ういうような運動をするとかですねということを。
ひざから、もう一度やってください。
そうですね、こういうような、つま先を上に上げるといったようなところが重要なんだと思います。
ありがとうございました。
岡浩一朗さんと共にお伝えしました。
これで失礼いたします。
少女には夢がある。
身長１４７センチ。
小さな体に秘めた大きな力。
夢はオリンピックの金メダル。
武器は世界で数人しかできない大技…おととし世界選手権のゆかで日本女子初のメダルまであと一歩と迫りました。
女子の体操は４種目。
高いバランス力が求められる平均台。
アクロバティックな体操の華ゆか。
スピードと瞬発力が勝負の跳馬。
空中での離れ業段違い平行棒。
ロンドンオリンピックの団体で８位に入賞した日本はメダル獲得に向けて今４種目全てに秀でた選手を求めています。
世界で勝てるオールラウンダーへ。
夢の舞台は１年後に迫っています。
しかし壁が立ちはだかります。
求められるのは美しい演技。
更に追い打ちをかける故障。
得意な技だけに頼っていては勝てないという現実。
選手としてピークを迎えるオリンピックまでに乗り越えてみせる。
日本のトップクラスの選手が競う大会。
生まれ変わろうと格闘する日々を見つめました。
村上選手は来年のリオデジャネイロオリンピックの出場を目指して日本体育大学に入学しました。
今年の新入生は１，７３３人。
元大関琴欧洲の鳴戸親方男子体操の白井健三選手の姿もありました。
在校生代表は２年生スキージャンプの梨沙羅選手。
「歓迎の言葉。
新入生の皆さんご入学おめでとうございます」。
日本のトップアスリートが集う学びやです。
村上選手新天地での闘いが始まりました。
（村上）いや〜もう緊張ですよ。
試合より緊張してます今…。
試合の時の方がもうちょっとリラックスしてできるんですけど…。
日体大…部員は少数精鋭の３４人。
先輩や卒業生には１９人のオリンピック選手がいます。
チームを率いるのは元バルセロナオリンピック日本代表の…そして…美しい体操で知られる田中理恵さんも２人の下で成長しました。
この日村上選手は最大の武器シリバスを初めて披露。
（声援）緊張のあまり失敗。
演技を見ていたコーチの指摘は意外なものでした。
失敗したシリバスではなく途中の演技についてでした。
村上選手のジャンプです。
開脚した時両足が一直線に開ききっていません。
採点競技である体操ではこれは減点の対象となります。
こちらはジャンプが得意な選手。
両足がまっすぐきれいに開いています。
全ての技を減点されないよう丁寧に美しく見せる事が大事だというのです。
個人総合って考えると。
きれいにしなきゃいけないっていうのはもちろん分かってたんですけどでもどうしてもやっぱりシリバスとか伸身ダブルとかできるからやっぱそっちがあるから大丈夫でしょって思ってる部分は正直ありました。
そんなすぐに変えられないっていうか。
全ての技で減点をなくせ。
村上選手は入学早々意識改革を迫られました。
体操の得点は２つの要素から採点されます。
まず難易度。
技は難しさに応じて得点が決まっています。
それを加算していきます。
そして完成度。
こちらは減点方式で持ち点は１０点。
技の出来栄えが悪いとその程度に応じて減点されていきます。
これらを総合して一つの演技の得点が決まります。
減点を少なくする事は高度な技を身につけて得点を上げるのと同じくらい重要だと教えられたのです。
村上選手はこれまで難易度の高い技の習得にばかり力を入れてきました。
しかしこれにはリスクもあります。
世界最高峰Ｈ難度のシリバス。
（実況）ここ…あっと…Ｈ難度を実施しましたが手をついてしまったのがありました。
難易度は０．８点。
しかし着地で手をついてしまうと１点減点。
結局０．２点のマイナスになってしまいます。
この大会優勝したのは日体大の先輩笹田夏実選手。
ゆかでは村上選手より難易度の高い技は持っていませんが完成度で勝負しました。
指先足先まで一つ一つ神経をとがらせて演技していきます。
（実況）ここまでほぼノーミス。
（拍手と歓声）減点の少ない演技で村上選手を上回りました。
大技がなくても持っている技の完成度を高めれば勝てる事を証明しました。
では平均台入ります。
（一同）お願い致します。
平均台頑張りましょう。
ラスト頑張りましょう。
入学から２週間。
村上選手には苦手な平均台の完成度を上げるという課題が与えられていました。
トントン。
そう。
姿勢をよくすれば美しく見え審判員の印象がよくなります。
最も時間を割いたのが連続技です。
