小さな旅「太公望 集う瀬戸で〜山口県 柳井市〜」 2015.11.07


(テーマ音楽)
山口県の南東部瀬戸内海に面した柳井市
対岸の島との間にある海峡大畠瀬戸です
幅800mの狭い海峡は潮の流れが速い事で知られています
潮の流れがぶつかって出来る渦潮。
海底のプランクトンを巻き上げ豊かな漁場を作り上げています
海峡に近い…
およそ3,000人が暮らしています
今日は天気がいいな。
ねえ。
ず〜っと瀬戸内の島々が向こうにつながってるのが分かる。
あれ?あの船のまた向こうに小さな船が何艘も見えるよね。
釣り船のようです
どうなんだろう?釣れたんでしょうか?こんにちは。
こんにちは。
どちらからいらっしゃったですか?今日は東京からです。
ええ〜っ?東京から?昨日の晩仕事終わって…。
うわ〜!
クーラーボックスの中には見事なマダイ。
渦潮の海で育ったタイは身が締まって味がよいと言われています
70cmを超える大物も
顔がわしぐらいあるやろ。
タイの顔がわしぐらいあるね。
大畠は年間およそ2万人が訪れるタイ釣りの名所です
釣り客が頼りにしているのが地元の海を知り尽くした船頭たち
その数およそ30人
こんにちは。
今日はどうだったですか?今日はまあまあいい方じゃない?あれで不満じゃったらよそへ行けっちゅう。
タイ釣り一筋30年のベテランです
う〜んやっぱりあのタイの引っ張る力かな。
手で釣ってもさおで釣っても。
カッカックッ頭を振るからねタイは。
その感触が忘れられんのじゃろう思うよ。
前田さんの船にはその腕を見込んで多くの釣り客がやって来ます
おはようございます。
この日は広島からの2人20年来のつきあいです
船頭の一番の仕事はタイを釣るポイントを見極める事
潮の流れが刻々と変わる大畠瀬戸。
いつも同じ場所で釣れるとはかぎりません
これまでの経験を生かしながら遠くにある山々や島影灯台などを目印に釣り場を決めてゆくのです
ポイントってのはどうやってやるんですか?俺は山と山です。
島が重なるとことか山立てするんです。
ああ場所を決めといて船の位置を…。
その位置に持っていく。
引き潮の場合だったらこっちとか満ち潮の場合だったらこっちっていうように山立ててるんです。
使う餌は食用にもなるアカエビ。
まさに「海老で鯛を釣る」
生きのいいものを使おうと前の晩取ってきたものです
釣り方はタイのアタリが分かりやすい手釣り
指先に神経を集中させます
糸を垂らして3分。
早速アタリが
はいおめでとうさん。
その後も次々と
久々に釣るけものすごうおっきく感じた。
この日は10匹のマダイが釣れました
楽しい釣りを毎回させてもらっています。
ほとんど船頭さんが。
釣って頂くんです。
数は少ないけどまあ大きさ的に塩焼きばっかしじゃない刺身もあるけ。
それで十分じゃないかな。
釣り人をもてなす大畠の船頭たち。
多くはもともとタイの一本釣りの漁師でした
しかしタイの養殖が盛んになるにつれて天然物の値段は大幅に下落
潮の流れが速い大畠では網を使った漁や養殖は難しく漁業で生計を立てられなくなりました
そんな中前田さんたちが目をつけたのが釣り船でした
一本釣り漁師の技を生かしお客さんにタイを釣ってもらい生活していこうと考えたのです
漁師が山へ上がっちょったんじゃおか上がっちょったんじゃ稼げんけえね。
船乗っちょりゃあ何だって稼げますけ。
やっぱ漁師じゃけん船動かしてなんぼっちゅう感じですよね。
前田さんの家にはお客さんと撮った写真が飾られています
釣り客のほとんどが常連です。
年間5〜6回やって来る人中には親子2代にわたる客もいます
(前田)お客さんが釣ってくれるんがこれが一番うれしいよな。
大きなの取って喜んでくれるんが一番。
昔の一本釣りでそれで生活する時にはそういう出会いっちゅうのはなかったろうけど釣り船やり出していうものはできてからいうものはそういう出会いがあるから。

