きょうの健康 うつ病を知ろう「働き盛りのうつ病」 2015.11.11


「きょうの健康」今週は「うつ病を知ろう」。
今日と明日は歌手のマルシアさんがご一緒です。
ありがとうございます。
よろしくお願い致します。
舞台などでもね活躍していらっしゃいますけどうつ病というとどういうイメージでいらっしゃいますか?私は何年か前だろう…6年5年前ぐらいかな?うつ病という病気にかかりそれで1年半ぐらい完全に芸能界から身を消したというか。
1年半も?はい。
休んでらしたんですか?そうですね。
完全に仕事できなくなりましたね。
1年半休むというのは相当不安もあったんじゃないですか?言う事聞かないんですよね。
体も心も。
だから休むほかないし自分の本業歌う事もできなくなったのでそういう意味では本当にちょっとつらい時期でしたね。
今日はそういうご自身のご経験も含めてお話をして頂けたらと思います。
テーマが…お話は…どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
そのしばらくの間長期間ですよね仕事を休むとそういうケースは多いんでしょうか?ケースにもよりますけれどもうつ病と診断された場合にはやはり休職して頂く場合というのは多いですね。
その場合改善するまでには大体2〜3か月かかる事が多いですしそのために3か月ぐらい休職される方が多いですけども長ければやっぱり1年2年という事もありますね。
マルシアさんの場合は1年半という事でかなり長くかかったという事ですね。
ちょっと時間かかりましたね。
仕事ができない以前に声が出ないというか引きこもりになったり。
その特に働き盛りの方がうつ病になるというと本人の苦しさはもちろんの事ですけれどもそのうつ病の症状のためにみんなに迷惑をかけてるからと会社を辞めてしまってそのためその後の人生に大きな影響を残してしまうと。
それから社会的な損失という意味でも非常に大きいものがあります。
働き盛りの世代のうつ病のきっかけとしてはどんな事が大きいと思いますか?ストレスかな。
私は離婚をしてそこからもうがむしゃらに走り続けてきたのでそういう事もあるんじゃないかな〜と…。
働き盛りの世代のうつ病の方のきっかけはやはり何と言ってもストレスが多いと思いますね。
まずはそのストレスをため過ぎないという事が何より大事だろうと思います。
ストレスは働いてる限りはね私なども含めて大なり小なりあるとは思うんですけれども。
そのストレスを早く察知して適切に対処すれば発症を防げる可能性もある訳ですね。
そのために国では法律を改正しまして…国を挙げての対策をとるという事はそれだけやっぱり深刻という事ですか?そうですね。
本当に深刻な問題だと思います。
今のところ決まっている手順としましては最初に質問票を記入してチェックしてもらってそこでストレスが高いと思われる人には本人が希望されれば医師の面接を受けて頂くと。
そのような段取りになるようですね。
何と言ってもポイントとしてはこの本人の同意なく会社側に情報が伝わるという事はないという事ですね。
会社の方には集団の統計のデータが伝えられましてそれを基に職場環境を改善するように会社は努力して頂くと。
一般的にはどうなんでしょうかストレスがたまってるなと思ったら早めにやっぱり受診をした方がいいんでしょうか?う〜ん…ただストレスというのは誰でもありますのでね。
日常生活に支障が出ていなくてご本人も特に困ってらっしゃらないという事であればストレスがあるからといって病院に行くという必要はないんじゃないかなと思いますけれども。
働く世代によくある例です。
会社員のAさんは昇進試験のため猛勉強し無事に合格して昇進。
昇進後は1か月後の売り上げ10%アップを目標に仕事をしていましたが売り上げは7%にとどまり責任の重さでストレスを感じるようになりました。
徐々に気分は落ち込み何事にも興味が持てず何をしても楽しいと感じなくなったAさん。
疲れやすくなっているのによく眠れない日々が続きました。
会社では「もうだめだ…」と独り言が多くなり話しかけられても返事もできなくなってしまいました。
ミスも増え会社に迷惑をかけているのでやめたいと言うようになり医療機関を受診したところうつ病と診断されました。
すごく分かりやすい。
すごく似てますね。
こちらに先ほどのAさんの経過をまとめました。
