「NHK短歌」司会の剣幸です。
今日もご一緒に短歌を楽しんで下さい。
それでは早速ご紹介致します。
第二週の選者染野太朗さんです。
よろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
染野さん冒頭の一首は?それまで何でもない道で木の名前もよく分からないんだけれどもそれに名前を何々の木だ何々の木だって言われる事ではっきり見えてくる。
しかも君というのが特別な存在であればまあ自分で言ってて恥ずかしいんですけども生き生きと立ち上がってくるとそういう歌を作ったんですね。
随分前ですね。
ありがとうございます。
さて今日のゲストをご紹介致します。
元フィギュアスケーター選手で現在はプロスケーターでいらっしゃいます。
鈴木明子さんです。
ようこそお越し下さいました。
よろしくお願いします。
私は今日とってもうれしいです。
お目にかかれて。
こちらこそです。
ありがとうございます。
昨年現役引退されてその後はいかがですか?今は競技生活の中では毎日練習だけだったんですけれども今は練習とお仕事と更に趣味であるミュージカルをとにかく見に行っているので先日もまさに剣さんの舞台を見に行ったのでうれしいんです。
そうですかありがとうございます。
今日はスタジオに本当に大切なお衣装とスケート靴をお持ち下さいました。
この衣装は「愛の讃歌」?そうです。
「愛の讃歌」。
現役生活最後のプログラムに選んだものです。
靴も目の前にあるとあっこんな靴なんだって。
こんな間近で我々見る事ないですもんね。
現在は振り付け師として活躍なさっていて今シーズン振り付け指導なさった本郷理華さん優勝なさいました。
おめでとうございます。
ありがとうございます。
振り付け師っていうのもどうなんですか?大変ですよね。
私が踊るのは好きなんですけど振り付ける方ってクリエーティブな方なので全く別なんですよね。
難しさを今すごく感じています。
染野さんフィギュアスケートはいかがですか?ほんと素人ですけれどももちろん見ていて短歌歌人の仲間にはすごくフィギュアスケートのファンが多いんですよ。
ですので今日は私すごく羨ましがられてるだろうなと思うんです。
非常に楽しみにしております。
後ほどたくさんお話を伺いたいと思いますのでよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
では今週の入選歌ご紹介します。
題は「休む」または自由でした。
では一首目です。
大変な忙しさで自分と仕事の区別がつかないというか仕事こそが自分そのものなんだという歌だと思うんですよね。
そこにつらさもあるんですけどどこかプライドがにじんでるんじゃないかというふうに思います。
初めの「三十五年」という字余りも重みがあって非常によく効いているんじゃないかなと思いました。
では次です。
駒というのは正確には多分石と言うんですが駒とも言うという事で連休を終えるって事とオセロの白を置くというのは本来多分関係ないんですけど恐らく連休の終わりというのと白を置いたという行為が象徴的に重なったんだと思うんですよね。
非常に印象的にその白さというのが見えてくるすてきな歌だなというふうに思いました。
では次です。
鈴木さんいかがでしょう?これ私自身も経験があって寝る直前までずっと電話をしているといつおやすみって言うタイミングが見つからないんですけれどもそんな時に電話の相手が私の状況を読んでくれて電話だから声なんですよね。
そこで読んでくれてもう寝るでしょって言ってくれた経験があったのですごくその状況を思い出しました。
「耳が呼吸を読みにゆく」という「耳が読みにゆく」という表現がすごくいいですよね。
まさに耳だけで神経をそちらの方に向けている感じが伝わってくると思います。
では次です。
これ出目金に語りかけてるんですよね。
多分自分とも重ねてると思うんですよ。
いつも人間関係とかいろいろ見てしまうんだけれどそれをちょっと休んで見たいという気持ちの表れだと思うんですが出目金目が強調されていて魚ですからまぶた閉じる事できないですよね。
そこまで想像するとちょっと悲しいというか切ない感じも残るなというふうに思いましたね。
出目金が自分と重なってまぶたを閉じろっていうんだけどなかなか眠れないっていう状況も見えますね。
きっとそれも…はい。
では次です。
どうですか?いやもうまさに私休憩するのが怖い。
いつも走り続けてなきゃいけないと思ってしまうタイプで周りからもほんとによく動き続けてるよねって言われるのですごく共感できましたね。
鰹っていうのは呼吸のために泳ぎ続けなきゃいけないんですよね。
