(梶山勉)
私は時計職人をしてかれこれ40年になります。
昔から機械をいじるのが得意でこうして細かい部品を組み上げて時計を完成させるのがたまらなく好きなんです。
ところが数日前から何か体の具合がおかしく思うように修理ができなくて…
ハァ…。
動いたの?ああ。
ああよかったじゃない!
幼なじみの大切な時計だったもので体はつらかったんですが届けに行きました
そしたら…
うわっ!ああっ!
フラフラして倒れてしまったんです
どうした?どうしたのベンさん大丈夫?
もう自分では立ち上がれませんでした。
先生こんな事初めてです。
助けて下さい
やばいですよ倒れちゃって。
ねえ体の歯車が狂ったみたいな。
最初こうやって見てたから僕は肩凝りかなと思ったんですけど。
ずっと長い間座って同じ姿勢ですもんね。
それも気になるなと思って。
職業病的なね。
ずっと片目集中して仕事をしてるというのはその辺の頭痛から始まって…。
脳のバランスみたいなね。
あれって時々変えたりしないんですか?あれはこっちと決めたらこっち多いんじゃないですかね。
その辺に何かありそうな気がします。
患者の声に耳を傾け体に問いかける。
総合診療医の武器は問診と診察だ。
症状は?仕事は?生い立ちは?病気を探るヒントはどこに潜んでいるのか。
意外な手がかりを一つ一つつなぎ合わせ病気を探り当てる。
私たちはその人を「ドクターG」と呼ぶ。
京都市にある…焦らずぼちぼちやりましょうね。
優しく患者に声をかける医師。
今回のドクターG…だんだん良くなってます?医師になって21年。
これまでこつこつと総合診療に取り組んできた。
常に患者の表情を読み取り診察は丁寧に行う。
神谷先生は地域の医療を支える一人の医師でありたいと考えている。
やっぱり当たり前の事を当たり前にやっていく医者でありたいと思ってるので目立つ事はあまり好まないですしね…。
地味でいいんです私は。
さあそれではいよいよドクターGの登場です。
(玉ちゃん)今回のドクターGは洛和会音羽病院神谷亨先生です。
(拍手)どうぞどうぞ。
先生初登場です。
(一同)よろしくお願いします。
目立たなくてもいいという事ですがテレビに出ましたから。
出ちゃいましたね。
(渡辺)でも大体すごい事成し遂げた人はみんな「当たり前の事を当たり前にやってきた」と言うんですよね。
ご自身はそういう意識なんでしょうね。
今日は目立ちたくないと言うので先生だけ顔をぼかしですね…。
(渡辺)余計気になるから。
(東)気になる!さあ病気の正体を探り当てるために全国から集まって頂いた研修医はこちらの3人です。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
横川さん院長みたいですね。
ほんとだね。
貫禄ありますね。
さあ小俣先生この番組はご覧になった事は?はい。
いつも同期のメンバーと一緒に…。
どうですか?今のVTR見て。
細かい事が得意だった事が最近できてなかったのも含めてどこら辺にその異常が隠れているのかというのを…。
津田先生ですね将来的にはどういった…?将来的には精神科に進みたいなと考えています。
(玉ちゃん)精神科の先生珍しい。
今のVTR見てどうですか?細かい動きができなくなってきた足ももつれてきたという事で足メインかなとは思うんですがやっぱり手もやられているのかなという印象ですね。
足にも注目。
さあ横川先生医者になったきっかけというのは…?私はもともと獣医学部に行きたかったんですが獣医学部結構難しくてですね入るのが…。
話を整理すると獣医学部が難しかったので医学部に来たという事?本来は動物を診たいんですね?そうですね。
「そうですね」言いましたか。
(笑い)どうですか?今のVTR見て。
いや正直ちょっと全く分からないですね。
なのでもう少し背景を知りたいなと思っております。
さあそれでは病名を探るための再現ドラマを見て頂きましょう。
