
オゾン療法とは、免疫細胞である単球およびリンパ球を増加させ、免疫細胞から産生するサイトカインを利用する治療のことで、細胞の活性化や免疫力の強化が期待できるとされています。治療法の簡便さ、高い安全性、低コストなどの理由から、当院では積極的に導入しています。
オゾンは強力な酸化作用を持っています。そのため動物は高濃度のオゾンガスを吸い込んでしまうと肺を傷つけてしまいます。
オゾン療法では、オゾンガスに触れさせた血液を体内に戻したり(血液クレンジング)、肛門に直接オゾンガスを注入し腸管内に吸収させたり(腸管注入法)、痛みのある部位にオゾンガスを注射する(局所注射法)方法があります。このような方法で害が出る心配はありません。
オゾン療法の主な適応
○免疫細胞活性化作用
がん細胞の抑制、抗がん治療の副作用の軽減
○抗アレルギー作用
アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくなどの緩和
○消炎鎮痛作用
筋肉や神経、関節などの痛みの軽減
○創傷治癒の促進
皮膚炎や褥瘡(床ずれ)などの改善
○アンチエイジング
血行改善作用、副腎・脳下垂体活性化作用による元気食欲の回復
当院ではオゾン療法を補助的な治療として考えています。上記のような病気により、すでに治療を受けられている方も、かかりつけの動物病院を変えることなく当院でオゾン療法を受けていただことが可能です。特に慢性的な病気から食欲がなくなったり、投薬ではなかなか治療がうまくいかない、抗がん剤を使用するのは難しい等ご興味のある方は、どうぞお気軽にご相談下さい。

血液透析とは簡単にいうと低下した腎臓の機能を人工的に補うことができる腎臓の代替となる装置であります。腎臓には「尿素などの老廃物の除去」「電解質の調整」「水分調整」「造血ホルモンの分泌」「血圧調整」などたくさんの働きがあり、人を含めた動物はこの腎臓なしには生きていくことはできません。この生きていくために必要な腎臓の機能を補うために血液透析は行われます。
患者さんから血液をポンプを使って体外へ導きだし、人工腎臓であるダイアライザーを通し、血液の老廃物を除去して、きれいになった血液を患者さんの体に戻します。
血液透析の適応
急性腎不全や中毒(エチレングリコール中毒、ブドウ中毒など)、慢性腎不全の増悪期には最も効果的です。また腎不全の診断を受けて静脈点滴療法を行っても、状態の回復が思わしくない時に選択肢の1つとして血液透析は考えてみる価値があると思います。
ただ、血液透析は腎臓を治すものではなく、腎臓が障害された状態から自分の力で回復してくるまでの時間を稼ぐことにより、致死的な状態を回避するものです。 すべての腎不全に適応という訳ではありません。詳しくはお気軽にご相談下さい。

脊髄と椎間板とは?
脊髄は脳からの指令を伝えるために脊椎(背骨)の中の空間(脊柱管)を通っています。犬の脊椎(背骨)は頸椎が7本、胸椎が13本、腰椎が7本の合計27本からできています。これらそれぞれの脊椎の間には椎間板があります。椎間板はその中心部に髄核というゼリー状の構造があり、その周囲を線維輪に取り囲まれています。椎間板はゼリー状の髄核により、脊椎にかかる衝撃を吸収する働きを持っています。
この椎間板が飛び出し、脊髄を圧迫するのが椎間板ヘルニアです。
椎間板ヘルニアはハンセン1型とハンセン2型に分けられます。
ハンセン1型はダックスフンド、シーズー、ウェルシュコーギー、ビーグル、コッカースパニエル、ペキニーズ、ラサアプソなどの軟骨異栄養性犬種に起こりやすいタイプで、線維輪が破けて、髄核が脱出し、脊髄神経を圧迫します。軟骨異栄養犬種は椎間板が若齢のうちから変性を起こし、椎間板の衝撃吸収能力が低下します。このような椎間板に強い力が加わることで、椎間板ヘルニアを発症します。このハンセン1型の椎間板ヘルニアの多くは3〜6才の若い年齢で、急性に発生します。
ハンセン2型は加齢に伴って椎間板が変性し、厚くなった線維輪が脊髄を圧迫します。このハンセン2型の椎間板ヘルニアは成犬から老犬に多く、慢性的に経過する事が多いとされています。
椎間板ヘルニアは重症度により5つのグレードに分けられます。
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麻痺はないが、脊椎(背骨)に痛みを感じ、動物は運動を嫌い、いつもは上り下りできる段差を上り下りできなくなったり、飼い主さんが抱きかかえた時に痛みを訴えて鳴くことがあります。 |
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動物は歩行可能だが、後ろ足の力が弱くなり、ふらふら歩いたり、足先をすりながら歩いたりします。 |
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後ろ足を自分で動かすことができなくなり、引きずって前足だけで歩くようになります。 |
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自分の意志で排尿ができなくなります。膀胱はいつも尿がたまった状態で、ぽたぽたと垂れ流しのようになります。 |
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一番最後になくなる深部痛覚までなくなった状態です。後ろ足を強くつねっても痛みを感じません。 |

