絶対零度〜未解決事件特命捜査〜 #07 2015.11.05


≫本人は絶対ばれない自信があったそうですが
(横川)《ユニバースシネマ買収の件もう一度先方と話をしてみてはいかがでしょう》
(桝山)《話し合う必要性がどこにある》
(横川)《強引な買収は経営陣が納得しません》《またもめますよ》
(桝山)《それなら前のように全員切り捨てればいい》・
(吉岡)《社長これを》《昨年骨髄移植を社長が受けた件でドナーを買収したのではと》
(吉岡)《正式に抗議しますか?》《いやその必要はない》
(吉岡)《えっ》《いまさら驚くことじゃない》《秘書のあなたが一番よく知ってるでしょ》《社長がどういう人間か》
(吉岡)《おはようございます》《社長?》《社長》
(リポーター)《IT時代の寵児と呼ばれたフューチャー・ステップス桝山社長殺害事件から3カ月が経過しましたがいまだ犯人逮捕に至っていません》《強引な買収で桝山社長を恨んでいた関係者は各方面にわたって多数いたとみられています》
(リポーター)《横川さんこのたび正式に株主総会で社長に就任することが決まったそうですが一言お願いします》《無念の死を遂げた桝山社長の分まで会社を盛り上げていく所存です》《また一刻も早く犯人が逮捕されることを望んでいます》
(リポーター)《ありがとうございます》
(リポーター)《今後も桝山社長のような強引な買収を引き継ぐおつもりでしょうか》
(リポーター)《犯人にお心当たりはないんですか?》
(高木)被告人木戸聡史は平成18年6月22日六本木に所在するフューチャー・ステップス株式会社社長室において同会社社長桝山一弘に対し殺意を持ってナイフでその胸部を1回突き刺し同人を殺害したものである。
罪名および罰条殺人。
刑法第199条。
被告人。
今読まれた事実について何か意見はありますか?
(木戸)はいあります。
(桜木)えっ?
(裁判長)起訴状と違う点があるなら述べてください。
わたしは犯人じゃない。
(ざわめき)
(裁判長)静粛に。
弁護人ご意見は。
(黒崎)はい。
今回特命捜査対策室が再捜査に当たったそうですが捜査にミスがあったと考えています。
(黒崎)本件の殺人事件の犯人は被告人ではありません。

(黒崎)警視庁特命捜査室の倉田警部ですね?
(倉田)はい。
(黒崎)まずは再捜査に当たり当事件の犯人が被告人であると判断した経緯を詳しく説明していただけますか?
(倉田)2カ月前です。
(倉田)《再捜査だ》《どの事件ですか?》
(倉田)《4年前の六本木IT社長殺人事件だ》
(塚本)《あああの「金で買えないものはない」の》
(高峰)《確か強引な買収で怨恨の動機のある容疑者が多数いた事件ですよね》
(深沢)《でも当時は容疑者誰一人として犯行に結び付く物証は見つからなかった》
(倉田)《今回まったく違う線が浮上した》《現在は退社してるがかつての秘書で事件の第1発見者の吉岡知加子からの有力な情報だ》《居酒屋で偶然近くに居合わせた男が当時被害者が愛用していた腕時計を身に着けていたらしい》《腕時計》《しかも彼女はその男に見覚えがあった》《えっ?》
(倉田)《被害者の会社があったビルは東京国際警備という会社が警備に当たっていた》《その男はそこに派遣されてる警備員らしい》
(白石)《警備員。
そりゃまた意外な線ですね》《裏取りをしてすぐに解決するぞ》
(一同)《はい》
(倉田)《もう一度聞くぞ》《どうしてこの時計をお前が持ってたんだ》《それにこの古美術のナイフは当時社長室にあったものだ》《形状から見ても凶器であることは間違いない》《それがなぜお前の自宅にあったんだ》
(ボールペンのノック音)
(塚本)《いつまで耐えられっか見ものだね》
(高峰)《木戸は感情を自己抑制できるタイプじゃない》
(深沢)《すでに体の方が我慢できなくなってる》
(ボールペンのノック音)《俺だよ俺がやったんだよ》《なぜ殺した》《目だよ目》《あいつの人を見下したような目ずっと気に入らなかったんだよ》証拠を突き付けると被告人が自白したと。
はい。
(黒崎)だがその自白はあなたの不当な取り調べにより強要されたものではないですか?
