日本における領土問題は東シナ海では中国との尖閣諸島、日本海では竹島。
そしてオホーツク海では北方領土問題があります。
今回は北方領土問題のあまり知られていない事実を紹介します。
北方領土とは歯舞諸島、色丹島、国後島、択捉島の4島と思っていませんか。
実は、択捉島の先にある千島列島の占守島まで。 そして北緯50度線で
区切られた樺太の南半分である南樺太も日本の領土でした。
当時、大東亜戦争の早期終結を目的にアメリカの大統領ルーズベルトは1943年
10月に千島列島と樺太をソ連領とする事を容認するとしてソ連の参戦を要請。
1945年2月のヤルタ会談で具体化。1945年4月には1941年に日本とソ連間で締結
された日ソ中立条約をソ連が一方的に破棄。
日本政府はソ連との日ソ中立条約を頼みにソ連を仲介役とした外交交渉により
領土問題や自国民の生命などを含めた有条件による降伏に持ち込もうとして
いたが、結果的にソ連に裏切られた形になる。
【ソ連戦と占領までの経緯】
1945年8月8日 ソ連は日本に宣戦布告。
8月6日に広島に原爆が落とされた2日後であり、日本にはもう戦力も無くなっていた時期である。
1945年8月10日 日本はポツダム宣言の受諾を連合国に伝達。
1945年8月11日 ソ連軍が南樺太の国境を侵犯し侵攻を開始した。
1845年8月15日 日本国民に向けて玉音放送 大東亜戦争は日本の敗戦で終結。
1945年8月18日 ソ連軍がカムチャッカ半島方面から千島列島に侵攻。
1945年8月20日 真岡郵便電信局事件発生。
1945年8月22日 三船殉難事件発生。
1945年8月25日 南樺太占領。
1945年8月28日 択捉島、国後島、色丹島に侵攻し9月1日に占領。
1945年9月2日 連合国への降伏文書に調印。
1945年9月2日 赤軍が歯舞諸島に侵攻し9月5日に占領。
これが一連の流れです。
いかがでしょう。
ソ連は日本との中立条件を一方的に破棄して北方領土に侵攻。
連合国のアメリカ、イギリスは戦闘行為を中断したが、ソ連は戦闘行為を続けた。
占守島などに猛烈な艦砲射撃を行い、8月15日で終戦し武装解除した筈の日本軍は
北海道への侵攻を防ぐために再武装し8月31日まで戦ったのです。
さらにソ連軍は侵攻の際に非戦闘員である民間人の生命、財産も奪い、婦女子には
強姦まで働いた。
8月20日には真岡郵便電信局事件が発生し当時、通信士の10代から20代のまだ未来
のある女性10名がソ連兵に強姦されるくらいならと青酸カリやモルヒネなどで自決。
うち9名が亡くなっている。 彼女らは凄まじい砲撃の中で最後まで本土との通信を確保
しようと尽力したそうです。
8月22日には三船殉難事件が発生。
主に婦女子を中心とした泰東丸、小笠原丸、第二号新興丸の三隻の引き揚げ船が樺太
から出発したが、泰東丸と小笠原丸の二隻がソ連軍の潜水艦の魚雷や砲撃で撃沈。
第二号新興丸は機雷敷設船として徴用されていたため僅かながらの武装で応戦したが
大破、自力で留萌港に入港した。
それだけじゃない。
泰東丸は戦時国際法に則り、白旗をあげて降伏したが浮上したソ連の潜水艦は白旗に
よる降伏を無視して非武装の引き揚げ船に向けて一方的な砲撃を続け撃沈。
700名中667名が死亡している。 三船殉難事件では合計1700人以上が亡くなっている。
もうこれは戦争などではなく単なる武装強盗としか言えないような愚行です。
本来なら日本はソ連(現ロシア)に謝罪要求が出来ると思いませんか。
これが日本じゃなく韓国だったら千年でも謝罪しろって言い続けていると思いますよ。
そしてソ連は南樺太から北方4島を含む千島列島を一方的に自国領土と宣言して
現在もロシア領として不法に占領しています。
【国際的な条約】
戦前
1855年 日露通好条約
日本とロシアは日露通好条約を結び両国の国境は択捉島とウルップ島の間で決定。
択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島の北方4島はこの時にロシアとの間で法的に
定められました。 樺太全島も日本の領土でした。
1875年 千島樺太交換条約
千島列島をロシアから譲り受けるかわりに樺太全島を放棄しました。
この時に千島列島として占守島からウルップ島まで18の島を挙げています。
択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島の4島は千島列島とは挙げていないのです。
1905年 ポーツマス条約
日露戦争に勝利した日本はロシアとポーツマス条約を結び北緯50度線より南部の