ドクターGの症例に研修医が挑みます。
テレビの前の皆さんも一緒に考えて下さい。
ドクタージェネラル!こちらへどうぞ。
失礼します。
ああ…。
うう…。
今日はどうされましたか?はいちょっとフラフラしてしまいまして…。
あっちこっち痛くて立ち上がれなくなってしまいました。
さっきうちに腕時計を届けてくれたんですけどその時に突然倒れてしまいまして…。
頭は痛いんですがぶつけたりはしていません。
つらいようですので診察台に横になって下さい。
ご職業は時計職人とお聞きしましたが…。
(梶山)
ええ私は小さな時計店を地元で40年営んでいるんです。
時計すら使い捨てになった今うちのように職人の技術を売りにする店はめっぽう少なくなりました
それが…3日前くらい前から仕事がうまくできなくなったんです。
3日前から…
実は…幼なじみの石田の貴ちゃんの大切な時計を修理してたんですが作業しようとするとなぜか途端に集中力が切れてしまうんです
フゥ…このままじゃあしたまでに終わんねえぞ。
少し休んだら?疲れたんじゃない?ハァ…バカ!間に合わないって言ってるのに休むやつがあるか。
はいどうぞ。
それに…2日前から両肩と両腕が痛くなってしまって…
(梶山)職業柄肩が凝る事はあるんですけど今回はちょっと違うような気がして…。
石田さんにお願いして日にち延ばしてもらったら?駄目だよ。
あいつとあしたまでに直すって約束したんだから。
あっイテテテテ…。
だから痛いっていうの。
ああ…。
もういいよ。
ええ。
5日前にちょっと慣れない事をやってしまいまして…。
実は私自治会の役員をやってまして…
全くこんな自転車もな。
その日は河原の清掃だったんです
ハァハァハァ…。
よいしょ。
こんな重い物を持つのはいつ以来だよ。
よいしょ。
ハァハァ…。
(石田)おいベンちゃん。
何?貴ちゃん。
ああ…悪いやつがいるもんだね。
俺ちょっと行ってくるわ。
ああ。
その間さこれちょっとの間持っててほしいんだよ。
おお!?いい時計だね。
これうちの店で買ってくれたやつだろ?そう。
ちょっと持っててよ。
おお分かった。
悪いね。
じゃあ俺行ってくるわ。
うん。
貴ちゃんが長年大事に使ってくれているのを知ってうれしかったんですが…
あ〜あ…。
うっ…。
うっ!うっ!ああ!ああ…!
(石田)ベンちゃん!つめてぇ!大丈夫か?ああ大丈夫大丈夫。
ああっ!何?ああ…頼むよベンちゃん。
悪い悪い!必ず直すから。
このとおり!なっ?ベンちゃん…!そうだな…。
4日で直す。
4日で直すから!
その日は本当にいろいろあってくたびれてしまったんです
そうですか…。
という事は川の清掃をした時からずっと肩や腕が痛かったという事ですか?いいえ。
肩や腕の痛みは翌日には楽になったんです。
はい。
でもなぜか2日前からまた両肩や両腕が痛くなってしまったんです。
両肩と両腕の痛みは…
昨日も痛かったです。
それに加えて足も腰も痛くなりました。
あちこち痛いし体全体にだるい感じがありました
そうでしたか…。
体が重くてだるくて…。
朝から何だか気持ち悪くて…。
おかずには手をつけられず御飯一口とおみそ汁を少しだけ…
うっ…!
でも何としても貴ちゃんの時計は直さなければと思っていつもどおり作業を始めたんです
動いたの?ああ。
ああ…よかったじゃない!私が届けに行こうか?俺の責任で遅れたんだから俺が持っていくから。
よっぽど家内に届けてもらおうかと思ったんですが大切な時計だし修理が遅れてしまったおわびも兼ねて自分で届ける事にしたんです。
やっとの思いで貴ちゃんの家までは行ったんですけど…体の痛みは相変わらずで…
あら〜おとうさんベンさんがいらしたわよ。
おおベンちゃんどうした?ああ…。
すまなかった。
(石田)直ったか?ああよかったよかった。
さあさあ上がってお茶でも飲んでってよ。
飲んでけよ。
もうその時はだるくてだるくて限界でした
(石田)ベンちゃんどうした?