(黒崎)あなたは被告人に長時間にわたりボールペンをカチカチと鳴らし続けた。
いやそれだけじゃない。
わたしが被告人から聞いたところによれば時に髪を引っ張ったり足を蹴ったり耳元で「お前がやったんだ」と大声で怒鳴り散らした。
被告人は心身ともに疲弊し思わず「やった」と言ったんです。
(白石)でたらめだ!倉田はそんな不当な取り調べなんかやってない!白石さん落ち着いてください。
(白石)犯人そいつだ。
言い逃れしやがって。
白石さん。
(裁判長)そこの方次に発言をすると退廷を命じますよ。
座ってください。
(黒崎)あなたはご自身が経営するバーで被告人と被害者が酒を飲んでいるのを見たことがある。
そうですね。
(田中)はい。
時々一緒にいたのを覚えています。
2人が顔見知りなんて初耳です。
(黒崎)被告人と被害者は懇意にしておりよく酒を酌み交わす仲でした。
腕時計もナイフも生前に譲り受けていても何らおかしくはない。
ナイフには血液反応があったがDNAの特定はできなかったはずです。
(高木)異議あり。
それは強力な溶剤で血液組織が破壊されていたからです。
その証拠は検出されてます。
(黒崎)だからといってそのナイフで被告人が被害者を刺したとは言えない。
裁判長以上の点からも被告人が当事件の犯人であるという証拠は全て憶測の域を出ていません。
証人尋問終わります。
(高木)どうして顔見知りの事実を見逃していたんですか。
申し訳ありません。
(高木)もしもの場合どう責任取るつもりですか?
(倉田)わたしを捜査から外せと検察から一課長に抗議が入ったと聞きました。
(長嶋)ああ。
(倉田)申し訳ありません。
ただこの事件は最後までわたしが責任を持ちたいんです。
再々捜査やらせてください。
(長嶋)お前が外れたら誰が指揮を執るんだ。
一課長にはそう説明したよ。
頭を下げてくださったんですね。
それより倉田必ず解決しよう。
うちで止められなければ一生未解決のままだ。
はい。
(倉田)正式にうちが再々捜査をやることが決まった。
証拠および自白を含めて木戸が犯人なのは間違いない。
ただ俺たちの捜査にミスがあったのも事実だ。
次の公判までに何としてでも新たな証拠を見つけ出す。
二度と失敗は許されない。
再々捜査のポイントは見逃していた被害者と木戸が顔見知りだったという点だ。
(深沢)木戸は事件当時も再捜査の際もそのことずっと黙ってた。
(高峰)言えない事情があったのかもしれないわね。
言えない事情。
(白石)裁判で証言したバーの店長に裏取りをしてきますよ。
(倉田)あっわたしも同行します。
(白石)すいません。
(倉田)あらためて事件関係者への聞き込みを徹底的に行ってくれ。
はい。
(一同)はい。
わざわざご足労いただいてすいません。
(吉岡)いいえ。
犯人が犯行を否認したってニュースで見て気になってましたから。
あらためてお話を聞かせていただけますか?桝山社長と木戸がどの程度顔見知りだったのかも踏まえて。
はい。
前もお話ししましたけどあの人にとって大事なのはお金で。
《日本トラスト証券を買収?》
(桝山)《目を通しておいてくれ》
(吉岡)《先方の小松社長とは同郷で父親のように慕ってたんじゃないんですか?》《2人とも早くにご両親亡くした苦労人同士だって》《慕っているふりをしたにすぎない》《言っておくが俺は人は信用しない》《もちろんうちの会社の人間もだ》《信用できるのはしょせん金だけだ》
(深沢)携帯電話を株や為替古美術の購入などに使い分けていたそうですね。
(吉岡)ええ仕事柄交流は派手でしたがプライベートの会話をしてるのは一度も見たことがありません。
友達の1人ぐらいは。
そういうのをつくる人間じゃなかったんですよ。
(深沢)でも警備員とは顔見知りだった。
(吉岡)それが信じられないんです。
人を見下すところがあって自分より下だと思った人間にはまともにあいさつさえしない人でしたから。
(深沢)ほかに何か覚えてることなどは?
