井上裕一、歌野清一郎
2015年11月11日05時27分
安定した職業の代名詞ともいえる公務員。大阪市は9月末、「能力不足」を理由に職員2人を民間の解雇にあたる免職処分にした。公務員もクビになる時代が来たということなのか。
「仕事ができないなら辞めてもらう。当たり前のこと」。大阪市の橋下徹市長は処分当日、自身のツイッターでそう強調した。免職にあたる分限処分になったのは都市整備局の40代と港湾局の30代の男性2人。市や同僚によると、仕事ぶりは決してほめられたものではなかったようだ。
パソコンに入力する数字を頻繁に間違う▽作成した文章の意味が通じない▽手をつけていない仕事を「やっている」と報告する▽昼休みが終わっても職場に戻ってこない……。ある同僚は「頻繁にミスがあった。簡単な資料作成も誰かがやり直す必要があった」と話す。
公務員の処分は民間企業の「クビ」と何が違うのか。社会全体に奉仕する公務員が政治家の圧力でクビになると、中立な仕事ができなくなる。このため、法律は本人の意に反して処分できないと定めている。
ただ、犯罪や不祥事にかかわれば懲戒処分でき、懲戒ほどの非がなくても、公務の能率を保つための「分限処分」もできる。ブンゲンとは「身『分』の『限』界」が語源で、勤務実績が悪い▽適格性に欠ける▽心身の故障などが該当する。懲戒免職に退職金は出ないが、分限免職は出る。実は人事院や総務省によると、これらの分限免職は2013年度は国家公務員で13人、地方公務員で88人にのぼる。
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