NHK高校講座 地学基礎「地震による災害と防災」 2015.11.04


また周期と振動数の関係からv=fλと表す事もできます。
(関口)垣内隊員。
(垣内)はい。
今回の「地学基礎」は地震による災害を取り上げます。
はい。
地震による災害っていってもいろんなものがありますが津波による災害っていうのはその最たるものの一つですね。
津波ですよね。
あの東日本大震災でも津波の被害っていうのはすごい大きかったですよね。
その津波なんだけどもちょっとこちら見て下さい。
これは2004年12月のあのインドネシアのスマトラ島沖地震ってありましたね。
あの時に発生した巨大津波が近隣国のタイの南部そこの観光地の海岸を襲ったまさにその瞬間の写真なんですね。
う〜んこれすごいですね。
ちょっと衝撃的ですね。
でもすごいこれ津波来てるじゃないですか。
バシャッと来てます。
だけどこの写ってる人たちって何だかそんな慌ててる様子もなくてちょっと不自然な気もしませんか?そうなんです。
そこなんですよ。
どうも当時はですねまだこの津波が襲った被災地の人たちの津波の恐ろしさに対する認識ってまだ薄かったっていうかねぴんと来てなかったっていうか…。
そうだと実際いわれてるんですね。
まあそれで結果的にこんな無防備な状態で津波の被害をたくさんの方が受けちゃったという事なんですがね。
なるほど。
でも津波の恐ろしさの認識とか危機感っていうのはさ当時はこの人たちだけじゃなくて我々含めて多くの国でもまだまだ心もとないものだった訳でしょ。
私もだって過去にあった津波の事とか話としては聞いてたし映像でもこれ見た事あるけど何かこう漠然としてたしそれからだんだんやっぱり記憶から薄れたりしたもんね。
そうですよね。
でこのあと日本でも東日本大震災が起きるっていう訳ですよね。
そうなんです。
だからこのスマトラ島沖地震の大津波とそれから東日本大震災の時の大津波ね。
この2つの巨大津波がもたらした甚大な被害で改めて我々世界中の人たちが津波の恐ろしさってのを認識する事になったとも言える訳ですね。
という事で今回のテーマは「地震による災害と防災」。
主に津波について考えます。
早速今日のキーワードからいきましょうか。
はいお願いします。
え〜まずはこちら。
それと…。
それからこれね。
ではまずこの「地震列島日本と津波」。
これからいきましょう。
はい。
まずこちら見て下さい。
これね。
江戸時代から現在まで日本列島付近で発生した地震のうち大きな津波の被害を伴ったものを年代順に並べたもんなのね。
日本で大きな津波って実はこんなに起きてる訳ですよ。
ね!すごいですね。
でこれ江戸時代からって事は約400年の間に起きた巨大津波って事ですよね。
そうです。
でね私がこれ見て驚いたのはさこれ大正12年西暦で言うと1923年あの有名な関東大震災ですね。
これ高さ12mもの大きな津波がなんとさ東京から離れている静岡県の熱海とかあっしが住んでる伊東とかを襲って静岡県だけでも200人近い犠牲者が出てたのね。
垣内隊員はこの年表を見て何か感じるとこありますか?う〜ん。
東日本大震災も震源が三陸沖だったじゃないですか。
でこの表を見るとほら「三陸」の文字がこうやって赤くなってますけどたくさんあって三陸って津波の被害が本当にたくさんあったんだなって事が分かりますよね。
そうだね。
三陸沖には日本海溝がありますからね。
という事は海溝型の巨大地震が起こりやすいって事ですよね。
そのとおりでございます。
しかも日本海溝は長さがなんと800kmもありますからね。
三陸をはじめ北関東から北海道にかけてね昔から津波の被害が多いんですよ。
ではここで垣内隊員にミッションかな。
おっ何ですか?過去に起こった津波の記録を調べてきなさい。
了解です。
でどこに行きますか?あら珍しい。
ちゃんと今回質問するね。
今回は北海道です。
北海道!?うん。
分かりました。
行ってきます。
分かっちゃうんだ。
だからさ北海道のどこかまで聞かないんですよ。
すごい調査力ですよね。
やって来ました…それでは早速行ってみたいと思います。
垣内隊員が訪ねたのは北海道厚岸町にある海事記念館。
この町は江戸時代からニシンやサケの漁で栄えた港町なんです。
迎えてくれたのは記念館の学芸員熊農夫博さん。
よろしくお願いします。
はいよろしくお願いします。
早速なんですけど津波の古い記録があると聞いてやって来ました。
はいあります。
それはどういったものなんですか?あの〜江戸時代に建てられた国泰寺というお寺に残されてる「日鑑記」という日記です。
その中には日々の天気だとか行事だとかというのが詳しく書かれてます。
それは実際に見る事ってできるんですか?はいできます。
ただこちらではなくて国泰寺の横の資料館にありますんでこれから行ってみましょう。
是非お願いします。
はいじゃあ一緒に行きましょう。
は〜い。
津波の記録が残されているという「日鑑記」を見にやって来たのは…はいこれはコピーなんですけれどもこれが「日鑑記」です。
これが「日鑑記」ですか。
はい。
この中に大きな津波の記録がありますので見てみましょう。
はい。
それですか。
はい。
こちらですね。
これ「津波」って書いてありますよね。
はい書いてます。
「日鑑記」に記された津波の記録。
…と記されています。
これは江戸時代の記録なんですがここは港町なんでこれ以外にもたくさん津波に襲われている所なんです。
あ〜そうなんですね。
はい。
(七山)垣内さん。
はい。
(七山)実際に津波の痕跡を見に行きませんか?…とここで現れたのは産業技術総合研究所で地質の研究をしている七山太先生。
津波の痕跡を見に行こうというお誘いだ。
津波の痕跡って実際に見れるんですか?