最後に宙返りがあるためバランスを崩して減点されやすい技です。
平均台の長さは５メートル幅は１０センチしかありません。
村上選手の足より僅かに広い程度です。
バク転を少しでもおろそかにすると進行方向がずれスワンに持ち込めなくなります。
しかもバク転の回転が大きくなると…。
３回回りきる事ができません。
求められるのはミリ単位の正確さ。
動きの感覚が身につくまで何度も繰り返しました。
幼い頃から天才少女と呼ばれてきた村上選手。
その才能は元バルセロナオリンピック銀メダリスト池谷幸雄さんの体操倶楽部で磨かれました。
ゆかのスペシャリストに４歳から鍛えられてきたのです。
大技シリバスを会得したのは小学６年生の時でした。
完璧な着地。
２回宙返りをしながら２回ひねる。
強じんな筋力とバネがなければできない技です。
更に高校２年生でチュソビチナという技も成功。
１回の演技で２つのＨ難度の技を成功させたのは世界で初めての事でした。
「オリンピック期待の新星」「天才少女」。
世間の注目を集めました。
村上選手は難易度の高い技を徹底的に練習しました。
一方でほかの種目はゆかほど力を入れなかったと言います。
苦手種目の減点はゆかでカバーしていました。
しかしシリバスの着地に失敗した去年のＮＨＫ杯。
ゆかで苦手種目をカバーしきれませんでした。
世界選手権の代表入りを逃し涙を流しました。
このままではオリンピックに行けない。
村上選手は一つの決断をしました。
茉愛さん手紙です。
あっありがとうございます。
あとこれみんなからです。
あっありがとうございます。
これは私からです。
あっありがとうございます。
村上選手は日体大への進学を決意。
自分を一から鍛え直すため１４年間通い慣れた倶楽部を卒業しました。
さよなら！さよなら。
（一同）さよなら。
いくらでもこう甘えがきくというか…なんですけどやっぱり違うところでそういう厳しい中でどんどんやっていかなきゃいけないっていうのがあるのでそれを経験してみたいなっていう。
４月下旬。
大学に入って初めての大会が開かれました。
しかし思わぬ事態に見舞われました。
試合前の練習。
跳馬のあと村上選手は盛んに腰をさすっていました。
持病の腰痛でした。
大技のシリバスを持つ村上選手は何年にもわたって着地の衝撃を受け腰の神経を痛めたのです。
更に追い打ちをかけたのは体重の増加でした。
１０代後半になると女性は皮下脂肪が増えるため腰により多くの負担がかかるのです。
最悪のコンディションで苦手の平均台に臨みました。
最初の連続技。
大きくバランスを崩して減点。
得点は１２．６５０。
この種目２４人中１８位。
上位進出の可能性はほぼなくなりました。
次は得意のゆか。
しかしなかなか痛みが引きません。
気力を奮い立たせます。
演技冒頭頼みのシリバス。
失敗。
腰の痛みで速く回転する事ができません。
体が回りきらないうちに落ち手をついて１点減点。
その後は集中力が切れ減点が増えていきます。
最後の２回宙返り。
１回転だけで終えました。
最後までやり抜こうという意志は感じられませんでした。
惨敗でした。
試合後瀬尾監督が部員を集めました。
反省がいっぱいね残る試合だったと思うけどまだＮ杯があるからね。
全員残ってるんだから。
その時でした。
体操選手としての覚悟が足りないと注意を受けました。
けがを言い訳にして勝負を捨てるな。
最後までベストを尽くせ。
それから１週間。
村上選手は練習場に姿を現しませんでした。
村上選手は都内の実家に帰っていました。
美容室を経営する母親の英子さんです。
その日フラリと現れた村上選手は髪を染めてほしいと頼んできたといいます。
何かあの…「急に時間ができたから」って言って急に来たんですけど…。
何かあったのかなって。
やっぱ落ち込んでちょっと帰ってきたいのかなっていうふうな様子は思ったんですけどね。
（英子）頑張ってはいると思うので…
（英子）返ってきたんで「ああそうなんだ」と思って。
何かここでちょっとこう…「じゃあ早くやろう」って言ってやりました。
やってあげました。
そしたら「やった！」なんて喜んで。
村上選手が練習場に姿を現したのは次の大会が２週間後に迫っていた日の事。
変化が起きていました。
昼休み。
先輩たちがごはんを食べていても村上選手は何も食べません。
減量です。
技の完成度を上げて美しい体操につなげようと考えました。
このあと一人大学校内のジムへ。
目標は４キロの減量。
走り込みを４０分間続けました。
冬物の上着を着込んで発汗を促します。
何だろうな…。
「しっかりやんなさいよ」って全日本のあと怒られてもう一回考え直して…。