口から水をとってエラから吐くというか。
そういうふうに言うんじゃなくて休憩しちゃうと悪い事考えるからって一つ物語を作者が設定して「鰹は泳ぐ」っていう事に付け加えたわけですよね。
そうする事によって我々これ歌読んだ後はあの鰹の無表情がもしかしたら悪い事考えてるのかもなんて思ったりとかそういうふうに生き生きと表れてくると思うんですよ。
これ多分一つ言葉の力だと思うんですよね。
現実にはないけれどもそうやって言う事で我々の見方が変わるというかそういった事も考えさせてくれる歌だなというふうに思いました。
では次です。
これもどうでしょうか?「単三電池」って言葉ありますけれども目覚まし時計なのかな?ちょっと大きめの。
休みの前の日だと目覚ましをかけずに寝れるっていうのがものすごく幸せでこれは外れかかっててほしい。
希望も感じる…。
取ってしまいたいぐらいの。
そんな感じがあるのかなって私は感じたんですが。
そのように読んで全然問題ない歌だとは思うんですけど恐らく最初に外れかかっていてそれを見た時にいろんな事人は思うと思うんですけれども時計も動き続けてて休みがほしいんだろうなっていう事を想像したんですね。
先ほどの鰹は泳ぐと一緒でそうやって一つ付け加えるんですよね。
そうするとやっぱりふだんの時計が違ったものに見えてくる。
そういう歌だと思いますね。
では次です。
林業の一場面かと思うんですけど木の上に行って枝を打っている。
それでちょっと休憩する。
それが「斧を休めて」っていう事なんだと思うんですけれども枝が取り払われた分光がファーッと来るんでしょうね。
その向こうには湖があってそれを見るとまで表現してますから休憩のために見ているんだと思うんですけれども非常に景が豊かだと思うんですよね。
湖の湖面に映る光というかそういったものまで見えてくる。
それで木の上という事で高さもあって非常に豊かな景が広がる一首だなというふうに思いました。
では次です。
まさに私も休みの日に家でボ〜ッとするよりはとにかく外に出たいって。
休みほとんどないんですけど出たいなと思ってしまうのでそれこそ私も休みも動き続けたいというところがあるんですよね。
これ「出かける前に洗濯しなきゃ」「しなきゃ」「しなきゃ」「しなきゃ」って事で休みなのに全然休めてないというかそういったところが多分表されていて面白いんですけどこの人の気持ちになるとちょっとせわしないというかちょっと悲しい感じもする。
現実が待っているという感じですよね。
まさに日本人だなっていう気はするんですよね。
休み方がよく分からないっていう。
では九首目です。
「明日はおまえを」まではス〜ッと読んだんですよ。
最後の「伐る休みだよ」というのが僕はびっくりしてしまいまして休みの日にお前の事伐るよって突然宣言している。
これもしかして怖い歌なんじゃないかと思って非常に気になったんですよね。
ありがとうございます。
以上入選九首でした。
では染野さんの特選の発表です。
まず三席お願いします。
喜多功さんの歌です。
では二席をお願いします。
漕戸もりさんの歌です。
では一席をお願いします。
太田宣子さんの歌です。
一席のポイントは?やはりこの出目金っていうのがものを見てしまう象徴でありそしてまぶたを閉じられないよなという想像までするとやっぱりいろんな気持ちが浮かんでくると思うんですよね。
そこすばらしいなと思いました。
はいありがとうございます。
以上入選作品のご紹介でした。
続いて「入選への道」。
投稿作品から惜しかった一首を添削します。
作品はこちらです。
帰省するって連絡したらいろいろ歯ブラシの好みまでいろいろお母さんに聞かれてちょっとうんざりしてるのかもしかしたらうれしいのかも分からないんですけれども「電話の繁き」という言い方が何回もある電話をいっぺんに表現してしまう説明的だと思うんですよね。
それをこんなふうに変えてみました。
こうすると今まさに1回分の電話が鳴ってるんですけれどもそれが繰り返しであると。
それから「また」というところにちょっとうんざりした感じも出るかなと思うんですよね。
ありがとうございました。
皆さんも参考になさって下さい。
では投稿のご案内です。
続いて選者染野太朗さんのお話です。
山田航さんの歌を今回ご紹介するんですけれども是非お二人にも想像して頂きたいんですけれど鈴木さんならスケート靴を履く時とか剣さんなら舞台にその時に合った靴を履く時とかこの歌は靴紐を結ぼうとして身を屈めるとスタートラインにどんな場所でも見えるんだと言ってるんですよね。