フラフラして倒れてしまったんです
よしよしよし…。
あ…ああっ…!ベンさん!
先生私の体一体どうしちゃったんでしょうか?
(玉ちゃん)さあ患者さん梶山勉さん大変な事になってますね。
65歳です。
基礎データいきましょう。
(玉ちゃん)先生どうでしょう?少し微熱があるんじゃないかなと考えますね。
で脈拍についてはやや速いかもしれないと思ってみています。
それでは研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
(玉ちゃん)ゲストの方々に聞きますがどうでしょうね?
(東)相当無理されましたね。
無理してますよね。
お友達の時計を壊してしまったという精神的に追い詰められてるとか関係ないのかな?いやいやありますよ。
ストレスになりますよね。
それかあの河原にツツガムシがいたか…。
これ見逃しがちなんですが奥さんが肩もみをしようとしてほんとに疲れてたらあれずっとやってほしいはずなのに「いやもういいよ」と言ったんですよ。
神経系統の障害がある時には触られたりするのが嫌な時があると思うんですよね。
先生どうですか?徹さんの推理は。
「これは神経系の病気じゃないか?」とか最初から考えを進めていくのはとても大事な事なので皆さんすごいいいスタートを切っておられると思います。
さあ研修医の皆さん病名を書き終えたようです。
フリップオープン!
(玉ちゃん)はい。
さあそれでは小俣先生から発表お願いします。
(玉ちゃん)津田先生。
(玉ちゃん)横川先生。
(玉ちゃん)おっ「破傷風」!ちょっとツツガムシっぽいでしょう。
ここからはドクターGと研修医との真剣勝負です。
カンファレンススタート!はい。
お二人の先生が同じ病気を挙げて頂いたわけですが「リウマチ性多発筋痛症」というのはどういう病気なのか簡単に説明してもらえますか?中年から高齢者にかけて両腕や両足腰とかの痛みであったりだとかいう事を主な訴えとして来られる患者さんが多い疾患だと…。
60歳以上に多く発症する原因不明の病気です。
3日前から作業をしようとすると途端に集中力が切れて…。
2日前の時点で両腕両肩実際にその痛みがだんだんと出てきて…。
年齢も含めて考えやすいのかなと。
津田先生。
肩腕それから腰とか足が痛いと言ってたやはり真ん中らへんの痛み。
お箸は最後まで使えてたのでしびれたりだとか力の入りにくさとかは特にそこまで出ていないのかなと考えてこの疾患を挙げさせて頂きました。
すごいですね。
お箸の使いにくさには問題はないんじゃないかというところまで見ていたんですね。
では横川先生ですね。
「破傷風」という病気を書いてくれましたけど。
土などにいる破傷風を起こす菌が傷口から入って全身の筋肉を侵す病気だと思っております。
場合によっては窒息死する事があります。
じゃあ横川先生あの河原って事ですね。
はい。
今まさしく目にした転んだ時が原因じゃないかってお考えになって破傷風…。
ちょうど軍手を外していたのでそれで傷がついたのではないかと思いました。
(東)見てなかった〜。
外したよ確かに。
横川先生が注目したのはこのシーン。
時計を受け取る際軍手を外している。
川で転んで手をついた。
その時に軍手をしてなくて手の傷がついたんではないか。
足首も出てましたので傷がついてそこから感染したのではないかなと思いました。
そうだ。
足まくったもんねズボンね。
それでは自分が挙げた病気ではここ合わないんじゃないのかなこれでは矛盾が起こっちゃうんじゃないのかなというのがもしあったら言って下さい。
日本ではワクチンが接種がされていますので基本的には免疫が…皆さんお持ちの病気だと思います。
それは頭痛も伴うんですか?患者さん「頭痛い」というふうにおっしゃってたでしょう?確かに難しいと思うんですが首まわりの筋肉の痛みが頭の痛みになってる可能性もあるかと思います。
リウマチ性多発筋痛症も頭痛あるんですか?リウマチ性多発筋痛症の頭痛に関しましては「側頭動脈炎」という他の病気があるんですがかなりのパーセンテージで側頭動脈炎を併発すると言われていますのでもし合併していた場合には頭痛も説明できるかなと。
