はやぶさ2:スイングバイで地球最接近へ 12月3日

毎日新聞 2015年10月14日 20時20分(最終更新 10月15日 06時28分)

小惑星探査機はやぶさ2の地球スイングバイのイメージ
小惑星探査機はやぶさ2の地球スイングバイのイメージ

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は14日、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球の重力を利用して加速し、小惑星リュウグウに向かって軌道を変える「地球スイングバイ」で、12月3日午後7時7分に地球に最接近すると発表した。JAXAは、各地の天文台や愛好家に、はやぶさ2の撮影や観測を呼び掛けるキャンペーンを実施する。

 はやぶさ2は地球スイングバイで、太平洋上空を北から南へ飛行し、最接近時はハワイ上空の高度約3100キロを地球から見て秒速約10.3キロで通過する。日本で最も観測条件の良い北海道では、日没から3時間程度はやぶさ2を観測できるという。明るさは10等級程度と肉眼では見えないが、大型の望遠鏡を使えば観測できる可能性があるという。

 スイングバイは、惑星や月の重力を利用して、探査機の軌道を目標天体に向けて変更したり、加速・減速したりする航法。大幅な燃料の節約が期待できる。一方、スイングバイを成功させるためには、計画通りの軌道で地球の間近をかすめ飛ぶことが必要。JAXAによると、今月8日時点のはやぶさ2の位置からみると、「東京から富士山山頂にいるダニ(体長0.1〜0.7ミリ)をのぞきこむ」ような精度で飛行することになるという。

 昨年12月3日に打ち上げられたはやぶさ2は14日現在、地球から約2000万キロの位置にあり、小惑星リュウグウを目指している。JAXAの津田雄一プロジェクトマネジャーは「はやぶさ2としては今まで経験したものとは違う新しいチャレンジ。着実に進めたい」と話した。【斎藤広子】

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