米国でも年来、中国が自国の歴史や米国、日本など諸外国との歴史を激しくゆがめてきたことへの非難が絶えなかった。その非難はここにきてまた一段と輪を広げている。
中国の歴史の歪曲や糊塗に被害を受ける国は日本だけではないのである。
前記のテレビ番組で、私は結論として以下のように述べた。日中韓3国首脳会談の宣言に盛り込まれた「歴史を直視して」という方針に、日本や他の2国はどう対応するべきか、という問いかけに対してだった。
「歴史を直視して、というのはお互いさまです。日本は中国に対しては、天安門事件の歴史を直視せよ、と求めたい。韓国に対しては、ベトナム戦争で韓国軍のために働かされたベトナム女性慰安婦の歴史を直視してもらいたいですね」
中国や韓国が指摘する「歴史」とは、日本が中国領土に軍隊を送りこんで戦闘をした歴史、そして日本が韓国を日本領として併合し、ときには厳しい統治を続けたという歴史、あるいは慰安婦の歴史である。だが、もはや日本だけが高圧的な要請に応じて歴史を真剣に受け止め、中韓両国が自国の歴史に対しまったく知らん顔、あるいは無責任のままであってよいはずがない。
米国で非難される中国の歴史捏造
「中国の歴史はプロパガンダそのものであり、正確な描写に欠けている。中国の歴史の改ざんを許してはならない」
米国政府の元国防総省中国部長で元国務次官補代理のランディ・シュライバー氏が最近、発表した論文の一部である。
私は同論文の骨子を本コラム2015年9月3日付記事(「中国の『抗日戦争勝利』式典に憤る米国の元政府高官」)で紹介した。シュライバー氏は論文で次のようにも述べていた。