これ面白いのは例えば「笑う門には福来たる」じゃないですけれども楽しいから笑うんじゃなくて笑うから楽しいんだなんて言い方聞く事あると思うんですけどまさにそれだと思うんですよね。
身を屈めるからこそスタートに気持ちが向かうというかそういう気持ちになる。
前向きなのかもしれないしもしかしたらそこにちょっと不安な気持ちもあるのかもしれないし。
体が心を導く。
そういった事を表現している歌としても捉えられるのかなと思いまして今日は持ってきたんですね。
私は試合に向かう時ものすごく緊張して怖い事もあるんですね。
でもどこかで自分の気持ちを試合の本番に持っていかなくてはいけないので靴を履く時私は必ず左足から履くんですけれどもいつもと同じルーチンをする事によって自分の気持ちをまさに本番に持っていくっていう事にこのスタートラインって近いなと思いますね。
まさにそういう歌だと思うんですよね。
ご自身でそうやって作る事によって気持ちを整えていくっていう事ですもんね。
はい。
ジンクス…私はほとんどないんですよ。
早変わりとかが多いのであんまりそういう事も言ってられないっていうのが正直なところなんですけど一番最初の舞台に立つ時っていうのはまずお化粧してお衣装を着て最後に靴を履くんですよ。
靴を履いた途端にさあ舞台へ一歩出るぞっていう感覚になりますから。
スイッチがポンとね。
それがやっぱりスタートラインが靴っていう感じがしますね。
靴ってやっぱり何かあるんですね。
動きも含めてね。
今日は元フィギュアスケート選手の鈴木明子さんをお迎えしております。
「愛の讃歌」の時の衣装をお持ち下さいました。
このプログラムは特別なものだそうですね。
まずこの「愛の讃歌」という曲が恩師である長久保コーチが大好きな曲だったんですね。
だからこれ現役最後のプログラムになったんですけれども曲選びってすごく悩むんですよ。
どんな曲やろうかなって。
一番大事ですもんね。
そうなんですよ。
でもその時にやっぱり先生も大好きで私もお気に入りの曲だったらつらい事も乗り越えていけるんじゃないかなと思って「愛の讃歌」を選びました。
プログラムの映像をほんの少しですがご用意致しました。
2013年NHK杯のものです。
どうぞご覧下さい。
冒頭はスケートと出会った喜び。
いろんなジャンプ一つ一つ跳べるようになっていく喜びを表現しています。
私ここからの部分がすごく好きで。
音楽も盛り上がりますよね。
ここからすごい。
心が解き放たれるというかそれによって体も自由に表現するというかもちろん振りは決まってるんですけど自分の感情だけをここで乗せていくっていう。
あ〜すばらしい。
(スタジオの拍手)今お聞きしても思うんですけど解き放たれるなんて試合でああやってプログラムが決まっててやらなきゃいけない事とかいっぱいあるわけじゃないですか。
それをほんとに心が解き放たれるってそんな事ってあるの?って思うんですけれども。
ふだん練習をしてる時はどれだけ仕上げていってミスがないようにってやるんですけどそこまでは練習でやってるので本番になったらあとは何も考えず自分が思うままに表現したいっていうのが私のスケートだったので。
そこがすごいです。
普通は技と表現って別々になっちゃうような気がするんです。
技は技すごくできる人。
表現者は表現者ってなるんですけど鈴木さんは両方一体してる。
だから我々見る方が感動を頂くという感じがします。
うれしいです。
私は技で苦労した選手だったので逆に言うとスケートって技だけじゃなくて表現もあってどちらもあるからだ。
ジャンプだけ跳べるんだったらジャンプの試合があればいいと思うのでやっぱり全部曲もあって衣装もあっての表現だからって思うところに自分のスケートの良さを感じてスケートの私の魅力スケート自体の魅力をそこに感じていたのでそれがやっぱり表現できたらいいなというのを追い続けて今も追い続けています。
表現できていますよ。
どうですか?ふだん言葉による表現ばかりなのでこのようなのを見せて頂くとそれこそ言葉もないんですけど鈴木さんは言葉で表現するご本も書かれてらっしゃるんですよね。
今日は剣さんに是非お願いしてですねご本の中から一節ご紹介頂きたいと思うんですけど。
では読ませて頂きます。
先ほど「愛の讃歌」のプログラムこちらで解説して頂きたいと思います。
たった2分50秒の中なんですけれども私のスケート人生を凝縮したプログラムでスケートと出会い好きな事に出会って頑張っている自分の喜びから一転して一度病気を経験して離れた時期があったんですね。
その時に初めて感じた挫折と苦しみと葛藤というのが中盤部分にあってそこから真っ暗なトンネルから出た時が最後のステップシークエンスで再び滑れる喜びを手にして周りの人たちの感謝と自分がもう一度この大きな舞台で広いリンクで一人で滑る事ができるっていうその幸せをかみしめていたっていうのが最後プログラムのラストにつながっています。
