(船の警笛)
(カモメの鳴き声)
(山川雅行)うわっ…!うう…!ああっ…!!あっ…あいつ…!ううっ…ああっ!!
(乗客の悲鳴)
(鼻歌)
(岡崎真実)はあ〜。
たまの休みだってのに鴨志田さんと一緒なんてつまんないなぁ。
(鴨志田新一)真実。
少しは手伝ったらどうなんだよ!だって掃除は鴨志田さんの趣味でしょ?趣味を奪っちゃ悪いもの〜。
だったらお前の趣味は何だ?料理か?裁縫か?1つでも得意なものがあったら言ってみろ!ほらな言えないじゃないか。
ああ〜うるさいな。
私は今忙しいのこれで。
どこが?いい歳してデートの約束のひとつもないのか?情けない。
もう。
はっ!?ねえ私がお嫁に行っていなくなったら一番大変なの鴨志田さんでしょ?だから嫁に行かないのか?そうよ。
だって私がいなくなったら家事は誰がやるの!?お前がいてもいなくても私はずーっと1人で家事をやってきました。
はっ!図星で言葉もないか。
(チャイム)鴨志田さんお客さんみたい。
お客の応対ぐらいやってみたらどう?ほらほら。
待たせちゃ失礼よ。
(チャイム)はーい!んっ?んっ?すいません!どちら様?
(姉小路秀子)あなたこそどちら様?私?私は…いや訪ねてきたあなたのほうから先に名乗るべきだと思います。
なぜ私が先に名乗らなければいけませんの?あれ?じゃあわかりやすく説明します。
どうぞ。
ここは私の家であなた…。
あなたの家!?はい。
笑わせないでよ。
えっ?えっ?えっ?誰だった?鴨志田さん。
いやよくわからんがそこにいる。
んっ?いらっしゃいませ。
…誰?なるほど。
こんな環境じゃあの子が何度も司法試験に落ちるわけよね。
再びすいません。
どちら様?はい。
私は鴨志田新一です。
姉小路秀子。
行人の叔母です。
あっそうなんですか!行人君の叔母様。
いやこれは大変失礼をいたしました。
ホントに失礼!
(ため息)この方は?はい。
岡崎真実です。
ほらごあいさつ。
いやらしい!同棲してるのね!?いや娘ですよ。
ごまかしてもダメ!だって名字が違うじゃない!語るに落ちてるわよ。
ですから話すと長くなる…。
娘です。
ホントです!ええええ。
ああ…娘さんってあの娘さんねぇ。
行人から聞いてます。
あまりにひどい父親でお母さんと一緒に家出したという。
へえあなたなの〜。
炊事洗濯まるでダメ女って。
ちょっとひどーい!鴨志田さん何とか言ってよー!はいはい…。
「はい」じゃなくて否定してよ!それにねぇ!行人君が司法試験落ち続けてるのは自分のせいでしょう!?あらっ?それどういう意味かしら?まるで行人が頭悪いみたいな言い方ねぇ?ほほほ…。
居候のくせに失礼ねぇあなた。
ちょっと居候って何ですか!?お家賃ちゃんと払ってますよ!随分お安くしてるんですって?ありがとうございます。
余計なこと言わなくていいの!ああはいはい…。
(姉小路行人)ただいまー!何騒いでるんですか?またまた親子ゲンカですか…。
秀子叔母様!どうしてここに!?どうしてじゃないわよ。
あなたのご両親から心配して電話があったのよ!アルゼンチンからですか?そう!大使としてあちらに赴任して以来あなたから一向に司法試験に合格したって連絡がないけど悪い虫がついているんじゃないか様子を見てきてくれって言われたのよ。
それで…?でわざわざ名古屋から出てきたのよ!しばらくここにいるからね。
ええ!?何?その顔。
嫌なの?嫌ということではないですけど…。
あなたを悪い虫から守ってやろうって言ってるんじゃないの。
だからさっきから何で私に視線が突き刺さってるんでしょうか?だってきっと悪い虫っていうのはあなたのことなんだもの!ちょっと…うら若き乙女つかまえて虫って何ですか!?あら〜!?ちょっと…。
うら若き乙女…えっどこ?はい。
鴨志田。
どこどこ…?すいません。
すいません!ちょっとの間静かにしてくれますか?おお!大崎か。
どうした?
(大崎通夫)事件です。
殺しの可能性があります。
すぐ来てください!わかった。
すぐ行く。
うら若き乙女ってどこ?だから虫…。
逃げるんですか!?逃げるわけじゃない。
仕事だ。
あとは任せた。
仕事だ!おい!
(工藤潔)あっご苦労さまです!死因は毒物によるものらしいです。
うん。
これが所持品です。
免許証や名刺などによると東都出版株式会社代表取締役山川雅行65歳です。
東都出版…大手だな。
雑誌から古典文学までかなり幅広く扱ってます。
この社長さんもたまにマスコミに顔出してましたよね。
大会社の社長か…。
で死亡時の状況は?近くにいた複数の客乗が川に転落する直前に「あいつ」と口にしたのを聞いてます。
「あいつ」?じゃあ自殺じゃないなぁ。
毒を飲ませた誰かに心当たりがあったんじゃないですかね。
普通はな。
じゃあ無論まだ毒物の検出は…?はい。
解剖してみないことには何とも言えませんが状況を見る限りでは毒殺の可能性は高いですね。
ああ。
観光にやってきた格好じゃないよなぁ。
んっ?何だ?これは。
おっ!なかなかの美人じゃないか。
えっ?ああこれ衣川しぶきですよ。
ご存じありません?ご存じないです。
ふ〜ん。
いやまあまだいまいちメジャーになりきれてないんですけどね。
今年あたりブレイクするんじゃないかと僕はにらんでるんですよ。
詳しいですね。
そういうことは。
ということは…ガイシャもファンだったのかなぁ?どうですかね…。
あっ!ちょっと鴨さんここ見てくださいよ。
非売品の見本版って書いてあるんですけど…。
おいおいおい!お前まで鴨さんと一緒になってどうでもいいことにこだわるなよ!おいおい!もう少し詳しく乗客に話聞きに行くぞ!おおおお。
美人だ。
(坂下純次)捜査本部設置ですか?
