藤田遼 野上英文
2015年11月9日15時02分
大阪都構想を主な争点とする大阪市長選が8日、始まった。住民投票からほぼ半年。大阪維新側と非維新側が、初日から舌戦を繰り広げた。
■吉村陣営、南部や湾岸部の「弱点区」に重点
大阪維新の会の吉村洋文氏(40)の第一声は8日午前、JR大阪駅前で。橋下徹大阪市長を横に、強調したのは高齢者施策だった。
「本当に行政がやるべきことは真に支援が必要な高齢者を見捨てるのではなく、サポートすることだ」
5月に大阪市内で行われた住民投票で大阪維新は、市営地下鉄・バスの「敬老パス」の一部負担化など高齢者に厳しい橋下市政のイメージ返上に苦心した。
橋下氏は都構想再挑戦を宣言したうえで「やり過ぎたところは修正する」と主張。そして、去り際に告げた。「次の会場、維新が弱い所にまた行ってきます」
住民投票で反対多数だった「弱点区」は市内24区のうち13区。吉村氏らはこの後、8区で街頭演説し、うち6区が弱点区だった。弱点区は南部や湾岸部に集まっており、大阪維新の市議は「高齢者が多く、経済的な基盤の弱い地域が目立つ」と分析する。
10月1日以降、告示日も含めて橋下氏は弱点区に21回入った。賛成多数だった区の8回を上回る。中でも、市内最多の人口約20万人を抱える平野区は3回。1万票以上差を開けられた「最重要区」で、吉村氏も8回入り、周辺市の維新議員を大量投入する。陣営は少なくとも中盤までは弱点区を重点に回る方針だ。
橋下氏はこの日、弱点区の此花区で住民投票の結果を「南北問題」と呼び、こう解説した。「子育て世代が集まり、経済的に上向きの北部が賛成。少子高齢化のスピードが激しく、経済的にも下向きになっている南部と湾岸部が反対」
そして、地域差がある市内を分割し、選挙で選ばれた特別区長が各地域の課題に全力を尽くす――。住民投票で目立たなかった都構想のメリットを挙げ、「少子高齢化時代を乗り切れる」と訴えた。(藤田遼)
■柳本陣営、反対派が連携「包囲網」再現狙う
「大阪市における制度論は5月17日で終わった」
自民党推薦の柳本顕氏(41)は8日夕、JR天王寺駅前で言い切った。行く先々で都構想を批判。ボルテージは上がっていった。
雨の告示日。防寒ジャンパーの下のスーツの襟に、ハートのマークと「つなごう! OSAKA」の文字が入るバッジがのぞく。ダブル選で、都構想反対派に広く使われているロゴだ。
住民投票で自民党は、民主党や共産党と反対運動を展開。当時のロゴは手形マークと「We Say NO!」の合言葉の組み合わせで、のぼりやビラに使われて連携の象徴となった。
都構想が再び争点となる今回も、自民は政党や各種団体による「包囲網」の再現をもくろみ、他党も呼応する。ただ、国政で対立する共産党との連携には自民支持者からも不満が噴き出す。中山泰秀大阪府連会長も共産党に「こちらから(支援を)要請しない」と一線を引く。大阪維新が「理念なき組織票集団」(吉村氏)と、連携を批判している点も背景にある。
一方で「5月は反対派がまとまって競り勝てた。支援はあるだけ欲しい」(自民党府連幹部)のが実情。そこで使われるのが「つなごう!」のロゴだ。連合大阪などでつくる政治団体「府民のちから」が考案。柳本氏を「自主的支援」する共産党は地方議員がバッジを付け、加盟する政治団体が政策ビラに載せる。
ただ、賛成か反対かの住民投票と違い、自民党推薦候補の名前を書く選挙は、連携のハードルも高い。告示日の柳本氏の街頭演説でマイクを握ったのは自民党本部の茂木敏充選対委員長や府連の国会議員。聴衆に交じり演説を見守った共産党市議は「自民色が強い。もう少し連携色が出せるかと思っていたけど」と戸惑いを見せた。(野上英文)
■橋下徹市長「8年間、過去に戻さないで」
大阪の自民党は「われわれは自民党だから安倍首相に頼んで大阪を活性化してもらう」と言います。これこそが古い政治なんです。府民市民の手で日本の政治を動かしていく。そういうことをやらないと大阪の再生はできないという思いで国政政党「おおさか維新の会」を立ち上げ、大阪都構想を提案したわけです。
この8年間、いろいろおしかりを受けることもありますが、過去に戻さないで下さい。僕がやり過ぎたところは、吉村がちゃんと手直しをしていきます。
自民党、民主党、共産党が組むと本当に強いですよ。これを打ち破ろうと思うと、一般の有権者が戦ってくれなきゃいけない。税金を払っている側の方が、税金をもらっている側より本当は政治的に強い。そういうことを見せないと日本の政治は変わりません。(8日、JR大阪駅前の吉村氏の第一声で)
■関淳一・元市長「劇場型行政、もうやめて」
こういう所で話すのは8年か9年ぶりなので緊張してるんですが、今度の選挙は大阪の街に、住んでる人にとって大事な選挙だと強く思っています。それで、初日の今日、(柳本)顕さんを激励したいと思って来ました。
いま、(大阪)維新を中心に、改革、改革と、そればかり言っているわけですけども、組織というのは、ずっとどんなときも改革を続けていないと必ずだめになります。私はそれを組織疲労と呼んでいました。ただ、ここで大事なことは、改革というのは、決して目的ではない。一つの手段です。その先の街の形をしっかりイメージして改革しないといけない。改革で終わりという、劇場型の行政は、もうやめてほしいと思っています。
彼とは長い付き合いですが、非常に責任感が強い。苦しい仕事ですが、やり切ってくれると思います。(8日、西成区の柳本氏の演説会で)
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