NEXT 未来のために「虐待の過去を越えて〜児童養護施設 生い立ちと向き合う」 2015.11.12


ここは熊本県の児童養護施設。
ほら映っとけ映っとけ。
痛いじゃないか!ピースしといてほらピースって。
さまざまな理由で家族と暮らせない子どもたち。
一人の少女に出会った。
施設に預けられたのは9歳の時。
母親の再婚家庭で虐待を受けた。
この春司さんは大きな決断を迫られていた。
児童養護施設にいられるのは原則18歳まで。
施設を出たあとの進路をどうするのか。
胸に秘めた夢があった。
しかし虐待が残した心の傷が邪魔をする。
自ら未来を切り開くためにつらい過去と向き合い続ける高校生の姿を見つめた。
熊本県水俣市にある児童養護施設光明童園。
子どもたちのありのままの姿を知ってほしいと今回長期間の取材を受け入れてくれた。
ここで生活するのは2歳から18歳までの69人。
虐待や親の病気など皆家族と暮らせない事情を抱えている。
このオープニング超かっこいい。
何?司さんはとにかくおしゃべり。
何かね右だけで補ってる感じ。
左ボヨボヨでさ…。
850円が2回入ってんの。
ごめんお金無理。
沈黙が続くと不安になるという。
生まれてすぐに両親が離婚。
物心ついた時には母親の再婚家庭にいた。
義理の父親からの虐待。
黙って耐える日々が半年間も続いた。
ごはんをもらえなくてどうしてもしかたなく食べちゃうとかねあって…。
でもだから何て言うのかな。
施設に来て1年がたった頃の写真。
司さんにはこれより前の写真がない。
幼い頃の楽しい思い出も覚えていない。
司さんがとても大切にしているのは一人きりで絵を描く時間。
すごくない?これ。
私がずっと前のとっといたの。
ハハハッ!ハハハッ!やばくない?これ。
施設に来てから絵は心の支えだ。
「あれ書こうもうちょっとこれ足そう」とか言ってる間に時間過ぎてって「はあ〜寝よう」みたいな。
中学1年の時一枚の絵を描いた。
母親に抱かれた幼い自分。
記憶にはない母親との温かな触れ合いを想像して描いた。
今年3月。
司さんが施設を出るまで残り1年となった。
この日学校で進路面談があった。
え〜っと今のところは…まあね入学時からずっと就職したいとは言いよったけんじゃそっちの方向だね。
はい。
就職を口にしていた司さん。
でも実は面談では言えなかった夢があった。
イラストを学ぶ専門学校への進学。
しかし高額な授業料がかかる。
学費を母親に頼る事はできない。
司さんは進学の夢を胸の中にしまい込んでいた。
司さんは時折施設内のある部屋に足を運ぶ。
開いてないんだろうな…開いてた。
ここでは子どもたちの心のケアの一環として職員と共に人生を振り返ったり社会に出る不安や悩みを話し合ったりする。
この日のテーマは「自分を知る」。
職員と共に自分を客観的に見つめ今抱えている心の問題をあぶり出していく。
「大事なことは誰に一番聞いてほしいですか?」という問いに司さんは「自分」と書いた。
はい終わり。
職員から言われて書き加えたのは「親」。
そして「先生」。
でもあんまり入ってきてほしくない。
でも何か…。
立ち寄ってほしい。
母親とはたまに電話したりするが本当の気持ちはいつも一人で抱え込んできた。
幼い頃の虐待が残した心の傷。
司さんは一人バスに乗りある場所へと向かっていた。
大学や専門学校が集まる進学説明会。
憧れていたイラストの専門学校があった。
どんな絵描いてるの?結構何か…諦めていたはずの進学。
しかし進路について調べる中で奨学金の存在を知った。
抑え込んでいた夢がまた膨らんできた。
絵大好きやね。
本当です。
大好きです。
「飽きないの?」って言われる。
もう大好きですね。
この日司さんは素直な思いを語った。
でもまだ進学の夢を誰にも相談できずにいた。
司さんは児童養護施設の職員と一緒に学校にやって来た。
失礼します。
はいどうぞ。
進路を話し合う三者面談。
司さんが奨学金を受けるには保証人が必要だという。