(星田耕介)そうだよ坂下君!心してかかってくれよ!はい!坂下純次心してかかります!ガイシャは大手出版社の社長。
大物ですね。
その大物の怪死事件。
これは君出版界マスコミ界が注目すること間違いないよ。
間違いありません。
つまりだ全国民の目がこの警視庁東王子警察署に集中するということは…。
星田署長にスポットライトが当たるということじゃありませんか!そのとおり。
万全の捜査態勢で臨まなければならないということだ!絶対ミスは許されません!うん。
しかしだ我が東王子署には大きな不安材料がある。
んっ?あっそれもしかして鴨…。
(ノック)鴨志田です。
失礼します。
不安材料がやってきたぞ…。
署長。
何かご用でしょうか?鴨志田君。
今回の事件の重大さ君もわかっているね?はい!私にとって事件はすべて重大です。
鴨志田君。
ひと言多いよ。
だから鴨志田君。
君は目立たぬようにおとなしくしていてくれ。
勝手な行動はくれぐれも慎むように。
そうだよ鴨志田君!捜査会議でも余計なこと言わなくていいからね。
はい。
静かにしてます。
また鴨志田さんと一緒か。
岡崎警視!ご苦労さまです!今回の事件岡崎警視が指揮を執られるのですね。
また岡崎警視の下で働けるとは光栄です!ありがとう。
本庁の捜査一課だ。
(工藤)あっ!あれ捜査一課一のキレ者五島朋幸警部ですよ。
これはこれは。
岡崎警視もいらしてたんですか。
ええ。
ご覧のとおりです。
いやぁ…あまりにお美しいのでどこかの世間知らずのお嬢様かと思いました。
ふふふ…よく言われます。
まっ今回は捜査のことは我々プロに任せて気楽にやってください。
では。
(咳払い)俺達は後ろに引っ込んでろってことか。
さらに後ろのあの人よりはマシだろ。
(星田)それではまず警察庁刑事局岡崎真実警視からひと言。
初動捜査の遅れは致命的です。
早速本題に入りましょう。
そうですね。
死因の特定!
(若松孝弘)はい!山川雅行の死因は化学系の毒物パラミンによるものです。
服用後1時間から2時間で死に至るとされています。
なるほど。
山川は船に乗る前に何者かに毒を盛られたということか…。
この日の山川の行動を徹底的に調べ上げろ!
(一同)はい!鴨さん!んっ!?あっ終わった?いやぁ〜まいった。
誰です?さあ?
(カモメの鳴き声)鴨志田さん!おお!単独で動いて上からしかられない?ひとりが好きなの!それに誰も俺なんかと一緒に行動したがらんさ。
始末書書くの嫌だからな。
ふふふ…。
それよりお前こそこんなとこへ来て大丈夫なのか?うん。
あの…捜査一課から来たエリート刑事が現場のことはすべてお任せください!…だってさ。
ふん。
年下の警察官僚ってのは煙たいものさ。
うん。
私だってそんなことわかってる。
だから彼に捜査の指示はすべて任せたの。
それに…気楽にやれって言ってたから独自に捜査するの。
問題は殺された山川雅行がどうして船に乗ってここまで来たかってことよね。
そのうえ東京水辺ラインは週末にしか運行していない。
なのに山川はわざわざそのルートを選んでこの神谷の船着き場で下船しようとした。
ということはだなこのあたりに何か目的があったはずなんだよ。
ちょっと待ってよ!何だ独自に捜査するんじゃなかったのか?私はね鴨志田さんと違って所轄の刑事じゃないの。
だからこのへんの地理には不慣れなの。
案内して。
断る。
えっ?足手まといだ。
あれ〜?これは上司しての命令なんだけど。
お前なぁ…。
お前呼ばわりもまずいんじゃないの?えっ?ああ…すいません。
それじゃあまいりましょうか。
岡崎警視殿!「殿」は余計。
庶民的で風情があってなかなかいいところだろ?鴨志田さん…。
うん?お腹すいた。
お昼食べてないんだよね。
お前なぁ!いや…岡崎警視は他に考えることないんでありますか?あれ?ねえ何?あの人だかり。
おいしいラーメン屋さんかなぁ?どこがラーメン屋なんだ。
演芸場だよ。
演芸場?ああ篠原演芸場。
大衆演劇だ。
ふーん。
おおちょうど昼の公演が終わったとこらしいな。
へえ人気あるんだね!あっ…沢登駒太郎駒輔親子か。
これじゃあ大入りのはずだ。
有名なの?ああ。
知る人ぞ知る大衆演劇界の大スターだ。
ふーん。
それよりお腹すいたぁ。
お昼行こう。
はいはい…。
こっちにはなさそうだ。
あっち行こう。
はいはいはい。
あっねえねえ…まだここランチやってるよ!ほら!いやここはよそう。
どうして?店は他にもあるから。
なっ。
えっいいじゃんここで。
おいしそうじゃない親子丼…。
あれ?ああすいません!もうおしまいですか?
(小川康代)いえ大丈夫ですよ。
どうぞお入りください。
ありがとうございます!鴨志田さん大丈夫だって!あらまあ鴨さん!女将さん奇遇ですねぇ。
お知り合い?うーん岡崎君僕はね営業の仕事の途中時たまここに寄らせてもらってるんだよ。
岡崎君…?営業…?ああお互いセールスは大変だ。
さあ食べましょう。
さあどうぞどうぞ!はい!こんにちは!ここでは営業マンってことになってるんだ。
どうしてよ?ああっ!なるほど。
刑事じゃモテないもんね。
何を言ってるんだ。
嫌だまだ女性に興味があったの?鴨志田さん。
何を言ってるんだ。
いや〜死んだお母さんに似てる。
だから…。
バーカ!どうぞ。
あはは…。
どうかなさいましたか?いや部下の岡崎君に仕事の厳しさをたたき込んでいたところです。
ふふっ…たたき込まれてました。
上司の鴨志田さんに。
じゃあお決まりになりましたらお声かけてください。
(沢登駒太郎)ああこんにちはー!
(沢登駒輔)こんにちはー!いらっしゃい!ほらさっき話した駒太郎駒輔親子だ。
ああ!今日も大入りのようですね。
お陰さんで!ありがたいことです。
いつものご用意しておきましたから。
女将さんの深川飯が楽しみでなぁ!私もです!
(康代)はい。
ありがとう。
うわ〜うまそうだ!
(駒太郎)うめぇなぁ!
(駒輔)ホントおいしい!あの…深川飯ってメニューにないですけど…。
ああすみません。
あのちょっとこれは特別なんです。
ああそうなんだ。
じゃあ親子丼セットお願いします。
はいかしこまりました。
女将さんあの親子にぞっこんって感じね。
残念。
わからんことばっかり言うんじゃないよお前は。
相変わらずうめぇなぁ!ありがとうございます。
ホントにおいしい!はあ〜おいしかった!ごちそうさまでした。
そのおごられて当然って顔がやだな。
だって娘と親子丼の割り勘なんてないでしょ?今言ったな?娘と言ったよな?