タイは地元の人にとって身近な魚です
船の帰りを待っていたのは魚屋さん
釣ったばかりのタイを仕入れるためです
手早く生けすに移します
やっぱり生きてるのを売ってるとこは少ないと思うんでそこは売りですかねうちの。
注文が入ると生け締めに
2,800円。
はい。
家族の集まりや祝い事などタイは大畠の暮らしに欠かせないと言います
ありがとうございます。
タイを使った名物料理もあります
これは何のお店?「うずしお母さん」鯛寿司。
鯛寿司って書いてあったけど。
こちらです。
どうぞお召し上がってみて下さい。
タイの身をたっぷり載せたちらし寿司。
値段は手頃な480円
これがじゃあタイね。
それがタイ。
ああ歯応えがやはりある。
酢でつけてある割にはシコシコして。
作っているのは地元の女性たちのグループです
鯛寿司をもっと手軽に食べてもらおうと10年前から販売を始めました
大畠ならではの隠し味も
使うのは地元で採れたミカンの搾り汁
タイをミカンの汁につけ込み爽やかな酸味を加えます
ほんとに喜んで来て下さるっていうのが一番ですね。
自分の母親が作ってたのもこんな感じだったとかって言って下さったりしますよね。
それはほんとに頑張れますね。
店に来るのが難しいお年寄りたちのために移動販売も行っています
この日やって来たのは車で10分の集落
今日少ないじゃん。
そうだよごめんね〜。
あっという間に売り切れました
はいありがとうございました。
ご主人と仲良く食べて下さい。
いつものなんでね。
私はようね鯛寿司買いますよ。
おいしいから。
渦潮の恵みに抱かれた里です

年に一度大畠が大いににぎわう日があります
10月中旬に行われるタイ釣り大会
全国各地から100人を超える腕自慢がやって来ました
船頭たちの誇りを懸けた大会でもあります
そりゃみんなやる気やと思います。
内心。
表では普通ですけど。
僕もやる気っすよ。
ベテラン船頭の前田直二さん
どうぞ。
この日船に乗るのは地元の釣り好き一家。
息子の1人は休みを取って静岡から駆けつけました
朝6時。
26艘の釣り船が一斉に沖に向かいます
制限時間内に一番の大物を釣り上げた人が優勝です

前田さんがやって来たのは最近大物がよく釣れているという場所です
釣り始めて20分
よしよしはい。
釣れたのはハマチでした
赤いの釣りたいね。
赤いのですね。
上げましょうや。
ハマチに餌を取られるばかり。
釣り場をかえる事にしました
移動して5分。
再びアタリがきました
やった〜やったじゃん。
タイやったで〜。
見てみいこれ。
これが大畠のタイじゃ。
静岡から来た息子さんにも
やった優勝候補入れるど。
この日一番の大物です
ああ〜ええタイ。
おめでとう。
やったね。
優勝候補に入れるど〜。
午後1時半。
いよいよ計量の時間です
前田さんのお客さんのタイは重さ3.7kg。
見事2位入賞です
そこそこやっちゃろう。
釣り人も船頭も笑顔あふれる瀬戸の秋です

(テーマ音楽)
(テーマ音楽)2015/11/07(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「太公望 集う瀬戸で〜山口県 柳井市〜」[字]

山口県の柳井市大畠地区は知る人ぞ知る“タイ釣り”の町だ。瀬戸内海の激しい潮流にもまれて育ったタイをねらい、全国から集まる太公望と彼らを支える船頭たちに出会う旅。

詳細情報
番組内容
山口県東部の柳井市大畠地区は、知る人ぞ知る“タイ釣りの町”です。激しい渦潮にもまれて育った見事なタイを目当てに、全国から太公望が集まります。彼らが頼りにするのが地元の海を知り尽くした腕利きの釣り船の船頭。さらに、町の女性たちが作る名物料理「タイずし」に舌鼓を打ちます。100人を超す釣り人が大物を狙う「タイ釣り大会」も開かれるなど、町が最も活気づく秋。タイの恵みとともに生きる瀬戸の町を訪ねます。
出演者
【語り】国井雅比古

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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