今回の「U−29」は2年前までボランティアとして海外で活躍していた…しかし今は…。
徳島の田舎で農作業。
昔ながらの暮らしを母方の祖母に習っています。
海外での経験を経て彼女がたどりついた理想。
それが田舎のおばあちゃんの暮らしだったんです。
実は今都会育ちの若者が田舎に戻らない親世代に代わって祖父母のもとで暮らす孫ターンが注目を集めています。
夏休みに遊んだ祖父母の住む町。
暮らしやすい移住先として田舎暮らしに憧れる若い世代に選ばれているんです。
しかし時には世代の違いから生まれる衝突も。
身内だからこそお互いについわがままも…。
千恵美さんの孫ターンうまくいくんでしょうか?太平洋に面する徳島県海陽町。
徳島でも一番南ののんびりした町です。
大阪出身の…今年1月。
田舎暮らしがしたくておばあちゃんの家の近くに移住してきました。
(取材者)初めましてどうも。
母方の祖母…10年前おじいちゃんが亡くなって以来1人で暮らしています。
千恵美さんのお目当てはおばあちゃんの料理。
今日は畑で取れた野菜を使って特製のちらしずしを作ります。
お〜すごいっすね。
目分量です。
自家製のユズの搾り汁がすし酢代わり。
チリメンをつけてだしをとるのがひさ子さん流。
うん何でも自分流に手作りするおばあちゃん。
この技をものにするのが千恵美さんの目標です。
千恵美さんは移住しておばあちゃんの家で念願の野菜作りも始めました。
ここでも長年野菜を作ってきたおばあちゃんが先生です。
自分で食べるものは自分の手で作る。
千恵美さんが憧れるおばあちゃんの暮らしです。
徳島に移住して千恵美さんはおばあちゃんと一緒に田んぼも始めました。
おじいちゃんの病気を機にやめていた米作りを15年ぶりに復活させたのです。
間もなく収穫。
初めての稲刈りが楽しみです。
千恵美さんは今隣町にある総合病院で働いています。
ふだんは職場の寮で1人暮らし。
うん随分早足ですね。
一般的に地方移住のネックとなりやすいのが仕事。
千恵美さんは看護師の資格を生かして就職先を見つけ移住を実現できました。
気持ちいい。
気持ちいいですか。
よかった。
徳島への移住のきっかけは2年前。
海外で看護師のボランティアとして働いていた経験からでした。
そこで出会ったのは貧困や紛争で十分な医療を受けられない人々。
お金や物がなくてもたくましく生きていました。
千恵美さんは本当に豊かな生活とは何なのか考えるようになりました。
その時ふと浮かんだのが子どもの頃体験したおばあちゃんの家での暮らし。
何でも手作りする生活が理想に思えました。
いつか徳島へと思っていた千恵美さんが移住を急いだ訳があります。
この日は昼食を買う事にした2人。
なじみのお店でおすしを買いました。
しかし店を出て5分後。
昔の事ははっきり覚えていてもさっきの事を忘れてしまうおばあちゃん。
去年認知症と診断されました。
近くに移住して農業や料理を教えてもらう事はおばあちゃんの症状を遅らせる事にもつながると思ったのです。
千恵美さんの1週間スケジュールはこちら。
仕事の合間を縫っておばあちゃんの家には週に2日から3日通っています。
週に一度は行くのが…。
おばあちゃんと何十年もつきあいがあるこちらの鮮魚店。
孫である千恵美さんの事をいつも気にかけてくれます。
帰りにはくりのお裾分け。
おばあちゃんが築いてきた地域の人間関係に支えられています。
三味線など新しい趣味もでき同世代の友達もできました。
この日千恵美さんは1人で畑にいました。
最近おばあちゃんは声をかけても畑に来ない事が増えました。
食が細くなりここ数年で体重が10キロ減ったおばあちゃん。
先月脱水症状で病院に運ばれたのを機にグループホームに入所するという話も出ています。
これまで料理をいっぱい教えてくれたおばあちゃんに代わって今は千恵美さんがごはんを作る事が増えました。
栄養がとれるようバランスを考えて作ります。
しかしサツマイモは…。
