「きょうの健康」今週は「気づきにくいホルモンの病気」と題してお伝えしています。
今日お話をして下さる方ご紹介します。
よろしくお願い致します。
腎臓内分泌代謝内科でホルモンの病気がご専門です。
どうぞよろしくお願い致します。
桜井さんまずはこちらをご覧下さい。
4,000万人という数字ですね。
これは高血圧の患者さんの数です。
今や日本人の約1/34,000万人おりましてまさに国民病なんですね。
この高血圧の原因といえば?一般的には塩分のとり過ぎですか。
ほとんどの高血圧の方はこの塩分のとり過ぎあるいは運動の不足といったような生活習慣が関係しています。
しかしよくよく調べてみますとこの高血圧の約10%ほどの方は生活習慣ではなくて別の原因で血圧が上がってくるという事が分かりました。
その原因というのが原発性アルドステロン症というホルモンの病気なんですね。
高血圧患者さんの1割ですから400万人ぐらいいらっしゃいます。
糖尿病患者さんは約900万人ですからよくある病気だというふうにいえますね。
それにしてもでもそれだけ多いのに原発性アルドステロン症ですか初めて聞きました。
そうですねこれまであまり原発性アルドステロン症というのはまれな病気だと考えられていたんですね。
ですからあまり知られていませんでした。
でもこんな方はいらっしゃいませんか?43歳のCさんなんですけれども最近夜中にトイレに行きたくなったり何度も目が覚めるようになりました。
そんなある日彼女は会社の健康診断を受けますと昨年もおととしも正常だった血圧が急に高くなってしまいました。
Cさんの血圧は上が145で下が100なんですね。
高血圧の基準が上の血圧が140以上下の血圧が90以上ですのでこの基準から見ますと高血圧なんですけれども上はそれほど高くありませんけれども下の血圧がかなり高くなっています。
この健康診断の結果を受けましてCさんは早々に塩分を控えてそして血圧の薬をのみ始めた訳ですね。
しかし3種類の血圧の薬をのんでもなかなか血圧が下がらずに非常に困っています。
高血圧って普通年配の方多いんですけども43歳ですか?若いですよね。
原発性アルドステロン症という病気は30代の後半から40歳代にかけて増えてきます。
患者さんだけではなくて専門医の先生以外のお医者さんにとりましてもあまり知られていない事が多いので見逃されるケースも結構多いんですね。
そこで今日は…原発性アルドステロン症について詳しく解説致します。
桜井さんこの病気は副腎の病気なんですけれども副腎というのはどこにあるかご存じですか?おなかの辺りですか胃とか…まあおなかの辺り。
副腎というのは腎臓の上にあります3センチぐらいの非常に小さな臓器なんですけれども…。
小さいですね。
左右に1つずつ合計2つあります。
副腎からは副腎皮質ホルモンそれから副腎髄質ホルモンという大きく2種類のホルモンが分泌されています。
副腎皮質ホルモンよく聞きますよね。
皆さんにはお薬のステロイドという形でなじみがあるかと思います。
俗に言うステロイドというのは副腎皮質ホルモンの中のコルチゾールを指す訳です。
この副腎皮質ホルモンの中にはほかにこのアルドステロンあるいは男性ホルモンの一種であります副腎アンドロゲンというのがあります。
それから副腎髄質ホルモンとしては我々が体が興奮しまして戦闘モードに入っていく時に出てくるアドレナリンというものがあります。
その中で注目して頂きたいのがこの病気の名前にも入っていますアルドステロンというものですね。
このアルドステロンというのは体の中に塩分をためるホルモンなんですね。
ですから病気でこのアルドステロンがたくさん出てしまいますと食事でそんなにたくさん塩分をとっていなくても体の中にどんどん塩分がたまってしまってですから血圧が上がってしまうという訳なんですね。
でもどうしてアルドステロンですかこれがたくさん出てしまうんですか?大きく2つの原因があります。
一つは副腎に腫瘍ができるんですね。
副腎の腫瘍というのはほとんど良性なんですけれどもこの腫瘍が我々の体の適切なバランスというのを完全に無視してどんどんアルドステロンを作っていく訳ですね。
この腫瘍は通常片側だけにできる事が多い訳です。
もう一つの原因というのは今度は副腎全体がはれる。
この2つある副腎の両方ともはれてしまう訳なんですね。
この大きくはれ上がった副腎からたくさんアルドステロンが作ってその結果血圧が上がるそういう原因もあります。
なるほど。
はれたり腫瘍ができたりという事で何か痛みというのはどうなんですか?この病気になりましてもやっぱり症状は高血圧だけでおなかが痛んだりとかそういう自覚症状がないんですね。
ほとんど気づかないかもしれませんよね。
そうですね。
しかし先ほどのCさんのケースにこの原発アルドステロン症に気づくヒントというのがあります。
まず…これはじわじわじわじわこの病気になって血圧が上がっていくという訳じゃなくてポンと血圧が上がる訳なんですね。
