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月が導く異世界道中 作者:あずみ 圭

三章 ケリュネオン参戦編

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闘技場、一つの終わり

 アベリア、か。
 ふうん、あいつイルムガンドを殺したのか。
 識が無理をしないように伝えた筈だし、それに生徒には明らかに迷いがあった。
 ある程度攻撃を捌けるだけの力や対応を身につけたからこその微妙なラインだったから生じた迷いなんだろうとは思ったけど。
 アベリア=ホープレイズ。
 ホープレイズ。
 やっぱり、リミアのホープレイズ家と何か確執でもあったのかな?
 同じ家名だから以前それとなく聞いてみたけど答えなかったし、言いたくない事を無理に聞き出す事もない。
 僕は言ってみればただの塾の先生みたいなもの。
 個々の事情に僕から立ち入る気も無かった。
 何かあったのだとしても結果的にはアベリアのおかげであいつらイルムガンドに勝ったんだ、それで良い。
 いや、結果としては僕にも迷惑がかかってきた訳で、無理にでも聞いておくべきだった?
 でもそれで関係が無駄に深くなるのもな。
 臨時講師と生徒の間にあるべきドライな関係が結構心地よくも感じている僕としては……。
 生徒との距離感は難しい。
 慣れつつあった臨時講師の職だけど、時々こんな風に難しさは感じる。
 今回のジン達の戦闘を講師の目でただの戦闘として評価するなら残念ながら及第点はあげられない。
 だらだら戦闘せずに、始めから殺す気で全力でやっていればあまり疲弊する事も無く戦いは終わらせられたのは確実だ。
 澪と識がサポートについているんだから、出来て当たり前。
 それが出来なかったのはイルムガンドを助けようなんて考えを、多分ジン辺りが中心になって持ってしまったからあそこまで苦戦したんだろう。
 リミア王にはイルムガンドへの呼びかけを、なんて学生が戦う理由に加えたけど、正直僕はそこまで期待していない。
 全ての魔術が十分に効果を発揮する相手になら行動不能にさせる方法は幾つもあるけど、火属性しかまともに通らないのなら、今のジン達にはほぼ正面から戦うしかないだろう。
 その条件なら奇跡でも起こさない限りは、殺す以外の勝利方法は無いだろうなと思っていた。
 だから、ある程度様子を見て、駄目そうなら無理はさせずに識にやらせようと思ったんだ。
 少し意外な結末になったなあ。
 当然、さっき考えた及第点がどうとかって話は僕の中だけに留めておく。
 今の戦いは彼らにとってただの戦闘じゃなかったし、実戦で生き残ったならそれは喜ばしい事。
 無理に指摘して水をさす事はない。
 イルムガンドだった灰色の肉塊と生徒たちを交互に見て、僕はそんな事を考えていた。

「若様、騎士の内一人は何とか治療が間に合いました。もう一人は既に事切れており治療が及びませんでした」

[わかった。生徒の所に戻ってやってくれ]

「御意」

 識が僕への報告を終え、リミア王に一礼すると生徒の所に向かう。

[騎士様を一人お救いできませんでした。申し訳ございません。またイルムガンド様もあのような結果になってしまい謝罪のしようもございません]

 一人助かってくれたか。
 救ってくれた識には感謝だな。

「ライドウ、お前が気に病む事は無い。あの傷を思えば一人助かっただけでも嬉しく思う。王子と騎士の命を救ってくれた事、改めて礼を言う。化け物の撃退も見事であった」

 王子。
 ああ……。
 手の感触が不意に蘇る。
 あれは絶対後で面倒な事になる気がするんだ。
 とりあえず、今は触れられない事を有り難く思っておこう。
 今の状況を考えるとこれは後回しに出来る方が助かる。
 大体だよ、王子に胸なんて見当たらなかったんだ。
 それが服を裂かれた時にサラシ的な何かまで千切れ飛んで丁度手が、なんてどんなアクシデントだ。

[勿体無いお言葉です]