う〜んちょっと不評。
続いてひじきの白あえは…。
更に…。
あまのじゃくなおばあちゃん。
素直に「おいしい」とは言いません。
そして畑仕事をした千恵美さんが休んでいると…。
8人兄弟の長女で何十年も働きづめだったおばあちゃん。
昼間からゴロゴロしているのが大嫌いです。
遠慮なく自分のペースを貫くおばあちゃんに千恵美さんも反撃です。
夕方からの仕事にはまだ時間がありましたが寮に戻る事にしました。
おばあちゃんの昔ながらの暮らしに憧れて徳島に移住した千恵美さん。
おばあちゃんと2人で過ごす時間がここまで大変だとは思っていませんでした。
自分の理想も実現しながらおばあちゃんのためにもなる生活。
どうしたらうまくいくのでしょうか。
9月下旬楽しみにしている田んぼの収穫が近づきました。
しかし稲の状態を確認してみると…。
猿の大群が押し寄せ収穫前の穂をほとんど食べてしまっていたのです。
千恵美さんの念願だった米作り。
しかし収穫が見込めない中稲をわざわざ刈る必要があるのか迷っていました。
数日後海辺で趣味の三味線の練習をする千恵美さんがいました。
練習仲間は千恵美さんがおねえさんと慕う…一番の友達です。
淳子さんは去年一緒に暮らしていたおばあちゃんを亡くしました。
えらいしいいなって思う。
そうですね。
そうですね〜うんそうやな。
パクつきたいんですかね。
千恵美さん初めての稲刈り。
淳子さんも手伝うと約束してくれました。
1週間後稲刈り当日。
朝7時深夜まで働いた千恵美さんがやって来ました。
おはよう。
おばあちゃんもいつもより早起きです。
千恵美さんまずは1人で作業開始。
機械ではなく手作業で刈っていきます。
どうもどうもありがとうございます。
淳子さんをはじめ地域の人や友達が駆けつけてくれました。
しかしおばあちゃんの姿はありません。
開始から1時間。
おばあちゃん登場。
久しぶりに田畑に出てきてくれました。
猿におおかた食べられた稲を見たおばあちゃん。
小言を言いながらもどんどん刈り進めます。
稲刈りは15年ぶりのはずですが体がしっかり覚えていました。
すごいわ〜やっぱりハハハッ。
農作業のコツもたくさん教わります。
こうしてこう?ねじるんや。
こうねじって?うん。
こうして?一つも米がない…ハハッ。
米が一つもない。
う〜んおばあちゃん何だかんだ言って楽しそうですね。
たくさんの人の力を借りて千恵美さんの夢が一つかないました。
(一同)頂きます。
稲刈りのあとはみんなで昼食。
大人数でにぎやかに食卓を囲みました。
お互いのペースを見ながらこれからも少しずつおばあちゃんの技を盗んでいけたらいいですね千恵美さん。
そんな千恵美さんに最後に質問です。
はい。
と今は思います。
じゃ〜ん。
おいしいよ〜フフッ。
2015/11/04(水) 23:25〜23:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「“孫ターン”移住」[字][再]
看護師・大澤千恵美さん(28)は、87歳の祖母の昔ながらの豊かな暮らしを習いたいと今年1月、徳島へ「孫ターン」移住。しかし価値観の違う2人の生活にはすれ違いも…
詳細情報
番組内容
若い世代が「親の故郷へ移住」=「孫ターン」する動きが広がっている。大阪出身の看護師・大澤千恵美さん(28)は、何でも手作りするおばあちゃんの豊かな暮らしを学びたいと今年1月、徳島へ孫ターン。しかし87歳のおばあちゃんとは価値観の違いから、ついつい口論に…。さらに2人が大事に育てていた田んぼにも事件が…。おばあちゃんの老いと向き合いながら、自らの人生をデザインしようと奮闘中の千恵美さんの日々に密着。
出演者
【語り】松坂桃李
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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