ですからこの原発性アルドステロン症の患者さんは私はいつから血圧が高くなったんですと自分の血圧が高くなった時期をかなり正確に答えられる方が多い訳ですね。
それからもう一つは…30代40代でもちろん血圧上がる方いらっしゃるんですがそういった方は普通は上の血圧が高くて下の血圧はそれほど高くないんですけれどもこの病気になってしまいますと下の血圧が高くなるというのがこの特徴なんですね。
それから…原発性アルドステロン症になりますと腎臓が尿を濃縮する力が弱ってしまう訳ですね。
そこで尿の量が増えますので夜トイレに行くために目が覚めるようになってしまいます。
高齢になると夜トイレに行く回数って増えるんですよね?お年寄りになりますとほかのいろんな原因からやはり尿の量が増えましてトイレに行かれるんですけど大事な事は若くてそれまで全然夜トイレに行かなかったのに急に夜トイレに行かないといけないそれが一つの特徴ヒントですね。
そして…最近の高血圧の薬は非常にいいものが多い訳です。
ですから普通は1種類か2種類多くても3種類の高血圧の薬をのんだら普通の場合ですと血圧はある程度うまく下がるんですね。
しかし3種類以上の薬をのんでもなかなか血圧が下がらないというような頑固な高血圧の時には背景にこの病気が潜んでいるそういう可能性が考えられます。
なるほど。
病気として一般的な高血圧と違うところってあるんですか?実はこの原発性アルドステロン症による高血圧というのは一般の高血圧に比べて非常に危険な高血圧なんですね。
高血圧はもちろん脳卒中や心臓の病気につながるのが問題なんですけれども通常の高血圧でそうした病気が起こる危険性を1だと致しますと原発性アルドステロン症の患者さんでは脳卒中の起こる確率は4倍心筋梗塞は6倍そして心房細動というこれは不整脈の一種ですけれどもこれはなんと12倍も高い確率で起こるというふうに報告されています。
一般の人でない血圧の高い人と比べてこの倍数ですからね。
同じだけ血圧が高くてもこれだけ違うという事ですね。
でもどうしてこんなふうにより危険になっていくんですか?アルドステロンというホルモンは先ほどもお話ししましたように腎臓に働いてそして塩分を体にたくさんため込もうとする訳なんですけれどもそれだけではなくて直接心臓とかそれから血管に作用する訳ですね。
そして心臓の働きを弱めたりとかあるいは動脈硬化を進めるというそういう作用がある訳です。
普通の高血圧の薬というのは血圧を下げる作用はあるんですけれどもこういったほかのアルドステロンの悪い作用という事を抑える事ができないのでそれで危険だという訳なんですね。
本当に早期発見が大切だと思うんですけれどもどうなんでしょうかもしそうかなと疑った場合何科に行ったらいいんでしょうか?まずは掛かりつけの内科のお医者さんがいらっしゃいましたらそちらの方を受診して頂ければというふうに思います。
そこでお話をして確かに原発性アルドステロン症が疑われましたらまず血液検査をそこの外来で行う訳ですね。
そして血液の中のアルドステロンの濃度を測ったりしてそれが高いというような異常がありますとそのあとはホルモンの専門医に紹介されまして精密検査を受けます。
そしてこの病気の確定診断がなされる訳なんですね。
そして原発性アルドステロン症であるという診断が確定しましたらそのあと治療方針を決めないといけませんのでその時にこの副腎静脈サンプリング検査というものを行います。
治療方針を決めるために副腎静脈サンプリング検査ですかこれは初めて聞きましたけどどんな検査なんでしょう?これは脚の太ももの付け根の所の血管からカテーテルといいます細い管を入れましてそして両方の副腎の血管の所まで持っていく訳ですね。
そしてそれぞれの所から採血する訳です。
そうする事で左右どちらの副腎からアルドステロンがどれだけ分泌されているという事が分かる訳なんですね。
ですからどちらの副腎に病気があるのかという事が分かる訳です。
なるほど。
その検査で分かったと。
今度は治療ですけど治療はどういうものになるんですか?その検査の結果片方の副腎に腫瘍ができている場合ですと手術でそれを摘出すればいい訳ですね。
一方両方の副腎がはれてたくさんアルドステロンが出ている場合は両方の副腎を取ってしまう訳にはいきませんのでその時には薬を使った治療が行われます。
なるほど。
手術はどんな手術なんでしょう?手術は泌尿器科あるいは内分泌外科という所で行われます。
最近はおなかを開ける開腹するという事ではなくて腹くう鏡手術という事がよく行われるようになった訳ですね。
その事によりまして腫瘍ができている片側の副腎を摘出するという事が行われますけれども腹くう鏡手術の場合ですと実際には手術をした翌日から歩く事もできますしお食事する事もできるという事で比較的軽く手術を受ける事ができる訳です。
