TPP等をテーマに衆院予算委員会の閉会中審査が10日開かれ、民主党の2番手として玉木雄一郎議員が質問に立ち、(1)TPP大筋合意後の記者会見で安倍総理は「TPPは私たちの生活を豊かにしてくれる」などと発言したが、日本茶・牛肉・自動車・コメが置かれている実態は今後どうなるのか(2)もんじゅへの対応――等の問題を取り上げた。
冒頭で玉木議員は「TPPで守るべきものを守ったのか攻めるべきものを攻めたのか検証したい」として、TPP大筋合意後の記者会見で安倍総理がTPPによって今後輸出が見込まれるものして日本茶を上げ、「日本茶にかかる20%もの関税がゼロとなる。静岡や鹿児島が世界有数の茶所と呼ばれる日も近いかもしれない」となどとした発言内容を確認した。玉木議員は資料(PDFダウンロード参照)を提示し、輸出先は米国を筆頭に、ドイツ、シンガポール、台湾、カナダ、タイ、香港、メキシコと続くと説明したうえで、「しかし、米国、シンガポール、カナダは現時点ですでにお茶の関税はゼロだ」と指摘し、会見で安倍総理が説明した「日本茶にかかる20%もの関税」とはどこの国の関税かを確認した。
安倍総理はベトナムで現在22.5%の関税がTPP発効後4年目に撤廃され、メキシコは500トンの枠内で10%に、ペルーは関税が即時撤廃されるなどと説明。「こうした機会をとらえて輸出拡大を期待する声もある」などと答弁した。玉木議員は輸出が増えることは評価するが現在対メキシコ輸出は日本茶の輸出量の0.03%、額にして174万円に過ぎないことを指摘するとともに、安倍総理の発言は因果関係も含めて飛躍しすぎだと批判。「(政府与党は)メリットは大きく膨らませ、デメリットはないように説明しているが、大事なのは日本経済や輸出にどういう影響があるのかを客観的に見ていくことが重要」だと強調し、日本茶の輸出を国として後押しするというのであれば農薬の在留基準の統一などルールの統一化を政府が後押しすることが大切だと指摘。植物検疫の問題なども統一ルール化されていないために盆栽のクロマツなどが輸出できないといった問題にも触れ、「今回のTPP交渉は頑張る中小企業を応援する内容になっていない」と断じた。
続いて玉木議員は、日本の最大の輸出工業製品は自動車であるはずだが、TPP大筋合意後の記者会見で安倍総理は自動車に全く言及できなかったほど「自動車はアメリカに完敗している」状況だと語った。そのうえで玉木議員は資料2(PDFダウンロード参照)を示し「攻めるべき自動車」と「守るべき牛肉」に関する日米間のTPP後の展開を説いた。
牛肉について玉木議員はTPP発効初年度に現行38.5%の輸入牛肉への関税が27.5%にまで引き下げられ、16年目には9%となると説明。この数字は、昨年発効した日豪EPAで日本の牛肉を守るギリギリのレッドラインとして自民党が決議した豪州牛肉の冷凍肉への関税19.5%を簡単に割り込む数値であることを玉木議員は問題視した。一方で自動車は乗用車はTPP発効15年目でやっと削減され25年かけて関税が撤廃されるが、トラックは発効後30年間関税は下がらずに30年後に初めてゼロになると指摘。「発効するのに2年ぐらいはかかるので関税ゼロのメリットは32年後ぐらい。総理は現在61歳だから93歳のころになって初めてトラックの関税が変わる」と述べ、TPPによって米国側は早めにメリットを受けるが日本側がメリットを受けるのはずいぶん先であるという不平等な実態を浮き彫りにした。
さらに「ただでさえ長い25年、30年だが、さらに伸びる可能性がある合意を結んでいないか」と玉木議員はただした。外務省の担当者は、日米並行交渉の結果として日米自動車貿易に関する特別な紛争解決手続きを定めており、その中では米国による自動車関税削減開始前の日本による協定違反に対して、協定違反と認定された場合、米国は関税削減開始を延期できると定めているとの説明があった。玉木議員はまた、セーフガードによって関税がなくなった後も米国への輸入量が一定程度増えた場合、関税を復活させて輸入量を抑制することが関税撤廃後10年間もできるとする取り決めも今回のTPPで決定していることを指摘した。玉木議員はTPPについて「譲りすぎだ。国家100年の計と言うが半世紀もこういうルールが固定するのであればやめた方がいい。再協議して牛肉だけでも関税撤廃までの期間を短くしてもらえるよう求めるべきだ」と安倍総理に迫った。安倍総理は「交渉内容について深い議論をするなら甘利大臣を呼んでもらえばよかった」などと開き直っただけで、玉木議員への明確な答弁は示さなかった。
FOLLOW US