合わない点というのは…?1週間前の段階ではある程度しっかりと仕事ができていて…。
倒れてしまうまでの時間の流れですね。
それがリウマチ性多発筋痛症とは少し合わないのかなと。
では別の鑑別診断がもし頭にあったら言ってほしいんですが。
私たちが鑑別疾患いろいろ挙げる時にやるのがよくある疾患から考えるか緊急性の高い疾患から挙げるかなんですけれどもちょっと緊急性の方で考えたのが「大動脈解離」。
体の中心を走る大動脈の内側の膜が裂け全身への血流が阻害される病気です。
理由としては尻餅をついたのが契機になって裂けるのが生じた。
徐々に裂けるのが広がってあちこちに痛みが広がったのではないかというのでひとつ否定はしておきたい疾患かと思いました。
(玉ちゃん)おっどうしたんですか?小俣先生。
あの…ビタミンBの欠乏症。
(玉ちゃん)出た。
5日前に多大なストレスがかかっていて御飯を少しとおみそ汁を少ししか食べれなかったというエピソードがありましたのでそれは果たして最後の日だけだったのかそれともこのストレスを感じてからず〜っと食欲がなくてなかなか栄養をとる事ができなかったのかでまたビタミンB欠乏による筋肉の疲労感であったりだとかという事も考えられるかなと…。
横川先生何か他に鑑別はありますか?体温が高い事もありますので全身の症状が出るのは「感染性心内膜炎」などもやはり挙げたいとは思います。
心臓から送り出された細菌が血管内で詰まり長引く発熱やだるさ関節の痛みなど全身の症状を引き起こします。
勉さんの症状からは命に関わる病気を含めいくつもの病名が挙がった。
それではいろんな病気が頭に浮かんでくるとは思いますが…。
更にドクターGは病名に直接結び付かないが何か「気になる事」はなかったか研修医に問いかけた。
関係ないかもしれませんが1週間前までは左目の方にレンズをつけていたのが右目につけていて。
本当にそうなんだよね。
うんそうだった。
横川先生は1週間前に左目につけていたメガネを3日前から右目につけていた事に気付いた。
(横川)もしかしたら何かの原因で片方の目が見えなくなってしまったので右の目に直したのではないかなというような事も考えられるかなと。
修理をする道具の位置が変わっていた。
それも大事な気付きかもしれませんね。
それでは最初のカンファレンスはここで終わりにしたいと思います。
さあカンファレンス見て頂きましたけどゲストのお二人いかがですか?病院に行った時に細かく言ってるかなと思ったんですよ。
「どうしましたか?」と言われたら今の感じしか言ってないと思って。
「フラフラする」と言ってもいろんなフラフラがあるからそれを明確に伝える事とあと見極める事というので相当違ってきちゃうんだなというのを感じましたね。
さあ診断を絞り込むためにVTRの続きをご覧下さい。
ドクタージェネラル!体のあちこちの痛みは…動かしてもじっとしてても痛いです。
肘や膝など…痛くはありません。
最初に肩や腕が痛んだのは河原での清掃の時でしたね。
(梶山)
そうですね…。
時計を壊したあとも昼まではずっと作業を続けまして…
飯でも食おうぜ。
おつかれさん。
おつかれさん。
いやいや…暑い暑い。
その日の事を詳しく聞かせて下さい。
乾いた。
何ベンさんずぶぬれになっちゃったって?ヘヘヘ…そうなんですよ。
足が…急にこむら返りを起こしちゃってね。
お昼前からです。
疲れてだんだんだるくなってしまったんです
ムカムカして吐き気もあったし食欲がなかったので食べませんでした
そしたら案の定…。
おい顔色悪いんじゃね〜か?大丈夫。
うっうっ痛い。
おい!大丈夫か!ベンちゃん!大丈夫。
立ち上がろうとしたら何だかフラフラしてしまいました
救急車呼ぶか?そんな大げさな。
大丈夫ですから。
家に帰ってから水分をたくさんとって涼しい部屋で体を休めたら2〜3時間でだいぶ良くなりました…
ええ…
夕食どきには吐き気もなくなってましたし食欲も戻りました
このぐらいでいい?うん。
ところで3日前から仕事に集中できなかったとお話がありましたがそれは何か心当たりはありますか?