とはいっても1つ取る訳ですがどうなんでしょう1つ取っても大丈夫なものなんですか?副腎は2つございますので1つの副腎を取りましてももう一つ副腎がある訳ですから普通の生活をしている分には特に問題がないというふうに思います。
最近では更にレベルの高いといいますか難しいカテーテルの検査もできる施設も増えてまいりまして特殊なケースでは腫瘍がある部分だけを取るというような事も今始まっています。
どうなんでしょう手術が終われば治療が終わったと考えていいんでしょうか?多くの場合腫瘍がなくなりますとアルドステロンの分泌も正常に戻ってしまいます。
血圧も下がってしまいますのでそれで治療は終わりという形になる訳ですね。
しかしなかなかこの病気が気づかれずに治療されない時間が非常に長い場合ですと心臓とか腎臓にダメージが与えられるような場合がありますのでそういった場合では手術をしたあともやはり血圧を下げる何らかの薬が必要になるような事もございます。
今は1つでした。
今度は両側の副腎がはれている場合これはどういう事になるんでしょう?その場合はこのアルドステロンというホルモンの働きをブロックしてくれます抗アルドステロン薬というものを用います。
今この抗アルドステロン薬としてはエプレレノンあるいはスピロノラクトンというこの2種類の薬が主に使われていますけれどもどちらを使うかに関しましては患者さんの状態ですとか副作用におきまして選んでいるとそういう状況なんですね。
実際にこうした薬を使いますと手術をされたと同じぐらい効果があるのでうまく血圧を下げる事ができる訳ですね。
しかし先ほどのように見過ごされてるようなケースがありますとなかなか下がらないケースもある。
その場合にはほかの降圧剤を足していくという事もございますしやはり減塩をするという事は基本的には非常に大事な事なんですね。
薬は相当長くのまなきゃいけないんでしょうか?やはりアルドステロンが高いままでいますと脳卒中とか心筋梗塞とか腎不全が起こってしまいますので薬とは一生つきあっていくと思って頂きたいと思います。
逆に薬をきちっとのんでいれば血圧をうまくコントロールしてリスクを下げる事ができる訳です。
それにしても単なる高血圧ではなくてより危険な高血圧ですね副腎のホルモンの病気という事は今日初めて知った訳なんですがやっぱりより早く受診という事が必要になってきますよね。
そうですね。
やはり長い間放置しておきますと心臓とか腎臓にダメージがきてそして治療をしてもなかなか下がらなくなってしまいますので自分は治療を受けているけれどもうまく下がらないと思われたら是非一度ホルモンの検査を受けて頂きたいと思います。
改めて見ますとヒントがいくつかありましたけれども本当に若い人で急に血圧が上がったりとかあるいはトイレに行く回数が増えたりだとかありますけどこういうような症状があったらとにかく疑ってみるという事は大事ですね。
血圧をずっと測っておられる方多いと思いますので急に高くなってきたという場合はやはり疑った方がいいんじゃないかなと思います。
3日間通してホルモンの病気お伝えしてきたんですけど改めてホルモンって非常に私たちの体にとって重要な役割をしてるんだというのを思いました。
そうですね。
やっぱりホルモンは我々の体が作っていて我々の体の調子を整えてくれる物質なんですね。
ですからある意味どんな病気でもホルモンが関わっていると言ってもいいと思うんです。
ですから我々はまずホルモンの事を知ってそのホルモンのバランスを整える必要があると思うんですね。
一番いい方法はやはり規則正しく生活をするという事がホルモンバランスを整える上で一番基本的に大事な事ですね。
どうもありがとうございました。
2015/11/04(水) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 気づきにくいホルモンの病気「治りにくい高血圧の原因・副腎」[解][字]
降圧薬や減塩が効きにくいやっかいな高血圧の場合、原発性アルドステロン症という副腎の病気が原因の可能性が。通常の高血圧との違いに注目し、症状や治療について解説。
詳細情報
番組内容
日本人の3人に1人と言われる高血圧。多くは生活習慣が原因だが、約1割の患者は副腎の病気が原因だと分かってきた。その原因とは「原発性アルドステロン症」。血圧を上げる副腎皮質ホルモンが過剰に分泌され、通常の降圧薬や減塩ではなかなか血圧が下がらない高血圧になる。しかし原発性アルドステロン症でも、手術や薬で適切に治療を行えば、血圧を下げられる。通常の高血圧との違いに注目しながら、症状や治療について解説。
出演者
【講師】慶應義塾大学教授…伊藤裕,【キャスター】桜井洋子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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