山口祐二郎が直言「時代から取り残された中核派は仲間より組織を総括しろ!」
2015.10.02
本年9月。我らがニュースサイトR-ZONEの執筆者である、作家、活動家の山口祐二郎が、【週刊金曜日ルポタージュ大賞】佳作入選を果たした。山口が受賞した作品は『在特会壊滅への道』。ヘイトスピーチ(差別扇動表現)をする人種差別団体、『在特会(在日特権を許さない市民の会)』等に対する、カウンターと呼ばれる、自身の抗議活動の自叙伝だ。受賞作品には衝撃の内容が綴られていた。当時在特会会長、桜井誠が引退をする背景、関西の中心的な人種差別団体『純心同盟』を解散にまで追い込んだエピソードまでが記されていたのだ。カウンターで差別主義者に一番ダメージを与え、結果を出した人物は山口といっても過言ではないだろう。そんな山口は今、何を考えているのか。山口に取材をするべくコンタクトを取ったところ、ピンク色ネオンに薔薇色カーテンの怪しい場所に呼びだされてインタビューをおこなった。
──(編集部) このたびは受賞おめでとうございます。今回、インタビューをお願いしたわけですが、どうしてこのような場所に呼んでいただいたのでしょうか?
ワイングラスを傾ける山口祐二郎さん
山口 特に意味はありません。まあ固いこと言わないでください。とりあえずワインでも飲みませんか?
── いただきます。では、インタビューに入りますね。今回の受賞作品『在特会壊滅への道』では、昨年8月に山口さんが在特会等100人以上に襲われた際、非暴力で攻撃を受け続け事件化に持ち込み、その後、数多くの逮捕者を出した在特会等を追い込んでいくエピソードが印象的でした。
山口 確かに結果的には、僕との事件後に当時在特会会長だった桜井誠が引退をして、関西の人種差別団体、純心同盟が解散をしましたね。僕は昔からいじめられっ子だったんで、リンチは慣れてるんですよ。昔、チンチンを持たれてプロペラみたいにされて振り回されたこともありますからね。そのせいかは分かりませんが、いまだに包茎ですね。
── 辛い過去があったのですね。また作品では、警察とのやり取り、そして在特会等逮捕後の検察とのやり取りに驚きました。山口さんは、「朝鮮人!」と言われながら襲われていますね。ただの傷害事件ではないヘイトクライム(差別意識から起こる犯罪行為)だと、山口さんが刑事、検事に伝えたのが在特会等を追いこむ結果に繋がったんだと思います。
あまり警察と仲良く見えない街宣中の山口さん
山口 僕は元々、警察とは仲良いんですけど、事件担当や、上層部が僕の言ったことを理解してくれ動いてくれたのは、何より心ある人だったからだと思っています。検事も同様です。中には、差別主義者に肩入れをする腐った刑事や検事もいますからね。そういうケースだと、非暴力で我慢して殴られ続けても、事件化せずに差別主義者は逮捕されなかったりするんです。実際、僕は一切手を出していないのにも関わらず、在特会側も被害届を出していたらしいですしね。警察や検察を飲み込むぐらいの動きをしなければいけないと考えていますね。
── 肋骨2本を折られたみたいですが、よく我慢できましたね。殴られていて反撃したくなりませんでしたか?
山口 ならなかったですね。むしろチャンスだと思い、攻撃を受け続けることに徹しました。『あしたのジョー』を読んだことがありますか?
── すいません、ないです。古い漫画お好きなんですね。
山口 主人公のジョーの得意技で、ノーガード戦法というのがあるんです。とことん殴られ続けて耐えた末に、相手がとどめを刺そうとストレートを打ちこんできた時にクロスカウンターをするんです。そういった感覚ですね。失敗すればボコボコにされるだけで終わるという捨て身のテクニックです。あまりやりすぎると、丹下段平いわく、平家ガニみたいな面になってしまいます。
── 元ネタが分からないのでいまいちついていけません。その後の話をしたいのですが、山口さんはそこまでして在特会等にダメージを与えたのに、元関東連合リーダーの工藤明男さんとの関係を批判され、それまで所属されていた『C.R.A.C.(クラック)』を自主的に脱退されましたね。そのことについて、今はどうお考えでしょうか?