(吉岡)そうですね。
あっユメちゃん。
ユメちゃん?
(吉岡)《失礼します》
(吉岡)《社長それ子供に人気のユメちゃんですよね》《このキャラクターの権利を持った会社を買収する予定だ》狙いをつけた会社は外さないはずなのにその買収の話は急に立ち消えになったんです。
ユメちゃんってあの両手に夢をいっぱい持った猫のキャラクターですよね。
えっと確か。
こんなんだったかな。
(深沢)貸してみろ。
すごいうまいじゃないですか。
雑誌で一度見たことがある。
絵のうまさと記憶力は関係してるという説がある。
お前の記憶力はひどいということだ。
褒めて損した。
(深沢)それでその話はいつごろのことですか?
(吉岡)確か殺される1カ月前ぐらいだったと思います。
強引なやり方で常にトラブルが絶えなかったのでそれが立ち消えになった原因かもしれません。
お疲れさまです。
どうですか再鑑定の方は。
(大森)あのね再鑑定じゃなくて再々鑑定。
一度徹底的に調べたものをあらためて探せってむちゃぶりもいいところよ。
何かご機嫌斜めです?
(竹林)うんけさねペットのイグアナの食欲がなかったんだって。
イグアナ?そんなことで?
(大森)そんなことって桜木。
万が一のことがあったらどうすんのよ。
(竹林)独身のアラサーにとっては大事件なんだよ。
(大森)スズキがレタス食べないなんて初めてなのよ。
(竹林)えっペットの名前がスズキ?おいおいおいセンスねえな。
(秋山)取りあえず今は視点を変えて証拠品の再検証をしてるとこです。
あっお願いします。
(竹林)あっそうだ1つ気になることがあんのよ。
あっはい。
これあの被害者の遺留品のパソコンなんだけどほらこんな記事がわざわざ保存してあんの。
ポストに1,000万。
埼玉県の安藤さん?何でこんな記事を?でしょ?であとそれとねブックマークにもねほら。
あっユメちゃん。
(秋山)被害者ユメラーだったんじゃないですか?ユメラー?
(秋山)両手いっぱいに夢を持っているユメちゃんのことを心から愛してるファンのことですよ。
あっでも桝山社長この会社買収する予定だったみたいですよ。
(秋山)何?買収?そんなのユメラーが許しませんよ。
ちなみにその食い付きようからすると。
僕もユメラーです。
(竹林)ヤベえ秋山の意外な一面見ちゃった。
(大森)秋山あんたキモい。
(竹林)はい気にしない。
秋山君はキモくない。
(秋山)ユメちゃん。
(大森)キモいよ。
《急性骨髄性白血病》
(桝山)《HLAという白血球の型が適合するドナーが必要だと言われた》《身内だと適合率は4分の1》《他人だと何万分の1らしい》
(横川)《どうなさるおつもりで》《俺には身内がいない》《でも金があれば何とかなる》《俺に合うドナーがいたらその順番だって金で買う》《今まで金で買えなかったものあるか?》
(横川)それからすぐドナーが現れたのでわたしも驚きました。
(高峰)骨髄バンク側には金品の受け渡しを完全に否定されました。
しかし金で買おうとしたのは事実です。
色々憶測が流れても仕方がありません。
どうぞ。
(高峰)当時会計主任だったあなたは桝山社長が亡くなって3カ月後社長に抜てきされましたよね。
わたしが得をしたと言いたいんでしょうがそれは取締役会で決まったことです。
(高峰)桝山社長が警備員の木戸と知り合いだったことについてはどう思われますか?それはわたしも初耳でした。
あなたは桝山社長が殺される直前電話で話してますよね。
(横川)再三お話ししましたが次の買収先の打ち合わせをしていただけですよ。
(塚本)1つお伺いしてもいいですかね。
ここにある古美術品ってのは。
(横川)ああ桝山社長が趣味で集めていたものです。
そのまま引き取ったんですが今ではわたしの趣味に。
(塚本)ちなみにお幾らぐらいするもんなんすかね。
まあ安いもので400万ぐらいです。
あのつぼなんかは1,000万はしますが。