(携帯電話)あっいや…ほら電話!わかってる。
言ったぞ。
はい。
もしもし鴨志田。
「坂下だけど」「鴨志田君君今どこ?」十条の商店街ですが?何でそんなとこにいるの?何やってるのそこで!?私がいつ単独捜査を許可しました!?いや1人じゃありませんけど。
(坂下)「じゃあ誰と一緒なんだよ」いや1人でした。
何わけのわかんないことを言ってんだよ。
五島警部はね規律を重んじる方なんだよ!?頼むよ。
はいわかっております。
ちっともわかってないじゃないの〜!あのね…あれ?あっもしもし?もしもし…。
あのよく聞こえないんだけど。
あーあーあー…課長何か電波が…。
あーあーあー…。
ふふふ…隠れた才能あるんだ。
何か電波の悪いところにいるみたいで切れてしまいました。
ははっ…。
すいません…。
署に戻んなくていいの?どこの世界にわざわざ怒られに戻る奴があるもんか。
いないよねぇ。
うん。
課長五島警部ににらまれてるみたいだな。
鴨志田さんのせいでしょ。
ほとんどな。
上昇思考の強い五島警部にとって今回の事件はおいしいのよね。
大手出版社の社長の怪死。
警察庁から来たのも小娘。
首尾よく解決して手柄はすべて自分のものにしさらなる出世をってところに大きな障害が1つ。
俺か?そう。
俺は誰かさんの出世のために働いてるわけじゃないからね。
(携帯電話)まただよ…。
だから課長電波が…あーあーあー…。
何だ大崎か…。
んっ?はは…たった今嫌みを言われてたとこだよ。
で?ほお…結構近くにいるんだな。
じゃあまあしっかりやってくれ。
そうだここまで来たんだ。
団子食おうか。
気分転換。
えっ?団子?行く!いらっしゃいませー。
あれ?行人君。
あらどうしたんですか?2人ともおそろいで。
捜査だよ捜査。
えっ殺人事件ですか?いいんだ君は首を突っ込まなくても。
じゃあ2つ。
はいまいど。
そうよ司法試験の勉強ちゃんとしてくれないとこっちまでとばっちり受けちゃうんだから。
あっ…。
こんなとこでさぼってるとあの怖いおばさんにしかられるわよ。
その秀子叔母様がうるさいからここに逃げて来たんですよ。
ほら勉強もきちんとしてます!ふーん…ねえどうでもいいわ。
これおいしい。
(行人)おいしいですよねぇ!あっいた。
近くにいるって言ってたからやっぱりここだよ。
鴨さんまずいですよ。
こんなとこ課長にばれたら。
捜査の途中で団子食べてることわかったら即外されますよ。
(2人)岡崎警視!ご苦労さまです。
鴨志田警部補に捜査状況の説明をしてください。
お団子いかが?
(2人)いただきます!あっ…。
お団子2人前。
はーい。
そちらの方は?知らない中学生だ。
ボクそっちへ行ってお団子に専念しなさい!鴨さん。
岡崎警視がどうしてここに?ああ…偶然だ。
東京は狭いな。
捜査状況の説明をお願いします。
はい!あの日山川雅行は昼に浅草公会堂で行われた落語家楽々亭快笑の自叙伝出版記念パーティーに出席しています。
(楽々亭快笑)私事ではこざいますが出版記念パーティーにお越しいただきまして誠にありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!我が社が出版する『落語人生』がベストセラーになりますようにここで皆様とともに乾杯をいたしたいと思います。
では乾杯!
(一同)乾杯!
(大崎)この本の出版パーティーです。
ほお…楽々亭快笑か。
有名なの?そりゃ有名だ。
知らんのか?鴨さん今岡崎警視に向かって知らんのかと言いました?お前に言ったんだよ!僕は知ってますよ。
こうやって今報告してるんですから。
鴨志田さんしっかりして。
はい。
はーいお待ちどおさまです。
きたきたほら。
どうぞどうぞお掛けになってどうぞ。
失礼します。
いただきます。
いやぁ…おおおいしそう。
はいごゆっくり。
いただきます。
パーティーに出席してた正確な時間は?はい。
12時30分から14時の間です。
14時ってことは死亡推定時刻の2時間前。
あの毒物は人によるけど服用後1時間から2時間で効いてくるっていうからあのパーティー会場で飲まされた可能性はあるわね。
おい出席者の名簿はあるのか?はいあります!こら食べるかしゃべるかはっきりしろ!これです。
ありがとう。
あれっ?うん?何?いやこの衣川しぶきっていうのは確か…。
ああ…そうですよ。
殺された山川雅行が持ってたCDの歌手。
パーティーでもらったのかしら?ああそういうことだ。
…だ?あっ…と思います。
(咳払い)
(和田)山川はパーティー終了後15時5分に浅草の桜橋から水上バスに乗っています。
ちょっと待って。
パーティーが終了したのが14時。
桜橋から水上バスに乗ったのが15時5分。
間に1時間あるわね。
ねえパーティー会場から桜橋まではどれくらい?歩いて10分とかかりません。
どこかに立ち寄ったってことね。
空白の1時間ってやつですねぇ。
中学生は交ざるな!パーティー会場を出た後の足取りも追っていますがまだつかめていません。
よしとりあえずパーティーの出席者を当たろう。
俺はそうだな…ここまで当たるからあとは手分けしてやってくれ。
いやそりゃ言われなくてもやりますけどでも捜査一課が動いてるからな。
わかってるって!じゃあ行くぞ。
今のは誰に言ったんですか?いやぁですから…すいません。
じゃあ行きましょうか。
あの人もそろそろだな。
ああ言動があやふやだもんなぁ。
はいどうぞ!行くぞ。
嘘…全部僕!?いらっしゃいませいらっしゃいませ!本日シメを務めますのは楽々亭快笑でございます。
さあいらっしゃいませ。
いらっしゃいませ!ああ楽々亭快笑やってる。
よしここは俺が当たるからお前衣川しぶきのほう頼む。
オーケー。
うん。
いらっしゃいませ。
どうぞどうぞ!はいありがとうございます。
どうも!これはね炭火だよ炭火。
これだな真っ赤だ。
(息を吹きかける音)おこしちゃう。
それでね…あおいじゃう。
(観客の笑い)ほら!すごい煙だよ。
お前はあれ知ってるか?八百屋お七。
八百屋お七っていうのはな17〜18の小娘だぞ。
その小娘が火あぶりにされて熱いなんてことはこれっぽっちも言わなかった。
それをお前はこんな小さいお灸を据えて熱かった?って言いやがる。
バカ…。
(観客の笑い)
(快笑)ちっとも熱くねぇ。
嘘だろ兄貴。
随分汗かいたりしてるよ。
熱いんだろ?いや熱くない。
俺は熱くないよ。
お前…八百屋お七知ってる?今聞いたから知ってる。
知ってるの?