椎間板ヘルニアの治療は大きく分けて内科療法と外科療法に分けられます。
内科療法
ハンセン2型など、グレードの低いものに行われます。基本的には安静になります。
安静の期間は脱出した椎間板が安定する4〜6週間は必要となります。また内科療法では、NSAIDS(非ステロイド系消炎鎮痛剤)またはステロイドやその他薬物の投薬、レーザーなどを併用する場合があります。
経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)
ヒトの椎間板ヘルニアで「椎間板ヘルニア日帰り手術」としてご存じの方もおられるかと思います。
PLDDは、直接切開せず、皮膚の外側から病変部の椎間板に細い針を挿し込み、その針穴に特殊ファイバーを挿入、レーザー光を椎間板内部で照射し、変性した髄核(椎間板の内部物質)を熱凝固・収縮させるもので、体へのダメージは最小で施術可能です。
基本的にハンセン2型で利用可能な施術法ですが、ハンセン1型でも椎間板物質が脊柱管内で限局的に存在するものでは効果が出るようです。
従来よりハンセン2型では、外科手術の効果が出にくいとされてきましたが、その2型に効果的な施術法なので、ヘルニア治療の選択肢の幅が広がったと言えます。
また外科手術適応症例でも、手術部位以外に疑わしいところがある場合、予防的PLDDが利用可能です。
当院では、PLDDが施術可能となっております。
外科療法
歩行不能など高いグレードのケースにおいて行われます。外科療法で最も大切なことは、原因となっている椎間板の場所を特定することです。当然ですが、異なる椎間板の場所を手術しても改善はしません。手術の場所を特定するためには、脊髄造影、CT、MRIなどの検査を行います。
当院では、より正確に場所の特定ができるCT検査を行って、以下の手術法を行っています。
CT検査により脊髄神経が圧迫を受けている場所を特定し、手術によりその部位の圧迫を開放するベ ントラルスロット法、片側椎弓切除術、背側椎弓切除術などの術式があります。
詳しくはお気軽にご相談下さい。

日本で人気のある大型犬(ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、バーニーズマウンテンドッグなど)には先天的に股関節の緩みが強い動物が多く、年齢を重ねるごとに変形性関節症を生じ、痛みを引き起こします。この病気を股関節形成不全(Hip Dysplasia)と言います。
症状としては、以下の2つのタイプが代表的です。