時計を直す時我々は「キズミ」っていう特殊なメガネを利き目につけて仕事をするんですが…。
ひょっとすると仕事に集中できなかったのはそのせいだったかもしれません
あのさここんとこに何か傷ついてないか?…傷?何も無いけど?
その日はどうもしっくりこなくて…。
左目のまわりに何か刺さる感じがしたんで傷でもあるのかと思ったんですが…
はい。
左目です。
それで3日前からキズミを右目に付け替えて仕事をし始めたんです。
でも…やっぱり40年左目でやってましたから変な所に力が入るんでしょうね…。
翌日は右のおでこの辺りも痛くなりました
右のおでこはズキズキした痛みです。
今は頭全体がズキズキ痛いです
これまで経験した中で…8ぐらいでしょうか。
少し悪化している感じとだんだん広がってる感じがします。
え?確か…最初に痛くなったのは4日前の事で左のおでこでした。
何かひっかかれたような痛みでした。
さあそれでは研修医の皆さん考えられる病名をお書き下さい。
食欲戻ったんだね。
戻ったんですね〜。
分かんなくなりますね。
食欲なくなるまた食べ始める。
(玉ちゃん)良くなったと思っちゃうかな。
そう。
良くなっちゃったと思う。
あと4日前に左のおでこが痛い。
(東)それが広がっていって重くなっている。
あのレンズに傷がないかって聞くぐらいなんですよね。
何か違和感があるんですね。
さあ研修医の皆さん病名を書き終えたようです。
フリップオープン!
(玉ちゃん)さあまずは小俣先生からどうぞ。
(玉ちゃん)はい津田先生。
(玉ちゃん)はい横川先生。
さあそれでは再びドクターGと研修医との真剣勝負です。
最終カンファレンススタート!皆さん病名をそれぞれ挙げて頂きました。
小俣先生は先ほどとは違う病気を挙げられましたけれども。
甲状腺の機能が亢進しますと体全体にアクセルがかかるような感じですね。
「甲状腺機能亢進症」の影響で両腕両足の筋力が突然失われる「周期性四肢麻痺」を発症する事があります。
小俣先生は勉さんに…血栓がとんだ場所が左の額がひっかかれるような三叉神経領域であったりだとかそういうような所に血栓がとんだ場合にはそういうような症状も来すのかなと。
甲状腺の働きが働き過ぎちゃっていると不整脈が起こってしまう事がある。
不整脈が起こると血の塊が出来ちゃう事があります。
その血の塊が脳の方にとんでそして三叉神経の症状が出ちゃってるかもしれないというふうにそこまで推理をしてくれましたね。
横川先生「感染性心内膜炎」という事ですけれども。
熱が出ているようなエピソードがありましたしあとは頭痛が人生の最大の痛みを10とすると8点というかなり強い痛みがある事がありましたのでこれはもしかしたら感染性心内膜炎のような細菌が頭の方にとんでしまって髄膜炎などを起こしてる可能性もあるのではないかなと。
では津田先生「脱水
(熱中症)」と書かれてますが。
「リウマチ性多発筋痛症」あるいは「側頭動脈炎」の合併で説明できないのが5日前に倒れ込んだ。
吐き気と食欲の低下も起こったと。
それがすぐに治った点だと考えました。
津田先生は5日前のこむら返りやふらつき食欲低下吐き気などは熱中症によって起きた症状だと考えた。
帰宅後水分をとって涼しい場所で休むと2〜3時間で回復した事も熱中症を考える根拠の一つとした。
こむら返りなんて聞くとね。
でも熱中症っぽくもありました。
あの時点はね。
そのあと水分たくさんとって冷やしたら少しは楽になったと。
私が研修医たちによく言っているのは素直に考えましょうという事です。
素直に考えてよく分からなければ珍しい病気を考えていく必要ありますが全部熱中症で説明ができます。
回復の良さも熱中症で説明ができるので5日前には熱中症があったと考えていいですよね。
皆さんいいですか?