うつ病と診断できるのはマルシアさんどのぐらいのタイミングだと思いますか?何か興味…確かに何も興味なくなるし何か声かけられてももう答えられない状況になるのであの辺りですかね。
おっしゃるとおりです。
全ての事に興味を失ってしまってどんな楽しいはずの事も喜べない。
こういう状態が2週間ぐらい続いたという時にはうつ病の可能性があるので病院にかかって頂いた方がいいかなと思いますね。
うつ病の診断基準はこちらです。
うつ病は脳の病気ですので心と体にいろいろな症状が現れるんですね。
うつ病と診断するのはこの欠かせない2つの症状抑うつ気分と興味・喜びの喪失。
このどちらかの少なくとも一つに加えましてそのほかの7つの症状こういった症状5つ以上が毎日毎日2週間一日中続いてるような場合これをうつ病というふうに診断するんですね。
マルシアさんもこういう症状ありましたでしょうか?全部ありました。
全部…?完璧にありましたね。
もう一度Aさんの経過を見てみましょう。
まずAさんは昇進後にうつ病の診断に欠かせない症状であるこの抑うつ気分と興味・喜びの喪失これが現れています。
その後に疲れやすいとか早朝覚醒というのが出てきてだんだん動作がゆっくりになってるという事も出てきまして話しかけられても返事ができないという様子になってしまいました。
ここまで来ると誰が見ても様子がおかしいぞという事になりますね。
そしてこの抑うつ気分や興味・喜びの喪失が2週間ぐらい続いた時点で受診されれば精神科医が詳しく問診すればほかの症状があるかどうか判断できるんじゃないかなと思います。
この状況になると病院に行く勇気すらないんですね。
だからやはりそこは家族がしっかり見てしっかり支えて一緒に行くとかそういうふうにしてあげたらいいなと思いますね。
そういう場合本当ご家族の助けというのが重要だと思います。
Aさんの場合にはどういう形で治療に…。
Aさんのケースは重症になりますので恐らくはその日から休職をしてもらって治療に専念して頂くという事になるんじゃないかなと思いますね。
治療としてはこの精神療法と薬物療法というのが2本の柱という事になります。
更によくなってからは精神療法の中でもより専門的な認知行動療法というのを行うと再発予防という点では有効だと思います。
休まないで治療するという事はどうなんでしょう。
できない…。
軽い場合には仕事をしながら治療という事もありえなくはないんですけれどもやはり中等症重症の場合には薬で脳の回復を促すだけではなくやはりストレスを避けていくという事と合わせてやっていかないとなかなか改善していかないと思いますね。
薬とはどのぐらい使うものなんですか?うつ病ではこの抗うつ薬を使うんですけどのみ始めてから効果が出たかなと感じられるまでにまず1〜2週間かかりますし効き始めてから本当に効果があるのかないのかを判断するのにも4週間以上4週間から8週間ぐらいはかかります。
そして効き始めから改善するまでの間に2か月から3か月という非常に長い時間がかかりますね。
1か月ぐらいのんでも改善しないからという事で焦ってしまって主治医に相談しないでお薬をやめてしまったりするとこれは薬をやめた事によって逆に調子が悪くなるという場合もありますので薬をやめたくなったという時には主治医の先生にご相談頂ければなと思いますね。
一番下の認知行動療法ですか。
これはどういうものでしょう。
うつ病の方ではその特徴的な認知パターンが見られるんですね。
このうつ病の方に見られる特徴的な認知パターンというのを変えていく事によってうつ病の改善あるいは再発予防という事に役に立つというふうに考えられています。
これを認知行動療法というふうにいっています。
マルシアさん具体的にこういったものがどんな事か思いつきますか?ありましたか?そうですね。
何かすべき…。
すべきだ。
例えば母親だから何か子どものためにしっかり働かなきゃとか。
そうでしたね。
この過剰な一般化というのは僅かな経験から広い意味を持つような間違った結論に至ってしまうという事で先ほどのAさんで言うと売り上げ目標を達成できない自分はダメな人間だと。
こういうふうに考えてしまう思い込んでしまう考え方ですね。
それから次のすべてか無か思考。
これは本当は複雑な事について両極端に分けてしまうという事ですね。
先ほどのAさんの場合には売り上げの目標が10%だった。
実際は7%だったという事なんですけれどもそれに対して10%を達成できなかったんだから完全に失敗だったというふうに失敗か成功かという両極端な判断をしてしまうという考えですね。