1,000。
へえ。
(高峰)おそらく社長の横川は事件のことで何か隠してることがありますね。
(倉田)そうか。
だがそうだとしてもそう簡単には口は割らんだろうな。
(高峰)ええ。
(白石)桝山社長と木戸がたびたびバーで居合わせたのは事実だった。
だが親しい友人かどうかは定かじゃないそうだ。
桝山は金が全ての男。
金銭面で何かつながっていた可能性がありますね。
木戸に金を積んで汚いこと色々やらせていたのかもしれんな。
お金でつながっていた。
(倉田)桝山はネット銀行に口座を複数持っていた。
金の流れをもう一度調べてみる必要があるな。
(高峰)木戸を派遣していたのは青山警備保障というところです。
そこも調べるべきかもしれませんね。
(深沢)確かに再捜査のときは個人的な犯行の線だと思って派遣元は調べてない。
(白石)経済犯専門の捜査二課の協力も必要になってくるかもな。
(倉田)そのときは室長に頼んで調整を図ってもらいます。
(白石)ええ。
経済犯。
指紋も付いちゃってるしな調べられたら俺。
(倉田)塚本。
(塚本)はい。
どうしたお前顔色が悪いぞ。
(塚本)ええちょっと気分が悪くて。
う〜よし。
当たり前のようにまた泊まったなカメ。
あっ室長おはようございます。
いいかげんお前の給料からここの家賃を払ってもらわないとな。
えっ?倉田。
(倉田)はい。
(長嶋)お前も飲むか?
(倉田)いただきます。
ありがとうございます。
(長嶋)でどうだ再捜査の方は。
ああ。
ああって何だい気のない返事だな。
正直桝山社長という人間がよく分からなくて。
再捜査のときからずっと感情移入できないんです。
そういう被害者初めてで。
理解できないか。
とにかくお金が全ての人なんです。
カメ人ってのはそう単純なもんじゃないだろ。
笑っていても本心はどう思ってるか分からない。
逆に悲しんでるように見えても心の中では笑ってるかもしれない。
目に見えるものだけじゃなくその奥にあるものをつかまえないといけない。
そうしないと被害者の死の真相に近づくことはできないぞ。
《2005年3月貧血症状がひどかった桝山社長は病院で診察を受け急性骨髄性白血病だと診断された》《桝山社長の場合骨髄移植を行わなければ数年以内に死亡する確率が非常に高くすぐに骨髄バンクに登録した》《しかし身内がいないため適合するドナーが見つかる確率は何万分の1だった》
(桝山)《いくら金を出しても駄目なのか》《はっ?待つしかない?ふざけるな!》《結局適合するドナーはいなかった》《もし見つかった場合お金で優先的に治療してくれるよう掛け合ったが当然断られた》《そしてお金にものをいわせて手当たり次第海外にも当たってみたがドナーは見つからなかった》《桝山社長はそのときどんな気持ちだったんだろう》《それから3カ月後奇跡的にドナーが見つかった》《骨髄移植を受け治療を終えた後桝山社長は出版社から自叙伝の執筆を依頼されていた》《「フューチャー・ステップスは狭いアパートの一室で大学時代の友人真野誠一とパソコン一台で立ち上げたのが始まりで…」》
(恵里)《いつもありがとうございます》
(真野)《ありがとうございます。
ありがとうございました》
(恵里)《あっいらっしゃいませ》《こんな場末でパン屋か》
(真野)《お前。
何の用だ》
(桝山)《かつては億単位の金を動かしていたのに100円のパン屋をね》
(桝山)《1つもらおうか。
名物のメロンパンってやつを》
(真野)《お前に売るもんなんかない》《お前に会社を追放されて俺はどうやって生きていいか悩んだよ》《でもな今では感謝してる》《縁が切れて心底よかったと思ってる》《そうか》
(真野)《金が全てのお前には一生分からないだろうな》《1個100円のメロンパンを楽しみに待ってくれるお客さんがいる》《それがどれだけ幸せなことか》《幸せか》《邪魔して悪かったな》それはいつのことですか?