(観客の笑い)一昨日師匠の自伝を出版した東都出版の山川社長が殺害された件です。
知ってます。
昨日も警察手帳かざして刑事さん来たんですよ。
ああそうですか。
何でも捜査の責任者とか言ってましたけどね。
五島警部だな…。
あっよかったらこれどうぞ。
いや私は果物が苦手で。
しかし師匠はおいしそうに食べますね。
はい。
私は世の中で果物が一番好きなんですよ。
特にリンゴがね。
ああそうですか。
じゃあ次に伺った時に差し入れます。
いえいえ!そういうつもりで言ったんじゃないんですよ。
あの…それにちょくちょく刑事さんに来られるってぇと寄席の仲間にも困りますんで。
ああごもっとも。
そのとおりですね。
じゃあ1回で済むように質問します。
山川さんは師匠のパーティーの最中かあるいはその後に何者かに毒を飲まされ水上バスで亡くなってます。
はい。
山川社長はパーティーの発起人でもあったんです。
私は駆け出しの時分から随分世話になってるんです。
大恩人なんですよ。
あんないい人を誰が…。
(携帯電話)あっすいません。
もしもし。
はい。
あの…明日必ず返済しますんで。
はい。
山川社長を恨んでいるような人物に心当たりありませんか?ありませんよ!今いい人だって言ったじゃないですか。
ああそうでした。
失礼しました。
ではもう1つ。
何でしょう?はい。
山川さんはパーティーが終わった後会場周辺で1時間ほど時間をつぶされた後に水上バスに乗り込んでます。
それでですねその1時間一体何をされてたのか。
また水上バスでなぜ神谷に向かったのか…。
そのへん何かご存じありませんか?知りませんよ!私はパーティーが終わってからも会場にしばらく残ってましたから。
山川社長が水上バスに乗ったかどうかなんてわかりませんよ!そうですか。
どうもありがとうございました。
(ピアノ)アイスカフェオレください。
かしこまりました。
鴨志田さんもこっちに来ればよかったのに。
(衣川しぶき)ええ。
快笑さんとは以前から親しくしているので応援に駆けつけたんです。
歌を熱唱されてパーティーを盛り上げたそうですね。
先ほどステージ拝見しましたが最高でした。
ありがとう。
亡くなった山川社長とはお付き合いはあったんですか?特別親しかったわけではないんですが社長さんも私のことを応援してくださってました。
山川社長あなたのCDを持ってたんですが…。
ああ…宣伝用の物ですね。
パーティーで何人かにお配りしましたけど。
(携帯電話)あっ鴨志田さん?今どこ?わかった。
行くね。
ただいま。
ただいま。
あんなだらしない格好してみっともないと思わないのかしら?いつものお前と一緒。
そう?私はあそこまでひどくないと思う。
いやほとんど一緒。
あっおかえりなさい。
ひどいじゃないですか!団子代。
(秀子)行人!勉強!あっはい…。
おお『赤水門』ですか。
ええ。
読まれたんですか?いや本屋に並んでるのを見た程度です。
おもしろいですよ。
ねえ赤水門って何だっけ?聞いたことあるけど。
う〜ん。
あなた!エリートの警察官僚でしょ?何にも知らないのね。
ちょっと度忘れしちゃっただけです!おまけに素直じゃないんだから。
ああ…。
『赤水門』は今年度の日本出版文化賞の候補にもなっている傑作です。
昔から「荒ぶる川」として恐れられたびたび氾濫していた荒川。
その氾濫をせき止めるため建造された水門旧岩淵水門はその赤色に塗られた門から赤水門として地元の人に親しまれています。
この小説『赤水門』は昭和30年代に赤水門の近くに住んでいた早稲田大学の貧乏学生と売春防止法施行前夜の千住のバーのホステスの悲恋をつづった流行作家泉沢卓司の最新作であります。
いやぁお見事!隅田川を下っての主人公康平と鈴代の恋。
なかなかロマンチックね〜。
赤水門ってここからそんなに遠くないんですよね。
そうなの!行人あんた明日行って写真撮ってきて。
えっ?叔母様が行けばいいのに…。
私はほら明日は歌舞伎!勘三郎親子の『連獅子』楽しみなのよ〜。
あの…僕には勉強が。
たまには息抜きしないと頭腐るわよ!勝手なんだから…。
泉沢卓司…おい見覚えないか?泉沢卓司?あれ…?もしかして楽々亭快笑のパーティー名簿に?あっ!やっぱり泉沢卓司と亡くなった山川社長発起人代表だ。
泉沢卓司は今伊豆の堂ヶ島で創作活動をしています。
行人君ホントにどうでもいいことはよく知ってるわね〜。
はい。
(快笑)俺ちょうどね今体悪いからなうどん食いてぇなと思ってたとこなんだよ。
ねっ?うどんだって食ってみりゃうまいんだよ。
うんうん…。
ぐにゃぐにゃだなおい…。
(観客の笑い)やわらかすぎたよお前。
えっ?つゆだよつゆ!ねっ?ああいいにおいだね〜。
ちょっと回さないと口切っちゃう…。
(観客の笑い)
(観客の悲鳴)ああわかった。
すぐ行く。
どうしたの?楽々亭快笑が死んだ。
えっ?
(パトカーのサイレン)
(大崎)工藤さん!おう!吐しゃ物が散乱してます。
毒物のようですね。
(大崎)高座の途中で急に苦しみ出して倒れたそうです。
殺しですかね?毒物か…。
鴨志田さんこれ一体どういうこと!?ああ…。
(ため息)どうかした?いや…。
ここに入ってたのは…。
リンゴじゃない?だよなぁ恐らく。
快笑さんリンゴが好きだと言ってたなぁ。
あっよかったらこれどうぞ。
果物が一番好きなんですよ。
特にリンゴがね。
リンゴの中に毒が…?多分高座に上がる前に口にしたと考えるべきだろう。
木村君!
(木村)はい!はい。
これ調べて。
リンゴの皮ですか?ああ。
はい。
私が来た時にはまだこのカゴはなかったんだよ。
じゃあ誰かがこれを差し入れたってことね。
ああ。
しかしこれだけプレゼントがあると誰が何を持ってきたかわからんなぁ。
木村君!
(木村)はい!これも頼む。
はい。
(工藤)付き人の証言によるとやはり快笑は出番の1時間前に差し入れのリンゴを食べたようですね。
でそのリンゴから毒物が検出されたわけだね?はい。
化学系の毒物パラミンでした。
山川社長殺しと同じものか?
(木村)はい。
私今ふと思ったんですがこれはもしかして連続殺人事件ではないでしょうか?あなたが思わなくても普通はそう考えますよ。
そうですか…。
失礼しました…。
フルーツを持ってきた人物はわかったのか?いえ…何人かはプレゼントや差し入れをした人物がいるんですがまだ特定できてません。
ええ…ただフルーツを持ってきたのは確か女性だったという証言も東洋演芸ホールの従業員から得られています。
(木村)フルーツの包装紙から指紋が検出されたんですがその指紋山川雅行が持っていたCDに付いていた指紋と同じでした。
(大崎)えっ!?CDってあの衣川しぶきの?ええ。
ああそのCDは衣川しぶきから直接山川雅行に渡されたものだ。
鴨志田君君は黙ってなさい。
あっはい。
続けたまえ。
ですから果物の包装紙に付いていたのも衣川しぶきの指紋かもしれませんね。
私の推測とまったく同じだなぁ。
君に改めて言われるまでもなく彼女には目をつけていた。
衣川しぶきを調べるんだ!
(一同)はい!ほら行って!いやぁさすが五島警部!見事な推理でございます!お世辞はいいからお茶でも淹れてください。
かしこまりました。
いやぁすばらしい!しかし警部。
事件は完全に山を越しましたな!大崎さん。
おう。
(大崎)ご苦労さまです。
お願いします。
衣川さん。
衣川さん?おい!衣川さん?衣川さん!死んでる。
おいおい…。
おい。
うん?これ…また毒か?自殺か…。
工藤さんこれ見てください。
おい和田も。
(工藤)ブログに遺書か…。
(大崎)ああ。
ねえ歌手ってさこんなに儲かるのかね?
