ありがとう…泰乃お姉ちゃん…。
(携帯電話の振動音)はい。
えっ…?わかった。
大西本部長が辞職したそうだ。
えっ…?大西本部長!もう本部長じゃない。
申し訳ありませんでした。
謝って済む事と済まない事がある!あっ…いえ…。
冗談冗談。
いやぁ君たちは本当によくやってくれた。
ようやくカタがつけられたのではありませんか?15年前にはな言いたくても言えなかった事を洗いざらいぶちまける事が出来た。
やっと肩の荷が下りた。
カタがついた事件は忘れる。
…と言ったな。
…がこいつだけは忘れられそうにない。
君たちのおかげだ。
あとは任せるよ。
ちよちゃん世話になったな。
2015/11/10(火) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
[終]科捜研の女11[再][字]
最終回『マリコ最後の鑑定!利用された誘拐事件!!捨てられた発信機…身代金の罠!!』マリコ達は15年前の“脅迫事件”の真犯人を突き止めたが、彼は娘を誘拐されていた…。
詳細情報
◇出演者
沢口靖子、内藤剛志、風間トオル、斉藤暁、奥田恵梨華、高橋光臣、長田成哉、若村麻由美、田中健
【ゲスト】
津川雅彦、谷村美月、橋爪淳
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
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