ニートには2種類ある。経済的に依存をしているニートと自立しているニートである。自分がニートをしていた時は一人暮らしで、サラリーマン時代に貯めた貯金を切り崩して生活をしていた。要は自立していたニートだった。
ニートをしていた時は、将来に関して、特にお金に関しては不安が常につきまとっていたし、いつかは就職しなければならないという思いは常にあった。この点は、実家で家族に養ってもらっているニートよりも強く感じさせられるだろう。
毎日のように銀行の口座残高をネットで確認し、貯金がなくなるまでに結論を出さなければと考えていた。お金が無くなることへの不安から、本当に全く働かない期間を数ヶ月続けた後、月10日程度アルバイトを始めたりした。 もちろん、これだけではマイナス収支になっていたので、常に将来に対する不安が完全に消えることは無かった。
30代ニートの就職の現実
親などに養ってもらっているニートと貯金を切り崩して暮らしているニートは焦燥感という点では大きな違いがある。実家で暮らしのニートは「親が亡くなったらどうするんだ?」と他人に言われても、実際に亡くなるまではそんな実感もわかないだろう。
ただ、自身が20代から30代に向かう頃、親の収入も減り始め、徐々にそれを感じるようになるはずだ。
その頃になってようやく求職活動を始めるのだが、ほとんどのニートはその時「就職先が無い」「仕事が無い」という。しかし、本当に職がないのだろうか?
実は、現在日本においては近年例を見ないほどの人不足に悩まされている。
都内では全業種で1.82倍である。 医療・福祉、製造業など主な業種はすべて新規求人が増えたというように、業種間での大きな偏りはあるが間違いなく近年になって職がなくなっているということはあり得ない。
非正規雇用の求人が増えているとは言え、職がないということ無いのである。 本気で就職を考えているなら、いくらでも仕事が余っている都市部へ行けば良いのだ。
大卒ニートの就職とキャリア
ニートというと学歴がないと思っている人も多いが、現在は大卒のニートも増えている。この場合の彼らが言うところの「就職先がない」とは、正確に言うと、「自分の望む仕事が無い」という意味であるだろう。
確かに、日本では数年間空白の期間、無職の期間があると人々が嫌がる仕事しか残っていない。介護など、労働と給料の割が合わない職が多いは間違いない。
しかし、有効求人倍率が求人を大きく上回るというのは、日本経済の観点からもマイナスが大きい。ここから移民という選択肢も本気で考えなくてはいけなくなる。
移民と言えば、欧州連合との比較を用いる人がいるが、欧州は失業率が25%を越えているところもある。若者に至っては半数以上が失業しているという現状もあるぐらいだ。
欧州では「自分の望む仕事が無い」のは当たり前で、それに加えて「就職先がない」というのが現状なのである。にもかかわらず、移民、難民を積極的に入れている国が多い。就職先があるというだけでも日本はまだ恵まれていると言えるだろう。
確かに、欧州では高福祉を実現し、労働に関しても有給休暇の取得率の低さや残業代に関する問題などは日本ほど聞かれない。有給休暇の取得率がほぼ100%の国もあり、日本以上に恵まれた労働環境がある。しかし、正社員の保証が高過ぎるゆえに、キャリア採用を重視し、新卒を含めた若者の就職を困難にしている事実がある。
職はあるけど労働環境に恵まれていない日本と、職はないが少数のキャリアには恵まれた労働環境を提供している欧州。どちらが社会という大きな枠で考えてどちらが良いかを考えた場合、前者のほうがニートにとっても都合は良いだろう。いくら大学卒業という学歴があっても新卒というキャリアのないニートは、仕事に就く事自体が困難になるからだ。
ニートへの就職支援
高学歴の大卒ニートと30代という大事な時期に就職できなかった場合に生じるニートに対しては、先に対応しなければならない。前者に関しては人材のマッチングの問題という点で大きな社会損失になっており、後者に関しては、今後社会不安を引き起こしかねず、早急に取り組むべき問題である。