「学生らも見事であった。我が近衛が一蹴されるような相手を七人がかりとは言え打ち倒すとはな。全員を我が国で召抱えたいほどよ。無論、同じ類の怪物を一蹴するお前もな」

 視線が僕と脇差を行き来している。
 何と言うか権力者の目だ。
 そして同じ類、か。
 どうなんだろうな、イルムガンドの方が何割か強くて面倒な感じだった。
 やはり彼は特別な扱いだったのかな?
 ロナがこの街の外でどんな活動をしているのか知らないから背景はわからない。

[お言葉ですが、私が相手をした変異体は生徒が戦った彼よりも大分劣る存在だったようです。ですから私などでなく、彼らを評価してあげて下さいませ。彼らには辛い事であったと思いますが、良く戦ってくれました。また各々将来に思う所はありますでしょうが、リミア王からのお褒めのお言葉、間違いなく彼らの励みになるものと確信しております]

「うむ。だが、劣る、か。余にはわからぬ差であったが、確かか。ならばイルムガンドはより念入りに仕込まれた、という可能性もあるかもしれぬな……」

 リミア王は何やら考え込んでいる様子。
 ここはロッツガルドだけど、あの加害者兼被害者のイルムガンドはリミアの貴族の息子。
 そして今学園祭を催しているこの街には世界中から人が集まってきている。
 もし犯人を絞ろうとしているなら、心当たりが多すぎて苦労すると思う。
 魔族は最有力候補だろうけど、ヒューマン間でも色々あるんだろうしね。
 しかしジン達、棚ぼただね。
 四大国のトップと言っても過言じゃないリミア王国から内定通知みたいなお言葉をもらえるとは。
 現在の国力もそうだけど、帝国に比べて気候も地形も伸びしろが期待できるリミアは、僕が仮に四つの大国のどこに住みたいかと聞かれたとしても選ぶだろう国だ。
 貴族がマシな地域を選んで住めば、さぞ暮らしやすいと思う。
 あいつら喜ぶだろうね。
 ロッツガルド学園の奨学生からリミア王国の騎士団か術師団に入るなら超一流路線だし。
 もしかしたらレンブラント姉妹以外は全員行ったりして。

「……」

 ホープレイズ家の当主殿は膝を突いて肉塊を見ている。
 次男とは言っても息子のなれの果てだもんな。
 力を落としているんだろうな。

「ライドウ殿、後で少し話があります。この騒動が落ち着いた後で構いませんから時間を作ってください」

[わかりました、ヨシュア王子]

 さっきの衝撃を他言する気は無い。
 でも、それをどうやってわかってもらうかが問題だよね。
 さてと。
 もうここも制圧出来た事だし、巴と連絡してこの人達を他の来賓の方々のいる安全な場所に送って。
 んでちょろちょろ残ってる観客を避難させて。
 今の所は誰からも緊急連絡も無いから、一度状況の確認をしたいな。
 何度かミスティオリザードから面倒の連絡が来る位は覚悟していたんだけど、一回も無し。
 流石はレンブラントさんだ。
 上手く説明しているんだろう。
 元々釈明も楽であろう、もっとヒューマンっぽい、例えばゴルゴンとかアルケー、無難に森鬼とかをんでも良かったんだけどさ。
 レンブラントさんに見せる以上、娘さん二人は多分その存在をいずれ知る。
 また一々説明するのも面倒だもんな、僕が召喚できるのはアオトカゲ一族だと思っていてもらったらそれで楽だし。

[ここにいても再び襲撃があるかもしれません。どうか他の来賓の方々と同じく安全な場所への避難を。既に御国が関わるこの場での件は終息致しました]

「だが、そうして安全な場所に引き篭ってこの街の住民に申し訳が立つと思うか」

[この街の長でもある学園長もそこにおられます。勿論、既にこの街を守るべく動かれているでしょう。安全な場所にて的確な指示を出せる方がいれば、この騒動も早く収まりましょう。我々は住民の避難に努め、すぐにも動こうと思います。このような状況には不慣れではございますが力を尽くします]

「避難? お前程の力があれば討伐に動くべきでは無いのか?」

[勿論、必要があればそう致します。ただ、先ほど学園の部隊がそうであったように彼らが討伐に集中して動くならば私達は手薄になる避難誘導や救助を引き受けようと考えております]

「……似ておるな、降臨された頃の――に」

 小さい声で王が何かを呟く。
 まずい、聞き逃した。
 似ている、ような何かを言った気がするんだけど。
 独り言だったかな、でも一応確認はしておくか。

[申し訳ありません、今一度お聞かせ]

「いや、気にしなくてよい。……そうか。では我々がいつまでもここに残ると駄々をこねては迷惑をかけるか。うむ……ヨシュアよ」

 教えてもらえなかった。
 だけど、避難優先します、って意見は別に否定もされなかった。

「はっ」

「間に合うかはわからぬが、即応出来る部隊をロッツガルドへ向かわせよ。救援物資も必要になろう、避難後で構わぬから繋ぎを頼む。学園長の許可については余が話してみる。お前は念話を中継手に通して王国への報告も急げ」

「わかりました。最も近い部隊は王国南端に領を持つホープレイズ家の部隊ですね。念話も安全な場所に移り次第すぐに繋げます」

 ヨシュア王子の一瞥、でもホープレイズ家の当主殿は反応しない。
 大丈夫かね。
 息子さんが亡くなったんだし、今正常な判断なんて出来るんだろうか。

「ではライドウ。手間を掛けるが転移を頼む。それから、そこで呆けておる者に肩を貸してやってくれるか」

[喜んで]

 巴に場所を確認して、彼女にいる場所に繋げた霧を作り出す。
 濃く先を見通せない塊がすぐに王の前に現れた。
 識と澪をちらりと見る。
 生徒をフォローしてくれているようだ。
 今回の件程度なら戦力になる事はわかったんだけど、多分駄目なんだろうなあ。
 元はヒューマンだと思ってしまっているんだろう、力の鈍りが半端じゃない。
 他の学生の避難状況はわからないけど、どこか適当な避難先に送っておいて大人しくさせておいた方が良い気がする。
 必ず相手が一人とも限らないのだし、レンブラントさんとの約束もある。
 無理をさせるのは良くないだろう。
 失望を感じながら紫の衣装を地に這わせている部隊を見る。
 あのレベルの部隊が実際に変異体と戦う主力か。
 実力も正確な数もわからないけど、まともに戦える人の数によってはこの一件、数日はかかりそうだ。
 自分なりにこの先の展開を考えながらよろめく騎士の後ろ姿を見送る。
 次いでリミア王とヨシュア王子が霧の中に消えるのを確認。
 さて。
 柵を掴んでじっと肉塊を見ている当主殿の腕を取る。

[ホープレイズ様、失礼します。お送りしますのでお立ち下さいませ]

「触るな!!」

「っ!」

 腕を掴んで立ち上がらせようとした途端、怒鳴り声と一緒にその手が払われる。
 かなりの大声で、何事かと生徒や従者の目がこちらに向けられる。
 何でもないと伝える為にそちらに手の平を向けると、当主殿が自ら立ち上がるのを待った。
 無理からぬ事かもしれないけど、彼は僕を憎々しげに睨んで肩を借りることなくふらふらと霧の中に消えていった。
 全員に恩を売れるとも思ってなかったけどさ。
 はぁ。
 アベリアの方は一回も見てないと言うのに、どうして僕がそこまで憎まれるのだろうか。
 わからない。
 息子の憎しみを継承しているとか?
 そっちの憎しみも正直どうしてそこまでと思うから、もうさっぱりだ。
 貴族は本当にわからない。
 不意にヨシュア王子の言葉を思い出す。
 最早人格の欠片も感じない暴れ様、みたいな言葉だったか。
 爆発の轟音に混じったイルムガンドの最後の絶叫。

 俺はただ、謝りたかっただけなのに。

 か。
 ……これは多分、一生誰にも言う事は無いだろうな。
 何度か聞いている内にあの変異体の声までわかるとは思わなかったけど、聞こえてしまったから仕方無い。
 今わの際に叫ぶほど謝罪したい相手がいたのなら。
 僕なんぞ相手にしていないでさっさとその相手に念話なり手紙なり会うなりして想いを告げれば良かったのに。
 僅かに彼への同情を感じたけど、当主殿を見送った後すぐ舞台に降りた僕のもとに澪が駆け寄ってくるのを見て気持ちを切り替える。 
 誰に、何を、が無ければ伝えようも無いんだ。
 気にしても仕方ない。

「若様、大事ありませんでしたか!?」

 澪にひとつ頷いて応える。
 リミア王たちは今頃巴がちゃんと案内してくれている。
 向こうにはルトもいるし、偉い人には偉い人の視点があるんだろうから、向こうにいた方があの人達も仕事が出来るだろう。

[大丈夫だ。こちらは、中々複雑な感じになっているな]

 ある意味予想通りでもあるけど。
 生徒達はただ戦闘に勝利しただけでない複雑な雰囲気になっていた。
 特にアベリアの憔悴が酷い。
 怪我もしたみたいだ。
 脇腹か。
 識に治療してもらっても防具や衣服までは修復出来ないから負傷箇所はわかりやすい。
 あの参り具合の理由は大半が別の理由からって言うのは何となくわかる。
 とは言え彼女に事情があったとしても、話してくれていない以上は僕には聞く資格が無いと思われているんだろう。
 アベリアの大好きな識がついているようだから、彼に任せておく事にする。
 識がもし事情を聞き出したとして、必要なら僕に話してくれる。
 彼女について僕が出来る事は無さそうだ。

「ギリギリでしたもの。最後は吠えられて前衛が動けなくなって、手を貸すしか無いかと思いました所で、アベリアが何とか。完成した魔術を矢に付与だなんて、シフもですけど、結構無茶な事をするものですわ。識の真似かもしれませんけど」

[魔術の付与、か。それであの爆発。何とも凄かったな]

 識の真似、ねえ。
 完成した魔術を武器に付与すると、一時的にだけど攻撃力が爆発的に上がる。
 ただ維持出来る時間がかなり短い。
 識は大体数分くらいしか維持出来ないと言っていた。
 はっきり言って燃費は悪い。
 よほど武器での攻撃に拘るのでなければそこまで意味も無いしね。
 識にしてみても、使いどころは付与魔術だと思わせて威力を誤認した相手の虚を突くのが主な使いどきだと言っていた。
 二人で実現させたようだけど、あの子たちだと精々数秒から十数秒しか維持できまい。
 なるほど、無茶だ。
 今発生している変異体みたいに魔術自体への耐性が高くて有効な属性も限られると言うなら辛うじて実用範囲とも言える。
 弓矢に限ってなら、体を離れても付与よりは威力が下がらないってメリットもあるにはあるけど。
 命中前に維持限界が来ると元も子も無いからデメリットも大きい。
 座り込んでいる前衛組に近寄る。

「……先生」

[ジン、よくやったな]

「俺、あいつは別にどうでも良かった筈なんです。むしろムカついていた筈なのに。でも殺すのかって思ったら……どうしても……」

 何だか混乱しているみたいだ。
 要は、やれると思ったけど駄目だったって事なんだろう。
 それを受け入れられないと。
 魔物なら容赦なく倒しているのに、なんて思うのは僕が彼らとも意思疎通が出来るから、なんだろうな。

[元はヒューマンだ。おかしい事じゃない。無理せず後は休んでいろ]

「っ!? 足手まといですか、俺たちじゃあ!」

[違う。お前たちは学生だ。学生が前線で戦う必要は無い。戦うのは別の奴の仕事だ]

 正直に言えばそう思った部分もある。
 けれど、そう言って傷つける必要もないから主な理由を言った。
 頼れるかどうかは別にして学園都市にも武力はある。
 あの紫服みたいなのが。
 徐々に情報は集まっていくだろうから、学園長はじめ学園の有力者達も対策を練って変異体に対処するだろう。
 少なくとも、学園に通っている在校生が前線に出るような段階じゃない事は確実だ。

「でも、俺たちだって十分戦えますよ!!」

[たった一度戦っただけでこれだけ疲れ果てていて、よく言えたものだ。それに治ったとは言ってもアベリアは結構な負傷だったようだぞ?]