(真野)殺される2週間ほど前だったと思います。
なぜあいつが突然来たのか分かりませんが。
桝山社長は昔から誰も人のことは信用しないお金が全ての人だったんですか?
(真野)《なあ会社名どうする》
(桝山)《はあ》《フューチャー・ステップスってのはどうだ》
(真野)《未来への階段?何かだっせえな》《いいんだよ》
(真野)昔はよく笑った。
早くに両親を亡くしていたから人とのつながりみたいなものを大切にするところもあった。
桝山社長が。
(真野)でもよかったのは会社が上場するまで。
その辺りから資金繰りがうまくいかなくなって意見が対立し始めた。
そしてあいつは笑わなくなった。
でも久しぶりに真野さんに会って笑ったんですよね。
桝山社長奇跡的にドナーが見つかって助かったんです。
何か感じたことがあったんじゃないでしょうか。
もう一度調べてみます。
桝山社長がなぜ真野さんを訪ねに来たのか。
分かったらまた来ますね。
ありがとうございました。
(塚本)白石さん白石さん。
ちょっとご相談があるんすけどあの。
(白石)はっきりしろ。
(塚本)実はつぼ…。
(倉田)科捜研から連絡が入った。
凶器の古美術のナイフ柄の金属部分が最近加工したものだそうだ。
桝山社長は長年にわたって神戸にある古美術商から商品を購入していた。
1カ月に1,000万から3,000万程度。
その古美術商調べてみるべきだな。
あのどういう意味ですか?
(深沢)まだ分からないんですか?美術品のナイフは偽物だったんですよ。
へっ?
(深沢)購入した古美術品が全部偽物だった場合買ったと見せ掛けて金をどこかにプールしていた可能性がある。
それに木戸が絡んでたのかもな。
脱税目的かもしれませんね。
桝山社長の死後も社長の横川は古美術品を買い続けた。
こいつもグルだな。
(塚本)全部偽物?係長その古美術商の件俺に任してもらっていいっすか。
兵庫県警に知り合いがいるんです。
すぐに調べてもらいます。
神戸の古美術商のこと分かりましたよ。
老人が1人でやってる小さな店なんすけど何かおかしいんすよね。
はい登記簿。
(白石)小さな古美術店の割には何人も役員がいるな。
脱税とは違う目的があったのかもしれませんね。
(倉田)よし古美術商の方は俺と塚本で洗う。
深沢と白石さんは引き続き青山警備保障について徹底的に調べ上げてくれ。
(深沢・白石)はい。
作文コンクール。
懐かしいな。
桝山社長が審査員。
ユメちゃん。
埼玉県安藤。
(竹林)《被害者の遺留品のパソコンなんだけどこんな記事がわざわざ保存してあんの》高峰さんこれ。
(千尋)《「おとうさんは大くさんでした」「三か月まえにしごとのかえりにこうつうじこにあってなくなりました」「まい日ないてばかりだったけどなくなるまえおとうさんがこつずいいしょくがひつようなかんじゃさんのドナーになっていたことをおもいだしました」「かんじゃさんがげん気になったとわかったときおとうさんはすごくよろこびました」「わたしもうれしかったです」》
(千尋)《「わたしはおとうさんに大すきなユメちゃんのびんせんでかんじゃさんにおへんじをかいてとおねがいしました」》
(千尋)《「おとうさんは天ごくにいっちゃったけどおとうさんのおかげでげん気に生きている人がいるとおもうとわたしもちょっとだけげん気になります」》
(佐希子)作文コンクールの後主催した新聞社の佐藤さんという方から娘に手紙がありました。
(高峰)失礼します。
(佐希子)それがきっかけで娘は佐藤さんと文通をしていたんですがその方が。
(高峰)おそらく桝山社長の可能性が高いと思われます。
分かんねえもんだな。
桝山社長がドナーの娘と文通ね。
