国土地理院を訪ねて地図の奥深さを味わう地図シリーズの第2弾。
今回は地形図に注目します。
貴重な地形図を拝見。
(田中)あった〜。
地形図が読めると…さあ始めましょう。
国土地理院は日本全土を網羅した国の基本となる地図地形図を作っています。
道路や鉄道建物や土地の利用状況などが正確に記載されています。
大きな特徴は土地の高さが分かる事。
等高線が込み入っている所は急斜面。
等高線の間隔が広い所は緩やかな斜面を意味します。
2013年3色刷りから多色刷りにリニューアルし一軒一軒の建物なども細かく表現されるようになりました。
山登りのルートを確認したい時や町づくりやインフラの整備をする時などに地形図はよく使われています。
こんにちは。
(中田)よろしくお願いします。
今回ふだんは大切に保管されている貴重な地形図を特別に見せてもらえる事になりました。
あ〜すごい。
うわ〜。
銅板にこれは逆で彫ってますね。
そうです。
これは今から130年ほど前明治20年に作られた地図の原版。
銅の板の上に地図が彫刻されています。
見て下さいこの細かい線の連なり。
この地図を彫った職人の多くは江戸時代に各藩で活躍していた絵師たちです。
近代国家として歩み始めた明治時代。
新しい国造りのためにより正確な地図が必要でした。
測量から完成まで3年かかりました。
次にお見せしたいのがこちらの地図です。
うん?ちょっとすごい事書いてますよ。
(田中中田)「軍事極秘」。
これ見ていいんですか?
(山根)大丈夫です。
これは昭和4年に発行された…ぽっかりと空白になっている地域があります。
どうしてでしょうか。
いい謎だよ。
ちょっと考えようよ。
分かんないみたいな。
あっ分からないから白い?僕が思うにこれ極秘だから…。
あっそっち?要するに軍の施設があるんですか?そうなんです。
戦艦大和ですよ。
はぁ〜。
そうか。
(山根)だからここは海軍の重要な拠点の一つだったんです。
ここにこれがあるぞっていうのがもしばれちゃうと攻められちゃうから…。
そうです。
それで白く抜けてるんです。
へぇ〜。
そうかと思うとですねこういう地図もあります。
こちらは…ここには2つの貯水池があります。
でも戦時中の地形図では隠されて草地となっています。
本当は貯水池なのに水があるっていう事を隠してる。
(田中)何で?それも狙われるからですか?そうです。
水って人間にとってすごい重要じゃないですか。
例えばここに毒物入れられるとか…。
そうか。
そういう事か。
あとはダムですよね。
ダムを破壊されたら洪水になっちゃいますよね。
はぁ〜いわゆる昔の水攻めなんていいますもんね。
それを防ぐために水を隠してる?
(山根)そうなんです。
軍事施設を隠すのはまだ何となく分かりますけど水も隠してるってのはすごくリアルですね。
やっぱり地図っていうものがかなり国にとって国防にとってもすごく大事なものだっていう事がこれからうかがえますよね。
日本にいる僕たちって自由に地図を見たり使ったりする事できるじゃないですか。
でも世界中の国の中にはいまだにこういった地図がね自由に手に入らないって事はいっぱいあるみたいですよ。
でも今こうして私たちがこう見れてるし普通に買えたりするっていうのはやっぱり今平和なんだっていう事の象徴なんですね。
今でこそコンピューターで作られている地形図ですが昭和の時代どのように作られていたのでしょうか。
おっ何かここはかっこいいマシンがいっぱいありますね。
当時道路や建物等高線をどうやって描いていたのか特別に体験させてもらいました。
これは写真を使って地形図を描く…30年ほど前まで使われていました。
地形図を作るにはまず航空写真を撮る時に60%ずつ重なるように撮影するのがポイント。
この重なっている2枚の写真を図化機にセットしレンズを通して見ると脳の中で2つの視覚情報が融合して写真が立体的に見えるのです。
3Dのテレビや映画で立体映像を見るのと同じ原理です。
(久保)建物とかがこう浮き上がって…。
うわっ浮き上がってる浮き上がってる。
2つのハンドルを操作して機械と連動しているペン先を動かします。
こっちは縦だ。
(久保)そうですねそちらは縦。
こっち横ですね。
(久保)そうです。
校庭をまずなぞるからね。
下の地図は専門化が描いたもの。
中田さんは同じ写真を使って同じ地図を描く事ができるでしょうか。
混乱する…だんだん。
あ〜もう嫌になってきた。
だんだん嫌になってきた。
(田中)違うの出来てますよ。
校舎。
新しい校舎作ってます中田さん。
これ校舎じゃないの?こう…こういう事か。
(田中)あっそうですね。
(久保)難しいですよね。
立体とってるから分かる事があるな。
あっあっあっ…。
5分かけて完成させたのは…。
結構さ思ってるよりいいんだけど。
これ面白いね。
(久保)初めての方とは思えないぐらいの出来栄えですね。
筋いいですか?まさかの!?