(坂下)出版社社長殺害事件及び演芸ホール落語家殺害事件の合同捜査会議を始めます!衣川しぶきは自身のブログに遺書と思える文章を残している。
おいブログって何だ?日記みたいなものですよ。
日記?日記だったら日記帳に書きゃいいだろ。
何でパソコンに書くんだ?そんなこと僕に言われても困るんですけど。
じゃあ誰に言えばいいんだ。
鴨志田君!静かに!はい…。
ブログにはこう書かれている。
「私には出口が見つからない」「私の止まり木に羽を休めた山川雅行」「私が初めて心から愛した人」「それなのに楽々亭快笑を私は愛してしまった」「私には出口が見つからなかった」「2人を殺して私も死ぬ」「そこが2人を愛してしまった私に残されたたった1つの門なのだ」以上だ。
衣川しぶきが山川雅行と楽々亭快笑を毒殺し自らも死を選んだということだ。
(五島)恐らく衣川しぶきはパーティー会場で山川に毒を飲ませたんだ。
体に一番いいっていう話だから。
ああ…。
さらに衣川しぶきの自宅のゴミ箱からフルーツショップのレシートが見つかっている。
楽々亭快笑に差し入れたフルーツを買った時のものだ。
以上の状況などから我々は1つの結論に達した。
2つの殺人事件は同一犯による。
しかし被疑者死亡。
よって捜査本部は解散する。
無事スピード解決ですね。
ああ大きなトラブルもなくてよかったですねぇ。
いつものご用意しておきましたから。
女将さんの深川飯が楽しみでなぁ!私もです!
(康代)はい。
(ドアの開く音)
(横塚隆)その写真がどうかしましたか?いや別に。
すいません。
あっそういえば先日もその写真をじーっと見てた方がその日に亡くなってビックリしました。
亡くなった?ほら。
ニュースでやってましたよね?水上バスで死んだどっかの出版社の社長…。
あの方ですよ!ほう。
やっぱりここだったのね。
何やってるんだ?そっちこそ。
現場百遍ってとこかしら。
でも一応事件は解決して捜査本部は解散したのよ。
一応と言ったな。
じゃあお前がここに来たのは?恐らく鴨志田さんと同じ理由。
やっぱり事件の結末には納得できないってことか?あのブログの遺書ちょっと違和感なかった?あったなぁ。
若い子にしてはいささか文学的すぎる。
彼女は作詞もしてるんだ。
それを見たんだがまったくタッチが違う。
もっと今風の文章を書くはずだ。
ブログってあくまで自筆じゃないもんね。
偽造ができるってことか?やろうと思えば。
それに2人とも借金まみれだったのも気になるわね。
ああ。
快笑は博打しぶきはブランド狂い。
2人ともうん百万単位の借金だ。
最近快笑は金が入ったと見えて返済すると言ってたなぁ。
鴨志田さん。
ああ。
事件の解決を急ぎすぎてる。
ホンボシが別にいてのうのうとしてたらどうするんだ!よしあの日の山川の足取りをもういっぺん追ってみよう。
力のある娘を持ったことを感謝しなさいよ。
はーい。
運休日に水上バスを動かしていただいて感謝しておりまーす!よろしい。
ねえ何でこの本読んでるの?ああ秀子さんに借りたんだ。
昭和30年代の大学生とバーの女との壮絶な愛。
なかなかおもしろいぞ。
捜査に関係が?うん…。
山川の大学時代とこの小説の時代背景が完全に重なるんだよ。
何か気になってさぁ。
まあ勘だけど。
ふ〜ん。
ちょうどこのあたりで山川雅行は死んで川に落ちたのね。
真実。
赤水門行ってみよう。
へえ〜これが赤水門かぁ。
なかなかのもんじゃないか。
なあこの小説の最後はなヒロインの鈴代が康平の子供を身ごもってだその康平の将来を考えていずことなく去っていくんだよ。
この赤水門をバックにさ。
今なら考えられない話ね。
時代だな。
そういうことがあったんだよ。
あっ!ちょっと!あっちょっとちょっと…ボク!あんまりそっち行くと危ないよ!ねえ黄色い服のボク!危ない…。
行人君?あれっ真実さん…。
ちょっと行人君勉強さぼってこんなことしてていいの?また司法試験落ちるわよ。
そんなこと言ったって仕方ないじゃないですか。
秀子叔母様の頼みなんですから。
あっでも鴨志田さん。
お陰で僕例の事件にとって有益なすごい情報を聞き出しましたよ。
また大げさなんだから…。
あっそうですか。
聞きたくないんですね。
ちょっと鴨志田さんは黙っててよ!で…ほら何なのよその情報って?殺された山川さん1週間くらい前にここに来ていたそうです。
山川社長が?どうしてわかったの?こちらの絵の先生が覚えてらっしゃったんです。
ああどうも。
すいません確認のために確かにこの人でしたか?
(菊池)ええ。
間違いないと思います。
新聞で顔写真を見てあっこの人だって…。
あのそれで?あそこに座ってぼーっと…。
1時間くらいでしたかねぇ?山川さんずっと1人でした?いえしばらくして中年の女性が現れましたね。
女性?ええ。
どんな人です?着物姿でした。
他には何か?2人で何やら話し込んでました。
話のほうまではちょっと…。
そうですか。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
すいません!思い出しました。
あの女性確か十条にある小料理屋の女将ですよ。
十条…。
まさか小川という店じゃないですよね?ああ小川小川!僕たまに行くんですよ。
あらまあ鴨さん!あの女将さんが?どういうこと?わからん。
(携帯電話)はいもしもし。
鴨志田君!君今どこ?ああ赤水門ってご存じですか?今その上歩いてますが。
何でそんなとこにいるの!すぐ戻ってきなさーい!!相当荒れてるなぁ。
課長さん?うん。
これは戻らんとまずいだろうなぁ。
そう。
うん。
(携帯電話)はい岡崎です。
(上野忠明)上野だ。
すぐに戻ってきたまえ。
理由はわかってるな。
はいわかりました。
上司か?うん刑事局長。
お小言みたい。
ふっ…。
皆さん大変ですねぇ。
その点僕は気楽な…。
(携帯電話の着信メロディー)秀子叔母様だ!はい行人です。
(秀子)「いつまで写真撮ってるの!?」早く帰りなさい!課長。
うん?鴨さんなんですけどね…。
うん。
何だか知りませんけどここのところやたらと岡崎警視になれなれしいんですよ。
鴨さんが?