でも何で偽名使ったんだ?骨髄移植を受けた患者とドナーの交流にはルールがあるみたいですよ。
移植後1年以内に2回だけ骨髄バンクを通して手紙のやりとりができる。
でもそれには互いの素性が分かるようなことは書けない。
相手の素性に気付いた後もそのルールにのっとったのか。
意外に律義だね。
(白石)さすがに名乗ることはできんだろ。
自分に命を与えてくれたドナーが不運にも交通事故で亡くなった。
しかも生き残った自分はあの「金で買えないものはない」の悪評高い男だ。
分かった。
すぐにこっちに持ってきてくれ。
裏が取れました。
(ノック)
(倉田)失礼します。
千尋ちゃんが送った手紙が見つかった。
廃屋になってる桝山社長の生家の物置に保管されていたそうだ。
(千尋)《「そういえばこのまえびっくりすることがあったんです」「『おとうさんにおせわになりました』っていうお手がみといっしょにすごくたくさんのお金がポストに入っていたんです」「おかあさんはこまってお金はけいさつにとどけました」「お金なんかいらない」「おとうさんも生きていたらそういったとおもいます」》《このキャラクターの権利を持った会社を買収する予定だ》
(桝山)《「千尋ちゃんのお父さんは骨ずいバンクにドナーとうろくをしていたんだよね」「確かにお金じゃない」「どんな見返りも求めない100%の善意がこの世の中にはある」「お金を放り込んだ人はそれが分からなかったんだろうね」》
(高峰)千尋ちゃんは手紙をくれたおじさんと3カ月にわたって文通してたのね。
(千尋)おじさん手紙の中で昔はユメちゃんのように両手いっぱいの夢を持っていたって。
でも気付いたらその夢はどっかへ行っちゃったって。
いろんな悪いこともしたって書いていました。
おじさんはホントに悪い人だったんですか?そうだったかもしれない。
でも千尋ちゃんに会って変わろうとした。
桝山さんが最後に書いたこの言葉本心だと思う。
(千尋)変わろうとしていたのに何で殺されたんですか?お父さんは死んだ。
それにお父さんが命を助けたおじさんまで死んだ。
何で。
桝山社長に何があって殺されたのか。
必ず真実を突き止めるぞ。
(一同)はい。
白石さん。
(白石)おう。
(深沢)青山警備保障の筆頭株主の遠田という男単なる名義貸しでした。
本部のやつらに聞いたところいわく付きの人物だそうですよ。
(白石)こいつを徹底的に洗ってみるか。
(深沢)はい。
(塚本)これ見てください。
この会社も登記はされてますけどもやっぱり実体のないペーパーカンパニーっすね。
(長嶋)この先幾つのダミー会社を通して何につながってるかだな。
捜査二課に協力要請してみよう。
(倉田・塚本)はい。
あのわたし何が何だかさっぱり分かんないんですけど。
要は架空の会社や人間を隠れみのにして違法なお金をどこかに流してるのよ。
桝山社長がやっていたことなんですよね。
(三井)皆さんどうぞ召し上がってください。
(道尾)お味噌汁もあります。
(塚本)やけに仲いい感じになってんじゃねえか?お前ら。
(長嶋)捜査二課に詳しく調べてもらったぞ。
神戸の古美術商ダミー会社の5つ先にはとんでもないものがついていた。
あっ室長。
遠田を洗ってたら木戸のいた青山警備保障の裏には大和会がついてましたよ。
(倉田)とんでもないものが一致しましたね。
《大和会に金を流す?》
(桝山)《その裏経理の処理をやってほしい》
(横川)《そのためにわたしを雇ったんですか》《だましたのか》《だまされたのは俺も同じだ》
(桝山)《上場したてのころ資金繰りがうまくいかないときがあった》《金策に走ったがどこも金を貸してくれない》《そんなとき出資の申し出が投資ファンドからあった》《俺はわらにもすがる思いで飛び付いたよ》《でも危機を乗り越えた後に初めて気付いた》《大和会が絡んでいたのか》《そうだ》