切り替えなきゃっていうのがパッと頭に浮かんだんでそれで結構切り替えた部分はあります。
１０月の世界選手権の代表選考を兼ねたＮＨＫ杯が間近に迫っていました。
村上選手は苦手な平均台であの連続技を繰り返していました。
腰の痛みに負けた試合から３週間。
日によって程度は違うものの痛みは常に感じています。
それでも顔に出す事はありません。
完成度を上げる事だけを考えていました。
もうちょっと動きを大きくね。
はい。
もう一回やります。
減点のない美しい演技を極めたい。
今度はもう投げ出さない。
ＮＨＫ杯当日。
おはようございます。
（取材者）おはようございます。
おはようございます。
（取材者）今日ですね。
はい。
世界選手権の代表に選ばれるのは上位５人。
予選なしの一発勝負です。
会場には母英子さんの姿もありました。
まずは…減点のない演技を目指します。
倒立は垂直に静止。
得点は去年を大きく上回る１３．２００。
この種目１０位。
まずまずの滑り出しです。
続いて課題の平均台です。
村上選手は焦らず落ち着いて演技する事だけを考えていました。
まずはあの連続技。
進行方向がずれないように。
見事に決めました。
演技の間も体の軸が動かないように。
２つ目の連続技。
動から静へ。
たおやかな動きで観客を引き付けます。
一直線に開脚。
腰の痛みは顔に出しません。
そして最後の着地。
惜しくも手をつき１点減点。
ここまでの順位は１５位。
世界選手権代表は厳しくなりました。
この時村上選手の腰は強い痛みに襲われていました。
次は得意のゆか。
しかしミスをして大きく減点される可能性は低くありません。
ゆかの演技に向かう直前でした。
村上選手は監督にある決断を申し出ました。
武器のシリバスをあえて捨て難易度が２つ低い伸身ダブルに変更したのです。
今必要なのは技の難易度よりも完成度。
まだ諦めません。
完璧な着地。
狙いどおり美しく決めました。
指先から足先まで神経を行き渡らせます。
「もっと丁寧に」と言われたジャンプ。
（拍手）
（実況）すばらしいですね。
女性らしさが出てきましたよね。
この種目７位。
総合順位を２つ上げ１３位と追い上げました。
最後は跳馬。
腰の痛みをこらえ全てを懸けます。
足先まで伸ばした体が美しく舞いました。
最終結果は…。
８位。
世界選手権代表には届きませんでした。
それでも最後まで諦めませんでした。
まあ頑張ったって事ですよね。
ちょっとすみません。
大人になったしあとやっぱり…。
あっお疲れ。
お疲れ。
いいよ〜。
言われた？思った？
（英子）思ったよ。
きれいな体操を目指すっていうのを口にしてきたんですけど今年一年使ってまたいろんな技入れてもっと強くなっていきたいなと思います。
頑張ります。
（英子）頑張んなきゃ。
頑張って。
村上選手はリオに向けて再スタートを切りました。
来年の代表選考会までに美しい演技に磨きをかける。
どんなに困難でも諦めるつもりはありません。
今意識してる美しい体操っていうのをあと１年間ちゃんと学んで来年につなげて確実に代表に入らなきゃいけない来年は年なので自分がやりきったと言えるような試合ができたらいいなと思ってます。
村上茉愛選手１８歳。
オリンピック開幕の日二十歳を迎えます。
その時こそより完璧により美しく。
2015/11/12(木) 01:42〜02:26
ＮＨＫ総合１・神戸
アスリートの魂・選「美しく舞え 体操 村上茉愛」[字]
世界で初めて最高レベルＨ難度の技を２つ成功させた体操の村上茉愛選手。床で五輪メダル候補と言われたが、あえて厳しい個人総合に挑んでいる。女王を目指す１８歳に密着。
詳細情報
番組内容
床のスペシャリスト、村上茉愛選手が自ら生まれ変わる決意をしたきっかけは、内村航平選手だった。全ての演技を美しく完璧にこなす姿に「個人総合こそ真の王者だ」との思いを強くした。しかしその道のりは容易ではない。体操は年々、芸術点が重視される傾向にある。海外選手に比べ小柄な村上選手は、持ち味の技術を美しく見せることで得点を伸ばそうと、苦手の平均台で連続技に挑んでいる。どんなに困難でも夢を追う姿を見つめる。
出演者
【語り】萩原聖人
ジャンル :
ドキュメンタリー／教養 – スポーツ
スポーツ – その他
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音声 : 2/0モード（ステレオ）
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