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 米国各州で、医療用などで大麻の使用を認める動きが進んでいる。数年後には、米国内で1兆円規模の合法的な大麻市場ができるとの試算もあり、起業家や投資家の注目を集める。ただ、連邦政府は今も違法としたままで、社会への影響を心配する声もある。

 平日の午前10時前。開店を待つ7、8人が列を作っていた。サンフランシスコの対岸、カリフォルニア州オークランドにある全米最大規模の医療用大麻の販売所だ。同州は1996年、全米で初めて大麻の医療目的の使用を認めた。

 元ジャーナリストのバーリーン・ライアンズさん(62)は「もう大麻を使っていることを人に隠すこともなくなった」と話す。不眠症のため睡眠前に服用し、自宅でも苗から栽培している。「睡眠薬より副作用がなく、寝起きもいい」

 入り口で身分証明書と医師の処方箋(せん)を見せ、金属探知機を通り、手荷物検査を受けて販売所に入る。カフェのように明るく開放的だ。陽気なジャズが流れ、大麻の甘いような独特のにおいがほのかに漂う。

 処方箋をもらえる年齢は自治体ごとに違うが、多くが21歳以上だ。「寝付きが悪い」「リラックスしたい」といった程度でも処方箋をもらう人もいる。

 ガラス張りのショーケースには、たばこのように吸う乾燥大麻、専用のパイプで熱して吸う抽出液のほか、大麻入りのチョコレートやクッキーなど約250種類の商品が並ぶ。服用の仕方で効果も違うという。

 奥の棚には家庭栽培用の苗があり、細長いギザギザの葉が青々と茂っている。