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韓国銀行によると、2015年6月の韓国の経常収支が122億9000万ドル(約1兆5291億円)の黒字となり、上半期の黒字額総計が史上初めて500億ドル(約6兆2210億円)を突破したとのことである。以前の韓国であれば、「わが国の経常収支が史上最大の黒字を記録した!」などと、報道で騒ぎ立てていたところだ。
最近の韓国の経済関連の報道は、随分と冷静になっている。経常収支の黒字が最大になったことを受け、「なぜ、黒字が膨らんだのか」についても、冷静な記事が書かれるようになったのだ。
実は、韓国の上半期の経常収支黒字が膨らんだのは、輸出の増加ではなく「輸入の減少」によるものなのである。
経常収支とは、「貿易収支」「サービス収支」「所得収支」「経常移転収支」の4収支からなる。韓国の経常収支に最も影響を与えるのは貿易収支だ。貿易収支は「財の輸出」から「財の輸入」を引いて計算される。輸出が伸び悩んだとしても、輸入が激減すれば、貿易収支や経常収支の黒字は拡大する。
現在の韓国の財の輸出は、伸び悩みどころか減少している。韓国の7月の輸出額は、前年同月比3・3%減少となった。これで、7カ月連続のマイナスである。
ところが、輸入の方は2ケタを超える減少になっているのだ。通関基準で見た韓国の6月の輸入は前年比13・6%減少。さらに、7月は15・3%の減少である。輸出が減ったにも関わらず、それ以上に輸入が減少し、貿易収支、経常収支の黒字が拡大する。まさに、典型的な「不況型経常収支黒字の拡大」である。