母親に進学を許可してもらわなければならない。
実際一緒に見てみますか?パンフレットを。
職員は司さんに一緒にお母さんと話し合おうと告げた。
(取材者)おはようございます。
いつになく元気がない。
昨晩職員に何も告げぬまま母親に連絡し進学したいと伝えたという。
母親には猛反対された。
母親には現実を見ろと言われた。
つかみかけたと思った夢は一気に遠のいていった。
司さ〜んいいでしょうか?司さん。
母親に反対された日から1週間。
ずっとふさぎ込んでいた司さんに職員が声をかけた。
地域の部屋に…。
一枚の紙を取り出した。
説明しますね。
職員は司さんに自分と関わる人の名前を書き出してみようと持ち掛けた。
周りには応援してくれる人がいると気付かせる心の治療法。
説明しながら書いていけたらと思います。
とりあえず真ん中に自分の名前もしくは似顔絵でもいいので書いて。
司さんが初めに書いたのは光明童園。
自分の面倒を見てくれている職員の名前も書いた。
そうなればね多分今まで担当してくれた先生とかいろいろいると思うけど…。
みき先生最初やったね。
あ〜のり子先生も。
あっともちゃんもおる。
ともTともT…。
すごい園でいっぱい出てくるね。
紙は大勢の人の名前で埋まった。
6月末。
職員が母親に電話してくれて司さんと母親が直接話し合える事になった。
将来的に絵に就きたいってすごい思ってるからだったらやっぱそこの近くでの…。
母親をどう説得するのか。
好きな事を伸ばしていかないとと思って…。
自分で閉じ込めたくなくってさ…。
誰かと衝突しても自分の意志を貫く。
司さんにとって初めての経験だ。
そうそういろんな人に助けられてきてるし。
今の司ちゃんの気持ちをちゃんと私たちは聞いてるから…。
抑えてきた思いがあふれ出る。
虐待を受けたあの日から8年。
司さんが初めて口にした自らの意志で人生を歩む決意。
この日司さんは母親のもとに向かった。
母親の前で司さんはイラストを学びたいと泣きながら話した。
話し合いは3時間以上続いた。
結局まずは就職そしてお金をためてから専門学校を目指す事になった。
時間はかかるが夢を諦めない道を選んだ。
司さんの心の中に変化が生まれていた。
お帰り〜。
うれしい知らせが届いた。
(拍手)介護の仕事の採用内定通知。
よかったね〜おめでとう!司さん司さんおめでとう。
ありがとう。
チラッと話聞いた。
病院で働きながら夜間学校などでイラストを学ぶつもりだ。
私やらないといけない事たくさんある。
司さんは今回自分と同じ虐待の傷に苦しむ子どもたちに希望を持ってほしいと長い取材に応じてくれた。
彼女はどんな希望に向かってここを旅立っていくのだろう。
2015/11/12(木) 00:24〜00:53
NHK総合1・神戸
NEXT 未来のために「虐待の過去を越えて〜児童養護施設 生い立ちと向き合う」[字]

児童養護施設で育った17歳の司さんは、進路の決断を迫られていた。胸に秘めてきた夢。しかし、誰かに相談したくても、人を頼れないという虐待による心の傷が邪魔をする。

詳細情報
番組内容
9歳のとき母親の再婚家庭で虐待を受けた司さん。社会に旅立つまで一年となった今年、司さんは、大好きなイラストを学ぶために進学できないかと考え始める。しかし、高額な授業料と、「人を信頼できず、一人で抱え込んでしまう」という心の傷が立ちはだかる。そんな司さんに、施設の職員は寄り添い続ける。司さんは、閉ざした心を開くことができるのか?そして、進路を巡って行われた母親との話し合い、その結末は?

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
福祉 – 社会福祉

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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