2015年11月12日21時40分
東芝子会社の米原発事業大手「ウェスチングハウス(WH)」が、原発工事の不調などで2013年、14年3月期に計1600億円の損失を出していたことが12日わかった。東芝はWHの詳しい業績を開示してこなかった。主力事業で巨額損失が明らかになり、不正会計問題からの経営再建に影響を与えかねない。
東芝によると、11年に起きた東京電力福島第一原発の事故後、WHは原発の新規建設がうまく進まない見通しになり、いまの為替換算で13年3月期に約1100億円、14年3月期に約500億円、それぞれ資産の価値を切り下げて損失にする「減損」を実施。両期のWH単体の決算は赤字となった。
一方、WHは当時、原発の燃料や保守、管理では「安定した収益」(東芝広報)を上げていたという。そのため、東芝本体がWHのみえない価値として資産に計上している「のれん代」などは減損の必要がないと判断し、東芝の連結業績には反映しなかった。結果、東芝の連結決算の純損益は13年3月期が134億円、14年3月期が602億円の黒字だった。
東芝は今月7日の15年9月中間決算発表の場でも「13年3月期と14年3月期はWH全体にバリュー(価値)があるということで減損処理をしていない」と説明。今後も業績を修正する考えはないという。
東芝は、06年に買収したWHは年平均で数百億円の営業利益が出ているとしている。今回の東芝の会計処理について、あるアナリストは「WHの利益水準から見ると、減損の額は小さくない。ただ、原発事業の会計処理は複雑で、妥当かそうでないかの判断は難しい」と話す。
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