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 旭化成建材による杭工事データ偽装問題で、旭化成建材以外の業者の杭工事での偽装の有無について、3府県が国の指示を待たずに独自調査を始め、少なくとも11府県が準備を進めていることがわかった。国は旭化成建材の調査を優先するが、自治体は「住民の不安をいち早く解消したい」としている。

 47都道府県に公共施設の調査の動向を取材した。独自調査に乗り出したのは愛知、滋賀両県と京都府。愛知県は9日、過去10年に杭工事をした県営住宅や県立学校など約80件を調べ始めた。横浜市の傾いたマンションで杭工事をした現場責任者が関与した43件のうち、同県は最多の25件を抱える。他の業者での偽装も報じられ、担当者は「使う人の不安を解消したい」という。

 滋賀県も2日、県営住宅や県立高校など三十数件について施工報告書を調べ始めた。担当者は「業界全体の問題との指摘もあり、可能性を否定できない」。

 京都府の山田啓二知事は6日の会見で「最初は旭化成建材の特定社員がやっていたという話だったが、下手をすると底なしみたいな話になる。情報を待つだけでなく(調査を)やる必要がある」と述べた。

 「検討中」は11府県。群馬県は、国土交通省の有識者委員会が「(旭化成建材以外も)データ流用の危険性がある」と指摘した点に危機感を抱き、物件を洗い出し始めた。愛媛県は「他県も調査を始めている」として数件をサンプル調査する。栃木、静岡、岐阜、福井、大阪、岡山、鳥取、宮崎、長崎も調査を検討している。

 調査予定はないとした都道県は「旭化成建材が国に報告する13日の調査結果を踏まえて判断」「国の動向をみている」などとしている。国交省は「今回の問題の原因がまだ不明のため、まずは調査対象を旭化成建材に絞る」という。