(一同)はい。
ここでドクターGは2番目のVTRで新たに分かった事を時系列で整理してみる事にした。
4日前に何があったかというのを覚えている人いますか?左のおでこが痛くなっちゃったんだよな。
そのとおりです。
ひっかかれたような痛みでした。
勉さんは4日前にひっかかれたような痛みが左のおでこにあったと話していた。
3日前には?左目のまわりに刺さる感じが。
3日前時計の修理で使うキズミに傷があるのではないかと疑うほど左目のまわりに何か刺さるような違和感を覚えた。
刺さる感じがしたのでこの患者さんは左目につけていたキズミを右目に付け替えたんですね。
そういう行動の変化がありましたね。
それでは2日前には何が起こっていたでしょうか?右の方のおでこもズキズキ痛むようになったと。
キズミを右目に付け替えた翌日に痛くなった右のおでこ。
ズキズキとした痛みは来院当日まで続いた。
来院当日はどこが痛いっておっしゃってました?頭全体が痛い。
頭の痛みについてはもう少し何か言ってませんでしたか?痛みがという事で強いと。
そうですね。
かなり痛いんだという事を押さえなきゃいけませんね。
新たに分かった事はかなり強い頭痛など勉さんの頭部に起きたさまざまな症状だった。
そこでドクターGはこれまで挙がった鑑別についてもう一度考えてみる事にした。
これは可能性が低いんじゃないかもう除外できるんじゃないかというものがあったら言ってほしいと思います。
まずビタミンB欠乏症に関してはその最後の頭痛…。
頭痛が説明できないだろうと。
津田先生どうでしょう?甲状腺機能亢進症に伴う周期性四肢麻痺でも頭痛となると説明しづらいかなと考えます。
頭痛を説明しづらいですし筋肉の脱力というものが前面に出ているわけではありませんでしたので。
横川先生はどうですか?大動脈解離。
筋肉のあちこちが痛いという事であったり頭痛があるという事がかなり説明が難しいですね。
これまでに挙がった病名のほとんどは頭痛の症状があった事でその可能性が低くなった。
最初から珍しい病気を思い浮かべるのではなくて物事は素直に考えていくと。
微熱があるすごい頭が痛い全体が痛いちょっと吐き気があるといった時によくある病気そして見逃してはまずい病気という視点で考えていくとどんな病気を思い浮かべる必要がありますか?横川先生。
見逃してはいけない病気として「髄膜炎」というような病気があるかと思います。
原因はウイルスによるものと細菌によるものがあり共に激しい頭痛や発熱吐き気などが現れます。
実は横川先生は感染性心内膜炎との関連でこの髄膜炎を思い浮かべていた。
髄膜炎などを起こしている可能性もあるのではないかなと。
見逃しちゃいけない病気髄膜炎が当日どうもありそうであると。
どんな診察で髄膜炎があるかどうかというのを確かめますか?首を横に振ってもらって痛みが増強するかっていう「ジョルトアクセンチュエーション」というテストを。
そうですね。
頭痛のあった人が首を振ると頭痛が更に痛くなるんだという時に陽性だととるんですね。
その診察をやっていますので是非見てみましょう。
首を1秒間に2〜3回振るつもりで…ええ。
はい。
首を振ると頭が余計に痛くなります。
どう思いましたか?小俣先生。
積極的に考えていいと思います。
この患者さんには髄膜炎が来院当日にはあっただろうというふうに考えるべきなんですね。
診察の結果によって髄膜炎の可能性が高くなり残っていた病名は全て否定された。
原因が分からなければ治療には進めない。
細菌性の髄膜炎というのは非常に急に起こるものです。
1日2日で命に関わっちゃう事があります。
治療のためには抗生物質の点滴をしないといけないんですね。
ウイルス性の髄膜炎というのは抗生物質は効かないんですね。
ここからは髄膜炎の原因が何によって起こっているのかその謎に迫ってみたいと思います。
勉さんを救うためにはこの5日間の中から髄膜炎の原因を見つけなくてはならない!痛みの性状から考えて4日前と3日前の痛みの性状ってちょっと似ていると思いませんか?「引っかかれる」ような痛み「刺される」ような痛みそれはどんな状態があると予想しますか?小俣先生。
そうですね。
どこの神経が問題になっていると思います?三叉神経かなと思います。
三叉神経は最大の脳神経で三つまたに分かれている事からこう呼ばれています。
小俣先生は痛みの性質から左の…ここの三叉神経が異常を来すような病気っていうと?そうですね。
ヘルペスウイルスが関係しているのではないかという事ですね。
もっと進めますと横川先生どうでしょう?そうですね。
「帯状疱疹ウイルス」って何ですか?横川先生。
帯状疱疹という病気を起こすヘルペス属のウイルスです。
普通体のどちらか片側だけに症状を起こします。
体の奥底に潜んでいた昔水疱瘡を起こしたウイルスがまた暴れだしてそして神経が通っている所に痛いブツブツを起こす事があるんです。
それを帯状疱疹と呼んでいます。
それを引き起こしたのは5日前の無理をした作業であったり時計を直してあげるために無理を重ねた事が関係しているかもしれませんね。
5日前熱中症を起こし勉さんの体は抵抗力が落ちていたと考えられる。
自分のミスで壊した時計の修理に精神的ストレスがあったとすると帯状疱疹が発症する条件はそろっている。
帯状疱疹があるというふうに考えるのであればこの患者さんで何を探したいですか?横川先生。
どうしてそうなるんでしょう?そうです。
神経が過敏になっている。
私たちは勉さんのここの部分に皮疹とか水疱があるというふうにちゃんと診ているんでしょうか?よく診ていなかったです。
よく診てなかったですよね。
という事はもう一度皮疹がないかしっかり確認をする必要があるという事になりますしもう一つはここに知覚過敏がないかを是非調べてみたいですね。
ドクターGは診察の様子を見せる事にした。
皮膚の症状を診たいので…はい。
勉さんの左の鼻には皮膚症状が確認できる。
実はこの勉さんの皮膚症状は3日前から出ていたのだ。
(東)あっほんとだ。
(玉ちゃん)あった。
(東)キズミがああやってなってるんだとか思っちゃった。
(玉ちゃん)なるほど。
これ後出しじゃなかったんですね。
比較をしたいので…これはどう感じますか?指で触られてる感じがします。
では次に…これはどう感じますか?触られるとピリピリと痛い感じがします。
それではいかがですか?知覚過敏及びそのブツブツがあるという事で帯状疱疹の所見というふうに考えていいだろうという事になります。
勉さんがキズミを左目から右目に変えたのは…5日前から何が起こってきたのだろうという事をもう一度みんなで確認をしてみたいと思います。
まず5日前には河原での掃除力仕事をする事と友達の大事な時計を壊してしまったというストレスがかかっていました。
そしてその時には熱中症にもなっていましたね。
肉体的なストレスがかなりかかって抵抗力が落ちたかもしれない。
津田先生そのあとはどうですか?4日前に左のおでこのひっかかれるような痛みが出現しました。
それは何によるものだったと現時点では考えられますか?帯状疱疹によるものと考えます。
そして横川先生。
頭痛の性状が変わった事や場所が広がった事は帯状疱疹という病気から髄膜炎という病気に変わっていったところをみているのだと思います。
ではここで皆さんに声をそろえて言って頂きたいのは原因が何による何が起こったのか?そろいますかね。
いいですか。
せ〜の。
はいそのとおりです。
(拍手)よくそろいましたね今の。
長いセリフでしたよ。
梶山勉さんはその後の脊髄液の検査の結果水痘・帯状疱疹ウイルスの遺伝子が見つかり診断が確定した。
来院のきっかけとなったふらつきや体のあちこちの痛みは共にウイルス性疾患が進行する際にみられる症状だった。