(横川)《会計主任を探してるってわたしに話を持ち掛けた黒崎って弁護士は》《青山警備保障の顧問弁護士だ》《巧妙に隠しているが裏では大和会の法律関係の一切を取り仕切っている》《断ればわたしはどうなる》
(ため息)《すまない》《もう引き返すことはできないんだ》
(倉田)木戸は大和会の準構成員だった。
あなたの会社の警備になぜ暴力団がかかわっていたんだ。
何も話しませんから。
話せば自分の身に危険が及ぶからか。
桝山社長が生家に隠し持っていた裏帳簿だ。
(倉田)神戸の古美術商を通して大和会への不正な金の流れが記されている。
あなたの身柄はわれわれが責任を持って守る。
だから全部話すんだ。
それとも金をむしり取ってるやつらの影に一生おびえて暮らすのか?
(高木)当事件の犯人はやはり被告人に間違いありません。
指定広域暴力団大和会の準構成員である被告人は警備員として被害者の会社に入り込み常に被害者の行動を監視していました。
それはプライベートにも及んだためバーで居合わせることもあった。
被告人は被害者殺害の実行犯ですがこれは暴力団による組織的犯行だったとも言えます。
異議あり。
当事件に大和会が絡んでいるなどバカげた憶測にすぎない。
憶測ではありません。
現フューチャー・ステップスの横川社長は身柄の保護を条件に取り調べにおいて事件の真実を話しました。

(横川)《大和会と縁を切るってどういうことですか》《さっき向こうに連絡を入れたところだ》《この会社ならあいつらにくれてやる》《俺は一からやり直すことにした》・《ちょっちょっちょっちょっと待ってください》《じゃあわたしは》《横川。
悪いがお前も身の振り方を考えてくれ》《うっ》・《社長。
もしもし社長》
(木戸)《やつなら今刺したところだ》・《誰だ貴様》《横川組織を裏切ったらお前も同じ目に遭うぞ》
(木戸)《上からの指示がなくても俺はあんたを殺してたかもな》
(木戸)《いつも見下しやがって》《しょせんお前も組織に使われてるだけだろうが》
(裁判長)弁護人今の発言についてご意見は。
ありません。
おい守ってくれんじゃなかったのかよ。
(塚本)ヘドが出んなやくざの論理ってやつは。
あの弁護士もやぶ蛇だったわね。
桝山社長と木戸が顔見知りだって切り札を出したのは。
(黒崎)まさか横川が裏切るとは。
はいすぐに対応を。
失礼します。
逃げ切れると思うなよ。
警察はどこまででも追う。
亡くなった命を無駄にはしない。
(小学生)《おじさん言われたとおり買ってきたよ》《はい》
(桝山)《ありがと》《はいこれは君の分だ》
(小学生)《ありがとうバイバイ》《うまいな》
(桝山)《「今日友だちの作ったメロンパンを食べたんだ」「すごくおいしかったよ」「千尋ちゃんのお父さんが言ってたように命とか家ぞくとか友だちとかお金で買えないものはこの世の中にはいっぱいあるね」》
(桝山)《「おじさんはそういうのをこれから大せつにしたい」「変われるかな」「でも生まれそだった家で一からやり直してみようと思ってるんだ」》《うっ》
(桝山)《最近俺さでっかい会社のビルがあればよく見上げるんだ》《いつかこれよりもでっかい会社をつくって上まで駆け上がってやるぞってな》《でもさ上ばっか見てたら首が痛くなっちゃってよ》《バカだなお前》
(真野・桝山の笑い声)
(桝山)《なあ真野》
(真野)《んっ?》《いつか2人で頂点立とうな》《ああ。
やれよ早く》じゃああいつ変わろうとして。
はい真野さんを訪ねた理由も書かれていました。
謝りたかったそうです。
仲直りしてできれば昔に戻りたいって。
