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リターンライダー:「過信だめ」中高年、交通事故に注意を

毎日新聞 2015年11月10日 22時10分(最終更新 11月10日 22時11分)

正面衝突で2人が死亡し、大破した大型オートバイ=群馬県桐生市黒保根町下田沢の国道122号で6月28日、杉直樹撮影
正面衝突で2人が死亡し、大破した大型オートバイ=群馬県桐生市黒保根町下田沢の国道122号で6月28日、杉直樹撮影

 ◇群馬県内で大型二輪事故で42〜61歳の計5人が死亡

 中高年になって再びオートバイでツーリングを楽しむ「リターンライダー」の事故が懸念されている。群馬県内では今年、7月までに大型二輪の事故で42〜61歳の計5人が死亡し、昨年1年間の死者3人を上回った。県警は「瞬時に加速するレース用のような高性能バイクが市販されているが、中高年の身体能力は若いころより低下している。油断や過信をしないでほしい」と注意喚起している。【杉直樹】

 桐生市黒保根町下田沢の国道で6月28日、大型オートバイ同士が正面衝突し、みどり市の男性(61)と前橋市の男性(52)が頭を強く打ち死亡した。7月13日には上野村の十石峠の国道でも大型オートバイ同士が衝突し、横浜市の男性(42)が死亡した。いずれの事故も、カーブが続く山中で起きている。減速せずにコーナリング技術を競う「ローリング族」が多かった峠道だ。県警は、事故多発の背景には中高年の根強いオートバイ人気があるとみている。

 日本自動車工業会によると、二輪車の販売台数は長く減少傾向だったが、最近5年ほどは中高年の需要で下げ止まっている。2013年は新車購入者の8割近くが40歳以上で、平均年齢は51歳だった。イベントや啓発活動を企画する日本二輪車普及安全協会は「今の40〜50代は1980年代のバイクブーム全盛期を経験した世代。子育てを終えて時間的にも金銭的にも余裕ができ、趣味で運転を再開する人が多い」と分析する。

 一方、加齢に伴い瞬発力や体力は低下し、老眼も進行することから、反応速度が遅くなるのは避けられない。昔と同じ気分でスピードを出すと、重大な事故につながる恐れがある。県警交通企画課は「二輪車事故の原因の約7割はブレーキとハンドル操作の過失や前方不注意」と指摘し、体格や体力に合った大きさのバイクを選ぶ▽死角を避け、四輪車と並走しない▽カーブの先に対向車が来ると想定する−−といった対策を呼びかけている。

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