就職支援となると、上でもあげたようにだれでも出来るような学歴を生かせない職しか基本的には余っていない。しかし、学歴や専門性の無いニートにも理想の職業というのがあり、誰でも出来るような辛い仕事はしたくないと考えている人が多い。ワガママといえばワガママであるが、あらゆるニートに共通しているのはプライドが高く自分の能力以上の職を希望しているという点である。はっきり言ってしまえば、そんな彼らに合うような職をマッチングさせることは出来ない。就職支援にはそこに限界がある。すぐにお金が必要という鬼気迫ったレベルのニートでない限り、彼らはとことん自分の理想に合った仕事というのを求めるだろう。
ニートからの脱出
以前ニートは海外旅行に出る事からはじめようという記事で、「専門性の無いニートは海外へ旅をしてそこで取材した内容でブログを書くことで収益をあげろ」とアドバイスした。誰でも出来る仕事というのが嫌なのであれば専門性を身に付け、自分一人で食ってくしか無い。
自分も経験した海外に関する知識を増やして収益をあげることをおすすめしたのである。日本は思った以上に海外に関する情報は少なく、この分野はニッチだからだ。
ただ、専門性を身に付けただけで満足の行く職場に就く事は出来ないと考えたほうが良い。人に雇われるということを考えた場合、やはり無職の期間というのは非常にネックになる。専門性が高い職業であればあるほどこの傾向が謙虚になるのも事実だ。従って、世間からの信用性に欠ける彼らに用意すべきなのは就職支援だけではなく、自分でビジネス始めたい人を支援する環境だろう。
お金の無い人がビジネスを始めるとなると自営業がもっとも現実的である。
個人的な意見としては、完全歩合の仕事をもっと増やせばいいと思っている。雇用形態を取らない形で、働く時間も自由な仕事を自営業として始めれば良い。精神的な問題で就職していない人も、完全歩合の全く拘束時間のない仕事であれば問題ないだろう。気分が乗らなかったり、体調がすぐれない日は仕事をしなくても良いのだ。
もちろん、本気でそのビジネスをしたい人のために、無料のセミナー等である程度のサポートをしてあげることも大事である。こうした完全歩合の仕事を用意したところでどこまで成果をあげられるかはわからないが、彼らの中にはそれなりに稼げる人も少なからず出てくるはずだ。
様々な選択肢を用意し、合うものも試していけば良い。 アルバイトや正社員の募集だけではなく、そうした自由な働き方も企業レベルで提案出来るだろう。
アフィリエイトというビジネスも売った分だけ報酬が貰えるという点で完全歩合の仕事である。人を集めてどう売るか?この点が非常に難しい部分ではあるが、ネットとリアルを組合せて本気で営業をすれば、これだけで食べていくことも難しい事ではない。
経済的に依存したニートから脱出させる方法の検討
ただ、周りからどんなに急かされても、焦燥感の無い経済的に依存したニートはきっかけを作らない限り行動を起こす事は無いだろう。こちらのタイプのニートを如何にして職に就かせるかとういうのも考えなければならない。
個人的には、ニートを行動させるためには欲を刺激するのが一番だと思う。ただ、経済的に依存しているニートでも3大欲の2つである睡眠、食事には困っていない。となると、残りの性欲を刺激する事になるが、これを自立の方向へ上手く促す方法を見つけなければならない。
恋をしてない人へ恋をしろというのは無理な話かもしれないが、性欲というのは何も恋だけで生まれるものではない。良いか悪いかは別として、タイへこれを満たしに行くために日本で一生懸命働いている人がいるのも事実だ。
ただ、無職の性犯罪率が高いように、下手な刺激の仕方では犯罪に結びつきやすいという懸念はある。
欲という本能的な部分を刺激し、これをどう自立のエネルギーに転換するか。この点をもう少し真剣に専門家は検討しなければならないだろう。
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