東京電力は27日、消費者が電気の購入先を切り替える際に不可欠な基幹システムの開発が、2016年4月の小売りの全面自由化に間に合わない可能性があると明らかにした。開発作業が難航しているためで、購入先を自由に切り替えづらくなる事態も想定される。
東電の山口博副社長が同日、経済産業省の審議会で「必要なサービスを提供できないリスクを内包している」と語った。4月に間に合うかどうかは主要な開発工程を終える12月末にある程度は判断できるとの見解を示した。
電気の小売部門にはガス会社や住宅メーカーなどが参入を予定しており、16年4月以降は全ての消費者が電力大手以外からも電気を買えるようになる。円滑な契約の切り替えには小売部門と送配電部門を結ぶ基幹システムが顧客情報や料金計算などを瞬時にやりとりする必要がある。
東電は他の電力大手に先駆けて16年4月から「火力・燃料」「送配電」「小売」の3部門に会社を分ける。このため基幹システムを新たに設計中で、改良で済ます他の電力大手より開発の難易度が高いという。
来年4月に間に合わない場合、東電は部門間のやりとりを紙に置き換えるなどして影響を最小限に抑えたい考え。東電との契約打ち切りを検討している消費者だけでなく、他地域に住む住民で東電から新規購入を考えている消費者にも影響が及ぶ可能性がある。
東京電力、山口博