7%もできたじゃないという考え方する…。
おっしゃるとおりです。
全然違いますよね。
そういうふうに考えを切り替えていく事ができればうつ病の再発予防に役に立つと思いますね。
別なアングルで物事を考えるとねすごく楽になる。
「あっ目が覚めたありがとう」というそういう前向きな習慣づけを作ると意外とね楽に楽しく生きられるようになってきますね。
いいですね。
「目が覚めたありがとう」という。
しっかり治療をして改善しましたと。
そうなった場合にはもうすぐ現場復帰といいましょうかできるものなんですか?よくなってすぐにいきなり仕事に戻ってしまうとぶり返しやすいという事がありますのでまずはこの一日の生活のリズムを取り戻す訓練をすると。
会社に行く事を想定して毎日同じ時間に起きて会社でやっているような仕事の練習をするという事から始めてリズムがついてきたらまずは短縮勤務から始めまして少しずつ普通の勤務になっていくというふうに少しずつ焦らずに社会に慣れていくという事が大切だと思いますね。
基本的には元の慣れた部署に戻るというのが原則なんですけれど配置転換を機会に発症したという方の場合とかそもそも上司に問題があったというようなケースの場合には配置転換をした方がいいという場合もあります。
マルシアさんの場合は芸能活動を再開するにあたって何か気を付けられた事とかはございますか?ちゃんと朝起きて夜寝るというまず一つと。
もうまさにそのとおりですけど。
次は急に人前で歌えないので自分でトレーニングしつつその中で楽しいとか目標1個ずつ立てるとかそこにどんどん進んでいくという。
そうやって普通に戻りました。
こういうやっぱりサポートがうれしかった。
あるいはこういう何かその事言われてちょっとつらかったなとかそういうような事何かありましたか?その時は母がそっと見守ってくれて話しかけられるようになってきてからマルシアの歌がまた聴きたいなって。
それって割とそのすごくそれって心にグサッてきた部分もあるのと「あっそうかちょっとここはふんばってもう一回歌おうかな」とか。
母のひと言で光がふわって光ったかな。
希望が。
ちょっとしたひと言で本当に心が救われるという事ありますよね。
その反対に周りの人の言動によってほんの…ご本人は何の気なしにおっしゃったひと言によって非常にうつ病の患者さんにとっては苦しい思いをされる事もありますね。
うつ病というのは本当に誰でもなりうる病気です。
しかしうつ病になったとしても適切に治療をすれば多くの場合治る病気な訳ですね。
再び社会に復帰して元気に活躍できるようにうつ病について皆さんに正しく知って頂きたいなと思います。
その…今悩んでる方あるいは周囲の方にお伝えしたい事ありましたら…。
そうですね。
本当に私もその時期はどうなるかと思ったんですけど頑張らなくてもいい今ありのまま自分を受け止めて前進して頂けたらなと思います。
必ず前進できると思いますので。
ねっ楽しく生きていきましょうと思います。
大丈夫。
どうもありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
2015/11/11(水) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 うつ病を知ろう「働き盛りのうつ病」[解][字]

仕事上のストレスがきっかけで発症することが多い働き盛りのうつ病。休職が必要な場合も多い。治療中の注意点や改善してから復職するまでに注意したいポイントを紹介。

詳細情報
番組内容
仕事上のストレスがきっかけで発症することが多い働き盛りのうつ病。症状が重い場合は休職して治療に専念することが大切だ。改善には時間がかかるため、焦りや罪責感から仕事を辞めてしまい、その後の人生を大きく変えてしまう人も少なくない。症状が重くなる前にどのタイミングで受診するのがよいのか、どんな治療をどのように進めていけばよいのか、復職する際の注意点、周囲の人が気をつけたい言動などについても詳しく紹介。
出演者
【ゲスト】マルシア,【講師】理化学研究所脳科学総合研究センター副センター長…加藤忠史,【キャスター】桜井洋子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:506(0x01FA)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: