【甘口辛口】
■11月12日
「野球以外やってこなかった。どうしていいのかわからない」。野球賭博に関与し、熊崎勝彦コミッショナーから無期失格処分を下された巨人の福田聡志投手がつぶやいたという。同様に処分された他の2投手も同じだろう。はじめは軽い気持ちで手を出したようだが、深みにはまり取り返しのつかないことになってしまった。
賭博行為や賭博常習者との交際を禁じた野球協約180条に違反した。それに対しての厳然たる処分で、最低でも5年間は処分が解除されず、その間は国内外のプロ野球、国内の独立リーグや社会人などで選手として活動することも一切できない。事実上野球生命を絶たれたといえる。
しかし、八百長や暴力団など最悪の背景はないようだ。門外漢としては、ここは“大岡裁き”で若い彼らにもう1回やり直すチャンスを与えてもよかったのでは、とも思う。現に野球協約では失格期間は「1年間、もしくは無期」としている。いきなり無期より1年間とし、ボランティア活動などを義務づけて反省させる段階的な処分もあったはずだ。
学校を出たばかりの若者に、サラリーマンでは手にできないような大金を出すだけ出して、きちんとした金銭感覚を植え付ける教育を怠った球団の管理責任はどうなのか。そちらに重きを置いて考えるなら、巨人に科した1000万円という制裁金は低すぎて選手の処分とのバランスが欠けている。
1969年に発覚した「黒い霧事件」以来、球界には賭博に対し強い嫌悪感があるという。条文にのっとった寸分の隙もない処分は、一種の“賭博アレルギー反応”かもしれない。もう少し幅を持たせても…と、思ったのは小欄だけだろうか。(今村忠)
(紙面から)