問題は帯状疱疹ウイルスによる髄膜炎というのはほっておくと失明に至ってしまう人も中にはいるという事ですぐ眼科の先生に診せなさいすぐに治療を開始しなさいと言われている状態になるんですね。
勉さんの場合原因が帯状疱疹ウイルスと特定できた事で専用の抗ウイルス薬を投与。
目の合併症には至らずに…髄膜炎といいますのは通常は頭全体が痛いですという事でやって来ます。
この患者さんのように4日前からここが痛かったんだと。
頭が痛い場所がここが痛いで始まる髄膜炎というのはおかしいんですね。
ですからどこかおかしいどこか引っ掛かるというところから更に病歴を詳しく聞いて診察も丁寧に行っていくと今回のように原因まで突き止める事ができる場合があるんですね。
総合診療医というのは広く基本的な病気を丁寧に診ていくという事を仕事にしています。
大事なのはですね専門領域を頑張る先生と総合的な視点を持った先生が協力し合う事なんですね。
丁寧に問診をとる丁寧に診察をするこういう事を日々やっていないと今日のような複雑な症例をひもといていくという事はできないんですね。
ですから日々当たり前の事を当たり前に繰り返すというのはとても大事な事だというふうに私は思っています。
皆さんも是非そういう視点を持って明日からの臨床に取り組んで頂けたらと思います。
(玉ちゃん)はいありがとうございます。
(横川)総合診療医を目指している私としても患者さんの小さな体の変化や小さな訴えに耳を傾けられるようなそういう医者になりたいと思っています。
熱だったりどこかが痛いんですという患者さんだったりそういう患者さんを本当にこつこつと地道にしっかりと診察をしていきたいなと思いました。
先生のおっしゃっている「当たり前」というもののレベルがまだ自分自身すごく低いレベルだと思っているので努力してそのレベルを上げていきたいなと思います。
穏やかな口調と優しいお声で丁寧に聞いて下さる。
ちゃんと患者側も伝えるという事を気を付けなければいけないなと思いました。
(渡辺)我々が病院に行く時っていよいよの時しか行かないじゃないですか。
今日はそこに至るまでの経過とか経緯というのが非常に重要なんだという事で我々もちゃんと覚えておかなきゃいけないなっていう事としゃべれるそういう病院がたくさん増えていってほしいなというのは今日参加して思いましたね。
どうもありがとうございました。
研修医の皆さんどうもありがとうございました。
さあ次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるのでしょうか。
さようなら!2015/11/12(木) 14:05〜14:55
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターG「フラフラして立ち上がれない」[字][再]
65歳の時計職人が、自治会活動で河川の清掃中に転倒! 体調を崩し、その後、謎の痛みに襲われた。ついに5日後、フラフラして立ち上がれなくなったという…その原因は?
詳細情報
番組内容
患者は、小さな時計店を営む65歳の男性、この道40年の時計職人だ。専用ルーペを利き目につけ、細かい部品を組み、修理するのが何より好きだった。自治会の役員でもある彼は、ある日、河川の清掃活動中に転倒し、友人から預かった時計を壊してしまう。後日、謎の痛みに悩まされるようになった。修理の手もはかどらない。やっとのことで仕上げ、持ち主に届けると、ついに倒れてしまった。フラフラして立ち上がれない…原因は?
出演者
【出演】洛和会音羽病院医師…神谷亨,【ゲスト】渡辺徹,東ちづる,【司会】浅草キッド,【語り】小野寺一歩,佐竹海莉
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:4399(0x112F)