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2カ月前倒しで最終調整も 就活“6月解禁”に企業が嘆く理由

2015年11月12日

 経団連は面接開始などの就職活動日程を現在の8月から、来年は6月に前倒しする方向で最終調整に入ったが、これがまた評判は最悪だ。経団連などは従来の4月面接解禁を今年、8月に変更したばかり。ネコの目解禁日に批判が集中しているうえに、「6月は教育実習、公務員試験とバッティングしている。海外留学中の学生は帰国前だし、いい人材が採れない時期なんです」と企業の人事部は嘆いている。  ここで考えなければいけないのは、なぜ、8月解禁を変更せざるを得なくなったのか、という点だ。 「今年の日程変更は2013年4月、安倍政権が学生を『学業に専念させるため』と経団連に見直しを求めて決まりました」(人材コンサルタントの常見陽平氏)  研究や学会などと就活時期が重なり、肝心の学業に専念できないと学校側から不満が噴出していたことが背景にある。しかし、企業側は選考期間が短くなったことで、インターンの名目で青田買いを加速、拡大させた。結局、中小企業は人材確保が難しくなり、エリート以外の未内定者も増えてしまった。 ■混乱が増すことはあってもデメリットは解消しない  それが、8月→6月への前倒しで解消するのか。 「今年の就活も6月には実質的に選考を終える企業が大半でした。前倒ししても、企業はその分、選考を早めるだけでしょう。面接解禁が2カ月前倒しになっても、教育実習や卒業研究などと重なるため、混乱が増すことはあっても、デメリット解消はしません。結果的に、従来の4月解禁がベストですが、政府の方針に沿って変更した手前、急に元に戻せない。数年後には従来通りのスケジュールに戻っているとみています」(大学ジャーナリストの石渡嶺司氏)  毎年、政府の勝手な政策に振り回される学生が気の毒だ。

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