(七山)見れるんですよ。
是非一緒に行きましょう。
はい是非。
じゃあ先生ありがとうございました。
はい。
そして2人が訪ねたのは…津波の痕跡を示す津波の堆積層は波打ち際にありました。
垣内さんこれが津波の痕跡なんですよ。
え!これが津波の痕跡ですか。
そうなんです。
この地域を襲った過去4,000年間の津波の痕跡がここには見えているんです。
え〜!4,000年ですか。
すごい。
この津波の堆積層から一体何が分かるんでしょうか。
地層の上の方を見てみると8つの津波堆積物の層が確認できます。
ちなみにいくつもある黒い層は泥炭や腐葉土つまりこの土地が湿地であった事を示しています。
そしてここで重要なのが火山灰の層。
それぞれの火山が噴火した年代が分かっているのでこの火山灰の層から津波が来た時期も分かるんです。
いつごろ津波が来たのかそしてどのくらいの津波が襲ってきたのか津波襲来のおおよその周期さえもこの地層から推測できるんです。
火山灰っていうのはどの時代に津波が来たとかいう事を特定するのにすごく大事な材料になるって事ですよね。
そのとおりなんですよ垣内さん。
ジャン!隊長にお土産です。
何これこの薄っぺらいの。
これ地層じゃないの?本物?これ。
これ本物ですよ。
あの根室市のガッカラ浜の地層そのものなんです。
これはぎ取りっていうんですけど地層の断面を切り取って接着剤で布に写し取ったものなんです。
あっはぎ取ったのね。
そうです。
でこの1mの中にはなんと大体4,000年の地層の歴史が詰まってます。
長いね〜4,000年。
この白い所が火山灰だよね。
そうです。
これで地層の年代が分かって津波の来た時期が分かるんです。
ふ〜んそうなの。
でこのはぎ取りは地元北海道の津波の防災教育なんかにも使われてるんですって。
そうか。
まあこれ見たら津波が何度も繰り返しやって来たっていう事が心底実感できるもんね。
そうなんです。
という事で次のキーワードはこれ。
厚岸町は港町。
そのためこれまでも度々津波の被害に見舞われてきました。
東日本大震災。
その時も津波がこの町を襲いました。
そこで震災以降防災の意識を高めるために町では防災キャンプを行うようになりました。
防災キャンプの大きな特徴はその主役が高校生だという事。
これからの地域の中核を担う高校生がリーダーとなって防災キャンプが実施されています。
炊き出し。
災害図上訓練。
そして救命講習です。
防災キャンプでは高校生たちは我々が想定した以上に高いリーダーシップを持って行動してくれました。
その高校生の姿を見て小学生中学生も災害時における行動や互助の精神の大切さを学びこれが次代を担う人材育成につながっていくものと思いますしそのような人材育成こそ我々が考える災害への大切な備えの一つだと思っています。
なるほどね。
うん。
備えといえば次のキーワードも備えの一つですよ。
こちら。
この緊急地震速報ってのは大きな地震が来る事を事前に知らせてくれるシステムですよね。
はい。
あの…。
あの東日本大震災の時によく見ましたよね。
見ましたね。
こちら。
これね。
はい。
これはテレビの緊急地震速報だけどもさラジオとか携帯電話なんかでも運用されてるシステムですね。
うん。
よく目にしたり耳にしたりするんですけどこれって事前に知らせてくれるって一体どんな仕組みなんですかね。
分かってるようで分かってない人もいっぱいいるでしょうから簡単に説明しときましょうか。
はい。
まずね地震が発生するとこのこれ。
揺れは小さいんだけども速度が速いP波ってのがまずやって来るの。
次に揺れが大きくて伝わんの遅いんだけどこれに比べると。
揺れが大きいS波ってのが伝わってくるんですね。
このS波が地震の大きな被害のほとんどをもたらしてる訳なんですよ。
なのでこのP波とS波の伝わる速度の差っていうのを利用してるのが緊急地震速報っていうのが簡単な説明になりますかね。
いろんな場所に設置してある地震計のうち震源に近い地震計ねこれ。
これがP波をキャッチしてそのデータを気象庁にパッと送信しますね。
そしてそのP波のデータを気象庁は瞬時に解析して震源や地震の規模を推定して可能な限り素早く知らしてくれると。
こういう事な訳ですな。
大きな揺れが来る前にほんの少しでも時間に余裕があれば心の準備もできるしいろいろね備える事もできますよね。
まあ強い揺れの間は身を守る行動を取り続けてそれが優先ですね。
で揺れが収まってから落ち着いて行動する事が大切ですよ。
はい分かりました。