股関節形成不全の70%は遺伝的要因ですが、30%は環境的要因です。環境的要因の多くは過剰なカロリー摂取による肥満が問題になるので、発症予防のために肥満にさせないことが重要です。また、早期診断早期治療も重要ですから、若い時にPennHip検査を受けること(4カ月齢から検査可能です)により股関節の状態を把握して、将来的な発症や進行を抑えることは可能です。
また、この病気は遺伝性の疾患ですが、日本においては残念ながら繁殖の明確なルールがなく、海外と比較して股関節形成不全の病気を持つ犬が、極端に多い傾向にあります。ですから、この病気で苦しむ犬を増やさないためにも、股関節形成不全の犬を繁殖に用いることはお勧しません。繁殖を検討される多くの方が、この点を留意していただければ、減らすことのできる病気だと思います。
PennHIP(ペンヒップ)
PennHIPは犬の股関節形成不全(CHD)を評価する科学的な方法です。
1983年にペンシルバニア大学獣医学科のDr.ゲイル・スミスが研究を始め、CHDを早期に診断する新しい科学的な方法を開発しました。この研究により4カ月齢という幼犬でCHDにかかっているか評価できる診断法が確立されました。この方法は、2歳以上にならないと最終診断が下せない他の方法に比べると、明らかに優れています。
OFA という団体 が提唱している従来のレントゲン撮影方法では、股関節の緩みははっきりと分かりませんでした(この撮影法では実際に股関節が緩んでいても、緩んでいないように写ってしまうことがあります)。この撮影法は関節炎による関節の変化を正確に見つけることができる一方、関節の変化を伴わない場合は正常犬と罹患犬を見分けることができません。
しかし、PennHIPのdistraction viewというレントゲン写真では関節の緩みが大きくはっきりと写し出さます。この方法により、実際には股関節疾患を発症する重大な危険性を持っていることが証明されます。
犬の股関節の緩み度合いを正確に測るためには、レントゲン撮影の手順の中で特別なポジショニングが必要になります。簡単にいえば股関節の緩み度合いとは、完全に犬の筋肉の力が抜けている状態において、股関節窩内で大腿骨頭がどの程度緩んでいるかをみたものです。股関節の緩み度合いは、その犬が後になって変形性関節疾患(Degenerative Joint Disease(DJD))を発症するかどうかを決定する重要な要因です。逆にいえば股関節のDJDがレントゲン写真上で認められた場合、CHDを発症している(股関節が緩んでいる)ことが確定されます。
※当院はPennHip認定資格者がおりますので検査が可能です。ただし、麻酔下での検査になりますので予約が必要です。ご希望の方はあらかじめ、当院までご相談ください。
治療法
内科療法
消炎鎮痛剤を使うことにより疼痛を軽減することを目的として行います。その目的から分かるように、股関節形成不全の主要な原因と考えられる股関節の緩みを矯正せず、障害された関節を回復させないため根本的な治療とはなりません。 関節疾患の多くに言えることですが、薬物の投与により疼痛を軽減させることは可能であり、管理が好走した場合には薬物の投与を必要としなくなる可能性もあります。しかし異常に形成した関節構造を正常に戻している訳ではないため、機能的に完全に回復することはないと考えられます。
外科療法
予防的治療法と救済的治療法の二種類があります。
予防的治療法とは、股関節形成不全に罹患する可能性のある幼犬(4〜5カ月齢)に行う予防的な手技で、当院では、若年期恥骨結合固定術(JPS)という方法を行っています。これを早期にしてあげることで、関節構造を矯正することにより、自身の股関節を温存して、生涯を機能的に過ごすことが可能です。
救済的治療法とは、股関節形成不全に罹患したワンちゃんの疼痛を取り除く治療法で、当院では、障害された関節を人工器具に置換する股関節全置換術 (Total hip replacement: THR) または障害された関節を切除し疼痛を取り除く大腿骨頭・骨頚切除術 (Femoral head and neck osteotomy: FHO) という方法を行っています。
詳しくはお気軽にご相談下さい。

前十字靱帯とは、膝関節の内部にあり、大腿骨と脛骨をつないでいる靱帯の一つです。
この靭帯は、脛骨の前方への突出、内側への回転を抑制しています。この靭帯が部分的もしくは完全に切れてしまった状態が前十字靱帯断裂です。前十字靱帯断裂は、犬では一般的な整形外科疾患の一つであり、関節の不安定性により痛み・関節炎を生じることがあります。加齢性および変性性変化が生じた結果、わずかな外力のみで生じてしまうことが多いと言われています。
症状
靭帯が断裂した直後は、痛みのために地面に患肢を最小限しか着けないような歩き方をしたり、足を挙げたままの状態になったりします。体重が軽いワンちゃんの場合、痛みは 2 - 3 日経つと軽減することが多いようです。しかし、関節内の障害が慢性化すると、足を引きずるようにして歩く跛行(はこう)がみられるようになり、特に運動後は顕著に認められます。体重の重いワンちゃんの場合症状が顕著な事が多く、慢性の関節炎や関節が腫れる症状が出ることもあります。慢性の断裂や部分断裂では、間欠的な跛行が見られ、長期間になると反対側に比べて筋肉が痩せて、足が細くなることがあります。
診断
診断はまず全身状態の評価から行われます。膝関節の触診では、Cranial Drawer Test(脛骨前方引き出し試験)、Tibial Thrust Test(脛骨圧迫試験)を行います。また、関節炎の存在や、今後の治療方針の決定の為にレントゲン検査を行います。
治療法
内科療法
体重が軽くて大人しいワンちゃんであれば、消炎鎮痛剤を使いながら安静と減量を行います。症状の改善・十分な機能の回復が得られることがありますが、小型犬でも痛みが取れない場合や、中・大型犬では通常外科的治療が必要となります。
外科療法
現在、前十字靱帯断裂の治療に行われている主流な手術は以下の方法です。触診や、レントゲン所見に基づき個々の動物に適した手術方法を選択しています。
脛骨高平部骨切り術(TPLO法)
TPLOは、犬の前十字靭帯断裂における最新の手術法の一つです。
この手法は故Dr.Barclay Slocum(世界的に有名な獣医外科の先駆者)によって考案されたもので、アメリカでよく行われている手術法です。TPLOは脛骨近位関節面付近の骨切りを行なって脛骨に角度をつけることにより、前方への脛骨のすべり(犬の十字靭帯にかかるストレスの原因の一つ)を除去することができます。
脛骨粗面前方転移術(TTA法)
TTAは、犬の前十字靭帯断裂に対する新しい手術法で、主にヨーロッパでよく行われている手術法です。TTAは脛骨粗面部の骨切りを行い、専用のインプラントを装着することで、脛骨粗面を前方に固定する手術法です。現在、犬の前十字靭帯断裂の手術としてTPLOと共に主流となっています。
ナイロン糸を用いた関節外法(Lateral suture法)
この方法は、断裂した前十字靭帯の機能をナイロンテグスなどを用いて代替する方法です。
※当院はTPLO,TTA認定資格者がおりますので手術が可能です。詳しくはお気軽にご相談下さい。
<脛骨高平部骨切り術(TPLO法) レントゲン写真>