あのころには戻れませんよ。
えっ?きっとあいつもそのことは分かっていたと思います。
お互い別の人生を選んだんです。
あのころにはどうやったって戻れない。
(真野)それに今となっては戻りたくても戻れない。
あいつはこの世にもういない。
(真野)伝えてくれてありがとうございました。
あのとき「幸せか」って笑った桝山の顔。
一生忘れられそうにありませんよ。

(桝山)《最近俺さでっかい会社のビルがあればよく見上げるんだ》《いつかこれよりもでっかい会社をつくって上まで駆け上がってやるぞって》《でもさ上ばっか見てたら首が痛くなっちゃってさ》おいカメ何してるんだそんなとこで。
あっ。
あっこれ桝山社長の昔友達だった人が作ったメロンパンです。
室長もどうぞ。
そうか。
桝山社長はただ純粋に夢を見てたんです。
なのにいつの間にか周りの思惑にからめ捕られて。
確かに悪いことをした。
でも最後には一からやり直そうと思ってたのに。
カメ人ってのはそう単純なもんじゃないって言っただろ。
それは生きていくってことも同じだ。
大事なものは失ってから気付くことも多い。
必ず思いが相手に伝わるとはかぎらない。
変わろうと決心した瞬間に殺されることだってある。
何だか悲しくて切なくて。
それはカメがいい面も悪い面も含めて桝山社長が必死にもがいて生きたさまに触れたからだ。
うんうまい。
カメ食べてみろ。
うん。

(男性)《こちらです》2015/11/05(木) 14:55〜15:50
関西テレビ1
絶対零度〜未解決事件特命捜査〜 #07[再][字]

「光と闇〜IT社長殺人事件」
上戸彩 宮迫博之 山口紗弥加 丸山智己 杉本哲太 北大路欣也

詳細情報
番組内容
 4年前に起きた「六本木IT社長殺害事件」の再捜査を行うことになった4係。その事件とはIT時代の寵児と呼ばれた会社社長・桝山一弘(松尾敏伸)がオフィスで何者かに胸を刺され殺害されたというもの。強引な買収で桝山に対し怨恨の動機を持った容疑者は多くいたが当時は有力な手がかりが少なく、犯行に結びつける物証を見つけることができず未解決事件となっていた。
番組内容2
 そして4年後の今、被害者の秘書だった吉岡知加子(神農幸)の情報により、当時被害者の会社で警備をしていた木戸聡史(野中隆光)に新しく容疑がかかった。倉田工(杉本哲太)の根強い取り調べにより、木戸はついに「俺がやったんだよ!」と自白をし、逮捕された。しかし裁判で木戸は一変し、殺人を否定。弁護人の黒崎勝彦(小須田康人)は、木戸の自白は倉田の不当な取り調べにより強要されたものだと訴える。
番組内容3
 翌日、検察から倉田を捜査から外すよう一課長のもとにクレームが入った。しかし長嶋秀夫(北大路欣也)の計らいにより、倉田の指揮のもと再々捜査を行うことになった4係。4係のメンバーはより一層気を引き締め、次の公判までに新たな証拠を見つけ出すべく捜査を再び開始したのだが・・・。
出演者
上戸彩 
宮迫博之 
山口紗弥加 
丸山智己 
北川弘美 
木村了 
中原丈雄 
杉本哲太
 ・ 
北大路欣也 

ほか
原作・脚本
【脚本】
酒井雅秋
監督・演出
【企画】
成河広明

【プロデュース】
森安彩

【アソシエイトプロデューサー】
瀧山麻土香

【演出】
村上正典 
岩田和行
音楽
【メインテーマ】
「Dry Town〜Theme of Zero〜」LOVE PSYCHEDELICO

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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