(2人)ええ。
うーん…。
そりゃあ盆暮れに付け届けでもしてるんじゃないのか?岡崎警視はねよく私に直接電話で励ましの言葉をくださるんだよ。
それを何?鴨さんびいき?いやとにかくただならぬ関係ですね。
ひょっとして一緒に住んでたりして!嘘!何真剣になってるんですか!なあ!天地がひっくり返ったってありえませんよ!そんなにかよ…。
こりゃ涙をのんで逆の手で行くしかないな俺は。
うーん…。
五島警部から捜査本部が解散した事件なのに君が勝手に水上バスを動かしているとクレームが来ているが本当かね?いやそれはですね…。
勝手と言うより…。
(ドアの開く音)署長!それはですね私の指示です!申し訳ございません。
えっ?課長一体どういうことですか?鴨志田君これまでの数々の非礼このとおりだおわびする!許してくれ!課長!君がねぇ警察庁の岡崎警視と差し向かいで団子を食べる仲だったなんて知らなかったんだよ。
頼むよ!私はねぇ印旛沼に30年のマイホームのローンがまだ残ってるんだよ。
家族だって5人いるし一番下の子は幼稚園だぞ!はいはい…。
何だそのことでしたか。
いや岡崎警視とは平塚亭で偶然…。
いやまったく偶然ばったり出会って一度だけ団子を食べたということですが。
一度だけ?はい。
じゃあその時に励ましの言葉なんかあったりなんかした?いいえ。
じゃあねって帰っていかれました。
何だ。
じゃあ私のほうが深いじゃん。
私なんかしょっちゅう励まされてるんだよ?それはうらやましいです!だろう?ええ。
まあそういうことで。
じゃあ単独行動は控えるように。
ねっ。
あれっ?課長さっき確かご自分の指示で動かしてるって言ってましたよね。
言ってましたね。
じゃあいってきまーす。
いやそんなことは言ったっけ?ねえちょっとあの…。
言ったんだよなぁ〜これが。
まずいなぁ〜。
(上野)捜査一課の五島警部から警察庁は随分暇なんですねと嫌みを言われました。
あの東王子署の鴨志田とかいう刑事と隅田川の水上バスをチャーターして捜査を続行したっていうのは本当かね?はい。
君は正気か?どこの世界に捜査本部が解散した事件を警視の君と所轄の一刑事が捜査を続けるなんてことがあるんだ?五島警部のやり方は性急すぎます。
私は自分の捜査方針でこの事件に当たらせてもらいます。
君らしい立派な考えだ。
しかし君の捜査方針が間違っていたらどうするつもりだ?すべての責任を君ひとりで背負う覚悟はできてるんだろうな?私は知らんよ!!もちろん覚悟はできてます。
(鼻歌)よしっ!さあさあ…。
(肉を焼く音)おおーっ!警察組織ってのも厄介なもんだなぁ。
うん…。
お前の上司にしてみりゃ恥をかかすなってことだろ?まあ俺はお前のお陰で自由に動けるようになったからあとは俺がやる。
私のお陰って?うーんと…その話は長くなるから言わない。
でも私が事件から手を引くと思ってる?思ってない思ってない。
そう。
私はどんな事件でもその真実が知りたくて警察庁に入ったの。
出世なんかどうでもいいんだ。
かっこいい真実さん!惚れ直しました。
誰に惚れ直したって?もちろん秀子叔母様にです。
もう…嫌な子ねぇ。
ほらお料理できたわよ。
うわぁ!相変わらず叔母様お料理上手ですねぇ!赤水門の写真のお礼です。
あっそちらのお2人もよろしかったらついでにどうぞ召し上がれ。
ついでだって。
まあいいか。
うんお腹すいちゃった。
ああっどうも。
では。
さあどうぞどうぞ。
わあ〜すごーい。
いつものをご用意しておきました。
(行人)わあ〜深川飯だ!叔母様名古屋なのによく知ってましたね。
江戸に出てきたんだから料理好きとしてはこれぐらいのことはやらないとね。
さすがですね。
じゃあいただきまーす。
うん!おいしい!叔母様はやっぱり料理の天才だ!だしょ?
(2人)いただきます。
何この甘さ…。
このあさりはハチミツと練乳であえてあるぞ。
うえ〜。
う〜んおいしい!叔母様の料理最高!だしょだしょ!おかわりしてね。
味音痴は姉小路家の血筋かな。
(秀子)あら?お2人ともどうなさいました?あっそうか。
ついでにと言ったのがお気に障ったのね。
まったくお2人ともナイーブなんだから。
あっ…。
まだ起きてたの?ああ。
気になるんでしょう。
1週間前赤水門にいた山川社長と女将の康代さんのことが…。
今回の事件に関係してるのかなぁ。
山川社長は駒太郎駒輔親子の写真をじーっと見ていた。
そして女将の康代さんはその親子と親しくしている。
どういうつながりなんだろう。
わからん。
しかしあの女将が事件に関係してるような気がしてならないんだ。
番場宿なら知ってますとも。
それがどうかしたのかい?へえ。
おきなが屋忠兵衛という六代続いた旅籠屋をご存じでござんすか?
(駒太郎)ああ〜知っている段か。
私が若い時にかたづいたことがある。
おっかさん!何すんだいこの人は!変な真似をおしでないよ!ごめんなすって。
不躾でござんした。
お前さん一体誰なんだね?
(駒輔)忠太郎でござんす!
(駒太郎)何ですって?忠太郎だって?私には生き別れをした忠太郎という子はいたが今ではもう亡くなった…。
(駒輔)えっ?ねえ?ねえんでござんすか?五つの時に縁が切れて二十年あまり。
もうちっとで満三十年だ。
その間音信不通で互いに生き死にさえ知らずにいた仲だからそんな子はもうねえ!…という気になってるんでござんすか?縁は切れても血はつながる。
切って切れねえ親子の間は目に見えねえが結びついて互いの一生は離れやしねぇ!あっしは江州番場宿のおきなが屋の倅忠太郎!忠太郎でござんすおっかさん!お待ちお待ち。
お前さん大層番場のことに詳しいがそんな話を私にしたってダメだよ。
こんにちは。
あっ鴨さんどうしたんですか?今この芝居見てました。
ああ…。
駒太郎駒輔親子すばらしいですね。
ええ…。
(咳払い)あの…申し訳ありませんでした。
私今まであなたに嘘をついてたんです。
まずそれをお詫びします。
実は私東王子署の者なんです。
刑事さん…?鴨さんが?はいその一刑事として女将さんと話がしたいんです。
どうぞ。
ああ…。
お話って何でしょうか?この本…ご存じですよね?多分あなたもお持ちだと思いますが。
それが何か?女将さん1週間前この赤水門にいらっしゃいましたよね?私が?はい。
この本の出版社の社長である山川雅行さんと一緒だった。
違いますか?いいえ。
何のことでしょう?私その方も存じませんし…赤水門に行った覚えもありません。
どうして嘘をつくんですか?どうして嘘をついてると思われるんですか?女将さん…。
もうお話することはございません。
どうぞお引き取りください。
わかりました。
大変失礼いたしました。
(ドアの開閉音)康代さんどうして嘘ついてるのかしら。
後ろめたいことでもあるのかなぁ?この本女将さんも持ってたよ。
康代さんが?どうして?わからん。
あっそうだ。
この本のこといろいろ調べたんだけどこの著者の泉沢卓司は東都出版の社長の山川雅行と早稲田の文学部の同窓で親友だったらしいわ。
親友!?うん。
文学の才能に秀でた泉沢を山川は出版社に入ってずっと支えてきたみたい。
(携帯電話)はい鴨志田。
今思い出したんですけど殺された山川さん昼間から静かに酒を飲める場所を知らないかって言ってたんです。
ほう…昼間から酒を。
それで近くにある浅草バーを教えたんですけど。
じゃあ覚えてるんですね?