<脛骨粗面前方転移術(TTA法)レントゲン写真>


膝蓋骨脱臼とは、膝蓋骨(膝のお皿)が滑車溝と呼ばれる溝から外れてしまう病気です。膝蓋骨脱臼には内側にはずれる内方脱臼と外側にはずれる外方脱臼があるが、発生頻度は圧倒的に内方脱臼が高いと言われています。
主に内方脱臼は小型犬(ヨーキー・トイプードル・ポメラニアン等)に多く、外方脱臼は大型犬にまれにみられる傾向があります。
症状
先天性と後天性に分けられます。
先天性では出生時からの膝関節周囲の筋肉や骨の形成異常や靱帯の付着部の異常などが存在し、加齢とともにこれらの異常が進行して膝蓋骨の脱臼を招く結果となります。
後天性のものでは、打撲や落下などによる外傷性の原因で膝蓋骨周囲の組織に損傷が生じたり、骨に関連する栄養障害などによって骨の変形が生じた結果、膝蓋骨脱臼が発症します。
膝蓋骨脱臼の症状は、その程度により無症状のものから正常な歩行が困難なものまで幅広いです。
グレードTからグレードWまでの4段階に分類されます。
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膝蓋骨は正常な位置にあり、足を伸展させて膝蓋骨を指で押すと脱臼するが、放すと自然に整復される。このレベルだと無症状の場合が多いが、ときにスキップ様の歩行をすることがある。 |
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膝関節は不安定で、寝起き時のように膝関節を屈曲していると脱臼し跛行したりするが、指で膝蓋骨を押すと整復できる。このレベルでは数年間、日常生活に支障はないが、さまざまな症状を呈しながらも骨の変形が進み、膝蓋骨を支える靱帯が伸びてグレードVに移行してしまう。 |
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膝蓋骨は常に脱臼状態にあり、指で押せば整復できるがすぐに脱臼してしまう。多くは、膝関節を屈曲させたまま歩行するので顕著な跛行が見られる。大腿骨や脛骨の変形も明らかになってくる。 |
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膝蓋骨は常に脱臼し、指で整復できない。大腿骨や脛骨の変形もさらに重度となり犬は患肢を屈曲させ、うずくまった姿勢で歩行するか、前肢に体重をのせ患肢を浮かせたように歩行する。 |
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このように程度の差はあるが、各グレードに共通して疼痛、腫脹、跛行、患肢の挙上などがみられる。先天性の場合、習慣的に脱臼し、疼痛はほとんどない例もあり、特に両側に脱臼がある場合、ほとんど気付かないことが多いです。病態が悪化すると膝蓋骨に関連する筋肉の萎縮を呈する場合もあり、治療には手術が必要です。突然キャンといって足をあげる、時々足が突っ張っている、スキップをするなどの症状が認められる場合には早期の診察をお勧めします。
治療法
年齢、脱臼の程度、症状や進行具合など様々なことを考慮して治療方針を決める必要があります。
内科療法
痛み止めの投薬や運動制限、減量などにより痛みの緩和を目的に行います。しかし、脱臼の根本的な改善ではありませんので注意深い経過観察・管理が必要です。
外科療法
一般的には、膝蓋骨がしっかりと滑車溝に収まるように溝を形成し、大腿部の筋肉と膝関節の動きが真っ直ぐになるように再建することで脱臼の整復を行います。これにより膝関節を正常な状態に近づけ、機能的に回復させることが目的です。
詳しくはお気軽にご相談下さい。

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