7月6日、青森朝日放送がチャーターしたヘリコプターが、自衛隊艦船の火災取材中に墜落しました。
そして、20代のアナウンサーと30代のカメラマンが、機長など2名とともに死亡しました。
私はこのニュースを聞いて「またか」と思いました。また、「自衛隊艦船の火災の取材は命をかけてするほどの価値のあるものなのか」などとも考えました。
テレビ局など報道機関のヘリコプター事故は極めて多い感じがします。
1990年以降についてみると、事故を起こしたのは(チャーター機事故も含む)、NHK、朝日新聞、毎日新聞、フジテレビ、長野放送、テレビ信州、青森朝日放送です。そして7回の事故で、30人以上の死者を出しています(以上、『毎日新聞』08.7.28)。
ヘリコプターについて、私の頭には「危ないもの」という認識があります。
それは私が事故の状況を調べたためではありません。ある人のひとつの発言を、直観的に信用しているためです。
元NTTの真藤(しんとう)社長は、1987年頃に、社内に向け「ヘリコプターは危険だからあまり使わないように」といった趣旨の指示を出しています。
NTTでは通常の業務でヘリコプターを使うことはありません。多分、山間部の無線中継所の保守建設のためなどで、ごくわずかに使用していたものと見られます。
真藤社長は、そのわずかなヘリコプター使用についても「危険」を感じていたのだと思います。
さて、それより10年ほど前のことだと記憶していますが、あるとき私は何かで「飛行機は軍事技術の域を出ていない」といった解説を読みました。飛行機事故は輸送手段としては事故が多すぎ、戦争で使うのならいざ知らず、旅客を運ぶ輸送手段のレベルに達していないという指摘です。
私はこれを見て、事故の多いジエット機の本質が少しわかったような気がしました。
私は上記の指摘が頭に残っていたため、真藤社長の指摘が深く心にのこったのです。
テレビ局など報道機関の経営責任者は、ヘリコプターの怖さは気がついていると思います。しかし、なお一層、事故面から見たヘリコプターの技術の程度を自ら把握し、使用を限定的にするよう要望しておきます。
また、もし報道機関の労働組合が機能しているなら、同じことを要望します。
(参考)海外の観光地などで遊覧飛行している軽飛行機も事故が多いと指摘されています。