(須藤泰司)ええ。
この前の日曜日にいらっしゃいました。
それ何時頃でした?確か2時過ぎだったと思います。
まだすいてましたから。
パーティー会場出てすぐだな。
例の空白の1時間はここだったのね。
恐らく。
あの1人で来たんですか?いいえ同年代の男性の方とご一緒でした。
えっ…その男性の顔覚えてらっしゃいます?いえ…サングラスをかけて顔を手でこういうふうに隠すようにしてましたんで…。
職業柄人の顔を覚えるのは得意なんですけどね。
ねえ一緒にいた男は…。
うんこの本を書いた泉沢卓司かもしれん。
パーティーにも出てたしな。
それに泉沢と山川は早稲田の同窓で親友。
ねえ泉沢卓司に話を聞いたほうがよくない?うん。
確か伊豆の堂ヶ島にいると言ってたなぁ。
行ってみるか。
そうね。
うわ〜!いい景色ね!景色見てる場合じゃないんだ。
さあ行こう。
(パトカーのサイレン)
(パトカーのサイレン)んっ?何かあったのかしら?
(パトカーのサイレン)
(ざわめき)どうしたんです?身投げよ身投げ。
女の人が海に身を投げたんだって。
身投げですか…。
うん。
おい。
女将さんだ。
うん。
(心電図計の音)
(医師)意識レベルどうだ?
(看護師)まだ上がりません!PVCです。
リドカイン用意!はい。
どう?康代さんの容態。
ああ意識は回復してない。
危険な状態らしい。
そう…。
そっちはどうだった?遺書はなかったけど独り身で老後を悲観しての自殺だって静岡県警は判断したわ。
そんなにあっさり決め付けていいのか!なぜ事件性を疑わない!?でも康代さんどうして堂ヶ島に来たのかしら?泉沢だ。
それしかありえんだろ。
泉沢卓司と康代さん…どういう関係だったんだろう?わからん。
康代さんこの本大切に持ってたよ。
なぜだ?何があったんだ?鴨志田さんどうする?とにかく泉沢のところに行こう!うわ〜すごい豪邸ね。
奥さんと2人暮らしだそうだ。
(チャイム)
(泉沢麗子)「はい。
どちら様ですか?」毎朝新聞文化部の鴨志田と申します。
申し訳ありません。
(麗子)「ちょっとお待ちください」「今門を開けますので」どうぞお入りください。
恐れ入ります。
失礼します。
(麗子)いらっしゃいませ。
すいません。
近くまで来たものですから泉沢先生にごあいさつをと思いまして。
ご在宅でしょうか?あいにくと出かけておりますが…。
ああそうですか…。
どちらへ?東京です。
常宿にしている銀座太陽ホテルにこもって仕事しております。
ああ…。
残念でしたそれは。
では。
すいません。
おおこれはいい写真ですね。
主人の趣味ですの。
主人ったら家に現像室まで造って自分で撮影した写真を現像してるんですよ。
そうですか。
実に見事です。
では大変失礼いたしました。
行こうか。
はい。
失礼します。
いますね。
じゃあ確かに2人は在籍してたんですね。
はい。
大学時代から2人は…。
そうですか。
社長と泉沢さんはそんなに親しかったんですか。
はい。
それじゃあこのたまのやさんにいた康代さんのことはご存じですか?うちよりも赤い月のほうが長かったですね。
その赤い月というのは?あそこを曲がって…通りです。
ああどうもありがとう。
赤い月さんだったら今名前が変わってあちらの入り口のほうで営業してますよ。
ありがとうございます。
生まれはどこなのか聞いてましたか?ああ…実家は船橋のほうだったと言われてましたねぇ確か。
船橋ですか。
千葉か…。
あっどうも。
お元気で。
はい。
そうですか…。
お話しにくいことを伺いました。
申し訳ありませんでした。
いらっしゃいませ。
(一同)いらっしゃいませ。
堂ヶ島NEW銀水へようこそ。
あっどうも。
泉沢先生そろそろお願いできますでしょうか?会場に大勢のお客様がお待ちです。
どうぞ。
警視庁東王子署の鴨志田と申します。
(泉沢卓司)警察の方が何か?「赤水門」の背景というテーマで講演をなさるそうですね。
ええ。
今のあなたに「赤水門」を語ることができますか?おっしゃってることの意味がわかりませんね。
大学時代からの親友の命をその手で奪ったうえに最愛の康代さんの命の火が消えようとしている今…。
あなたに「赤水門」が語れますか?申し訳ないがこの人をお客様の前に立たすことはできません。
場所を変えましょうか。
この小説『赤水門』は荒川に赤水門ができた当時近くに住んでいた早稲田大学の学生と千住のバーのホステスの悲恋をつづった小説ですけど…。
2人の主人公にはモデルがいますね?モデルはあなたと康代さんです。
この本は早稲田の学生だった泉沢卓司…つまりあなたと千住のバーのホステスだった小川康代さんとの恋を描いた私小説だったんですよね?主人公2人の名前は康平と鈴代。
康平の「康」の字は康代さんの「康」の字鈴代の「代」の字も康代さんの「代」の字と同じです。
あなたは主人公に康代さんへの思いを込めたんですね?小説の結末は悲しいものでした。
康平の子供を身ごもった鈴代は彼にも告げずにひとりで生きていく道を選び行方をくらました。
そして2人が会うことは二度となかった。
この小説と同じように康代さんはあなたの子供を身ごもったんですね?そしてあなたの前からいなくなった。
康代さんは千住を離れ子供を産んだ。
でもその頃の生活状態では子供を育てることはできなかった。
だからある人物に預けた。
千住のバーのなじみ客だった沢登駒太郎です。
沢登駒輔はあなたと康代さんの子供ということです。
しかしですね我々があなたと康代さんのことを調べたところどうも腑に落ちない点が多かったんです。
康代さんは赤水門ができた頃確かに早稲田の学生と付き合ってました。
しかしその相手は文学青年だったあなたではなくスポーツマンの山川雅行だった。
違いますか?そのとおりです。
山川さーん!
(泉沢の声)康代と付き合っていたのは山川でした。
(泉沢の声)似合いの2人でした。
今日時間あるんでしょう?わかってるよ。
うれしい!あっねえ山川さん。
うん?次の試合っていつなの?今度の日曜。
あっじゃあ私お弁当作って見に行っちゃう!ホントに?泉沢君!早く!今日すっごい楽しかったー。
(泉沢の声)私も康代が好きだった。
どうしても康代と付き合いたかった私は山川はひどい男だと康代に言った。
君とのことは遊びにすぎない。
山川には別に女がいると。
私は康代の気持ちを自分に向けさせようとした。
康代は次第に山川の愛に疑問を持ち始めてことあるごとに私に相談を持ちかけてくるようになった。
そして私と康代は結ばれた。
それで康代さんは身ごもったんですね?康代は私と山川の前から突然姿を消した。
私は必死になって康代の行方を捜した。
しかしどうしても見つからなかった。
あなたと同じように山川さんも康代さんの行方を捜したんでしょうねぇ。
彼女が突然いなくなった理由なんて心当たりなかったでしょうし。
そのうえまさかあなたと関係を持ち身ごもったことなど夢にも思わなかったでしょうから。
結局康代さんの行方はあなたも山川さんもつかめないまま40年の歳月が流れたんです。
そしてあなたはいなくなった康代さんへの思いを込めて『赤水門』を書き上げた。
それが間違いだったんだ。
まさか山川がそんなふうに読むとは思ってもいなかった。
泉沢。
もしかしたらこれは俺と康代のことじゃないのか?えっ?そうなんだろう?いや…そんなつもりじゃなかったが。
本当のことを言ってくれ!もしこれが俺と康代をモデルにしているとしたら康代が妊娠していたことになるんだ!俺の前からいなくなった理由の説明がつく!落ち着いてくれ。
この作品にモデルなんかいない。
純粋な創作だ。
はは…。
私小説なんかじゃない。
ふふふ…。
そうか。
あはは…そうだなぁ。
もし…康代が俺の子を身ごもっているとお前が知っていたら親友のお前が俺に何も言わないわけがないもんな。
(泉沢)そりゃあそうさ!はは…いやいや。
それにしてもこれ傑作だよ。
お前の悲願の日本出版文化賞も夢じゃないなぁ!ありがとう。
ふふふ…。
しかし…山川は懐かしくなったのか思い出の赤水門の界隈に足を運び昔からあった篠原演芸場に入った。
そこで沢登親子の舞台に見入っている康代を見つけた。
(駒太郎)あたしゃおきなが屋を出てしまったんだ。
(駒輔)親父はあっしが12の時に患って死にやしたから直に聞いたわけではねぇがおっかさんが家を出なさる時親父の身持ちがよくなかった。
罪は親父にあったんだと!
