(cache) DRIFTERS SUMMER SCHOOL | 「公演直前!ドリフターズ・サマースクールの舞台裏」

この公演は終了いたしました。
約2ヶ月にわたって開催しておりましたドリフターズ・サマースクール2012も、公演をもって終了いたしました。
ご来場してくださったお客様、関わったいただいた方々全てに、心よりお礼を申し上げます。


「公演直前!ドリフターズ・サマースクールの舞台裏」

第2回インタビュー:ドリフタ―ズ・サマースクール2012受講生座談会

~公演直前!ドリフターズ・サマースクールの舞台裏~




公演本番が近づき、作品づくりも追い込みに入った9月18日。
ダンス、建築・空間美術、ファッション、宣伝・制作の各コースから1名ずつ受講生を呼び、座談会をおこないました。
参加者は写真左から順に、金巻勲さん(ダンスコース)、高橋まりさん(建築・空間美術コース)、北麻理子さん(宣伝・制作コース)、関口究さん(ファッションコース)の4名。
これまでの2ヵ月に渡る創作の裏側や公演に対する意気込みについて、お話を聞きました。

聞き手:北麻理子(宣伝・制作コース)


― ドリフターズ・サマースクールは4つのコースで、
  1つの公演を作るというのが特徴の1つですが、実際やっていてどうですか。

ファッションコース・関口究(以下、関口(ファ)):
各コースみんな足りないところをもっていると思う。
制作だったら緻密な印象で、それに比べるとファッションは大雑把だったりして。あと建築だったら弁が立つし・・・

一同:弁が立つ!(笑)

建築・空間美術コース、高橋まり(以下、高橋(建)):
作品はやっぱり論理的な力をもつと強くなる部分が実際あるから、
普段そういうことをやっている人が集まるとどうしても理論とかコンセプトを気にしてしまうんだよね。なんで?なんで?って。

ダンスコース、金巻勲(以下、金巻(ダ)):
ダンスは自分でもまだ自分から出てきた動きの理由がわからない内に、
「それは何に使うんですか?」とか、「その動きはなんなんですか?」とか
他コースのみんなに言われて、うまく説明できず公開処刑!みたいな・・・(笑)

関口(ファ):
面白ければいいじゃんとか、かっこよければいいじゃん、っていう感覚ではないんだよね。

高橋(建):
建築とかの規模になるとかっこいいってだけではものが建たないからね。
ただ他のコースにそういう考え方を若干押し付けていたのかなと思う部分もあって、どこまでそこに踏み込めばいいのか、バランスが難しかった。

金巻(ダ):
でもそういう風にみんなから理由を求められることによって、
なんで踊っているのかっていう理由がないと動きに説得力がでないということが、すごくわかって刺激になった。

宣伝・制作コース、北麻理子(以下、北(宣)):
今もまだコース間でのキャッチボールが飛び交っている感じがするけど・・・

関口(ファ):
それは最後の最後までたぶん飛び交っているんだと思う。でもそれは僕らにとっては結構楽しいこと。
せっかく4つのコースの異質なコラボレーションをしているわけだから、それを楽しみつつ、悩みつつ、どっかで冷静になりながら、夢中になって・・・

一同:うんうん。


“たぶん最後まで実験だと思ってます ”
“軽く時空は超えてるんじゃないかな

 
―では、あと公演まで残り1週間と少しですが、どんな作品に仕上がりそうでしょうか?

一同:うーん・・・(笑)

高橋(建):
これまではほんとに最終形どうなるんだろー!って
ほんとに手探り状態で、「サマースクールは実験である」っていう一文を本当に毎日噛み締めている状態だったんですよ。
でも12日の通し稽古のときかな?通しを見ていて、
絶対「いける」みたいな感覚がありました。
それはダンスコースの人もそのとき感じていたみたいで・・・今はその感覚を信じてますね。

関口(ファ):
実験っていうことに関して言うと、僕自身はまだ実験だと思っているんですよ。というか、たぶん最後まで実験だと思ってます。

高橋(建):それはそうだね。

関口(ファ):
ただそれって言っちゃえば「なんでもできる」っていうことだから、
お客さんには今までにないもの、見たことないもの、それをまずは感じて欲しいですね。

金巻(ダ):
お客さんの立場だったらただ公演を観に行くって感覚だと思うんですけど、公演を作っていて思うのは、
それぞれのコースがあって、それぞれが意見を言い合って、
それが1つの公演を作り上げるということが、こんなにもドラマチックなのか!ということ。それが少しでもお客さんに伝わったらいいなと思います。

関口(ファ):
すごいよね。2ヵ月間でこんなに感情も揺れるし、手も動かすし・・・
クリエーションが流動的すぎて。もうほんとに。

一同:(笑)

高橋(建):
一体今がいつなのかわかんなくなるよね。

北(宣)
それはわかる。軽く時空は超えてるんじゃないかな(笑)
でも間違いなく物凄く濃いクリエーションが行われているのは確かだよね。
だから、そういう密度の濃さが詰まった作品が本番出来上がっているといいよね。


“楽しく創ったはずのシーンを、なんでみんなそんなマイナスに見るんだろう”
“言っちゃえば公演も未来だから、公演という未来を作っていく”

9.01試演会の様子

―今回のクリエーションテーマ「NO FUTURE / YES FUTURE」については、どんなことを考えて創作を進めていますか?

金巻(ダ):
試演会(詳しくこちら)を終えてやっと、
テーマについてきちんと1つにつながった瞬間があって、こういう風に表現したいという確信がもてた。
今回は、自分たちが今生きている身体というものを公演で見せることによって、感覚に訴えかけたい。
こういう世界は見たくないとか、こういう世界に自分たちは生きていたんだなということを再認識してもらって、明日からどう生きていこうということを考えてもらうきっかけになればいいな、と。

北(宣):
ということは、今の社会性みたいなものをダンスコースは否定的に捉えている? 

金巻(ダ):
それも一面だよね。ダンスコースのみんなでいつも言っているのは、
楽しく創ったはずのシーンを、なんでみんなそんなマイナスに見るんだろうってこと。

北(宣):
それは意図せずそういう状況が生まれている、ということだよね。

金巻(ダ):
うん。やっぱり見るときって自分の周りの状況を考えてみるから、
見た人の意識が入り込むと自分たちが楽しいと思って創ったシーンも楽しく見えなくなるのかな、と。

北(宣):
そのマイナスイメージっていうのはみんな共通のものなのかな。

高橋(建):
建築コースではFUTUREというものを考えたときに、
そこに至るまでの選択みたいなものに重きをおいて考えていて、全体として未来に対して悲観的な印象をもっているわけではないと思う。

関口(ファ):
ファッションコースはメンバーの一人が姉の出産に立ち会ったことで、
未来に対してプラスのイメージをもったという話があった。
でもそれはみんなが思うところでもあったりして、
やっぱり社会的にもファッション的にも未来は明るい方がいいじゃないですか。
それは単純に明るくしたいっていうことではなくて、どう未来に進んでいけばいいのかという部分をなるべくプラスに考えていくようにするというか。
ダンスが暗く見えてしまう分、ファッションで面白いものをプラスしていったらいいじゃないかと思っています。
言っちゃえば公演も未来だから、公演という未来を作っていくということが、今回そもそもとして根本にあるテーマじゃないかな。

Text. Mariko Kita
Photo. Maui Kobayashi
Date.2012.09.18