2015年11月11日00時58分
17年前に栃木県小山市の男性を殺害したとして、県警捜査1課と小山署は10日、茨城県結城市の無職の女性(66)と小山市の男性(当時39)=2006年に死亡=を殺人容疑で宇都宮地検栃木支部に書類送検したと発表した。書類送検は8月20日付。県警によると女性は「殺して埋めた」と容疑を認めていたが、地検は10日、この男女を不起訴処分とした。理由は明らかにしていない。
捜査1課によると、2人は共謀して1998年5月ごろ、結城市の女性宅で飲食業鈴木秀治さん(当時61)=小山市駅東通り1丁目=を殺害した疑いがある。事件当時、女性と鈴木さんは交際中で、女性宅に同居していた。女性は「殴る蹴るなどの暴力に耐えかねていた」と、知人の男性に報酬100万円で殺害を依頼。女性が鈴木さんに酒を飲ませて眠らせ、男性が殺害したという。
鈴木さんの長男が昨年12月に行方不明届を提出し、県警が捜査を開始。女性が昨年10月、鈴木さん名義のキャッシュカードを使い、年金として支給された現金19万6千円を引き出したとして、今年5月に窃盗容疑で逮捕=10日付で不起訴=された。その後の調べで殺害を自供したという。
■「けんかして物投げる音も」
突如発覚した17年前の殺人事件。県警によると、女性と鈴木さんは1996年ごろから交際し、同居を始めた。女性の供述では、鈴木さんは酒を飲むと頻繁に暴行を繰り返していたという。当時の2人を知る人は「よくけんかして物を投げる音も聞いた」と話す。
県警の調べでは、女性は顔見知りだった男性とともに鈴木さんを殺害し、遺体を車で野木町内の渡良瀬川河川敷に運び、スコップで穴を掘って埋めたという。
家族と疎遠だった鈴木さんは昨年まで行方不明の届け出もなく、鈴木さんの口座には年金も振り込まれていた。その年金に手を付けたことが逮捕のきっかけになった。5回計100万円程度を引き出し、生活費に使ったと県警はみている。一方、男性は2006年に千葉県内で自殺。生前は周囲に殺人を犯したことをほのめかしていたという。
県警は供述に基づき、6月に遺体を捜索したが発見できなかった。現場は何度も大雨で冠水しており、遺体が流出した可能性もある。物的証拠が見つからず、逮捕や起訴には至らなかった。ある捜査関係者は「殺人の時効は無くなったが、17年の壁は高すぎた」と話した。
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部
PR比べてお得!