 さっきの二体目がここに乱入していたら下手をすれば死人が出ていた可能性だってある。
 もっとも、その二体目について一言も触れてこない辺り、ここに二体目が出た事にさえ気がついていないかもしれない。
 だとすれば、彼らに今必要なのは戦闘経験よりも休息だと断言出来る。
 複数の変異体を相手にするだけの余裕は無いだろうし。
 イルムガンドよりは弱いと言っても、三体も出てくれば相手の能力次第では死ぬかもしれない。
 元は同じヒューマンってのも変わらないんだから、また迷いを出す事も考えられる。
 少なくとも戦力に数えるのは不安が大きい。

「うっ……それは」

[戻してやりたかった]

「っ!?」

[それがお前の本音だろう?]

「先生は、違うんですか? 俺は……甘いですか?」

 ジンが弱々しく言った言葉は彼が最後まで殺す選択をしなかった事を肯定していた。

[私はお前達が犠牲になる位ならイルムガンドを討つ気持ちでいた。私にとっては彼よりお前達の方が大事で、おそらくアベリアもそう思って行動したのだろう。甘さを嘆くなら、残りの学園生活で何らかの改善をすれば良い。お前のそれは長所として貴重だとも思うがな]

 今回は悪く働いちゃったけど。
 ジンの大きな魅力の一つだと思うのも確か。
 こいつにまったくの冷静沈着とか冷酷無比とかは似合わないよなあ。

「皆を危機に陥らせた甘さ、長所なんて」

 おや、珍しく大分弱気だな。
 今は難しい事考えないで全力で休めば良いのに。

[それは後々考えれば良い。今はとにかく休息をとれ。講師としての指示だ。街はもちろん、周辺都市にも相当な数の変異体が出現していると言う情報もある。この件は長引くかもしれない]

「そんな……何がどうなって」

[とにかく今日は他の学生達が避難している所に合流して休む事だ。戦いたくても体がついてこないなら何の意味も無い。それから]

[シフ、それにユーノ]

 一緒にいたレンブラント姉妹に呼びかける。

「ライドウ先生」

「先生」

[ご両親は無事だ。頼りになる護衛をお付けしたから心配するな。大人しく避難してくれるな?]

「……わかりました」

「……避難します。今日は」

 ユーノも困っただ。
 戦う気はありますって言いたいのか。
 シフも何か含む所がありそうな答え方だった。
 ジンにも言ったけど、学生なんだからそんなに気負う必要なんて無いのに。
 他の面々も、疲労困憊なのは明白なのに目は妙にギラついている。
 戦闘の興奮状態がまだ続いているのか。
 どちらにしても、休ませるのが先決みたいだね。
 リミア王からの有難いお言葉はまたにしよう。
 さっきの王子様の事もある。
 勇み足で暴走されるのはたまらない。 
 特に、守ろうとしている対象にされるのは困る。
 ついさっき痛感した。

[識、澪。生徒達を避難所に案内してやってくれ。もし必要なら一晩そこのガードをしてきても良い]

「ええっ!? あの、若様は?」

[巴に状況を聞いてくる。この子達を頼んだぞ]

 先ほどと同じ場所に繋げて霧を作る。
 巴、どの程度まで静観する気でいるのか。
 下手に来賓チームに捕まると面倒だから、こそっと行ってさっさと聞いて僕は店の様子でも見に行こう。
ご意見ご感想お待ちしています。
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