(田中)向いてるんじゃ…。
向いてないよ。
国土地理院の仕事は多岐にわたります。
これは南極昭和基地がある東オングル島の地形図。
日本が南極に観測隊を派遣するようになった1956年以来基地周辺の測量や地形の観測を行い詳細な地形図を作っています。
2012年観測隊に選抜されおよそ4か月間南極で調査に当たりました。
昭和基地って南極にあるんだと思ってました。
(吉高神)あ〜ですよね。
じゃないんですね。
この付近の島なんですか?そうなんです。
私とかは…その期間はですね…
(吉高神)危ないのでそういう時は…比較的行きやすい時期ですか?南極の夏。
(吉高神)そうです。
これは上空800mから撮影した東オングル島の航空写真。
およそ1時間で撮影した117枚の写真をつなぎ合わせたものです。
昭和基地もはっきりと見えます。
(吉高神)こういった普通の一眼レフのカメラなんですけどこれを…ヘリの脚にくっつけてですね。
ヘリにくっつけて空撮。
このようにして作られた南極の地形図は50年以上にわたり観測隊員たちの安全な調査活動を支えてきました。
想像しない業務ですねこれは。
こういうのを…吉高神さんが南極で拾った宝物を見せてくれました。
これは国土地理院が昔から測量の基準となる基準点に立てていた旗。
これ見つけた時どんな気持ちになったんですか?結構先輩方のですね思いというか…ですよね。
ちゃんと残ってるもんですね南極付近でも。
そうですね。
ここからは田代博先生と一緒に地図を読み解いていきましょう。
(田代)地図って実はタイムマシンなんです。
タイムマシン?昔の様子が分かりますよね。
今日はお二人に地形図を読み解く面白さこれを分かって頂きたいと思います。
分かりました。
まずはウオーミングアップ。
皆さんはこれらの地図記号が…一番下の右から2番目の…それが老人ホーム。
そうです。
正解。
合ってた。
これを決めたのは子供なんです。
募集して決めたんですね。
公募で…。
このねステッキの感じとか分かりやすいですね。
すてっきですよね。
アハハハ!いやいやあの…。
日奈ちゃん次分かるの何?老人ホームの上が確か学校だったような。
ただこれ中学校とか高校とか小学校とかあるよね。
惜しい。
これは高等学校。
高校だ。
小中が一緒なんです。
高校が丸が付くんです。
小中は丸がないんだ。
さあ次は上級問題。
この記号分かりますか?でも地図のいろんな記号がありますけど本当の基本の基本の一つなんですよ。
何とか点。
何とか点。
えっ本当に分かんない。
何だろう?山。
水準点っていうんです。
水準点。
高さを一番正確に測るその記号がこの…。
これプロの方には重要ですけど我々素人にはあんまりなじみがないですね。
…かどうかはこのあと見ていきます。
ではいよいよ地図を読み解きます。
今回は東京と千葉県の県境にある東京都江戸川区に注目しました。
荒川と江戸川に挟まれ町なかにもいくつもの川がある地域です。
現在と70年ほど前の地図を比べます。
記号がどういうふうになってるか。
えっあれちょっと待って。
これ見てよ。
このころはまだ水田?そうです。
水田が今のと違う。
いかにも稲を刈り取ったあとの田んぼみたいな感じになっていますよね。
下に横線が付いていて。
ほとんど水田だったのが住宅地になってる。
住宅地ですよ。
発展している。
なくなっちゃってる。
町の発展だ。
本当だ。
さっき水準点の話をしましたよね。
せっかくだからここにもねあると思いますよ。
えっ水準点ありますか?船堀っていう駅の川の所。
ちょっと見て。
おっ。
あった〜。
標高が…数字が書いてあると思う。
何か書いてある。
−1.0。
標高−1.0とは東京湾の平均海面から1m低い事を意味します。
昔はどうなってんだろう?あ〜あったあったあった。
水準点の数字は2.3m。
つまりこの70年ほどの間に3m以上土地が低くなっている事が分かりました。
という事は?地盤沈下してる。
そうです。
戦後の高度経済成長の時にどんどん地下水くみ上げて…。
くみ上げたりとかいろんな原因で地盤が沈下してるとはいわれてますがそれが数値で見比べれる状態になってる。
なるんですね。
これタイムマシンとしての価値すごいありますね。
更に発見は続きます。
何か川と同じように描いてある四角いのがありますね。
この渦巻きのように描かれている場所は水部。
つまり池のように水がある事を表しています。
昔の地図にはこの水部がたくさん見られます。
