北朝鮮の「公開処刑」はこうして行われる

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北朝鮮における人権侵害を追及する国連決議案の作成が、主要各国の間で進められている。

決議案づくりは10月上旬から始められており、順調に行けば昨年に続きこの年末も、国連は北朝鮮にとって「修羅場」となるだろう。

北朝鮮の人権状況を巡っては、国連の調査委員会は2014年2月17日、北朝鮮政府による処刑や飢餓、拉致問題をはじめとする人権侵害を「人道に対する罪」と認定する最終報告書を発表。昨年末には安保理の公式議題になった。

これは近い将来、金正恩氏がヒトラーと同列に扱われる可能性を意味している。

それにもかかわらず正恩氏は、その後1年の間に、さらに新たな追及材料を提供した。側近である玄永哲元人民武力相を、大口径の高射砲で文字通り「ミンチ」にして処刑。これが世界的ニュースとなったのだ。また、昨年10月に行われた公開処刑については、その場面が衛星画像で確認されている。

こうした処刑を関係者や民衆に無理やり見せて、恐怖心でコントロールしようとするやり方は、武装勢力「イスラム国」(IS)の所業と本質的に変わらない。ちなみにネット上では、ISが捕虜をバラバラに吹き飛ばして処刑した動画について、「北朝鮮から流出したものだ」と噂されたこともあった。

ただ、北朝鮮の公開処刑の残虐さは広く知られるようになったものの、それがどのようなプロセスで行われるかはほとんど情報が共有されていない。公開処刑が民衆を操る手段である以上、北朝鮮の人権侵害の本質を見極めるには、そのプロセスや仕組みについて知るのは必要不可欠な取り組みである。

米国のニュースサイト「NKニュース」は、かつて北朝鮮で公開処刑に関わった人物の証言も交え、そのプロセスについて解説している。この人物の証言によれば、「死刑囚は鬼の形相で息絶えていた」というが、言われなく死に追い込まれた人々の怨念の深さを思い知らされる。

北朝鮮における処刑は、刑場でのみ行われるわけではない。1998年には、当局の横暴に抗議した製鉄所の労働者数百人が、戦車で次々に轢き殺された事件があった。これを主導した軍の弾圧部隊の指揮官は、まさか独断で労働者を殺したわけではあるまい。北朝鮮では、すべての国民の生命は国家に従属している。軍の高官といえども、それを勝手に殺すことは許されない。ということは、弾圧部隊の指揮官は軍上層部から「殺りく」の許可を与えられたのだ。では、軍上層部には誰が、どのような形でその権限を与えたのか。

北朝鮮の人権侵害を追及するということは、こうした謎を解明していくことでもある。