南樺太が日本の領土となりました。
戦後
1951年 サンフランシスコ平和条約
サンフランシスコ平和条約が日米間で結ばれ日本は南樺太と千島列島の権利を放棄
したが、ソ連(ロシア)は条約の署名を一方的に拒否。 この条約は日米間でのみ
有効になっています。 千島列島とは占守島からウルップ島までの18の島の事で、
択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島は含まれておらずこの4島は一度も外国の領土
になった事がありません。
1956年 日ソ共同宣言
これにより両国との国交は回復し関係は正常化されたが、それにも
関わらずロシアは北方領土問題はすでに解決しているなどと発言。
現在まで一方的にロシア領と勝手に宣言して不法に占領を続けています。
つまりロシアと日本との間で残っている国際的な条約は進展がないため1905年の
ポーツマス条約が有効になったままであると判断出来ます。
北方4島だけではなく、南樺太も千島列島も日本の領土と言えます。
終戦間際の一方的な参戦と民間人を巻き込んだ悲惨な戦闘だけではなく、条約にも
署名しない不法な占領状態のままなので4島返還とか2島返還とか話が出ていますが、
勝手に占領している状態なのに返還するという事態が間違っているのです。
つまりですね、もっと分かりやすく説明すると
ヤクザが鉄砲持って自宅にいきなり乗込んで来て家族をバンバン殺してそのまま
自宅の2階に居座って、ここは俺の家だ。 そう言っているのと同じです。
ロシアがやっているのは武装強盗と同じなんですよ。
【何で今この話をするのか】
なぜ、この話を今更、蒸し返すのかというとロシアのプーチン大統領が来日したいと
いう空気が出ているからです。
ロシアの経済の中心は莫大な化石燃料を売る事が中心ですが、その最大の相手で
あった中国の経済が天津の大爆発を含めてドタバタの状態でパートナーとしては
悩みどころな訳です。
そうなると日本が次にパートナーになるところですが、日本とロシアの間には、そう
この北方領土問題があります。
そこに樺太付近の地下から莫大な埋蔵量のメタンハイドレードが見つかりました。
メタンハイドレードとはメタンガスが地下の高い圧力で固体化した状態のもので
別名、燃える氷とも言われるもの。 現状では固体のまま発掘するコストが高く、
実用化されていませんが日本が近年中に技術を得るだろう。 そうなると経済的
に中国より日本をパートナーにしたいと考えるのは当然でしょう。
日本と友好な経済関係を結ぶには、まず北方領土問題をなんとか解決したいのが
プーチン大統領の本音です。
おそらくプーチン大統領は色丹島と歯舞諸島の2島返還を条件に出すでしょう。
しかし先に書いた事を思い出して下さい。
北方領土は国際上、外国の領土に一度もなっていないのですから返還なんて事が
間違い。 日本とロシア間は戦前のポーツマス条約までが生きていますからね。
日本は返還という条件に一切乗ってはいけないのです。
北方4島はロシアが戦後処理のどさくさに紛れて勝手に占領しているのだから
無条件で出て行ってください。 これが交渉カードの1枚目。
さらに過去のソ連の一方的な攻撃による民間人の被害などに関して謝罪を要求。
これが交渉カードの2枚目。
まず日本は恐れずに、まずは2つの外交カードを切ればいいのです。
ロシアには北方4島を日本領と認めさせ、南樺太のメタンハイドレードの採掘を
日露共同で開発すると提言。 資源開発を中心に経済的な友好条約を結ぶ。
ここで2枚目に出した謝罪のカードを引っ込める。
これができれば北方領土問題は一応の解決と言えるのでは無いでしょうか。
外交カードの切り方を日本は間違えてはいけないのです。
これが出来るのは自民党と安倍首相だけでしょう。
そして現在、国会で審議中の安保法案も重要です。
自衛隊がもっと動きやすくしないといけません。
ロシアは憲法9条があるから日本は戦争できないと思っていて舐めているんです。
いざとなったらやってやるぞ! という姿勢が見えない限りロシアは対等な形で
交渉のテーブルにつかないでしょう。
ロシアが主張する国境線ギリギリまで海上自衛隊の艦船を並べる位のアクション
を日本は取るべきなんです。
長くなりましたけど、そのためには北方領土の知識を広く日本人は知っておくべき
なのです。
2島でも4島でも返還なんて条件には絶対に応じてはいけないのです。
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