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軽減税率:「消費増税と同時」 菅氏、還付金案を撤回

毎日新聞 2015年10月13日 15時05分(最終更新 10月13日 15時37分)

菅義偉官房長官=竹内幹撮影
菅義偉官房長官=竹内幹撮影

 菅義偉官房長官は13日午前の記者会見で、食料品などの消費税率を低く抑える軽減税率について、「2017年4月の消費税引き上げの際に、同時に導入するのは極めて自然なことだ」と述べ、同時導入を検討する考えを表明した。菅氏が導入時期を明言するのは初めて。同時導入を求める公明党の主張を踏まえ、自民党に検討を促した形だ。菅氏はまた「少なくとも財務省の案ではない」とも語り、財務省がまとめたマイナンバーカードを活用する還付金案を撤回する方針を明らかにした。

 菅氏は「軽減税率は(昨年の衆院選の)自民党の選挙公約、与党の連立合意で国民と約束している。進めるのが当然のことだ」と強調。その一方、「さまざまな複雑な手続きが必要になる中小事業者に十分に配慮し、理解を得て進めるのは極めて大事だ」とも述べ、制度面で負担を軽減する必要性を指摘した。

 菅氏はこれに先立つ12日のBSフジの番組で「(消費税率)引き上げと一緒に導入すべきだ」と発言。その後に記者団に「税率引き上げと軽減税率を一緒にやらないと逆に混乱が生じる。与党の中でこれからしっかり対応してほしい」と注文を付けた。

 自公両党は昨年12月の衆院選の共通公約で、軽減税率の「17年度からの導入を目指す」と明記した。ただ、導入時期は公明党が税率引き上げと同時を主張。これに対し、自民党では財源確保や事業者の事務負担の軽減が困難だとして慎重論が根強く、与党協議が難航していた。

 公明党は過去3回の国政選挙で「軽減税率導入」を公約してきた。山口那津男代表は13日朝、羽田空港で記者団に対し、「政府の高官の立場でわが党と同じ方針を示した。今後の協議の大きな指針になる」と歓迎する意向を示した。

 これに対し、自民党の谷垣禎一幹事長は記者会見で「大事なのは自公両党が納得することだ。実務が混乱しない仕組みを考えるべきだ」との考えを示した。【高本耕太、横田愛】

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