子どもたちの防犯に対する意識や行動を、体験しながら学んでもらう施設「BO―KEN(ぼうけん)あいち」が10日、名古屋テレビ塔(名古屋市中区)にオープンした。小学生が対象で、施設内を歩いて街中の危険な場所を知り、大声を出す練習をする。

 愛知県警が企画し、NPO法人「体験型安全教育支援機構」の清永奈穂代表理事が監修した。引率する「先生役」や声をかける「不審者役」は、12時間以上の研修を受けたボランティア約150人が担う。

 「この扉を開けると、皆さんは自分で身を守らなければなりません」。初日に体験した愛知教育大付属名古屋小学校の児童約10人のグループは体験室の前に到着すると、先生役の男性からこう告げられた。

 児童は、実際の街並みや公園を忠実に再現したセットの中を約20分かけて歩く仕組み。途中、「猫を探してほしい」と空き家に誘導しようとする男性や、電柱の陰でじっと見つめる女性など次々と不審者や危険が襲いかかってくる。その度に子どもたちは大声を上げたり、走って助けを求めたりし、防犯に対する知識を深めていった。

 同校4年の水野帆乃香(ほのか)さん(10)は「怖かった。もし、不審者に会ってしまったら、『助けて』と叫んだり、大人の助けを借りたりして気をつけたい」。引率した伊藤昭良(あきら)教諭(34)は「学校ではなかなか教えられない。有意義だった」と話した。

 23日までの期間限定。県内外の団体や個人からも申し込みを受け付けている。予約は県警子ども女性安全対策課(052・951・1611内線3444)へ。(小林直子)