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【阿比留瑠比の極言御免】
語り継ぎたいトルコの友情 自国を貶める歴史教育なんかより有益だ
安倍首相はこの年10月のトルコ訪問時には、「エルトゥールル号」の乗組員の子孫らと懇談し、「日本とトルコの友情の原点」とも語っており、映画の題材となった2つの出来事をかなり重視しているようだ。
道徳の教材に「手記」
昨年から使用されている文部科学省作成の教材「私たちの道徳」(中学生用)には、テヘランで救出された男性の「手記」が載っている。同省によると、実際のエピソードをもとに創作したものだそうだが、なかなかよくできている。
「なぜトルコ政府が救援機を出してくれたのか」
この疑問が20年近く頭から離れなかった男性は「エルトゥールル号」事故を知り、現地を訪れるなどして事実を調べる。そして危機に遭遇したトルコ人たちと、テヘランで空爆の危機に直面した自分たち日本人と重ね合わせる…。
トルコでは「エルトゥールル号」事故は教科書にも載っている。日本でも、トルコによる日本人救出はきちんと授業で教えるべきだろう。いたずらに自国をおとしめる歴史教育よりも、他国との友情と相手への感謝を教えた方が、よほど友好に役に立つはずである。
(論説委員兼政治部編集委員)