現在の地形図を見ると数は少なくなっているものの住宅地の中に池がありました。
これは何でしょうか。
(田中)
という事で海と川に囲まれ水辺が多い江戸川区を実際に訪ねてみる事にしました。
江戸川区役所前を歩いていると…
あれ何ですか?塔。
あれね。
ひときわ目立つ高い塔を見つけました。
近くを流れる荒川の水位がリアルタイムで表示されています
あの高さまで高潮で押し寄せた訳。
水が?実際に水が。
江戸川区は7割が海抜0m地帯。
そのため水害に警戒しなくてはなりません
ここにも届いてないんですよ。
だから相当高いって事ですよね。
じゃあもうなおさらこれがないと…。
こういうのを使って区民の水に対する備えが大事だっていうのを意識してもらいたいんでしょうね。
うんそうですね。
しばらく歩くと江戸川にたどりつきました
あっ何か大きい建物があるんですけど。
うん?これは何?分からない時は地形図で調べます
そう…これだね。
どこ…あっ本当だ。
「江戸川水門」ってここに書いてあります。
あれは水門なんですね。
そうそうそうそう。
これらの門は何のためにあるのでしょうか。
パトロール中の方に聞いてみました
あっこんにちは。
こんにちは。
あちらの江戸川水門とこちらの江戸川閘門と呼ばれていますが洪水の際に旧江戸川に水が流れ過ぎないように洪水を制御する事やあと東京湾から塩分が上がってくるのを防止するような役割を持っています。
この門は70年ほど前に造られ以来ずっと洪水や塩害からこの地域の人々を守り続けています
そうそうあの謎の池も探してみました
場所はここだよ。
あっ!あっ…いるいるいる!金魚?かわいい。
住宅地に囲まれた池は金魚の養魚場だったのです
4,000m^2の敷地で3種類5万匹の金魚を育てているそうです
昔はこういうようなちっちゃい池がたくさんあってでも今ではすごい少なくなっちゃってたんですが昔はこういうような池とかそういうのはいっぱいあったんですか?
土と水が豊かな江戸川区は昭和40年代まで金魚の養魚場と水を大量に必要とするレンコンの田んぼがたくさんありました。
しかし今ではそのほとんどが埋め立てられ金魚の養魚場は2軒しか残っていないそうです
随分変わっちゃったんですね。
変わりましたよ。
この江戸川区は昔から水をコントロールして上手に利用して暮らしてきた町だという事が分かりました
私もちょっと自分の地元地形図探してそこがこうだったとかっていうの見つけられたら面白いなって思いました今。
地形図を持って歩くと地形図に描いてあるから分かるっていう事と逆に現地に行ってみないと地形図じゃ分からない…。
分からない事ありましたね。
だから両方を深く知る事ができるからそういう点ではこの番組を見てる高校生の皆さんも是非地形図を持って町を歩いてほしいなと思います。
今日はありがとうございました。
どうもお疲れさまでした。
皆さんも地形図を持って旅をしてみませんか。
きっと新しい発見がありますよ。
道路や鉄道建物や土地の利用状況などが記号を使って詳しく記載されています。
昔の地形図を読む事で当時の様子が分かります。
更に今の地形図と比べる事で地域の変化を知る事ができます。
より深く町について知るために…2015/11/06(金) 14:40〜15:00
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 地理「地図で日本を旅する」[字]
人・モノ・情報が地球規模で行き交う現代。国や地域を越え、多様な社会や文化を理解し合うことが不可欠。“世界の今”を読み解く「地理」は、未来を切り開く力となる。
詳細情報
番組内容
道順を調べたり、天気予報を確認したり…私たちは毎日さまざまな地図を利用している。そして、地図は学問の分野に限らず、社会の中では無くてはならない表現手段である。2回シリーズで地図の魅力や読み解き方をたっぷりと紹介。その2回目は… 「地図で日本を旅する」 (1)地形図の読図 (2)地図はタイムマシン、新旧地図の比較 (3)地図を持って出かけよう!
出演者
【講師】明治大学非常勤講師…田代博,【出演】中田敦彦,田中日奈子,【語り】安元洋貴
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験
映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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