人生デザイン U−29「映画館支配人」 2015.11.11


今回の「U−29」舞台はレトロな風情漂う映画館。
ここで働く上野迪音さんが主人公です。
27歳にしてなんとこの映画館の支配人。
自分で選んだ作品を自分の手で上映する。
ああ…こういうのいいなあ。
支配人が次に取りかかったのは…あれ?実はこの映画館運営スタッフは上野さんただ一人。
この映画館の存続は彼の手腕に懸かっています。
支配人になって1年。
客足はなかなか伸びません。
27歳の映画館支配人その人生デザインとは…?およそ19万人が暮らしています。
町の中心部にあるこの古びた建物。
実はここが上野さんが支配人を務める映画館です。
チケット売り場もどこか懐かしい雰囲気ですね。
おっ!早速お客さんです。
この建物が出来たのは明治44年。
当時の造りをそのまま残し国の登録有形文化財にも指定されています。
この雰囲気の中で映画を楽しみたいというお客さんが県外からも訪れます。
さあ上映の時間です。
(ブザー)お客さんの入りはというとう〜ん…ちょっと寂しいですね。
観客数の記録を見せてもらうと0の回も…。
なんとかお客さんを増やしたい。
そのための宣伝ポスター作りも支配人上野さんの仕事。
上映の合間に一人で作業をします。
作ったポスターを貼ってもらうため早速外回りへ。
この日は市民ホールの担当者に交渉です。
外回りから戻った上野さん。
ちょっとお疲れのご様子…。
何から何までたった一人。
大変じゃありませんか?上越市で生まれ育った上野さん。
子どもの頃から映画好きでした。
その後横浜の大学に進学して…映画漬けの日々を送ります。
将来は映画に関わる仕事がしたいと夢みていました。
しかし就活の時期になるとその思いを自ら封印してしまったのです。
ちょうどそのころ上野さんはある作品に出会い大きな衝撃を受けました。
そしてこの作品を多くの人に見てもらいたいと…その熱意に応えてくれたのが今勤めている映画館でした。
友人たちの協力もあって上映会は満席となりました。
その事が上野さんの自信につながったのです。
その後上野さんに思わぬ知らせが届きます。
映画館を管理するNPOからここの支配人をやってみないかと誘いを受けたのです。
当時この映画館は支配人不在の状態で存続が危ぶまれていました。
そこでNPOが目をつけたのが上野さんでした。
こうして支配人になった上野さん。
一定の売り上げを確保し歴史ある映画館を残し続ける事が託されました。
この街にこの映画館を根づかせるため上野さんは小さな努力を重ねています。
上映後はできるだけお客さんに話しかけます。
お客さんの反応を見て次の上映作品を選ぶヒントにしているのです。
更に固定ファンを作るためこんな取り組みも。
同じ作品を見た人同士が集まって感想を語り合う会です。
上野さんが企画しました。
話題は作品の感想から映画館の話まで。
自由なおしゃべりを通して映画館そのもののファンを作ろうとしているのです。
この夏集客アップを目指し上野さんは新たな企画を打ち出しました。
上映するのはイタリアを舞台にした映画です。
2人の男性がイタリア旅行の中で人生を見つめ直す物語。
随所にイタリアの郷土料理が登場します。
そこで上野さんが考えたのは地元のイタリア料理店とのコラボ企画。
お店に映画のチラシと割引券を置いてもらう代わりに映画館ではイタリア料理店のサービス券を配るという作戦です。
上野さんは映画館の仕事が終わったあと一軒一軒協力のお願いに回りました。
7軒の料理店の協力を取り付け映画で登場したメニューを再現して提供してもらえる事にもなりました。
さあこの企画うまくいくのでしょうか。
上映が始まりました。
おっねらいどおり!料理店から映画を見に来てくれました。
料理をきっかけに遠方からもお客さんが来てくれました。
コラボ企画は口コミでも広がり女性を中心に新規のお客さんが増えました。
上野さんの1週間スケジュールはこちら。
集客が見込める土日は出勤日。
休みにはドライブで遠出して気分転換します。
月収は固定給で手取り15万円。
実家暮らしで家賃がかからない分交際費に9万円。
お客さんとのつきあいを大事にしています。
この日上野さんは小中学校の時の親友と半年ぶりに会いました。
今年で皆28歳。
友人たちはそろそろ身を固め始めています。
一人で映画館を切り盛りする上野さんがどのように生活しているのか友人たちにはイメージできないようです。
説明できているようでできてないような微妙な今の立場です。
飲みに出た夜も映画館に戻る上野さん。
日中は接客に追われ仕事を積み残してしまうのです。
この日の作業はチラシ作り。
大音量の音楽でなんとか気持ちを奮い立たせます。
でも真夜中に一人でいると自分のやっている事の意味が分からなくなる事もあります。
長い夜が続きます。
8月中旬。
上野さんは新たな賭けに出ました。
上映するのは女性を主人公にしたベルギーの映画。
会社にリストラを宣告された女性が取り消しを求める姿を追ったストーリー。
作品の中で音楽はほとんど使われず派手な場面も出てきません。
上野さんはこの作品にほれ込み上映を決断しました。
この作品ではそれほど集客が望めないと考えている上野さん。
それでも上映しようというのには訳がありました。
映画館支配人として働き始めて1年。
自分がほれ込んだ作品が地元のお客さんにどれだけ共感してもらえるのか確かめたかったのです。
週末公開を迎えました。
上映15分前になってもお客さんは一人も現れません。
あ〜来ました。
いつも熱心に通ってくれる常連さんです。
常連さんが来てくれた事でほっとする上野さん。
更にもう一人。
上野さんがあまり見かけないお客さんです。
上野さんの作品選びを褒めてくれました。
集まったお客さんは4人。
数としては少ないですが上野さんのセンスを信じて集まってくれた人たちです。
(ブザー)上映が始まっても上野さんは客席を離れませんでした。
どうもありがとうございます。
丁寧に追ってますもんね。
そうなんですよそうなんですよ。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
また一人この映画館のファンが増えたみたいですね。
上野さんに最後に質問です。
あっ!ありがとうございます。
「フレンチアルプスで起きたこと」は今年の僕のベストワンかも…。
あ〜そうですか。
そんなにいいですか。
もう東京だと公開されてる。
1か月…2か月ぐらい前。
2015/11/11(水) 23:25〜23:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「映画館支配人」[字][再]

新潟・上越市で古い映画館を切り盛りする上野迪音さん(27)。上映作品の選定から広報、接客、掃除までたったひとりで行うという奮闘ぶり。しかし客足はなかなか伸びず…

詳細情報
番組内容
今回の主人公は新潟・上越市で古い映画館を切り盛りする上野迪音さん(27)。上映作品の選定から、広報、接客、掃除にいたるまでたったひとりで行っている。横浜の大学で好きな映画を学んだ上野さんだったが、映画関連の仕事に就くのは難しいと諦めかけていた。そんな時に開催した映画の自主上映会に多くの人が集まってくれた喜びが忘れられず、地元に戻り映画館の支配人に。しかし、ひとり奮闘するも客足はなかなか伸びず…。
出演者
【語り】松坂桃李

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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