(泉沢の声)山川は沢登駒輔が自分と康代の子供だと思い込んだ。
そして康代を赤水門に呼び出した。
(山川)本当のことを教えてくれ。
沢登駒輔は君と俺の子供なんだろ?そうなんだろう?だから君は俺の前から姿を消したんだろう?違うんです。
許してください。
あなたはその後康代さんに会いましたね?ええ。
読みましたこれ。
(ため息)書かずにはいられなかったんだ。
君のことはずっと気にかけていた。
許してくれ。
恨んでなんかいません。
あの時私は山川さんよりあなたを愛していました。
だからあなたの子供を産む道を選んだんです。
康代…。
書いてもらえてうれしかった。
そして運命の日を迎えた。
楽々亭快笑の出版記念パーティーではともに発起人になっていたんでその日は山川と会わざるをえなかった。
泉沢。
お前が責任を取らない限り俺は絶対に許さないぞ。
ここにいる人間みんなにお前がしたことをばらしたっていいんだぞ!親友の俺を裏切り俺の恋人に子供を産ませたんだ!お前は!お前は俺と康代の人生を狂わせたんだ!よくもこんなものが書けたな!この恥知らずが!
(泉沢の声)会場の隅で言い争う我々の姿を快笑と衣川しぶきに見られてしまった。
その後あなたと山川さんは浅草バーへ向かいましたね?はい。
山川の話に応じるふりをして一緒に行きました。
しかし山川の目的は康代と子供に対して私が償うことじゃない。
自分を裏切った私をただ苦しめることだったんです。
私が築き上げたものすべてを奪い取ることだったんです。
だからもう…殺すしかないと思ったんです。
そうか…やっと責任を取る気になったか。
ああ。
私が間違ってた。
ふふふ…。
それでいいんだよ。
お前はこれからずっと苦しみ続けるんだよ。
毒物のパラミンは写真の現像液に含まれてます。
写真が趣味のあなたには容易に入手できた。
あなたとしては毒が効いて1時間後に彼が死んでくれりゃあそれでよかった。
恐らく山川さんはあまりの懐かしさにまた赤水門を目指したんでしょうね。
山川さんが殺されたと聞いて楽々亭快笑と衣川しぶきはあなたをゆすってきたんですね?金で解決できることは金で解決しましょうや。
わかってますよね?泉沢先生。
(泉沢)ああいう奴らは一度金を渡すと何度でもゆすってくる。
ああするしかなかった。
殺すしかなかった。
あなたは殺人に康代さんも使いましたね?あなたが山川さんを殺した?でもそれに気づいた連中に脅されてる。
康代私を助けてくれ。
力を貸してくれ。
お前しか頼れないんだ。
なっ!頼む。
頼む!その時康代は冷静さを失ってました。
だから私の計画に協力してくれたんです。
冷静さを失っていたのは康代さんだけじゃない。
あなたもでしたね。
はい。
まず私が快笑の楽屋の差し入れのリンゴを購入しそして次に康代をしぶきのライブハウスに行かせサインをもらう時しぶきの指紋を果物の包装紙に付けたんです。
快笑の楽屋にも顔を知られていない康代を行かせました。
快笑のファンだと言えばすぐに通されリンゴには目のない快笑の楽屋に毒入りのリンゴを差し入れたんです。
ありがとうございます。
あっごちそうさまです!それを口にした快笑は噺の真っ最中に高座で死んだ。
さらに警察がその包装紙の指紋からしぶきのところに行くと見越し彼女のマンションで自殺に見せかけて殺害。
彼女のブログに遺書を書き記したけど作家なんでそれまでの彼女の文章と比べてうますぎたのは皮肉でしたね。
どうして康代さんまで殺そうとしたんですか?いや違う!殺そうとしたわけじゃない!罪の重さに耐え切れなくなった康代は私に別れを言いに来たんです。
彼女は死ぬつもりで…。
40年前私が山川さんを裏切らなければ…。
あなたを愛したりしなければこんなことにならなかったはず。
許してください。
君が悪いんじゃない。
悪いのはこの私だ。
もう…いいんです。
息子も一人前になったことだし。
どうぞいいお仕事してください。
死なせてください!離して!康代!康代!ああ…!離して…!やめろ!離してください!康代!やめろ!あんなことになるとは…。
あなたは康代さんのことをまだ…?
(携帯電話)はい。
はいそうです。
わかりました。
ありがとうございました。
康代さん意識を回復しましたよ。
すべて自分ひとりの犯行だと言ってるそうです。
康代…。
ねえ鴨志田さん。
ああ?これからどうするの?東京へ戻るしかないだろう。
署長や課長のお小言たーくさん待ってるわよ。
それはお前だって同じだろうが。
あっそっか。
ねえここにさぁ一泊してかない?ああいいねぇ。
たまには親子水入らずもいいんじゃ…ない?あっ。
今何て言った?何も。
いや確か親子水入らずと言ったよな?言ってません!言った!言ってません!ああ〜もう!ちょっと鴨志田さんしつこいから帰る!ちょっと待ちなさいよ!嫌だ。
わかった。
じゃあ宿代全部持つから。
ホント?ああ。
VIPルームは空いてないかなぁ〜!VIPルームだと!?あははは!何て娘だ!親の顔が見たいよ!あっ私だ!
玄界灘の荒海で取れた旬の魚
2015/11/11(水) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
おかしな刑事[再][字]
居眠り刑事とエリート女警視、父と娘の名推理!!海面2メートル!時間差殺人の謎・赤水門と西伊豆堂ヶ島の殺意!!
詳細情報
◇番組内容
人気シリーズ第4弾!!新キャラ登場!石井正則さんのおば役で戸田恵子さん。綾小路家に嵐を巻き起こす!
◇出演者
伊東四朗、羽田美智子、石井正則、戸田恵子、山口果林、下條アトム、石田太郎、小倉久寛、矢島健一、佐渡稔 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
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