くらし☆解説「津波防災の日 語り継がれる教訓」 2015.11.05


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
「くらしきらり解説」です。
きょうは津波防災の日です。
津波から命を守るにはどうすべきなのかを考える日として4年前、東日本大震災のあとに始まりました。
そこできょうは語り継がれる教訓をテーマにお伝えします。
担当は二宮徹解説委員です。
きょうは津波防災の日ということですが9月1日の防災の日と比べるとあまりまだ知られていませんね。
二宮⇒まだ制定されてから4年ですから知らない人もいるかもしれません。
津波防災の日ですが津波防災の意識を高め素早い避難を定着させることなどを目的としてことしも週末にかけて各地で訓練やイベントなどが開かれます。
こうしたふなっしーくまモンなどゆるキャラたちも啓発活動に参加しています。
そもそもなぜ11月5日なんですか。
1854年、幕末ペリーの黒船が来航したよくとし安政の南海地震が起きたんですがこの大地震が起きた日にちなんでいます。
何度も日本は津波の被害に遭っていますけれど、なぜこの安政南海地震の日なんですか。
今の和歌山県広川町に伝わる「稲むらの火」という逸話にちなんでいます。
きょうは内閣府が監修した紙芝居の一部を使って説明します。
ここは紀州・和歌山の広村。
平和な海辺の村でした。
11月5日の夕方突然、大きな地震が起きました。
庄屋の浜口儀兵衛さんが驚いて外に出ると海からどどんどどんと妙な音が聞こえてきました。
津波が来る。
村人に知らせたいが時間がないと言って自分の田んぼの稲の束これを稲むらというんですが稲むらに火をつけて回りました。
その火を見た村人たちが集まってきました。
火事は、こうしてみんなで消すことになっていたので集まってきました。
しかし儀兵衛さんは言いました。
火は消すな。
それより全員を集めて山の上の神社に逃げろ。
津波が来るぞ。
みんなが避難したあと海を見ると村が津波に飲み込まれていました。
儀兵衛さんは地震のあとには津波が来ることを先祖から聞かされて知っていたのです。
こうして避難先や食べ物も用意して村人たちを救いました。
でもこれで終わりではありません。
この続きがあるんですね。
儀兵衛さんはまた津波が来るかもしれないと怖がる村人のために自分の財産をなげうって堤防を造ることにしました。
家や田んぼをなくした人たちは仕事もできて村を出ていかずに済みました。
こうして完成した立派な堤防。
およそ90年後にやって来た昭和南海地震の津波から村を守ってくれたというお話です。
この紙芝居ですが内閣府の防災のホームページ普及・啓発という中の子どものページに入っています。
この堤防ですけれど今も和歌山県広川町に残っていて広村堤防といって村の人たちが大切に守り続けています。
当時、村人の命を救うだけでなくその後の生活までも支えたんですね。
「稲むらの火」ですが実在の商人濱口梧陵
(ごりょう)がモデルでほぼ実話にのっとっています。
避難誘導、被災者支援そして復興、次の防災まで成し遂げたこの話なんですけれど明治の文豪・小泉八雲ラフカディオ・ハーンが「生ける神」という短編に書きましたし戦前から戦後にかけて小学校の国語の教科書に載っていました。
今も再び一部の教科書に載っていまして早く高台に逃げろ地域で助け合うといった教訓として語り継がれています。
特に舞台の和歌山県広川町には濱口梧陵の像や記念館が建てられてその功績や精神が受け継がれています。
津波防災の日にふさわしい話ですね。
もう1つ語り継ぎたい教訓があります。
「津波てんでんこ」です。
こちらは東北の話なんですが82年前、昭和三陸地震というのがあったんですがその経験から生まれたことばでてんでんこというのはばらばら、めいめいにという意味です。
つまり家族や誰かを探したり待ったりしないでとにかくばらばらでいいから逃げろという教訓です。
そうしないと津波が来てしまうからですよね。
津波は早ければ数分で襲ってきます。
見えてから逃げるのでは間に合いませんので早く逃げるということで実際、東日本大震災のときにはこの「津波てんでんこ」の教訓を守って助かった人たちがいました。
一方で家族を探したり誰かを待ったりしているうちに津波に巻き込まれてしまったという人たちもいました。
自分の命を守るために全力を尽くすということなんですが、自分だけが助かればいいと誤解してる人もいます。
そうではなくて探したり待ったりせずに済むように必ず逃げる集合場所を決めておくという約束をすることで助かる。
例えば夫婦で帰りを待たずに逃げるという約束をして信じ合っていれば自分は最短の距離、最短の時間で逃げることができて助かる可能性が高まります。
そうしないと電話をしたり待ったりということで時間がかかってしまいます。
子どもはどうしたらいいですか。
学校、幼稚園、保育園などが責任を持って避難させることが求められます。
そうでなければ保護者が迎えに行ったり帰りを待ったりしてしまいます。
一方で、放課後外に遊びに行った子どもは誰がどうやって避難させるのかなど難しい課題もあります。
お年寄りなどを含めてこうした災害弱者の避難については地域や家庭でよく話し合っておく必要があります。
いろんなケースをあらかじめ考えておく必要がありますね。
ところで、この津波防災の日ことしは特に注目されています。
実は、この津波防災の日11月5日ですがWORLDTSUNAMIDAY世界津波の日にしようと現在、日本政府が国連に提案しています。
日本と同じように津波の被害が多いチリですとかインドネシアなどおよそ80か国と共同提案で提案中で、ことしじゅうの国連総会での採択を目指しています。
発展途上国は津波への備えがハード、ソフトとも不十分でまだまだですから早く警報を出して早く避難させるという津波防災の基本をこの日に世界に広めるというのが目的です。
きっかけになりますね。
こうした中で「稲むらの火」は英語、インドネシア語などに翻訳されて外国にも広まりつつあります。
日本としては世界津波の日にすることで「稲むらの火」ですとか「津波てんでんこ」というような日本の教訓、経験を積極的に伝えたいということなんです。
TSUNAMIということばは世界中で使われていますね。
日本でも南海トラフの大地震など想定される災害への備えをもっともっと進めなければいけません。
「稲むらの火」ですとか「津波てんでんこ」など過去の災害で学んだ教訓や反省を生かすことが命を守ることにつながります。
きょうの津波防災の日に津波への備えを十分しているか。
家庭、職場で改めて見つめ直す日にしてほしいと思います。
いざというときにどういう行動をするのかしっかり考えておく必要がありますね。
二宮徹解説委員でした。
次回は津屋尚解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
2015/11/05(木) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「津波防災の日 語り継がれる教訓」[字]

NHK解説委員…二宮徹,【司会】岩渕梢

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出演者
【出演】NHK解説委員…二宮徹,【司会】岩渕梢

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ニュース/報道 – 解説
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情報/ワイドショー – 健康・医療

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