凝縮されてるんですよね。
それだけのものがね。
いろんな人生を経験したからこその表現力だと私は思いますし今おっしゃったように自分一人が滑ってるんじゃないっていういつもインタビューなんかでおっしゃってるのを聞いてそれはコーチのおかげだったりひいては見て下さるお客様がいらっしゃるからこそって常に思ってらっしゃいますよね。
それがものすごい振りに表れててだから我々も見てて心が洗われるというかそんな気がしてなりません。
一番お好きな振りとかありますか?たくさんある中でやはり最後のポーズのところは「愛の讃歌」で言うと自分がスケート人生を最後まで演じてきて最後のところっていうのはお客さんからスポットを浴びてるような感じで自分が光を浴びてるっていうイメージなんですがその光っていうのは周りの人たちが私を輝かせてくれるって思っていたんですね。
だから最後のところはポーズがこういうポーズだったんですが剣さんもやってくれるうれしい。
滑れたら私もやりたい。
これはまさに周りの人たちがいるから今の私がここで滑っていられるんだっていう思いをつなぐようなポーズですごく気に入っています。
私いつもコンサートとかの最後にやっぱりこうなるんですよ。
それって皆様ありがとうとか皆さんのおかげで歌えてますみたいな感覚ってちょっとあるのでちょっと似てるかなと思っちゃいました。
どうしても滑ってるのは自分で歌ってたりするのも自分でスポットを浴びているのは自分なんですけれどもそこにはたくさんの人たちの支えがないとそこに立てないっていうのがあるのでそこが伝わったらいいなっていつも思っていました。
今日は短歌の番組なのでフィギュアスケートの歌もご紹介しなきゃなと思って実はいっぱいあるんですよ。
そのうちの一首をご紹介したいと思います。
こちらですね。
短歌は言葉でフィギュアスケートを表現するって難しいと私は思うんですよね。
演者の表情それから動きはもちろんですけど衣装とか音楽とかその時の会場の雰囲気とかいっぺんに表現はできない。
その中で一つ可能性があるとしたら比喩かなというふうに思いましてこのような歌を紹介したんですけれども鈴木さんいかがですか?轆轤と土というものが轆轤を回して作っていくとしなやかに土が立ち上がっていくような感じがものすごくフィギュアスケートのスピンってしなやかに回るのでそこがものすごくうまく表現されているなと感じます。
それこそテーマである「体」なんですけれどもそういう読みをして頂いたなと思います。
鈴木さんこれからの夢は?これからは今振り付け師としてまさにスタートしだしたところで本当にまだまだ勉強不足な部分はありますけれども今まで自分が振り付けをされる側でそれによって私はいっぱい輝かせてもらったので今度はスケーターたちをより輝くお手伝いをする事ができたらいいなというふうに思っています。
でも振り付け師って自分で作っていかなきゃいけないじゃないですか。
ダンスなんかもそうなんですけどでもそれもきっとまた何か新しい自分に巡り会う挑戦というか…。
そうですね。
自分にとってはすごく大きい挑戦ですけれどもそれによってまた自分が滑る時にも何か感じが変わってくるんだろうなというのを楽しみに自分の変化をこれからも怖がらず楽しみに歩んでいきたいと思っています。
是非短歌も作って頂きたいです。
是非お願いしたいですね。
ありがとうございました。
そろそろお時間になりました。
今日は元フィギュアスケート選手の鈴木明子さんをお迎えしました。
ありがとうございます。
ありがとうございました。
染野さんまた次回よろしくお願い致します。
それではまた来週。
おはようございます。
2015/11/08(日) 06:00〜06:25
NHKEテレ1大阪
NHK短歌 題「休む」[字]
選者は染野太朗さん。ゲストは元フィギュアスケート選手の鈴木明子さん。豊かな表現力でファンを魅了した鈴木さん。表現する上で大切なものは何か、語ってもらう。剣幸
詳細情報
番組内容
選者は染野太朗さん。ゲストは元フィギュアスケート選手の鈴木明子さん。豊かな表現力でファンを魅了した鈴木さん。表現する上で大切なものは何か、語ってもらう。【司会】剣幸
出演者
【ゲスト】鈴木明子,【出演】染野太朗,【司会】剣幸
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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