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【社説】

閉会中審査 臨時国会を開いてこそ

 改造内閣が何を目指すのか。大筋合意に至ったTPPによって、どんな影響があり、どんな対策が必要か。わずか二日間では議論が深まるまい。やはり憲法の規定通り、臨時国会を開かなければ。

 せっかくの機会だが、議論は消化不良の感が否めない。衆院予算委員会できのう閉会中審査が行われた。きょうは参院予算委に舞台を移し、同様の審査が行われる。

 例年なら臨時国会が開かれている時期である。野党側は憲法に基づいて臨時国会を開くよう求めたが、政府・与党は安倍晋三首相の外交日程や二〇一六年度予算編成を理由に召集を拒んでいる。

 通常国会が九月下旬に閉会した後、首相は内閣を改造し、「新三本の矢」「一億総活躍社会」を打ち出した。改造内閣でどんな政策実現を目指すのか、国会で所信を明らかにし、与野党議員の疑問に答えることが責務のはずだ。

 交渉が続いていた環太平洋連携協定(TPP)も大筋合意に達した。野党側の指摘通り「協定に関する情報開示がほとんどなく、合意に至った経緯は全く不透明」。国民の代表が集う国会に対して合意内容を説明して影響や問題点を論じ、どんな対策を講じるべきか議論を深めることが必要だ。

 にもかかわらず、政府・与党は国会を開こうとしない。二日間の閉会中審査で事足れりとするなら、思い違いも甚だしい。外交や予算編成という表向きの理由とは別に、取り沙汰される閣僚スキャンダルへの追及をかわす狙いがあると勘繰られても仕方がない。

 国会閉会中には本会議が開かれず、法律を成立させたり、人事案件に同意することもできない。

 年内に臨時国会が開かれなければ、国会の同意が必要な政府人事のうち十二月に任期が切れる公正取引委員(一人)や会計検査院の検査官(一人)は不在になる。

 マイナンバー制度を監視するため来年一月一日に発足する内閣府外局「個人情報保護委員会」は、新たに任命される委員四人の国会同意手続きができない。

 八月の人事院勧告に基づく国家公務員給与の引き上げ法案も、来年の通常国会以降に持ち越しとなる。国政に対する影響を放置してまで、国会召集を拒む必要性がどこにあるのか。

 そもそも臨時国会の召集要求は憲法五三条に定められた重い手続きだ。前例があるからといって拒み続けるのは、憲法軽視の安倍内閣の政治姿勢そのものである。再考を繰り返し、促したい。

 

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