よろしくお願いします。
(久田)こんにちは。
今日は地震の速報とか警報とかの話もでしたけれども津波の方も注意報とか警報とかありますよね。
大津波警報もありますけど。
あれってどういう仕組みで出来てんのかってよく分かんないかも。
ああそうですか。
え〜っとですねそういう注意報警報ですけれどもそれはですねまず地震がどこで起きたのかっていうのをまず調べる訳です。
その場合でも特に海底に浅い…海底に対して浅い震源の場合ですねそういう時には非常に津波の発生する可能性が高い訳ですね。
その時にですね海底が変わって津波が起きるとそう致しますと海底の地震計あるいは津波が押し寄せてくる時に水圧が変わったりする訳です。
高さが変わりますんでね。
水圧の検知できるもんなんだ。
そういうのもあったりあるいは海面の高さそれも変化する訳です。
そういうのを総合的に判断してこれは大きな津波が来る。
巨大な津波が来るとかですねそういう事も調べていく訳ですね。
多角的なんですね。
震源がどれほど浅いか。
それから海底の水圧がどれほど変わったか。
で海面の高さがどれぐらい変わってるか。
そういう事ですね。
それで大きい小さいとかが警報なのかそれとも注意報なのかの差が分かるって事ですか。
はいそうですね。
今大津波警報とかあるいは津波警報あるいは津波注意報。
それは到達する予想される津波の高さでそういう分け方をしてるんですよ。
例えば津波の警報が出た場合に我々がする事といえば例えばよくいわれてる事で言うと高台にまず真っ先に逃げる事。
それから引き波を待ってとか余裕を自分で勝手に決めないでなるべく早くっていう事とあと何ですっけ?ともかくそういう避難解除が出されるまでは高台にとどまってまあ何て言いますか勝手な判断をしない。
それがすごく大事だと思いますね。
何か明らかに収まってからもず〜っと警報って出たままな感じがするんだけど駄目。
駄目です。
それは津波というのは何波も来る。
それもですね時間を置いて来るもんですから勝手な判断をしてはいけないと思います。
なるほど。
解除するまでは去らないと。
そういう事です。
はい分かりました。
やっぱり今日いろいろ勉強して思った事は「備えあれば憂いなし」って事ですよね。
うん。
よくいうけどもね。
そう。
でも本当にまあ何か起こらなかったら準備しといて「あっよかったね何も起こらなかったね」でいいしもし何か起こった場合は「やっぱり準備しといてよかったよね」って事になるじゃないですか。
そうね。
だから絶対やっぱり何事も準備は大切ですね。
備えっていうのは。
なるほど。
超関係ない話なんだけどさ俺免許更新に行ったらさだろう運転とかもしれない運転ってのがあって誰も出てこないだろうからスピード出すのがだろう運転で何が出てくるかも分かんないからかもしれない運転でかもしれない運転心掛けなさいって教わるんだけどさ似たものあるよね。
そうですねうん。
かもしれない対策。
だろう対策じゃなくて。
ここまでは来ないだろうという対策じゃなくてかもしれない対策を皆さん心掛けて下さい。
うん。
2015/11/04(水) 14:40〜15:00
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 地学基礎「地震による災害と防災」[字]

「地球」は私たちにとって掛けがえのない存在です。その地球を、「宇宙の中の1つの星」「地球という物体」「地球の歴史」そして「環境」という視点から学んでいきます。

詳細情報
番組内容
地震列島日本では、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による東日本大震災は、記憶に新しい。私たちは津波による被害をどのようにしたら減らすことができるだろうか。そのひとつに、地震発生から津波到達まで時間を最大限に活用することがある。今回は地震による災害のうち、津波による被害を減らす工夫を学ぼう。【出演】関口知宏、垣内彩未【講師】久田健一郎
出演者
【司会】関口知宏,垣内彩未,【出演】筑波大学教授…久田健一郎,【語り】市川展丈

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 大学生・受験
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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